失ってから始まる異世界生活

ヒロ

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始まりの町 イステリア

20話 初めてのオーク狩り その4

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裏路地で30分ほど待つと3匹のオークが門から出そうな気配

すかさず隠密を発動し、オーク3匹の後ろにひっついてなんとか門から出ることができた。

アリシア達が待ってくれているところに戻ることにした。
「今戻ったよ。」

「え?あっみんな旦那が戻ってきたぞ!」
バドソンの言葉にみんな安堵した表情で迎えてくれた。

「リーダー!無事で何よりです。ところで中はどうでした?」

「ああ、中は完全に町になっていて大きな建物もあったし、広場には子供のオークなんかも多く遊んでいて平和な感じではあったよ。
オークもあの感じだと500体以上はいそうだったけど、すぐ襲ってくるような感じは全くなかったよ。」
正確には528体だった。
町をグルッと回った時にナビが詳細に解析してくれた。
子供オークが212体、大人オークが316体
その内大人男オークが183体
それも武装してるオークはほとんどいなくて、門番と町を巡回してる警察のようなオークが10数匹くらいだった。

最初は500体も相手に出来ないと思ってたけど、実際にはそんなことなかったな。

オークの子供はゴブリンほど早く成長しないし、実際見た光景は平和な町そのものだったし、戦う気がしなくなったなぁ。

みんなにもこのことを伝えて意見を聞いてみた。
「まさかオークがそのような進化をしてようとは思いませんでした。
そこまで好戦的ではないにしろ、出会ったら大体は襲って来るので、危険なモンスターとしか見ていませんでした。
ただリーダーがそういうのであれば今回はある程度は倒しましたし、町に戻ってギルドに報告して指示を仰ぎたいと思います。」
アリシアの言葉にバドソンとミドも頷いて同調してくれたようだ。

「うん、おれもそれがいいと思う。
一度ギルマスに相談したいな。」

とりあえず村に戻って村長に報告した。
村長もビックリしていたが、とりあえず村に危険がないならと承諾してもらった。
その日は狩ってきたオークを村の人と一緒に昼ごはんとして食べた。
最初は人間と同じような暮らしをしているオークのことを考えたら食べる気がしなかったが、一口食べたら止まらなくなるくらい美味い。
あれだね、学校で飼ってた豚🐖を食べる授業があって、最初みんな可哀想とか言って食べるやつは悪魔だとか騒ぎ立てるけど、みんな結局食べてたしね。美味いのには勝てないよな。
ある意味あの町は養豚場に思えてならない。
食べてる俺が言うのもおかしい話だけど、せめて女子供は食べないであげてほしいな。

アリシアもとりあえず貴族に頼まれてた肉は確保したし、村の近くにいるオークはわりと倒したので、今すぐ村がどうこうなるとかはないだろう。
依頼もある程度の間引きだったし、とりあえず依頼達成にはしてくれるとのことだったので、戻ってギルマスに判断を仰いでからにしようと言うことで、みんな意見を一致させて明日の朝に戻ることにした。
ただ何かあっても困るので、俺たちが戻ってくるまでの間だけだが、バドソンが残って村の自警団の人と村を警備することになった。
バドソンは最初嫌がっていたけど、別料金で警備料を支払うのと滞在期間の衣食住無料などの条件を提示されたら喜んで残ることを承諾してくれた。
まぁそこまで遠くないし、すぐ戻れるとは思うけど、ギルマス次第かな?

とりあえず俺とアリシア、ミドはすぐ帰り支度を初めて明日の朝に備えることにした。
バドソンはその日の夜から警備することになったので、村の若いやつらに警備要領を指導することになった。


その日の夜だった。
そこまで遅い時間ではなかったけど、疲れていたのか早めに寝ていたら「マスターマスター」
とナビが何回も呼ぶので起きて話を聞くと村に100体くらいのオークとキングらしい個体が村の方に向かって歩いてきているとのこと。
「え?村を襲いにきたのかな?」

すぐ、飛び起きてアリシアとミドに連絡し、バドソンが警備しているところに向かった。
「旦那?血相変えてどうしたんですか?」

「100体くらいのオークがこっちに向かってきている。」

「え?マジすか?何も見えないし聞こえないですがね?
まぁ旦那が言うなら本当でしょうね。
すぐ警備態勢をあげます!
おーい!警備態勢1だー!」

「え?1ですか?」
村の若い子が、焦って聞いてきた。

「そうだ!1だ!早く態勢を上げろ!
寝てる奴らも起こしてこい。」

「わかりました!」
そう言うと「カンカンカンカン」と警鐘が鳴り響き村の中にこだました。
バドソンすごいな!一日で村の警備のやり方が変わってる。

5分もしないうちにそこそこの防具をした村の人達が、集まってきた。
「バドソンさん一体何事ですか?」

「この村にオークの群れが向かってきている。らしい。」

「らしい?って本当ですか?」

「あぁ、おれらのリーダーからの情報だ。」

みんなこっちをジッと見ている。
恥ずかしいな💦

「あーごほん、私はリーダーのレオンですが、私の索敵スキルでこちらの方にオークが100体ほど向かってきているのがわかりました。
女性と子供は絶対に外に出ないようにさせてください。
あと5分ほどでオークたちがやってきます。」

それは大変だと連絡員が各家を周り、戸締りをしっかりして絶対に外に出てこないように言って回る。
そのほかの人は村の柵沿いに配置して警備についた。

ほどなくしてオーク達が現れた。
ただすぐに攻撃して来る気配はなかった。
少しするとオークの真ん中を掻き分けて、1匹の個体が前に出てきた。
「あれがオークキングですね。」
ナビは目視することで確認が取れたみたいだ。

ただ俺が思っていたオークキングはデカくて強くてデブのオークを想像していたけど、実際のキングはほかのオークよりも一回りも小さくあまり強そうな感じはしなかった。

「村の皆さん!
お話があって参りました。
私はオーク村の代表のジルバと申します。」

すごい丁寧な言い方で、知性が感じられるほどであった。
ほかのオークからも全く敵意は感じられなかった。





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