失ってから始まる異世界生活

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始まりの町 イステリア

7話 初めてのゴブリン退治 その2

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村長から詳しい話を聞いてる間、俺は一言も話さずに話を聞いていた。
またバドソンに文句言われると嫌だからね。

アリシアが代表として村長と話を進めているが、横で話を聞くかぎりでは、ここ最近ゴブリンが頻繁に現れて子供が攫われそうになったり、馬が殺されたり、人的被害はまだ出ていないがいつ被害が出てもおかしくないところまできているみたいだ。
「被害状況はこんな感じです。
どうですか?村の周辺にいるゴブリンを探し出して退治してもらえませんか?」

「そうですね。私達もそのために依頼を受けてきました。早急に退治したいと思います。」
アリシアがそう言うと村長は本当に感謝していた。

「何かほかに情報はありませんか?」
ミドが聞くと、村長がうーんと考え込み
「そう言えば参考になるかわかりませんが、ゴブリンは村のあちこちに現れるけど、西の柵の奥の方からくるゴブリンが多いような気がします。
西の森の奥の方には大きな洞窟があって、そこにいる可能性もあるんですが、元々西の森の奥の方はゴブリンよりも強い魔物が多いので、ゴブリンはいなかったはずなんですが、ただ本当に他の方角からも頻繁に現れるので確信はないですね。」

「わかりました。
とりあえず西の方角から探索してみたいと思います。
では半刻後に出発する。全員準備しよう。」
アリシアがそう言うとみんな馬車に戻り、荷物をおろして準備を始めた。
俺もだんだん昂ってくる気持ちを抑えながら準備をしていた。

全員の準備が終わり、いざ出発することに!
西の森の入口までは村人に案内してもらい、その先の途中、小動物やゴブリンに遭遇し、倒しながら進んで行った。
さすが言うだけあって、バドソンのタンカーとしての役割やミドの遠方からの弓の腕前、アリシアの剣の腕もたいしたものでゴブリン数匹くらいであれば全く心配しなくてもいいように見えた。
俺?俺は後方で荷物持ちをしているせいかゴブリンたちが俺のところに来る前に3人が倒してしまい活躍できずにいた。
「ははっあいついらねぇな」
バドソンの声が聞こえてきて、少し嫌な気持ちになった。

そんなこんなでどんどん進み、村長から聞いた場所に行ってみると、遠目であったが大きな穴が見えた。 
穴の横にはゴブリンの見張りが2匹立っているが、この前倒したゴブリンよりも相当大きいことが遠目でもわかった。
「あ、あれはホブゴブリン!ゴブリンの上位種だ!」
アリシアが驚いた口調で話した。
「ホブゴブリンが見張りをしてる言うことは、中にいるボスは少なくてもそれ以上と言うことだ!
私たちだけでは対処できない可能性が高い!
撤退を考慮しよう!」

ナビどうなんだ?
「確かにホブゴブリンが見張りをしているくらいなので、中にいるボスはゴブリンロード以上の可能性が高いでしょう。
ただし、一度ギルドに戻って態勢を整えてる間に、村が襲われて壊滅するかもしれません。
ただレベル10の尊さまではホブゴブリンにも勝てないので一度ギルドに戻ることをお勧めします。」

確かに今の俺では勝てないか。
早く村に戻って村長にこのことを伝えて、逃げる準備をしなければいけないな。

「それが最善でしょう。まだ気が付かれてないので逃れる可能性は高いです。」
うん。そうだな、そうしよう!

「おいおい何ひよったこと言ってんだ?
ホブだか知らないが、たかがゴブリンだろ?
報酬もなく帰ったらただ時間の無駄ってことになる、俺は嫌だね!
少しでも稼いで帰るわ。」
バドソンは人にはゴブリン舐めるなって言ってたのに、自分は舐め切ってないか?

「いやここは撤退して、早くギルドに知らせなければ村が全滅することも考えられるんだぞ?
とりあえず撤退だ。一度村に帰るぞ。」
アリシアとミドで納得いかないバドソンをなんとかなだめて、とりあえず村に戻り村長に報告することになった。

ナビに洞窟の中を検索してもらうと捕まってると思われる人が5人、ゴブリン50匹以上、ホブゴブリン10匹以上、ゴブリンロードと思われるのが1匹確認できたらしい。
ロードと思われるとはまだ進化が終わったばかりなのかあやふやな状態みたいだが、上位種であることは間違いないらしい。
ゴブリンロードに完全に進化が終わって、準備ができたら確実に近くの村など襲われて壊滅してしまうだろう。
幸いまだ大きな動きはないため、今なら村に戻り村人と逃げることも可能みたいだ。
捕まってる人もいるけど、村にはまだ人的被害がないと言っていたので、他の場所から攫われた人かもしれない。ゴブリンと言えばやはり繁殖目的だよな、となるとやはり女性だろうな。
できれば助けてあげたいけどな。

とりあえず周辺探索は5キロ範囲まで出来るから、動きがあればナビにすぐ教えてもらおう。

「わかりました。周辺探索は継続して近づく魔物などいたらお知らせします。
しかし、今回はギルドがすぐ対応できていれば、ロードに進化する前に対処することもできたのかもしれません。
ただゴブリン退治はわりにあわず、なかなか依頼を受ける人がいないため、ゴブリンに進化する時間を与えてしまったのです。
ロードを倒すには推奨レベル30以上でAランク相当の力が必要です。
尊さまでは絶対勝てないので、無理しないで逃げてくださいね。」
確かにナビにしたがって逃げれば俺だけなら簡単に逃げることも可能だろう。
ただそれでいいのかな?
やっぱり何かを守るためには大きな力が必要だ。
今の俺にはそれがない。
そのことを改めて思い知らされた。

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