失ってから始まる異世界生活

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始まりの町 イステリア

9話 初めてのゴブリン退治 その4

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馬車の周りには6人ほどの冒険者がいて、ゴブリンと戦っていた。
Bランク1名 Cランク3名  Dランク2名か。
あと一緒にギルドまで来た村人も1人いるな。
隠れて戦闘に加わっていないところを見ると御者兼案内役かな?
普通に戦えばこれくらいのゴブリンなんて楽に倒せる人達ではあったが、ちょうど木に囲まれてる場所で襲撃を受けて、木の上から投石や弓矢などで攻撃を受けて、なかなか倒せていない状況だ。
弓使いが1人いるので、何匹かは木の上のゴブリンを倒してはいるけど、ゴブリンが角笛を鳴らし、増援が次々にくるので、Bランクがいても苦戦していると言うわけか。

「初級魔法ですが、それでも充分ゴブリンくらいなら倒せるでしょう。
遠距離攻撃としても使えますが、ファイヤーでは山火事になってしまう可能性が高いので、フリーズとサンダーを使ってください。
ただし、今の尊さまのMPでは15発までしか使えません。
それ以上使うと強い倦怠感から一時戦闘不能になってしまうので、注意してください。」
15発までか、居場所はマップナビでわかるから、木の上のゴブリンを最短で倒そう。

ナビに案内してもらいながら、木の上にいるゴブリンの後ろに回り込みサンダーで痺れさせて落ちてきたゴブリンにトドメをさすを何度か繰り返す。
幸い他のゴブリンも冒険者の方に注意が向いているおかげでこちらに気がつくことはなかった。
さらに増援で向かってくるゴブリンもナビに教えてもらって、逆に後ろから奇襲をかけて倒して回った。
木の上のゴブリンを倒しながら、増援も倒していると、レベルが13にアップした。
今は忙しいのでスキル取得は後回し。
それから木の上からの攻撃が緩くなったのに乗じて、Bランク冒険者が前に出て次々とゴブリンを倒していく。
いつもと違う角笛の音色が響くとゴブリン達は引き上げて行った。
この撤収の早さ、やはり統率しているやつがいるみたいだな。
今回は姿を現さなかったけど、注意しとかないとな。
「大丈夫ですか?」
俺が声をかけると馬車にいた村人が俺に気がつき、Bランク冒険者に俺のことを簡単に説明してくれた。
「あんたか助けてくれたのは?
木の上からゴブリンが何匹か落ちていくのが見えたよ。」
バドソンとは違って感じのいい人で良かった!
とりあえず簡単に自己紹介したが、今は少しでも早く村に向かわないと。
とりあえず時間もかかったし、村がまだ無事ならいいけどな。
馬車に俺も乗せてもらって、村まで行くことにした。
途中で置いてきた馬が心配だったが、2~3時間ほっとくと元の場所に戻るように調教されているらしく、とりあえず大丈夫だと思う。
Bランク冒険者の人がリーダーで名前は
 バズ 剛剣士 レベル25
Cランク
 リンダ 弓使い レベル21
 ゴードン タンク レベル20
 ラック 剣士 レベル18
Dランク 
 ハーマン 黒魔術師 レベル15
 サリア ヒーラー レベル15
みんな緊急依頼で集められた人で、すぐ出発してきたらしい。
第二陣もあとからくるみたいだな。
リーダーのバズには、ナビのことは言わずに俺に探索スキルがあることにして、うまくゴブリンを避けながら村まで行くことにした。
間に合ってくれよ。心の中で強く願った。

 
少し時間は遡り。
ちょうど尊がギルドに到着した頃になる。
村では住民の出発準備が終わっていたものの、なかなか外に出られずにいた。
村には80人くらいしかいないが、馬車は3台しかなく、馬車1台で10人までしか乗れないため、全員逃げるためには何往復かしないといけないのだ。
それにとりあえず女子供から逃がそうとしたものの、ゴブリンが時折り遠くから投石や弓矢で牽制してくるため、怖くて外に出られずにいたのだ。
アリシア達が護衛をしながら行けば1台くらいは逃げれるが、残った人達が襲われた時に対応することが出来なくなるため、どうしようかと悩んでいた。
とりあえずギルドからの助けを待つ他ないのかとアリシア達も頭を悩ませていた。
 
「おいアリシアいつになったら、出発するんだ?
とりあえず出しちまえばいいんじゃないか?」
バドソンは苛立ちを隠せず当たり散らしていた。
「さきほどから何度かゴブリンが襲ってきてるじゃないか?
周りを囲まれてるのは明白だ、このまま馬車を出したら襲われて終わりだぞ?」
「かもしれないが、このままだとゴブリンロード様がきて皆殺しにされるかもしれないんだろ?
あの使えねぇFランクも無事にギルドに着いてるかもわからないし、助けもくるかどうかもわからない。
それなら一か八か囲みを抜けて逃げた方がまだいいんじゃないか?」
バドソンの言うことももっともであり、時間が過ぎれば過ぎるほど、総攻撃を受ける危険性が高まるだけであった。
少し考えた後に、アリシアが答えを出した。
「わかった。なら編成を変えよう。
1台目はバドソンが護衛、2台目は非戦闘員を多めに乗せて、3台目にミドが護衛して、真ん中を挟み込むような形で、馬車間は短めにして、襲われたら全員で対処して脱出、残りは私と残って助けを待つ。」
バドソンもミドもとりあえず少しでも村人を逃せるならと納得してくれた。
村長もその編成に納得し、乗る人を決めて出発する準備を整えた。
子供はなるべく多めに乗せて、3台で40名ほど出発することになった。

アリシアは残った村人に武器をかき集めさせて、少しでも戦えるものにはちょっとした戦い方を教えて、戦いが苦手なものには簡易的なバリケードを作らせた。
まだ村人は40人近くいたが、その中で戦える者は半数ほど、残り半数は年寄りや病気の者、気の弱い者などだ。
バリケードなどの準備ができたら、戦えない者は大きい建物の中に集めて、息を潜めておくようにした。
戦える者は3人1組で戦うようにアドバイスし、3人での戦い方もある程度教えた。
村人でも武器があって3対1ならゴブリン程度には勝てるだろう。
ただやはり懸念すべきはホブゴブリンと多分その上のゴブリンロードだ、あいつらがきたらまず勝てないだろう。
私でもホブゴブリンにすら勝てるかどうか。
まだあいつらだけはこないことを祈るばかりだ。




















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