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3日目
開かれた口
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「──は…ぅ…、ッ…ん──。」
この街でシンジに与えられた居場所である檻の中で、両脚をM字に広げて、ぞろぞろと後ろの肉壁を這い回りながら体内を掃除する軟体生物の動きに、シンジは軽く唇を噛んで眉を寄せながら耐え続けていた。やがて、奥底まで這い回っていた蟲は、満足したかのように、ぬらぬらと滑る粘液を纏いながらするんっ!と穴から這い出してくる。ぞく、と背筋が痺れるような快感はあったが、身体の奥を開発された今となっては、これだけではどうにも物足りない。自分自身の手で蟲を挿入し、掃除が終われば筒状の容器に押し込むようにして片づけるという動作にも慣れかかってきていて、そんな自分の順応がひたすらに不思議だった。
回送電車に身を投げてから数えてたったの三回しか夜を迎えていないというのに、何も知らない平凡な会社員だったこの身体は、どんどん『性奴隷』として作り替えられていく。
そういえば、この街に転送されてから、『昼』というものを見たことがない。廊下の一角にある、頑丈な鉄格子の嵌まった窓から眺める景色は、決まって月明かりの差し込む夜だった。神の怒りに触れ、人間の世界から切り離されてしまったソドムの街には、太陽さえ昇らないのかもしれない。それでも、辛く苦しい灰色の日々に追い立てられていた元の世界に比べれば、幾分か色鮮やかに見える。
ほんの少しだけ、胸がドキリと高鳴った。
もし、元の世界に戻ったとしたら、自分はどうなってしまうのだろう。人間の手では到底知り得ない快楽を教え込まれてしまったこの身体で、あの暗澹とした灰色の世界をどう生きて行けばいい?
きっと、元の世界では、たとえシンジ一人がいなくなったとしても、きちんと歯車が噛み合って何事もなかったかのように回っているのだろう。両親は早くに他界し、天涯孤独のシンジには、殊更に元の生活に戻りたいという強い動機がない。
ただ、繰り返される『調教』の七日目に自分がどうなってしまうのか、そこに先の見えない不安が横たわっているだけで。
「──あの…?」
上るように命じられたのは、いつもの椅子のような調教台ではない。調教室の片隅にある、白いシーツの掛かった広々としたベッドの上に恐る恐る膝で這い上がりながら、調教の準備をするザラキアをおずおずと見上げる。
「何だ、調教台の方が良かったのか?──だが、あそこじゃちっと具合が悪い。今日の調教は、お前のここを使う。」
褐色の肌を持つ長くしなやかな指先が伸びてきて、シンジの唇の上をトントンと軽く叩いた。不安と疑問に軽く眉を寄せるシンジをよそに、ザラキアは、手早くヘッドボードに取り付けられた鎖のついた黒い手枷を取って、シンジの両手首をそこに繋いだ。両腕を高く上げて広げ、仰向けにベッドに横たわるシンジの前に、ザラキアが妙な金具のついた黒く細いベルトを翳して見せてくる。
「口枷。開口器…ってヤツだ。不慣れな性奴隷に、反射的に噛みつかれたら困る。今日は、ご主人様の一番大事なところを咥え込んで気持ちよくさせる練習だ、喉の奥までしっかり使えるようにしてやるからな。口、開け。」
言われるままにおずおずと口を開くと、金属製の口枷を歯の間に差し込まれ、頭の後ろできっちりとベルトを締められてしまった。大きく開いたままにされた口を閉ざそうとしても、ガチン!と器具に阻まれてしまい、うっかりするとみっともなく唾液を溢れさせてしまいそうになる。
「あ──、ふ、ぅぁ──、っ──!」
「喋れねぇよなぁ?…ま、そういうモンだ。」
クックッと楽しげに笑いながら、ザラキアがベッド型の調教台に膝をついて乗り上がってくる。じ、と顔を寄せてくる彼は、本当に端整な顔立ちをしていて、こんな状況でも思わず気後れしてしまいそうだった。長い藍色の睫毛に彩られた切れ長の藍色の瞳に、高い鼻筋。薄く形のいい唇で微笑み掛けられて、心を動かされない人間などこの世にいるのだろうか。ザラキアが上級淫魔の証として長い耳と角を生やしていても、恐ろしいと思うどころか、彼を見詰める度にその表情に魅せられるばかりだ。
「さて、始めるか。」
しばらくうっとりとその顔に見とれていたシンジを目の前にして、ザラキアは膝丈のローブの前を開き、ゆったりとした下穿きを脱ぎ捨てた。濃い琥珀の色をした綺麗な褐色の肌が露わになり、そして、彼の下腹に息づいているモノを目の当たりにして、シンジの顔は驚愕に凍り付く。
「う──ぁ…。」
優に二メートル近いのではないかと思われる長身の彼は、それに見合った長大さと太さのサイズの牡の証を持っていた。いくら慣らされてもそんなものを受け止められる自信は到底なく、目一杯に瞳を見開いて恐怖に身を竦ませるシンジを見下ろして、ザラキアはかえって面白そうにクスクスと笑い声を立てるのだ。
「血統以外、お前の何がいいって、そのツラだ。性奴隷は、どいつもこいつも生まれた時から家畜として従順に育てられちまってる。反発なんてもってのほかだし、羞恥なんてありゃしねぇ。…ちょっとしたことで怯えたり、恥ずかしがったりする意思のある人間を調教する──。それだけで、堪らなくそそられるんだよ。」
シンジの黒髪を愛玩するように撫でながら、ザラキアの右手が、自分自身の長大なものを目の前で扱いて見せる。藍色の茂みの中で、瞬く間にムクムクと膨張していく、その器官。まるで赤ん坊の腕ほどに太い、こんなに長く大きな男の持ち物など見たことがない。
その切っ先をシンジの鼻先に突き付けて揺らしつつ、ベッドサイドの台の上から陶器の容器を取り上げて蓋を開いた。
「口を使いながら、乳首を開発してやる。──掃除蟲の一種で、搾乳のための小型の蟲だ。もっとも、お前から母乳は出ないから、こいつらは焦れて延々としゃぶり尽くしてくれるだろうさ…。気持ちイイぞ?」
この街でシンジに与えられた居場所である檻の中で、両脚をM字に広げて、ぞろぞろと後ろの肉壁を這い回りながら体内を掃除する軟体生物の動きに、シンジは軽く唇を噛んで眉を寄せながら耐え続けていた。やがて、奥底まで這い回っていた蟲は、満足したかのように、ぬらぬらと滑る粘液を纏いながらするんっ!と穴から這い出してくる。ぞく、と背筋が痺れるような快感はあったが、身体の奥を開発された今となっては、これだけではどうにも物足りない。自分自身の手で蟲を挿入し、掃除が終われば筒状の容器に押し込むようにして片づけるという動作にも慣れかかってきていて、そんな自分の順応がひたすらに不思議だった。
回送電車に身を投げてから数えてたったの三回しか夜を迎えていないというのに、何も知らない平凡な会社員だったこの身体は、どんどん『性奴隷』として作り替えられていく。
そういえば、この街に転送されてから、『昼』というものを見たことがない。廊下の一角にある、頑丈な鉄格子の嵌まった窓から眺める景色は、決まって月明かりの差し込む夜だった。神の怒りに触れ、人間の世界から切り離されてしまったソドムの街には、太陽さえ昇らないのかもしれない。それでも、辛く苦しい灰色の日々に追い立てられていた元の世界に比べれば、幾分か色鮮やかに見える。
ほんの少しだけ、胸がドキリと高鳴った。
もし、元の世界に戻ったとしたら、自分はどうなってしまうのだろう。人間の手では到底知り得ない快楽を教え込まれてしまったこの身体で、あの暗澹とした灰色の世界をどう生きて行けばいい?
きっと、元の世界では、たとえシンジ一人がいなくなったとしても、きちんと歯車が噛み合って何事もなかったかのように回っているのだろう。両親は早くに他界し、天涯孤独のシンジには、殊更に元の生活に戻りたいという強い動機がない。
ただ、繰り返される『調教』の七日目に自分がどうなってしまうのか、そこに先の見えない不安が横たわっているだけで。
「──あの…?」
上るように命じられたのは、いつもの椅子のような調教台ではない。調教室の片隅にある、白いシーツの掛かった広々としたベッドの上に恐る恐る膝で這い上がりながら、調教の準備をするザラキアをおずおずと見上げる。
「何だ、調教台の方が良かったのか?──だが、あそこじゃちっと具合が悪い。今日の調教は、お前のここを使う。」
褐色の肌を持つ長くしなやかな指先が伸びてきて、シンジの唇の上をトントンと軽く叩いた。不安と疑問に軽く眉を寄せるシンジをよそに、ザラキアは、手早くヘッドボードに取り付けられた鎖のついた黒い手枷を取って、シンジの両手首をそこに繋いだ。両腕を高く上げて広げ、仰向けにベッドに横たわるシンジの前に、ザラキアが妙な金具のついた黒く細いベルトを翳して見せてくる。
「口枷。開口器…ってヤツだ。不慣れな性奴隷に、反射的に噛みつかれたら困る。今日は、ご主人様の一番大事なところを咥え込んで気持ちよくさせる練習だ、喉の奥までしっかり使えるようにしてやるからな。口、開け。」
言われるままにおずおずと口を開くと、金属製の口枷を歯の間に差し込まれ、頭の後ろできっちりとベルトを締められてしまった。大きく開いたままにされた口を閉ざそうとしても、ガチン!と器具に阻まれてしまい、うっかりするとみっともなく唾液を溢れさせてしまいそうになる。
「あ──、ふ、ぅぁ──、っ──!」
「喋れねぇよなぁ?…ま、そういうモンだ。」
クックッと楽しげに笑いながら、ザラキアがベッド型の調教台に膝をついて乗り上がってくる。じ、と顔を寄せてくる彼は、本当に端整な顔立ちをしていて、こんな状況でも思わず気後れしてしまいそうだった。長い藍色の睫毛に彩られた切れ長の藍色の瞳に、高い鼻筋。薄く形のいい唇で微笑み掛けられて、心を動かされない人間などこの世にいるのだろうか。ザラキアが上級淫魔の証として長い耳と角を生やしていても、恐ろしいと思うどころか、彼を見詰める度にその表情に魅せられるばかりだ。
「さて、始めるか。」
しばらくうっとりとその顔に見とれていたシンジを目の前にして、ザラキアは膝丈のローブの前を開き、ゆったりとした下穿きを脱ぎ捨てた。濃い琥珀の色をした綺麗な褐色の肌が露わになり、そして、彼の下腹に息づいているモノを目の当たりにして、シンジの顔は驚愕に凍り付く。
「う──ぁ…。」
優に二メートル近いのではないかと思われる長身の彼は、それに見合った長大さと太さのサイズの牡の証を持っていた。いくら慣らされてもそんなものを受け止められる自信は到底なく、目一杯に瞳を見開いて恐怖に身を竦ませるシンジを見下ろして、ザラキアはかえって面白そうにクスクスと笑い声を立てるのだ。
「血統以外、お前の何がいいって、そのツラだ。性奴隷は、どいつもこいつも生まれた時から家畜として従順に育てられちまってる。反発なんてもってのほかだし、羞恥なんてありゃしねぇ。…ちょっとしたことで怯えたり、恥ずかしがったりする意思のある人間を調教する──。それだけで、堪らなくそそられるんだよ。」
シンジの黒髪を愛玩するように撫でながら、ザラキアの右手が、自分自身の長大なものを目の前で扱いて見せる。藍色の茂みの中で、瞬く間にムクムクと膨張していく、その器官。まるで赤ん坊の腕ほどに太い、こんなに長く大きな男の持ち物など見たことがない。
その切っ先をシンジの鼻先に突き付けて揺らしつつ、ベッドサイドの台の上から陶器の容器を取り上げて蓋を開いた。
「口を使いながら、乳首を開発してやる。──掃除蟲の一種で、搾乳のための小型の蟲だ。もっとも、お前から母乳は出ないから、こいつらは焦れて延々としゃぶり尽くしてくれるだろうさ…。気持ちイイぞ?」
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