お山の狐は連れ添いたい

にっきょ

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22 朝のこと

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 昨晩何気なく「長羽織になった赫は暖かくてよかったな」と口にしたところ、「じゃあこうしてやるよ」と狐の姿になった赫が修造の布団に入ってきたのだ。
 それが、起きたら人になっているのだ。
 狐のままなら、触り心地が良くて愛らしいとは思えども、そこまでではない。だが人の姿になられるとどうもくるものがある。とはいえ、昨日の話によると本人的に人の姿になれたことは大分嬉しいことのようだし、そうなると「狐のままでいろ」とも言いづらい。

(ううん……どうしたもんかね)

 修造は自分のことを優しいと思ったことはないが、かといってそう信じ込んでいる赫に対して邪険な態度を取れるわけでもなかった。きゅっきゅと鳴く赫の耳の付け根あたりを触ると、修造の胸に手を当ててますます身体を擦り寄せてくる。

(初夜の用意してたくらいなんだし、赫だって……いや、でもなあ……)

 今までの様子からすると、狐だからなのかずっと石の中にいたせいなのか、赫にその手の経験はあまりないようだった。今だって多分、他意はなくただ嬉しいから修造にくっついているのだろう。それが相手にどんな反応を引き起こすかなんて、考えてもいないに違いない。
 不意に、赫がぴくりと耳を立てた。

「……修造、なんかいい匂いする」
「え?」
「今までも時々してたんだけど……」

 ふんふん、と不思議そうな顔をしながら首筋や脇の下を嗅がれる。ばさりと布団を剥がされた時、修造はそれが意味することにようやく気がついた。

「わっ、やめ……」
「ここかな?」

 制止しようとするも遅く、そう言った赫の鼻先は修造の股間に押し付けられている。

「あ、やっぱり! ここだ!」

 躊躇なく赫は修造の寝間着の間に手を突っ込み――ぼっ、と全身の毛が逆立った。

「わ、わ、わ……」

 ようやく自分が何をしているのか気づいたのか、顔が火を吹きそうに赤い。完全に混乱しているらしく、震える手は修造の褌の前袋をしっかりと握ったままだ。

「は、離せよ馬鹿っ」

 赫のあまりにも初心な反応に、修造も一緒になって狼狽えてしまう。

「修造、これって……えっ?」

 布越しに、中にあるものの形を確かめるように赫は手を動かした。うぅん、と思わず修造が腰を動かすと、また赫の尻尾が太くなる。

「えっえっ、もしかして、ぼくに……」
「し、仕方ねえだろそんなにくっつきやがって! ほら、抜いてくるから離せって……」

 立ち上がろうと上半身を起こすと、「待って!」と赫が修造の足を押さえた。

「あの、ぼ、ぼくに……させてほしい」
「え?」
「ぼくで、こうなった……わけだし、修造の、舐めてみたい……だ、だめかな」

 そんなこと、言えるわけがない。修造が動きを止めると、濡れた瞳で懇願するように赫が見上げてくる。

「やり方はっ、その、み、見たことあるし、わ、分かると思う……から……」

 不安げな口調の割に力強い手が修造の褌を引っ張り、緩んだ隙間に指先を差し入れた。硬く、早くも先走りでぬるつく屹立に手を這わせて布の脇から取り出す。
腹につくほど反り返った剛直を見下ろしてごくりと喉仏を上下させた赫は、ぱくりとその先端を口に含んだ。

「あ、あっ……赫っ……」

 敏感な粘膜同士が触れあい、修造は上ずった声を上げた。見上げてくる赫の頭に手を置き、へたりと嬉しそうに寝た耳を撫でる。
「見たことがあるだけ」という自己申告のとおり、その舌使いはたどたどしく拙い。だが、懸命に修造のものを頬張り、舐めてくる赫の姿は視覚から修造に快感をもたらした。

「歯は当てるな……そう……んっ」

 唾液で光る唇の間からちらりと牙が覗き、修造の背中がぞくりとする。自身も昂ぶってきたのか、赫も尻をもぞもぞとさせ、三本ある尻尾の先を小刻みに揺らしていた。

「あ……ううっ」

 その奥に突き込みたい衝動を押さえ、修造は赫の頭を両手で抱えこんた。めちゃくちゃに腰を振って、この奥に欲望をぶつけてやりたい。だが、この可愛い赫にそんな野蛮で強引な真似はできない。

「ん……んん」

 恍惚とした目つきで全身を震わせた赫は、修造のものを握っていた手をそっと離した。自身の下に差し入れ、ごそごそと動かしている。すぐにそちらからも濡れた音が響いてきた。

「赫、外せ」

 修造がそう言って赫の頭を押しやると、じわりと紅色の目に涙が浮かんだ。透明な糸を引きながら、赫の口が修造から離れていく。

「ご、ごめん修造、やっぱりぼくじゃ気持ちよく……」
「違ぇよ、オレも触りてえんだよ、お前の。俺の咥えてたら、そうなったんだろ?」
「うん……」

 体を起こした赫は、すでに腰の紐も褌も解いた状態だった。足を開いておずおずと手をどかした下から、赫の勃起したものが顔を出す。

「おっ……狐ってのは竿がでけえもんなのか?」
「うう」
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