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喪失.1 ※
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黒革の下穿きの前を緩めた雄蜘蛛が、大きく開かされた両脚の間に分け入ってきた。感覚の無くなって久しい処に何をされようとしているのか、その先を考えることを放棄したムラサキの腰を掴み締め、雄蜘蛛が力任せに腰を突き入れてくる。
瞬間、肚の奥底に響く、ガツ、という鈍い衝撃。
同時に、『何』をされたのか解らずにいるムラサキの見開いた目の前に、白く発光しながら舞い落ちる花弁にも似た幻覚が、ひらひらと無数に飛び散った。
「いぁ…ッ──!…ぐ…ぅ…、あぁ…アぁ…ッ──!」
「──く、キツい…。締まりが強過ぎる…。」
残酷な灼熱の一突きが、誰にも暴かれたことのなかった清らかな肉の隧道を無慈悲に刺し貫いて、一思いにそこを制圧する雄蜘蛛の交尾器の味というものを知らしめたのだ。
全身をびくびくと震わせ捩るムラサキの苦悶と絶望の絶叫など微塵も構わず、裸の腿に、乾いた音を立てて繰り返し叩き付けられる雄蜘蛛の腰がある。毒を馴染ませられ、感覚を喪ったのは、未通だった孔のほんの浅い入口に過ぎなかった。何者をも受け容れたことのない狭い肉の隧道は、無理矢理押し込まれた雄の昂り切った交尾器で繰り返し切り開かれ、肚の裏側に、コツン、と突き当たる未感の衝撃があることを教え込まれる。
激しい目眩と、吐き気がするほどの圧迫感。
雄の身で、他種の雄の交尾器を受け容れさせられる耐え難い屈辱。
麻痺毒の及ばない、感覚が残る奥処の柔い壁にはきちんと神経が通っていて、深々と貫いてはまたずるりと引き抜かれる怒張した雄の熱や形をあからさまに感じ取り、内腑を暴かれる未知の息苦しさと、味わったこともない奇妙な感覚の狭間で、ムラサキは大きく息を喘がせて悲痛な声を絞り出した。いくら噛み殺そうとしても、初めて味わう乱暴で不自然な交尾の真似事の中で、喉から溢れる悲鳴を抑えることはできなかった。
「──イ、ぁ、…く…、ああぁ──っ…。は──!」
「…ッ、いいぞ──。泣き叫べよ、羽虫…。悦い具合になってきたぞ、お前、初めからこうされたくて俺を発情させたんじゃねえのか?蝶って奴は、見下げ果てたいやらしい生き物だな…。」
「ち、違──ッ…!──い、や──、…ああぁッ──!」
「ハ、また食い付いてきやがって…。どうだ、初めて知った雄の味は、そんなにいいか…?」
淫猥な交接の音と、雄蜘蛛に浴びせられる耐え難い侮辱から逃れようとしても、戒められた腕では耳を塞ぐこともできず、雄の昂りを飲まされた下腹に、きゅぅっと無意識の力が籠もる。それだけで、清らかだった身体の中を好き勝手に掻き回す雄のかたちがより露骨に伝わってきて、じわりと涙が滲み、眦を伝わって頬を流れ落ちていった。
いかに情けないと思おうが、労わりの欠片もない未知の疑似交尾の感覚と、肚の裏側の柔肉に擦り付けられる雄の怒張で粉々に打ち砕かれた矜持とが、ムラサキの面輪を歪め、涙と嗚咽とを溢れさせる。
掴まえられた腰をぶつけるように、肉を掻き分けて深々と挿入られれば、中空に吊るされた身体は揺らぎ、反動でより奥深くまで雄の交尾器を飲み込む破目になった。
熱い交尾器の切っ先で柔らかな奥を叩かれる度に、腰の奥から味わったこともない感覚が生まれて、脊柱を伝わって少しずつ這い上がってくる。
痛みとは別種の、得体の知れない『何か』があることが空恐ろしくさえ思え、蜘蛛糸で絡め取られて不自由な身体を捻って無意味な抵抗を試みる、その度に、二対の翅が意思とは無関係に小刻みに羽ばたいて、立ち昇る欲情の薫香が、雄蜘蛛の凌辱の手に拍車を掛けた。
瞬間、肚の奥底に響く、ガツ、という鈍い衝撃。
同時に、『何』をされたのか解らずにいるムラサキの見開いた目の前に、白く発光しながら舞い落ちる花弁にも似た幻覚が、ひらひらと無数に飛び散った。
「いぁ…ッ──!…ぐ…ぅ…、あぁ…アぁ…ッ──!」
「──く、キツい…。締まりが強過ぎる…。」
残酷な灼熱の一突きが、誰にも暴かれたことのなかった清らかな肉の隧道を無慈悲に刺し貫いて、一思いにそこを制圧する雄蜘蛛の交尾器の味というものを知らしめたのだ。
全身をびくびくと震わせ捩るムラサキの苦悶と絶望の絶叫など微塵も構わず、裸の腿に、乾いた音を立てて繰り返し叩き付けられる雄蜘蛛の腰がある。毒を馴染ませられ、感覚を喪ったのは、未通だった孔のほんの浅い入口に過ぎなかった。何者をも受け容れたことのない狭い肉の隧道は、無理矢理押し込まれた雄の昂り切った交尾器で繰り返し切り開かれ、肚の裏側に、コツン、と突き当たる未感の衝撃があることを教え込まれる。
激しい目眩と、吐き気がするほどの圧迫感。
雄の身で、他種の雄の交尾器を受け容れさせられる耐え難い屈辱。
麻痺毒の及ばない、感覚が残る奥処の柔い壁にはきちんと神経が通っていて、深々と貫いてはまたずるりと引き抜かれる怒張した雄の熱や形をあからさまに感じ取り、内腑を暴かれる未知の息苦しさと、味わったこともない奇妙な感覚の狭間で、ムラサキは大きく息を喘がせて悲痛な声を絞り出した。いくら噛み殺そうとしても、初めて味わう乱暴で不自然な交尾の真似事の中で、喉から溢れる悲鳴を抑えることはできなかった。
「──イ、ぁ、…く…、ああぁ──っ…。は──!」
「…ッ、いいぞ──。泣き叫べよ、羽虫…。悦い具合になってきたぞ、お前、初めからこうされたくて俺を発情させたんじゃねえのか?蝶って奴は、見下げ果てたいやらしい生き物だな…。」
「ち、違──ッ…!──い、や──、…ああぁッ──!」
「ハ、また食い付いてきやがって…。どうだ、初めて知った雄の味は、そんなにいいか…?」
淫猥な交接の音と、雄蜘蛛に浴びせられる耐え難い侮辱から逃れようとしても、戒められた腕では耳を塞ぐこともできず、雄の昂りを飲まされた下腹に、きゅぅっと無意識の力が籠もる。それだけで、清らかだった身体の中を好き勝手に掻き回す雄のかたちがより露骨に伝わってきて、じわりと涙が滲み、眦を伝わって頬を流れ落ちていった。
いかに情けないと思おうが、労わりの欠片もない未知の疑似交尾の感覚と、肚の裏側の柔肉に擦り付けられる雄の怒張で粉々に打ち砕かれた矜持とが、ムラサキの面輪を歪め、涙と嗚咽とを溢れさせる。
掴まえられた腰をぶつけるように、肉を掻き分けて深々と挿入られれば、中空に吊るされた身体は揺らぎ、反動でより奥深くまで雄の交尾器を飲み込む破目になった。
熱い交尾器の切っ先で柔らかな奥を叩かれる度に、腰の奥から味わったこともない感覚が生まれて、脊柱を伝わって少しずつ這い上がってくる。
痛みとは別種の、得体の知れない『何か』があることが空恐ろしくさえ思え、蜘蛛糸で絡め取られて不自由な身体を捻って無意味な抵抗を試みる、その度に、二対の翅が意思とは無関係に小刻みに羽ばたいて、立ち昇る欲情の薫香が、雄蜘蛛の凌辱の手に拍車を掛けた。
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