蟲人の森 -蝶の王-

槇木 五泉(Maki Izumi)

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枯葉の褥.4 ※

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「──ひ、ぁ、…だめ…、だめ…っ!──いく、もッ…果てて…しま…ッ──!」
「何だよ。突っ込んでやった途端に、もうイきそうか?…まあ、あれだけ焦らしてやったんだから仕方ねぇか。──あぁ、イけよ。お前は雌蝶なんだから、ここで何度でもイけるだろ…?」
「や…ぁ…!ひ…ア…、あぁッ──!」
 
 グイ、と折り曲げた片膝を引き寄せられ、深々と交尾器が捻じ込まれると同時に、片手の指がすっかり尖り立った片胸の色付きをきゅっとつねり上げてきた。散々弄ばれ、性感帯となったそこへの刺激は絶頂を望む内壁を強くさざめかせ、穿ち込まれた巨きなものの存在を露骨に感じる程に締め上げてしまう。弾みで、はら裡側うらがわに息衝く快楽の拠点がごり、と強く押し潰されるのを感じた。目の前で閃く白い光の幻覚と共に、腰骨がぶるりと力なく震える。

「うあ、ぁ…!──はッ…ぁ、アあぁ…ッ…!」

 ムラサキが淡い精を吐き出して果てても、若い雄の衝動が治まることはない。絶頂に戦慄わななく内壁を激しく擦り付けられて、不自然な快楽の境地から戻ることができずに泣き喘ぐムラサキを好きなように犯すシノノメは、荒らぐ息で微かに嗤った。

「…何度でもイかせてやる。──お前は、俺をイイ気分にさせるからな。…ほら、どうだ。一番イイのはここだろ──?」
「いッ…、そこ…っ、今ッ──、駄目…だ、──、…ぁ、駄目ッ──!」

 果てを見たばかりの肉体の中を狙い澄ましてどつどつと穿たれ、度を越えた快楽に撃たれるムラサキの全身が激しく跳ねた。そうして追い詰めることで香り立つ翅がシノノメを酔わせ、貫かれるだけの雌となり果てた肉体は、限度を超えて煮詰まった快楽の中で意識もおぼろになっていく。

 気絶の淵まで、時には気絶の底に至るまで手酷く乱される様子は、薄暗い場所ではさほど目の見えないムラサキと異なって、夜行性の蜘蛛の青い眼には全て視えているのだろう。粘つくような視線を感じる度に、心の底から望んだ訳ではない疑似交尾の中で与えられる悦楽とは別の理由で頬が火照るのが、ムラサキには明瞭と解った。

 感極まったムラサキが力任せに首筋に縋っても、両脚で腰を巻き取るように締め付けても、シノノメは苛つく素振りも嫌がる素振りも見せない。かえって、悦楽の連鎖の中に突き落とされ、見果てぬ絶頂に身悶える年嵩としかさの蝶が我を忘れて藻掻くのを、愉しんでいるようでもあった。
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