お山の狐は連れ添いたい

にっきょ

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「ずっと、ぼくが勝手に修造のこと好いてるだけだと思ってた……こうやって焼きもち焼いてくれる日が来るなんて……夢みたいだ」
「あのなあ、嫌だったら同じ家なんかにいるわけねえだろ」
「でも、修造は優しいから。ぼくが怪我したせいで負い目を感じてて、それで一緒にいてくれるのかなぁって。ぶすっとしててにこりともしないし、本当はぼくとなんかいたくないんだろうって、ずっと……思ってた」
「あー……」

 自分の上に乗った赫の身体を抱き直し、修造は滑らかに筋肉のついた背中を撫でた。腰まで手を下ろし、いつの間にかだいぶ本数の増えた尻尾の付け根あたりをくすぐる。その向こうにある引き締まった尻に触れると、ふるふると赫は耳を震わせた。
 とろりとした表情に変わってきた赫と、唇を重ねる。冷え切った割れ目の間に舌を差し入れると、熱く柔らかな口内が修造を迎えた。
 おずおずと伸びてくる舌を吸い、口を離す。

「負い目だけで、ここまですると思うか?」
「……しない、の?」
「そうだよ、覚えとけ。……ほら、こっちだって」

 弾力のある尻を抱き寄せ、膨らみ始めた股間を押し付ける。布越しに硬質の感触が触れあい、赫が小さく声を上げる。

「やんっ、修造……」
「赫、オレぁな、お前に惚れてんだよ。じゃなきゃこんなことまでしてねえよ」
 はっきり言わなければ分からないのなら、そうしてやる。明日になったら羞恥でのたうち回りそうだったが、さらに言葉を重ねていく。
「好きだよ、赫。だから、お前の全部が欲しい」
「ん、ふふっ」

 くぅんと甘ったるく鼻を鳴らした赫は、修造に擦り付けるように腰を動かした。

「あ、あんね、修造、ぼくも……修造のこと、好き」
「知ってる」

 答えると、「うん!」と赫が四本の尻尾を振り回した。今度は赫のほうから修造に口づけてきて、ちゅくちゅくと首筋や顎、口唇をついばむように食まれる。

「ん、ふぁ……あ」

 くすぐったいような、甘い感触に修造は頭を振った。内股になった足の指先を握り込むと、その間に赫の手が滑り込んできて修造の褌を解く。

「あ、はあっ……赫……」

 早くも竿の先から漏れてきている蜜を塗り拡げられ、修造は上ずった声を出した。赫を抱いた指先に力が籠もる。

「あ、そうだ、ねえ修造」
「ん……何だよ」

 はたと何かを思い出したように赫は体を起こした。屹立から指が離れ、その切なさに不満げな声を上げてしまう。
 ごそごそと胸元に手を突っ込んだ赫は、そこから懐紙入れを取り出した。小さな短冊状の紙切れをつまみ、修造に示す。唾液でふやかして使うぬめり剤――ふのりというやつだ。

「ねえ修造、これ使ってもいい? 貞宗に今日分けてもらったんだ」
(さ、貞宗ェ……!)

 赫に求められているという嬉しさと、そこに貞宗が噛んでくるという恥ずかしさに修造の頭が真っ白になる。

「あっ、だ、だめなら大丈夫!」

 どんな表情をしていたのか、ぺたりと耳を伏せた赫が慌てて懐紙入れをしまおうとする。その手を押さえ、修造は首を振った。

「だめじゃない、から……」

 ぱあっと赫の顔が輝く。赤い爪をした指先が紙をつまみ、緊張した様子で舌の上に乗せる。それを見ながら修造は帯を解き、脚を広げた体勢になっていた。

「赫」
「ん?」

 名前を呼ぶと、口をもごもごとさせた赫が修造を見た。ちらりと覗く赤い舌先がてろりと光る。

「色男だよ、赫は」

 背中に感じる板の間の感触は固くて冷たい。だが今は、布団を準備する時間すら惜しい。
 んふ、と含み笑いをした赫が修造の足の間に頭を埋める。ぬるりとした舌に秘部を濡らされ、修造は喘ぎながら赫の髪を握り込んだ。
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