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第四章 ざわめく水面~朴念仁と二人の少女~
第十三話 白き装飾銃
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カレリア・ルーク・マクベイン――――
美しい漆黒の髪は癖がなくなめらかに腰元まで伸び、全体的に華奢でありながら、そのボディーラインは魅力的な流線を描いている。
柔らかで丁寧な言葉遣いと物静かな身のこなし、対照的に、その笑顔は悪戯っぽさを感じさせる女性だ。
そして、ステフ・ティファ・マクベインの双子の妹だという。
その彼女の案内で訪れたのは、エルモ市の最北端にある地下施設だった。
施設の名称は、アーク王国王立科学研究所エルモ支部。
人工の建材で無骨に建造されたその施設は、風光明媚な観光都市エルモ市に合わないだろうと、それを地下に隠している。
また、この施設は、古代文明の遺産、《転移の門》の研究施設を兼ねていた。
元々古代アルゼティルス文明が築いた《転移の門》の中枢施設と思しき設備であったのを流用し、研究施設を建設したのだ。
ただし、何もこの施設が《転移の門》の研究だけを行っているわけではない。
エルモ市は、豊富な天然温泉の湧く地であり、またその近隣に神秘的な《水霊の神殿》のあるセイレン湖が美しい湖面をたたえている。
温泉が湧く地は、古来より地脈の通った場所であり、惑星の生命力である『活力』が豊富であると言われているが……。
実際、この地は惑星の『活力』が循環し対流する場所であり、そのため理力科学技術を研究するのに最適の地でもあった。
ただし――――
「今現在、こちらで開発しているのは、残念なことに軍事兵器ですの……」
地下に向かうエレベータの中で、案内役のカレリアが重い息を吐きつつ言う。
その彼女の隣で、先程まで『お怒りモード』だったステフも、視線を下げて表情を隠した。
ちなみに、ステフが先程まで憤慨していたのは、カレリアの手の込んだ『悪戯』を知ったからだ。
それは、本来は宿泊客のなかった旅館を一晩まるまる買い占めて、架空の客でほぼ満室にし、さらに王立科学研究所が誇る精鋭部隊《企画七課》を使って、露天風呂を改装し、昨夜の混浴イベントを画策したというものだ。
たまたま、研究所のエルモ支部にとある武器の開発で来ていたカレリアが、《転移の門》の稼働とその異常動作を知ることとなり、姉であるステフともう一人、蒼髪の男性がエルモに来ることを察知して今回の『悪戯』を仕掛けたという。
「絶対にお姉様の言っていた蒼髪の剣士様と思ったので、愚妹としては、ささやかな援護をと思い、私のもてる全てを尽くしてみました」
状況を知り、拳を強く握りしめながら俯いて、ふるふると怒りに震えるステフの耳元に、そっと囁いたカレリアの言葉。
その時ステフは、羞恥と憤慨の極みに達したが――――
その場で怒りをわめき立てれば妹の口から、幼い日の色々なやり取りを彼の前に吹聴すると察し、無言で怒りに耐え続けたのだった。
「軍事兵器か……やっぱりお隣の国との関係が悪化してるせいか?」
自国の政治事情にすら疎いダーンだったが、流石に傭兵として同盟国の抱える現状くらいは知っている。
先日起こったアーク首都ジリオパレスでの、アメリア・ゴート帝国による工作員と警官隊とのいざこざで、両国間の緊張は一触即発状態である。
「もちろんそれも大いに関係がありますわ。でも、ここで研究されている兵器は、もっと大きな問題に対処するためのものですの。ダーン様……お姉様のペンダントのことは御存知なのでしょう?」
その言葉にステフが過剰に反応し、肩をびくりと震わせるのをカレリアは細めた瞳で捉えていた。
そんな少女たちの素振りに気付かないだろうダーンは、一呼吸考えるようなそぶりを見せて、カレリアに応じる。
「……憶えているよ。今はその宝玉が神器・高位精霊仲介装置となっていて、その力で世界の活力が枯渇していく状況を改善するんだろ……。俺はステフからその旅の護衛役やら精霊王との契約の立会人やらを頼まれているが……」
「そう……憶えていらっしゃいますか……。話を戻しますと、私達がこの施設で研究していた事も同じ目標です。神器の回収はお姉様が担当し、私達はお姉様が活動しやすいようバックアップと携行兵器などの開発をしております」
カレリアは言いながら、少し嬉しそうな視線をダーンに送ったが、その視線を受けたダーンは肩を竦めて視線を外していた。
「そのバックアップに、温泉旅館の買い占めだとか、露天風呂の改装なんかは入っていないでしょーが!」
ステフの嫌みに、カレリアは涼しい笑顔を絶やさずに――――
「アレは、私の趣味です」
言葉尻にハートマークがつきそうな調子で答えた。
「まったく……そ・れ・で、頼んでいたものはできたの?」
「ニュー・マクベイン7号ですか……」
「その名称はヤメテ……って言ったでしょ」
「スレーム様が、警察とか軍隊の制式拳銃にはこのネーミングが最適とおっしゃっていましたのでつい……。開発コードは古代文字の《アルパゲット》をつかって、今回は《NM7》ということですけど」
「結局ニュー・マクベインの頭文字じゃない、それ」
「はい……一応スレーム様もお姉様が納得いくような名称を考えておられるようですよ。それと、性能の方もご期待に応えられるとの事でしたが、神器様のご助力が必要とのことで……」
そんな話をしている内にエレベーターが停止し、扉が開く。
「え? もしかして、ソルブライトの能力をアテにしていたの、始めから?」
ステフのその疑問に答えたのは、カレリアではなく予想しない人物だった。
「アテにしていたというのは、些か語弊がありますね」
開いた扉の向こう側から、妙に艶のある女性の声がした。
「……なんでもうこんなトコにいるのよ、アンタは」
ダメ声で尋ねるステフの視線先、研究員の着る白衣を着た女性が、薄ら笑いを浮かべて仁王立ちしていた。
彼女こそが、アーク王国王立科学研究所の総責任者にして、国内最大の財閥組織の総帥、スレーム・リー・マクベインである。
「お久しぶりですね、ダーン・エリン。どうやら、無事に《大佐殿》と合流していただいたようで何よりです。ん? おや……どうやらお顔の色が優れませんが……」
「いえ……その節はどうも……。というか、本当に何もかも思惑通りみたいで、ちょっと背筋が冷たくなったよ……」
ダーンは少々ゲンナリとしながら応じた。
目の前の女性は、二日前の夕刻にはアテネにいたはずだ。
その後、すぐに定期飛行船で帰国したとして、この場に来るのにはギリギリの行程のはずで、予めこの地にダーン達が現れると知っていなければ、到底間に合わないはずだが……。
「まあ、《水霊の神殿》に来ることは何となく予想していましたからね。
実は先回りして、温泉にでも浸かりながらここで気長に待っていようと思っていたのですが、あなた方が予想よりも早く急接近っ……いえ、こちらにおいでいただいたので、年甲斐もなく興奮してしまいました」
途中『急接近』などと言い間違えた風で、いやに強調し流し目をステフとダーンに送るスレーム。
その視線に、ステフが気がつき頬を赤らめたが、ダーンは気がつかなかったのか、逆に怪訝な表情をしている。
「もしかして、ダーン様はおニブいのでは?」
姉に耳打ちするカレリアに、ステフは小声で「うるさい」と呟く。
その胸元のソルブライトが、微かに笑っていた。
☆
ダーン達が案内された部屋には、硬質なセラミック製の作業台があり、その上に特殊な合金製のアタッシュケースが置かれていた。
「ケースの認証キーは、ステフ、あなたの指紋ですから、センサーに右手の人差し指を当ててください」
スレームに促されて、作業台まで進み、ステフはアタッシュケースの指紋認証センサーに、言われたとおり右の人差し指を当てた。
すると、「ピピッ」と小さな電子音が鳴り響き、ケースの中でキーシリンダーの作動する音がする。
そしてケースを両手で開けると――――
「これが……」
ステフは、ケースの中、緩衝材にはめ込む形で納まっていた銃身を見つめ、感嘆に近い言葉を漏らした。
それはステフのために制作された新しい《衝撃銃》だ。
その銃身は、コレまで彼女が使用してきた物と比較すると、随分と印象が違った。
まず意外だったのが、銃身が美しい白を基調としていたことだ。
さらに、銃身の所々に僅かだが金色の模様が装飾されている。
何となく、神器・ソルブライトの力で《リンケージ》したときに着ていた、あの服装に装飾の基調が似ていた。
「一応、基本的な部分は完成していますが、あとはソルブライトとあなた自身の調整を必要としますね。今回は、あなた専用に開発した唯一の銃です。もう気がついていると思いますが、あなたの射撃にはサイキックが応用されています。それならばと、銃の方に、《転移の門》の研究成果で得た精神感応装置を照準機構に応用し、よりダイレクトにサイキックの効果が発揮できるようになってます」
したり顔で新たな《衝撃銃》の説明をするスレーム、その脳裏に、懐かしい念話が届く。
『それはまた……相変わらず、食えない人ですね、スレーム』
「おや……私のことを憶えていらしゃいましたか。お久しぶりですね、ソルブライト」
あえて、念話ではなく声に出して応じるスレームは、ステフの胸元に向かって軽くウインクをする。
『ええ、壮健で何よりでした。というか、相変わらす見た目が変わってないですね』
「いいえ……以前よりもウエストが引き締まりましたよ。コレでも、あなたの契約者に対抗心を燃やして磨きを掛けています」
『まあ……! すばらしいですね。私に肉体がなくてよかったですよ……一発お見舞いしてしまうところでした』
そこで、ソルブライトとスレームが一緒になって硬い感じでにこやかに笑い合う。
「お局どもがなーにやってるか……ったく。ソルブライト、この銃、改造するなら早くやっちゃいましょう」
心底呆れたと言った感じで、ステフが申し向けると、ソルブライトは少し意地悪な念を向けてくる。
『というと……《リンケージ》が必要ですが、よろしいんですか』
「よろしくない!」
強い語調で言って、ステフはダーンの方を睨んだ。
「え? あ、ああ。また裸になるのか」
ダーンの言葉に、ステフは即座に反応し、素早く彼の脛を蹴飛ばすと、
「はっきり言うなッ。判っているなら、サッサと出ていきなさいよ」
軽く涙目になって、恨みがましい視線を送りつつも、ダーンは別室に繋がる扉の方に向かった。
その彼の背中が、閉じられた扉の向こうに消えると、半笑いのスレームが口をひらく。
「あんまり暴力的なのもどうかと思いますよ……。逆にもっと媚びてみたらいかがです、姫」
「う……うるさいわね。朴念仁っていうけど、結構あれでいやらしいところあるんだから、甘やかさないのよッ。っていうか、どうしてあたしがアイツに媚びる必要があるっていうのよ?」
「え? 今さらそれを言いますの? お姉様……」
「クッ……と、とにかく、サッサとやることやるわよ。ソルブライト」
『恋するお姫様も大変ですねぇ……はい、いつでもどうぞ』
ステフの「べつに恋なんかしてないしッ」という反論の後、投げやり気味に告げられた発動の言葉と共に、《リンケージ》が発動した。
輝く桜吹雪にステフの身体が取り込まれ、衣服が砕け散って一瞬裸体を晒すと、すぐに白を基調とした防護服に身を包む。
姉の変身を見て、カレリアが少し頬を赤らめつつ感嘆の声を上げる。
「あら、まあ……お姉様、まさに魔法少……」
「言わなくていいからッ」
妹の発言を即座に遮るステフだったが、榛色の瞳を輝かせた妹は、ステフを色々な角度から眺めつつ興奮気味に言及し続ける。
「でもでも、私としては、お姉様はこの砲撃系の衣装よりも、まさに『エロ担当』みたいな漆黒のきわどい衣装で、雷纏った斧とかを振り回してた方が、何となく合っているような……」
「あのね……カレリア、あなたが何を言いたいのかよく判らない。お願いだから黙ってて……」
自分の着ている防護服の意匠を見て妙にテンションが上がる妹から、にわかに頭痛のする思いで額に手を当てつつ視線を外すと、ステフはアタッシュケースから新しい《衝撃銃》を取り出し手に取った。
『現時点で、私が以前の《衝撃銃》に施した穿孔性能の向上が組み込まれていますね。それに、最大連射数は7発ですか……』
手にした新しい《衝撃銃》を、早くもソルブライトが分析し、その結果を告げてくる。
「そう……みたいね。ところで、さっきから気になってたんだけど、この撃鉄は何なの?」
手した銃身の後部に設けられた撃鉄部分を指さし、ステフは後ろのスレームを振り返る。
「もちろん、実際の撃鉄ではありませんよ。それは、スイッチです。チャージした7発分のエネルギーを使って、高威力の一発を放つためのね。理力エネルギーの流体制御で、砲身の内側に螺旋状のエネルギー収束力場を精製、そこに圧縮した衝撃エネルギーを撃ち出し、超高収束エネルギー衝撃弾として放つのです。まあ、いわゆるチャージ・ショット……ぶっちゃけ、必殺技ですね」
ステフの疑問に対し、即座にスレームが応じてくれたが、ソルブライトはその内容に相づちを打つ様に、
『要するに、例の理力ビジョンアニメで出てきた、ディバイ……』
「いいからッ……その話題はもういいから……」
『つまんないですね……さて……、ほとんど改良の余地はないですが、あなたの手の握りに合わせたグリップの最適化、精神感応による照準器の最適化は実行しました。それと……《リンケージ》時に限り、理力制御の向上によって、衝撃弾収束率を二十パーセント向上、チャージ速度も同様に二十パーセント向上となります。もちろん、《リンケージ》すれば装弾数は無限です』
ソルブライトの言葉に、ステフはちょっとだけ感嘆の息を漏らした。
その彼女の姿を見て、スレームも柔らかな笑みに感嘆の息を混ぜる。
「どうやら……完成のようですね。ステフ、一応この銃の名称ですが……私としてはやはり、《ニュー・マクベイン》としたいところですが、あなたの銃です。あなたのこれから歩まねばならない生き様を表す名前を与えましょう」
「なんか仰々しいわね……で、なんていう名前?」
ステフの問いかけに、スレームはコホンと少々わざとらしく咳払いをすると、
「白き装飾銃……その名称は《アルテッツァ》です。古代アルゼティルス文明で記録されていた言語では、『高貴』という意味だそうです」
「そう……《アルテッツァ》か、結構綺麗な響き……いい名前ね。うん、気に入ったわ」
手にした《白き装飾銃》を見つめ、蒼い髪の少女は満足そうに微笑むのだった。
美しい漆黒の髪は癖がなくなめらかに腰元まで伸び、全体的に華奢でありながら、そのボディーラインは魅力的な流線を描いている。
柔らかで丁寧な言葉遣いと物静かな身のこなし、対照的に、その笑顔は悪戯っぽさを感じさせる女性だ。
そして、ステフ・ティファ・マクベインの双子の妹だという。
その彼女の案内で訪れたのは、エルモ市の最北端にある地下施設だった。
施設の名称は、アーク王国王立科学研究所エルモ支部。
人工の建材で無骨に建造されたその施設は、風光明媚な観光都市エルモ市に合わないだろうと、それを地下に隠している。
また、この施設は、古代文明の遺産、《転移の門》の研究施設を兼ねていた。
元々古代アルゼティルス文明が築いた《転移の門》の中枢施設と思しき設備であったのを流用し、研究施設を建設したのだ。
ただし、何もこの施設が《転移の門》の研究だけを行っているわけではない。
エルモ市は、豊富な天然温泉の湧く地であり、またその近隣に神秘的な《水霊の神殿》のあるセイレン湖が美しい湖面をたたえている。
温泉が湧く地は、古来より地脈の通った場所であり、惑星の生命力である『活力』が豊富であると言われているが……。
実際、この地は惑星の『活力』が循環し対流する場所であり、そのため理力科学技術を研究するのに最適の地でもあった。
ただし――――
「今現在、こちらで開発しているのは、残念なことに軍事兵器ですの……」
地下に向かうエレベータの中で、案内役のカレリアが重い息を吐きつつ言う。
その彼女の隣で、先程まで『お怒りモード』だったステフも、視線を下げて表情を隠した。
ちなみに、ステフが先程まで憤慨していたのは、カレリアの手の込んだ『悪戯』を知ったからだ。
それは、本来は宿泊客のなかった旅館を一晩まるまる買い占めて、架空の客でほぼ満室にし、さらに王立科学研究所が誇る精鋭部隊《企画七課》を使って、露天風呂を改装し、昨夜の混浴イベントを画策したというものだ。
たまたま、研究所のエルモ支部にとある武器の開発で来ていたカレリアが、《転移の門》の稼働とその異常動作を知ることとなり、姉であるステフともう一人、蒼髪の男性がエルモに来ることを察知して今回の『悪戯』を仕掛けたという。
「絶対にお姉様の言っていた蒼髪の剣士様と思ったので、愚妹としては、ささやかな援護をと思い、私のもてる全てを尽くしてみました」
状況を知り、拳を強く握りしめながら俯いて、ふるふると怒りに震えるステフの耳元に、そっと囁いたカレリアの言葉。
その時ステフは、羞恥と憤慨の極みに達したが――――
その場で怒りをわめき立てれば妹の口から、幼い日の色々なやり取りを彼の前に吹聴すると察し、無言で怒りに耐え続けたのだった。
「軍事兵器か……やっぱりお隣の国との関係が悪化してるせいか?」
自国の政治事情にすら疎いダーンだったが、流石に傭兵として同盟国の抱える現状くらいは知っている。
先日起こったアーク首都ジリオパレスでの、アメリア・ゴート帝国による工作員と警官隊とのいざこざで、両国間の緊張は一触即発状態である。
「もちろんそれも大いに関係がありますわ。でも、ここで研究されている兵器は、もっと大きな問題に対処するためのものですの。ダーン様……お姉様のペンダントのことは御存知なのでしょう?」
その言葉にステフが過剰に反応し、肩をびくりと震わせるのをカレリアは細めた瞳で捉えていた。
そんな少女たちの素振りに気付かないだろうダーンは、一呼吸考えるようなそぶりを見せて、カレリアに応じる。
「……憶えているよ。今はその宝玉が神器・高位精霊仲介装置となっていて、その力で世界の活力が枯渇していく状況を改善するんだろ……。俺はステフからその旅の護衛役やら精霊王との契約の立会人やらを頼まれているが……」
「そう……憶えていらっしゃいますか……。話を戻しますと、私達がこの施設で研究していた事も同じ目標です。神器の回収はお姉様が担当し、私達はお姉様が活動しやすいようバックアップと携行兵器などの開発をしております」
カレリアは言いながら、少し嬉しそうな視線をダーンに送ったが、その視線を受けたダーンは肩を竦めて視線を外していた。
「そのバックアップに、温泉旅館の買い占めだとか、露天風呂の改装なんかは入っていないでしょーが!」
ステフの嫌みに、カレリアは涼しい笑顔を絶やさずに――――
「アレは、私の趣味です」
言葉尻にハートマークがつきそうな調子で答えた。
「まったく……そ・れ・で、頼んでいたものはできたの?」
「ニュー・マクベイン7号ですか……」
「その名称はヤメテ……って言ったでしょ」
「スレーム様が、警察とか軍隊の制式拳銃にはこのネーミングが最適とおっしゃっていましたのでつい……。開発コードは古代文字の《アルパゲット》をつかって、今回は《NM7》ということですけど」
「結局ニュー・マクベインの頭文字じゃない、それ」
「はい……一応スレーム様もお姉様が納得いくような名称を考えておられるようですよ。それと、性能の方もご期待に応えられるとの事でしたが、神器様のご助力が必要とのことで……」
そんな話をしている内にエレベーターが停止し、扉が開く。
「え? もしかして、ソルブライトの能力をアテにしていたの、始めから?」
ステフのその疑問に答えたのは、カレリアではなく予想しない人物だった。
「アテにしていたというのは、些か語弊がありますね」
開いた扉の向こう側から、妙に艶のある女性の声がした。
「……なんでもうこんなトコにいるのよ、アンタは」
ダメ声で尋ねるステフの視線先、研究員の着る白衣を着た女性が、薄ら笑いを浮かべて仁王立ちしていた。
彼女こそが、アーク王国王立科学研究所の総責任者にして、国内最大の財閥組織の総帥、スレーム・リー・マクベインである。
「お久しぶりですね、ダーン・エリン。どうやら、無事に《大佐殿》と合流していただいたようで何よりです。ん? おや……どうやらお顔の色が優れませんが……」
「いえ……その節はどうも……。というか、本当に何もかも思惑通りみたいで、ちょっと背筋が冷たくなったよ……」
ダーンは少々ゲンナリとしながら応じた。
目の前の女性は、二日前の夕刻にはアテネにいたはずだ。
その後、すぐに定期飛行船で帰国したとして、この場に来るのにはギリギリの行程のはずで、予めこの地にダーン達が現れると知っていなければ、到底間に合わないはずだが……。
「まあ、《水霊の神殿》に来ることは何となく予想していましたからね。
実は先回りして、温泉にでも浸かりながらここで気長に待っていようと思っていたのですが、あなた方が予想よりも早く急接近っ……いえ、こちらにおいでいただいたので、年甲斐もなく興奮してしまいました」
途中『急接近』などと言い間違えた風で、いやに強調し流し目をステフとダーンに送るスレーム。
その視線に、ステフが気がつき頬を赤らめたが、ダーンは気がつかなかったのか、逆に怪訝な表情をしている。
「もしかして、ダーン様はおニブいのでは?」
姉に耳打ちするカレリアに、ステフは小声で「うるさい」と呟く。
その胸元のソルブライトが、微かに笑っていた。
☆
ダーン達が案内された部屋には、硬質なセラミック製の作業台があり、その上に特殊な合金製のアタッシュケースが置かれていた。
「ケースの認証キーは、ステフ、あなたの指紋ですから、センサーに右手の人差し指を当ててください」
スレームに促されて、作業台まで進み、ステフはアタッシュケースの指紋認証センサーに、言われたとおり右の人差し指を当てた。
すると、「ピピッ」と小さな電子音が鳴り響き、ケースの中でキーシリンダーの作動する音がする。
そしてケースを両手で開けると――――
「これが……」
ステフは、ケースの中、緩衝材にはめ込む形で納まっていた銃身を見つめ、感嘆に近い言葉を漏らした。
それはステフのために制作された新しい《衝撃銃》だ。
その銃身は、コレまで彼女が使用してきた物と比較すると、随分と印象が違った。
まず意外だったのが、銃身が美しい白を基調としていたことだ。
さらに、銃身の所々に僅かだが金色の模様が装飾されている。
何となく、神器・ソルブライトの力で《リンケージ》したときに着ていた、あの服装に装飾の基調が似ていた。
「一応、基本的な部分は完成していますが、あとはソルブライトとあなた自身の調整を必要としますね。今回は、あなた専用に開発した唯一の銃です。もう気がついていると思いますが、あなたの射撃にはサイキックが応用されています。それならばと、銃の方に、《転移の門》の研究成果で得た精神感応装置を照準機構に応用し、よりダイレクトにサイキックの効果が発揮できるようになってます」
したり顔で新たな《衝撃銃》の説明をするスレーム、その脳裏に、懐かしい念話が届く。
『それはまた……相変わらず、食えない人ですね、スレーム』
「おや……私のことを憶えていらしゃいましたか。お久しぶりですね、ソルブライト」
あえて、念話ではなく声に出して応じるスレームは、ステフの胸元に向かって軽くウインクをする。
『ええ、壮健で何よりでした。というか、相変わらす見た目が変わってないですね』
「いいえ……以前よりもウエストが引き締まりましたよ。コレでも、あなたの契約者に対抗心を燃やして磨きを掛けています」
『まあ……! すばらしいですね。私に肉体がなくてよかったですよ……一発お見舞いしてしまうところでした』
そこで、ソルブライトとスレームが一緒になって硬い感じでにこやかに笑い合う。
「お局どもがなーにやってるか……ったく。ソルブライト、この銃、改造するなら早くやっちゃいましょう」
心底呆れたと言った感じで、ステフが申し向けると、ソルブライトは少し意地悪な念を向けてくる。
『というと……《リンケージ》が必要ですが、よろしいんですか』
「よろしくない!」
強い語調で言って、ステフはダーンの方を睨んだ。
「え? あ、ああ。また裸になるのか」
ダーンの言葉に、ステフは即座に反応し、素早く彼の脛を蹴飛ばすと、
「はっきり言うなッ。判っているなら、サッサと出ていきなさいよ」
軽く涙目になって、恨みがましい視線を送りつつも、ダーンは別室に繋がる扉の方に向かった。
その彼の背中が、閉じられた扉の向こうに消えると、半笑いのスレームが口をひらく。
「あんまり暴力的なのもどうかと思いますよ……。逆にもっと媚びてみたらいかがです、姫」
「う……うるさいわね。朴念仁っていうけど、結構あれでいやらしいところあるんだから、甘やかさないのよッ。っていうか、どうしてあたしがアイツに媚びる必要があるっていうのよ?」
「え? 今さらそれを言いますの? お姉様……」
「クッ……と、とにかく、サッサとやることやるわよ。ソルブライト」
『恋するお姫様も大変ですねぇ……はい、いつでもどうぞ』
ステフの「べつに恋なんかしてないしッ」という反論の後、投げやり気味に告げられた発動の言葉と共に、《リンケージ》が発動した。
輝く桜吹雪にステフの身体が取り込まれ、衣服が砕け散って一瞬裸体を晒すと、すぐに白を基調とした防護服に身を包む。
姉の変身を見て、カレリアが少し頬を赤らめつつ感嘆の声を上げる。
「あら、まあ……お姉様、まさに魔法少……」
「言わなくていいからッ」
妹の発言を即座に遮るステフだったが、榛色の瞳を輝かせた妹は、ステフを色々な角度から眺めつつ興奮気味に言及し続ける。
「でもでも、私としては、お姉様はこの砲撃系の衣装よりも、まさに『エロ担当』みたいな漆黒のきわどい衣装で、雷纏った斧とかを振り回してた方が、何となく合っているような……」
「あのね……カレリア、あなたが何を言いたいのかよく判らない。お願いだから黙ってて……」
自分の着ている防護服の意匠を見て妙にテンションが上がる妹から、にわかに頭痛のする思いで額に手を当てつつ視線を外すと、ステフはアタッシュケースから新しい《衝撃銃》を取り出し手に取った。
『現時点で、私が以前の《衝撃銃》に施した穿孔性能の向上が組み込まれていますね。それに、最大連射数は7発ですか……』
手にした新しい《衝撃銃》を、早くもソルブライトが分析し、その結果を告げてくる。
「そう……みたいね。ところで、さっきから気になってたんだけど、この撃鉄は何なの?」
手した銃身の後部に設けられた撃鉄部分を指さし、ステフは後ろのスレームを振り返る。
「もちろん、実際の撃鉄ではありませんよ。それは、スイッチです。チャージした7発分のエネルギーを使って、高威力の一発を放つためのね。理力エネルギーの流体制御で、砲身の内側に螺旋状のエネルギー収束力場を精製、そこに圧縮した衝撃エネルギーを撃ち出し、超高収束エネルギー衝撃弾として放つのです。まあ、いわゆるチャージ・ショット……ぶっちゃけ、必殺技ですね」
ステフの疑問に対し、即座にスレームが応じてくれたが、ソルブライトはその内容に相づちを打つ様に、
『要するに、例の理力ビジョンアニメで出てきた、ディバイ……』
「いいからッ……その話題はもういいから……」
『つまんないですね……さて……、ほとんど改良の余地はないですが、あなたの手の握りに合わせたグリップの最適化、精神感応による照準器の最適化は実行しました。それと……《リンケージ》時に限り、理力制御の向上によって、衝撃弾収束率を二十パーセント向上、チャージ速度も同様に二十パーセント向上となります。もちろん、《リンケージ》すれば装弾数は無限です』
ソルブライトの言葉に、ステフはちょっとだけ感嘆の息を漏らした。
その彼女の姿を見て、スレームも柔らかな笑みに感嘆の息を混ぜる。
「どうやら……完成のようですね。ステフ、一応この銃の名称ですが……私としてはやはり、《ニュー・マクベイン》としたいところですが、あなたの銃です。あなたのこれから歩まねばならない生き様を表す名前を与えましょう」
「なんか仰々しいわね……で、なんていう名前?」
ステフの問いかけに、スレームはコホンと少々わざとらしく咳払いをすると、
「白き装飾銃……その名称は《アルテッツァ》です。古代アルゼティルス文明で記録されていた言語では、『高貴』という意味だそうです」
「そう……《アルテッツァ》か、結構綺麗な響き……いい名前ね。うん、気に入ったわ」
手にした《白き装飾銃》を見つめ、蒼い髪の少女は満足そうに微笑むのだった。
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どうやら悪役令嬢のようですが、興味が無いので錬金術師を目指します(旧:公爵令嬢ですが錬金術師を兼業します)
水神瑠架
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――悪役令嬢だったようですが私は今、自由に楽しく生きています! ――
乙女ゲームに酷似した世界に転生? けど私、このゲームの本筋よりも寄り道のミニゲームにはまっていたんですけど? 基本的に攻略者達の顔もうろ覚えなんですけど?! けど転生してしまったら仕方無いですよね。攻略者を助けるなんて面倒い事するような性格でも無いし好きに生きてもいいですよね? 運が良いのか悪いのか好きな事出来そうな環境に産まれたようですしヒロイン役でも無いようですので。という事で私、顔もうろ覚えのキャラの救済よりも好きな事をして生きて行きます! ……極めろ【錬金術師】! 目指せ【錬金術マスター】!
★★
乙女ゲームの本筋の恋愛じゃない所にはまっていた女性の前世が蘇った公爵令嬢が自分がゲームの中での悪役令嬢だという事も知らず大好きな【錬金術】を極めるため邁進します。流石に途中で気づきますし、相手役も出てきますが、しばらく出てこないと思います。好きに生きた結果攻略者達の悲惨なフラグを折ったりするかも? 基本的に主人公は「攻略者の救済<自分が自由に生きる事」ですので薄情に見える事もあるかもしれません。そんな主人公が生きる世界をとくと御覧あれ!
★★
この話の中での【錬金術】は学問というよりも何かを「創作」する事の出来る手段の意味合いが大きいです。ですので本来の錬金術の学術的な論理は出てきません。この世界での独自の力が【錬金術】となります。
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なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?
名無し
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「ラウル、追放だ。今すぐ出ていけ!」
「えっ? ちょっと待ってくれ。理由を教えてくれないか?」
「それは貴様が無能だからだ!」
「そ、そんな。俺が無能だなんて。こんなに頑張ってるのに」
「黙れ、とっととここから消えるがいい!」
それは突然の出来事だった。
SSパーティーから総スカンに遭い、追放されてしまった治癒使いのラウル。
そんな彼だったが、とあるパーティーに拾われ、そこで認められることになる。
「治癒魔法でモンスターの群れを殲滅だと!?」
「え、嘘!? こんなものまで回復できるの!?」
「この男を追放したパーティー、いくらなんでも見る目がなさすぎだろう!」
ラウルの神がかった治癒力に驚愕するパーティーの面々。
その凄さに気が付かないのは本人のみなのであった。
「えっ? 俺の治癒魔法が凄いって? おいおい、冗談だろ。こんなの普段から当たり前にやってることなのに……」
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神に同情された転生者物語
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ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。
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グライフトゥルム戦記~微笑みの軍師マティアスの救国戦略~
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エンデラント大陸最古の王国、グライフトゥルム王国の英雄の一人である、マティアス・フォン・ラウシェンバッハは転生者である。
彼は類い稀なる知力と予知能力を持つと言われるほどの先見性から、“知将マティアス”や“千里眼のマティアス”と呼ばれることになる。
彼は大陸最強の軍事国家ゾルダート帝国や狂信的な宗教国家レヒト法国の侵略に対し、優柔不断な国王や獅子身中の虫である大貴族の有形無形の妨害にあいながらも、旧態依然とした王国軍の近代化を図りつつ、敵国に対して謀略を仕掛け、危機的な状況を回避する。
しかし、宿敵である帝国には軍事と政治の天才が生まれ、更に謎の暗殺者集団“夜(ナハト)”や目的のためなら手段を選ばぬ魔導師集団“真理の探究者”など一筋縄ではいかぬ敵たちが次々と現れる。
そんな敵たちとの死闘に際しても、絶対の自信の表れとも言える余裕の笑みを浮かべながら策を献じたことから、“微笑みの軍師”とも呼ばれていた。
しかし、マティアスは日本での記憶を持った一般人に過ぎなかった。彼は情報分析とプレゼンテーション能力こそ、この世界の人間より優れていたものの、軍事に関する知識は小説や映画などから得たレベルのものしか持っていなかった。
更に彼は生まれつき身体が弱く、武術も魔導の才もないというハンディキャップを抱えていた。また、日本で得た知識を使った技術革新も、世界を崩壊させる危険な技術として封じられてしまう。
彼の代名詞である“微笑み”も単に苦し紛れの策に対する苦笑に過ぎなかった。
マティアスは愛する家族や仲間を守るため、大賢者とその配下の凄腕間者集団の力を借りつつ、優秀な友人たちと力を合わせて強大な敵と戦うことを決意する。
彼は情報の重要性を誰よりも重視し、巧みに情報を利用した謀略で敵を混乱させ、更に戦場では敵の意表を突く戦術を駆使して勝利に貢献していく……。
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あらすじにある通り、主人公にあるのは日本で得た中途半端な知識のみで、チートに類する卓越した能力はありません。基本的には政略・謀略・軍略といったシリアスな話が主となる予定で、恋愛要素は少なめ、ハーレム要素はもちろんありません。前半は裏方に徹して情報収集や情報操作を行うため、主人公が出てくる戦闘シーンはほとんどありません。
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小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+でも掲載しております。
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俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
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。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
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