超常の神剣 タキオン・ソード! ~闘神王列伝Ⅰ~

駿河防人

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第四章  ざわめく水面~朴念仁と二人の少女~

第六話  湯けむりの中

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 エルモ市は、アーク王国の西部地方に位置する都市だ。

 人口は十万人程度。

 アークの都市の中では小規模な方で、その面積も割と小さめだったが、それでもアテネ出身のダーンには大きな都市に思えた。

 既に時刻は夜の九時半を回っているというのに、街の街路灯がこうこうと灯っており、舗装された道路には理力自動車が何台か行き来していた。

 理力自動車――――

 おもにアーク王国の企業が開発した車で、馬の代わりに動力は理力エンジンを使っている。
 
 アテネには全く普及していないが、アーク王国やブリティア王国などの理力先進国では普及し始めていて、特にアーク王国は、自動車王国と言っても差し支えない。

 また、アーク王国には理力自動車の教習所や免許制度の導入などが成されてもいた。

 そんな理力自動車の一台が、街の入り口あたりに停車しているのをステフは見つけ、そこに駆け寄っていく。
 
 よく見ると、車内には執事のように整った服装をした男が乗っていて、ステフは窓越しにその男と話をしているようだ。

 そして、ステフはダーンの方を振り返り、大きく手を上げて手招きする。

 ダーンが近付くと、理力自動車の後部ドアが開いて、ステフがそこに回り込みダーンに中へ乗るよううながした。

「なんだ? これ」

 ダーンは車内に乗り込むや、後で隣に乗り込んできたステフに問いかける。

「旅客運行業の車なの。……アークでは『タクシー』って言われているんだけど、実は、その言葉の意味や語源がわからずに使われている名称なのよ」

 おもむろに説明を始めるステフ。
 と同時に、理力自動車は滑り出すように動き出し始める。

「お客さん、一応語源というか、かの古代王国アルゼティルスで同じ様な仕事があって、それがタクシーって言っていたのが有力な説ですよ」

 理力自動車を運転する男が補足する。

「へえ……詳しいのね……って、本業の人なんだから当たり前かな」

「いえ、恐縮です」

 運転手は見た目五十歳程度だと感じたが、見た目も実際も十七歳の少女に対して随分とていねいに応じた。

「それで、どこに向かっているんだ?」

 運転手の男になんとなく引っかかるものを感じたステフだったが、隣のダーンが行き先を尋ねてきたために、特にそれ以上考えることなく、ダーンに答える。

「温泉旅館、『白水はくすい』よ。この街はね、アテネ有数の温泉街なの……。あたしも結構お忍びで来たことあるんだけど、この白水さんが、また絶景の露天があって……」

 はしゃぐように説明をしだすステフ……彼女の『失言』にあえて突っ込まないようにして、ダーンは苦笑いを噛みしめた。

『温泉イベントですか……』

 なんか半目で睨みながら言われているような気がするソルブライトの念話に、ステフは胸元を睨む。

「言っておくけど、温泉だからって何でもかんでもお色気イベントと思わないコトね。ここはアーク王国よ。……先進の法治国家なんだから、間違っても混浴だとかそこのラッキースケベが喜ぶようなことは起こりえないの」

「ひどい言われようだな……」

 悪態を返すものの、実際には胸に覚えのある事ばかりなので言い返せないダーン。

『法治国家ですか……あなたの母親と父親を知っている私には、そう言われてもいまいちピンとこないのですが……』

「ん? それ、どういう意味よ?」

『いえ、一応レイナーのプライベートなことですから、忘れて下さい。それに、あなたには刺激が強すぎます』

 しれっと言い返すソルブライトに、少女は釈然としないものを感じたが、そうこうしているうちに、車が止まり、目的地にたどり着いたため、結局それ以上の追求はできなかった。




     ☆




 温泉旅館『白水』のフロントで、宿泊の手続きをするステフは、旅館の女将おかみからの説明を聞き、絶句していた。

 その旅館は、全部で六十の部屋がある。
 建物自体は、鉄骨と不燃素材をかためたボードなどを組み合わせて建築された五階建てのものだ。

 ステフが宿泊の手続きを申し込んだその時、その少し前に丁度団体客がチェックインしていて、五十九の部屋が埋まっているらしい。
 そして唯一空いていたのが、最上階にあるスウィートだったのだ。

 価格は通常の部屋の五倍程度だったが、ステフならそのくらいの会計は、このアークにおいてなら可能だった。

 アーク国内では、先進国家間で共通の通貨のほか、理力データで管理された通貨が存在する。

 『理力マネーカード』と呼称されるもので、実際の通貨を支払ってその通貨価格分の『値』がカードにデータとして保存され、それを端末で処理することで、通貨の実物を持たずに会計ができるというものだ。

 ステフもこのカードを持っていて、そのカードにはダーンの給料にして二年分ほどは残高があった。

 だから、彼女が絶句したのは、価格のことではない。

 そのスウィートルームは、二人用のダブルベッドだったのだ。

『べつにいいではないですか……昨日の夜だって、同じ部屋で寝泊まりしたのですし、また彼をソファーにでも追いやっておけば、昨日と変わりませんよ』

 秘話状態で、ステフだけに聞こえるように言うソルブライトは、明らかに楽しそうだった。

『でも、ダブルのスウィートって、こんな観光地でそういう部屋って、新婚さんとかがハネムーンで使ってるって……前来たときカレリアが……』

『それは、ご想像の通りでしょうね。それで妙に意識してしまっているのですか……難しい年頃ですね』

 お互い秘話状態で、話を続けるステフとソルブライト。

 その二人に、げんな表情のダーンだったが、何となく、旅館の現状は察しているようで、若干赤くなりながら黙っている。

 時刻は九時半を回りつつあり、この後他の宿を探しても見つからないだろう。

 そもそも、こんな遅くに予約もなしに泊まれる旅館などここをおいて他にありはしない。


 結局、ステフ達はそのスウィートに泊まることとなった。




     ☆




 チェックインを終えたステフ達は、向かった部屋の豪華さに驚き、明らかに新婚ホヤホヤのカップルのために考えられた旅館側のに赤面したりと、色々大変だった。
 
 その後、えずせっかくの温泉なのだからということで、各々別れて露天風呂に向かっているのだが。

 脱衣所で服を脱ぎながら、ステフはふと違和感を覚えた。

 脱衣所が無人だったのだ。

 確か、駆け込みの団体客で一気に満室に近い状況になったということだったが、もしかして、全員男性だったのだろうか。

 以前来たときは、客の少ない平日を狙って予約し入ったため、結構空いていたが、それでも数人の女性客がいたのだ。

 もっとも、今回は平日の上に既に午後十時を回りつつある。

 お客がいないのも考えられることではあった。

「一応、ソルブライトも入る?」

 裸体になって、唯一身につけていたペンダントの宝玉に語りかける。

『さて……この状態で温泉に入って何が楽しいのでしょう。……まあ、冗談はともかく、万が一のこともありますから私を携行していってください』

「そうね……。でも、ここの警備装置って優秀だから、多分大丈夫よ。露天の奥にけいこくと小さな滝があるんだけど、その周辺は立ち入り禁止でね、不法侵入者にはレーザーで攻撃したり、高圧電流でバリバリって……」

『……のぞきだけで即決の死刑ですか? なかなか過激な法治国家ですね』

「殺さないわよ! ……動けなくはなるだろうけど」

 苦笑いしつつ、ステフは露天の方に向かい始める。


 脱衣所から引き戸を抜けて出ると、屋根だけがあるシャワーが設置された洗い場があり、その先は湯気が厚く立ちこめる湯殿だ。

 奥の方からは、渓谷を挟んで向こう側にある滝の音や、その下の渓流のせせらぎなどが湿気の多い空気を振るわせている。

 それほど冷え込んでもいないはずなのに、随分と湯気が立ちこめているような印象だが――――

 ステフが歩いて行く左手側は、竹細工でできた背の高い仕切りがある。

『まさか、男湯との仕切り版には軍用の装甲版が仕込んであるとか……』

「え……知っているの?」

『…………冗談で聞いたつもりでしたが。あら……どうやら、あちら側にはダーンがいるようですね』

「え……あ……そりゃあ、一緒のタイミングで男湯に入っていったんだから、いるでしょ」

 洗い場と湯殿の合間にある、かけ湯用の樽に木桶を入れて、その湯をすくって浴びるステフ。
 その彼女の耳に、同じく仕切り版の向こう側で、かけ湯を浴びるような音が飛び込んで来た。


 ダーンが同じように裸であちら側にいる――――


 ソルブライトの一言で妙に意識してしまったステフだったが、軽く深呼吸して湯殿に歩き始める。

「だいたい……向こうはダーンだけじゃないでしょ。もっとお客さんいるだろうし」

「いや……一人だが」

 左からダーンの声がして、ステフは肩をすくめた。

『聞き耳でも立ててましたか?』

 ソルブライトの突っ込みに、ダーンがのどを詰まらせるような気配があった。

「スケベ……」

 ステフの責めるような一言が呟かれる。

「いやいや……こうやって話ができるんだぜ。普通に筒抜けなんだよ。それに、ソルブライトの念話は音の遮断は関係ないしさ……」

「どうして秘話にしてないのよ」

『……秘話モードがある事すらあちらは知らなかったのに』

「う……うるさいわね」

 ステフが言葉に詰まる中、ダーンからは「やっぱ内緒話してたのか」との突っ込みが入る。

「いいじゃない、少しくらい内緒話したってさ、ねえ、ソルブライト」

『そうですね……ところで、ダーンとも同じように秘話モードがあるとしたら、どうですか』

「ダーンの脳に端子突っ込んで、情報公開を求めるわ……ええ、強制的に」

 そんなことを言いながら、ステフは湯の中を奥の方に進んでいく。

 湯殿の奥、渓流の見えるあたりがとても見晴らしがよく、お気に入りの場所なのだ。

 そして仕切りの向こうでも、ざばざばと湯を蹴る音がするので、どうやらダーンもすぐ隣あたりを進んでいるらしい。


――仕切りがあるとはいえ……やっぱこう近いと恥ずかしいかも……。


「いや、それにしても、広い露天だな。俺こんなところ初めてだ」

「……喜んでもらえてどうも。奥の方に渓谷があるわ。そっちからも見えると思うけど……女湯は見えないからね、あしからず」

「見ないってばッ」

「どーだか……そんな風に言っていたって、結局ダーンってば、あたしの裸チラ見したりとかするし…………たまたま視界に入ったーとか言ったりしてさ。無意識にそういうスケベなイベントを起こす、妙な宿命にでもとらわれているんじゃないの?」


『そのとおりですね……まさに……』


 ソルブライトの随分と弾む意地悪な声。


 その念話と同時に、ステフは妙に空間が開けたような感覚になり、本来あるはずの仕切りの方から空気の流れをしの肌に感じた。

 その空気の流れてくる方向に視線を送れば――――


 立ちこめる湯けむりが風にかき消され、琥珀の視線と蒼穹の視線が直に交錯する。


 そして乳白色の湯を股下あたりまでの深さに浸かった二人は――――

 お互い生まれたままの姿で息を呑み、同時に硬直してしまうのだった。

 
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