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第一章 王国軍大佐~超火力で華麗に変態吸血鬼を撃つ~
第五話 彼女の対艦狙撃砲
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自分に模したマネキンの起爆スイッチを押した《大佐殿》は、半目でモニターを見つめながら、嫌気の籠もった吐息をこぼした。
「やっぱり、吸血鬼だったか……。うう……気色悪っ」
マネキンとはいえ、自分の姿をしたあのうなじに、あの吸血鬼が唾液の滴る牙を突き立てている姿を思い出し、彼女は嫌悪のあまり身震いをすると、両腕で自らの華奢な肩を抱いた。
その身には、白い絹地で胸元に桜の花びらが舞う刺繍を施した開襟シャツ、ライトブラウンのコットンで丈が膝上までのプリーツスカートを着ている。
先ほど《アレ》を爆破前、モニターに敵の姿を捉えた。
その姿は、けったいな漆黒の外套姿の青年男性だった。
身体の線も男にしては細く、一瞬見えた顔は妙に白くて、男のくせに深紅の口紅をしていた。
目元には紫のアイシャドーまで入っていたが――あの男、頭の方が病んでいるのだろうか?
男は人の姿をしていたが、《大佐殿》は彼を魔竜と判断していた。
先の戦争中、魔竜達と戦った父親からの話だが――――
魔竜達の中には、《魔》との契約により高い魔力を有し、竜の巨体を失う代わりに人の姿を得て、人類の中に紛れて行動していた者達がいた。
父達は《魔竜人》と呼んでいたらしい。
この人化した魔竜達の多くは、魔竜軍の幹部や貴族だったようで、彼らが各国の諜報活動などをして情報収集や攪乱を仕掛け、結果、開戦時の各国同時襲撃を可能にしたという。
《大佐殿》は、モニターに不気味な男が映ったとき、その気味悪さに眉をひそめたが、それでも人の姿をした敵に対し爆弾の使用を躊躇した。
なにせ、あのマネキンの理力爆弾には、脱出ボートに積まれた理力爆弾の二倍に相当する、高濃度液化理力ガスが詰まっていたのだ。
明らかに自然のものとは違うコウモリ達を殲滅するならまだしも、敵がその実体はともあれ人の姿ともなれば、超高性能爆弾で一気にドカンッというのはちょっとえげつない。
もちろん、相手は危険な敵であることは百も承知。
しかし――冷徹になりきれないのは、自分が未熟な小娘だからだろうか?
そんな風に一瞬思い悩んでいるところで、敵の男が彼女の姿をしたマネキンを襲った。
うなじあたりに背後から噛みつき、その上で、こともあろうか両腕を胸のあたりに回して抱きしめた情景がモニター越しに彼女の視界へ入る。
その情景に激しい嫌悪を覚える瞬間、彼女は起爆ボタンを押下。
かくて現在に至るのだが……。
――さすがに今ので終わったかな?
モニターに映る外の映像を眺めて、《大佐殿》は状況を再度確認しようとする。
外の様子は、高威力爆弾の発した熱で、湖面の水が若干蒸発し、夜の冷たい空気に冷やされたその水蒸気が、湖面に対流して白い雲のようにモヤを作っている。
その白いモヤのせいで状況は掴みづらい。
――外に出て直接見た方がいいかな。
《大佐殿》は、操縦席の操作パネルをいじり、自分の乗った小型潜水艇に対し、急速浮上の操作を実行した。
☆
《大佐殿》がこの戦闘の際実行した作戦は次の通りである。
まず、飛行船各部から煙幕を発生させ、船周辺を隠す。
煙幕に紛れて、遠隔起爆が可能な理力爆弾を積んだ脱出ボート十四艘と、自分に似せたマネキン型爆弾を乗せた要人脱出用ボートを湖上に配置。
飛行船の後部甲板に、理力爆弾を搭載した小型飛空挺を発進準備させる。
脱出ボートを一艘出し、敵の一部を引きつけて爆破。
その後飛空挺も同様の扱いをしたが――――
飛空挺を爆破した瞬間に、飛行船の下部ハッチから、自分が操縦する小型の潜水艇を、一艘目のボートが向かっていた湖南岸へ、湖底付近の深度を保って無音航行させたのだ。
その後も、ボートの爆弾やらマネキンやらで敵の目を引きつけ、潜望鏡や脱出ボートに載せたカメラからの映像で戦況を確認しつつ、自身はすでに南岸のすぐそばまで接近していた。
最大の懸案事項だったのは、コウモリ達の放つ特殊な超音波が、理力爆弾の起爆命令などに干渉しないかだったが。
その懸案も、一艘目の爆破の時に影響が無いことが判り、こちらの思惑通りにコトは進んだのである。
《大佐殿》が乗り込み操縦していた潜水艇は、先ほど爆破した要人用のボートと同じく、漆黒に塗装されたものだ。
現在、その船体は、周囲に黒色のエアフロートを膨らませて、未だ荒く波立っている湖面に浮かび上がっていた。
潜水艇は湖上に出た後、推力を上げて南下し、そのまま、南岸の砂浜に船体を乗り上がらせて停止する。
「んっ……しょっと……」
接岸した直後、《大佐殿》は船体上部のハッチを開放し、ハッチ前方……人が一人立てる程の小さな甲板に躍り出て、片膝を着く姿勢を取った。
携帯していた対艦狙撃砲を、右手で引き金がある《衝撃銃》本体のグリップ、左手は砲身から横に飛び出た補助グリップを握って構えて、そのスコープを赤外線暗視と温度感知モードにセットし、マネキン爆弾が爆破した辺りに向けて覗き込む。
すると、覗き込んだスコープの映像に、白いモヤの中空中へ浮かび上がった影が、人の体温と同じ温度帯を示す色で表示されていた。
その影の周囲には、コウモリのものと思われる小さな影が三十匹ほど舞っている。
「……しぶといわね」
舌打ちしそうな気分で呟く彼女は、構えた銃身の補助グリップを握る左手、その人差し指で触れたスライド式のスイッチを操作し、銃身を起動した。
瞬間、銃身の砲口部分が六つに割れて放射状に展開し、小さな放電を始める。
《大佐殿》が覗くスコープの中で、コウモリ達が人影らしきものに集まり、その人影へと吸収されていった。
コウモリ達を吸収した人影は、一度その四肢を大きく開くと、一気に白いモヤの上へと上昇する。
「うん。その位置……とっても危ないわよ」
静かに呟いた《大佐殿》は、的が上昇したために、射撃線上から飛行船の白亜の船体が少しだけ離れたことに安堵しつつ、引き金を引いた。
☆
次の瞬間――
これまでの理力爆弾の爆発とは異なる轟音が、月夜の大気を揺らした。
銃口から放たれた破壊の波が、螺旋に収束して空を裂き、大気中の分子を崩壊させてプラズマ化し蒼白い閃光を孕んで湖面を照りつける。
降り注ぐ月光に包まれ、満ち始める魔力に酔っていた半裸の吸血鬼は、白いモヤが立ちこめる湖の南岸から、音速の数十倍という速度で撃ち出された収束エネルギー衝撃波、その極太の蒼い光に打ち抜かれていた。
「やっぱり、吸血鬼だったか……。うう……気色悪っ」
マネキンとはいえ、自分の姿をしたあのうなじに、あの吸血鬼が唾液の滴る牙を突き立てている姿を思い出し、彼女は嫌悪のあまり身震いをすると、両腕で自らの華奢な肩を抱いた。
その身には、白い絹地で胸元に桜の花びらが舞う刺繍を施した開襟シャツ、ライトブラウンのコットンで丈が膝上までのプリーツスカートを着ている。
先ほど《アレ》を爆破前、モニターに敵の姿を捉えた。
その姿は、けったいな漆黒の外套姿の青年男性だった。
身体の線も男にしては細く、一瞬見えた顔は妙に白くて、男のくせに深紅の口紅をしていた。
目元には紫のアイシャドーまで入っていたが――あの男、頭の方が病んでいるのだろうか?
男は人の姿をしていたが、《大佐殿》は彼を魔竜と判断していた。
先の戦争中、魔竜達と戦った父親からの話だが――――
魔竜達の中には、《魔》との契約により高い魔力を有し、竜の巨体を失う代わりに人の姿を得て、人類の中に紛れて行動していた者達がいた。
父達は《魔竜人》と呼んでいたらしい。
この人化した魔竜達の多くは、魔竜軍の幹部や貴族だったようで、彼らが各国の諜報活動などをして情報収集や攪乱を仕掛け、結果、開戦時の各国同時襲撃を可能にしたという。
《大佐殿》は、モニターに不気味な男が映ったとき、その気味悪さに眉をひそめたが、それでも人の姿をした敵に対し爆弾の使用を躊躇した。
なにせ、あのマネキンの理力爆弾には、脱出ボートに積まれた理力爆弾の二倍に相当する、高濃度液化理力ガスが詰まっていたのだ。
明らかに自然のものとは違うコウモリ達を殲滅するならまだしも、敵がその実体はともあれ人の姿ともなれば、超高性能爆弾で一気にドカンッというのはちょっとえげつない。
もちろん、相手は危険な敵であることは百も承知。
しかし――冷徹になりきれないのは、自分が未熟な小娘だからだろうか?
そんな風に一瞬思い悩んでいるところで、敵の男が彼女の姿をしたマネキンを襲った。
うなじあたりに背後から噛みつき、その上で、こともあろうか両腕を胸のあたりに回して抱きしめた情景がモニター越しに彼女の視界へ入る。
その情景に激しい嫌悪を覚える瞬間、彼女は起爆ボタンを押下。
かくて現在に至るのだが……。
――さすがに今ので終わったかな?
モニターに映る外の映像を眺めて、《大佐殿》は状況を再度確認しようとする。
外の様子は、高威力爆弾の発した熱で、湖面の水が若干蒸発し、夜の冷たい空気に冷やされたその水蒸気が、湖面に対流して白い雲のようにモヤを作っている。
その白いモヤのせいで状況は掴みづらい。
――外に出て直接見た方がいいかな。
《大佐殿》は、操縦席の操作パネルをいじり、自分の乗った小型潜水艇に対し、急速浮上の操作を実行した。
☆
《大佐殿》がこの戦闘の際実行した作戦は次の通りである。
まず、飛行船各部から煙幕を発生させ、船周辺を隠す。
煙幕に紛れて、遠隔起爆が可能な理力爆弾を積んだ脱出ボート十四艘と、自分に似せたマネキン型爆弾を乗せた要人脱出用ボートを湖上に配置。
飛行船の後部甲板に、理力爆弾を搭載した小型飛空挺を発進準備させる。
脱出ボートを一艘出し、敵の一部を引きつけて爆破。
その後飛空挺も同様の扱いをしたが――――
飛空挺を爆破した瞬間に、飛行船の下部ハッチから、自分が操縦する小型の潜水艇を、一艘目のボートが向かっていた湖南岸へ、湖底付近の深度を保って無音航行させたのだ。
その後も、ボートの爆弾やらマネキンやらで敵の目を引きつけ、潜望鏡や脱出ボートに載せたカメラからの映像で戦況を確認しつつ、自身はすでに南岸のすぐそばまで接近していた。
最大の懸案事項だったのは、コウモリ達の放つ特殊な超音波が、理力爆弾の起爆命令などに干渉しないかだったが。
その懸案も、一艘目の爆破の時に影響が無いことが判り、こちらの思惑通りにコトは進んだのである。
《大佐殿》が乗り込み操縦していた潜水艇は、先ほど爆破した要人用のボートと同じく、漆黒に塗装されたものだ。
現在、その船体は、周囲に黒色のエアフロートを膨らませて、未だ荒く波立っている湖面に浮かび上がっていた。
潜水艇は湖上に出た後、推力を上げて南下し、そのまま、南岸の砂浜に船体を乗り上がらせて停止する。
「んっ……しょっと……」
接岸した直後、《大佐殿》は船体上部のハッチを開放し、ハッチ前方……人が一人立てる程の小さな甲板に躍り出て、片膝を着く姿勢を取った。
携帯していた対艦狙撃砲を、右手で引き金がある《衝撃銃》本体のグリップ、左手は砲身から横に飛び出た補助グリップを握って構えて、そのスコープを赤外線暗視と温度感知モードにセットし、マネキン爆弾が爆破した辺りに向けて覗き込む。
すると、覗き込んだスコープの映像に、白いモヤの中空中へ浮かび上がった影が、人の体温と同じ温度帯を示す色で表示されていた。
その影の周囲には、コウモリのものと思われる小さな影が三十匹ほど舞っている。
「……しぶといわね」
舌打ちしそうな気分で呟く彼女は、構えた銃身の補助グリップを握る左手、その人差し指で触れたスライド式のスイッチを操作し、銃身を起動した。
瞬間、銃身の砲口部分が六つに割れて放射状に展開し、小さな放電を始める。
《大佐殿》が覗くスコープの中で、コウモリ達が人影らしきものに集まり、その人影へと吸収されていった。
コウモリ達を吸収した人影は、一度その四肢を大きく開くと、一気に白いモヤの上へと上昇する。
「うん。その位置……とっても危ないわよ」
静かに呟いた《大佐殿》は、的が上昇したために、射撃線上から飛行船の白亜の船体が少しだけ離れたことに安堵しつつ、引き金を引いた。
☆
次の瞬間――
これまでの理力爆弾の爆発とは異なる轟音が、月夜の大気を揺らした。
銃口から放たれた破壊の波が、螺旋に収束して空を裂き、大気中の分子を崩壊させてプラズマ化し蒼白い閃光を孕んで湖面を照りつける。
降り注ぐ月光に包まれ、満ち始める魔力に酔っていた半裸の吸血鬼は、白いモヤが立ちこめる湖の南岸から、音速の数十倍という速度で撃ち出された収束エネルギー衝撃波、その極太の蒼い光に打ち抜かれていた。
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*
*2020年まで某サイトで投稿していたものですがサイト閉鎖に伴い、加筆修正して完結を目標に再投稿したいと思います。
*他小説家になろう、アルファポリスでも投稿しています。
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