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序章 朴念仁を取り巻く環境~宮廷司祭と駄目男~
第十一話 アルドナーグ邸1~夕暮れ、ところにより紫電~
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アルドナーグ家――。
アテネ王国でも有数の名家で、現アテネ王家の親類にあたる貴族だ。
現当主はレビン・カルド・アルドナーグ。
レビンは貿易商人として世界各地を妻ミリュウと渡り歩いているという。
実際は、二人とも魔竜戦争時の英雄であった。
現在も表向きは貿易商として世界を渡りながら、裏では魔竜軍残党の調査や彼らとの重要な交渉等を行っている。
ただし、一般の市民達がそれを知ることはないだろう。
アテネ王国首都アテネ市の最南端、海岸線に小さな岬がオリン海に突き出ている。
その小さな岬は、オリン海に四〇〇メライ(メートル)ほど海に突き出していて、海面から三〇メライほどの高さに切り立った崖状になっていた。
真上から望めば、東西に伸びる海岸線を二つに割るように隆起した大地が海に張り出しているように見えるだろう。
その岬の先端には、《理力器》を利用した白い灯台があり、その北側の森林を切り分けた平地部にアルドナーグ邸がある。
アルドナーグ邸は、南北に二〇〇メライ、東西に一五〇メライの長方形状だ。
その敷地は低い石垣と鉄柵で囲まれ、敷地内にはいくつかの建物がある。
住居である二階建ての母屋。
商館と呼ばれる貿易商の本拠である事務棟。
敷地内を管理する使用人の住居棟に、剣術道場など。
敷地中心には、東洋の庭師達に作らせた庭園などもあった。
城下町での買い物を済ませたダーンとリリス、そして客人として招かれたエルの三人は、
街から馬車で邸宅の正門前まで移動してきている。
現在は、敷地を縦断する庭園の石畳を歩いていた。
なお、リリスと一緒にいた銀狼は、馬車で邸宅の正門前までは彼らと一緒だったが、買ってやった鹿肉の塊を包みごと咥え、邸内に入らずにいずれかに立ち去っている。
銀狼の存在は、街での買い物や馬車に乗るときも、街行く人々や店員、馬車の御者を驚かせていたが……。
その度に、リリスが銀狼の太い首に抱きついて、
「この子、私の大道芸のパートナーなの。こう見えて芸人ならぬ芸犬よ」
などと説明しては、当の銀狼は微妙に嫌そうな唸りを小さく上げていた。
「話には聞いていたけど、すごい広さね。こんな庭園見たことないわ」
異国の風情を醸し出す庭園の風景に囲まれ、エルは嘆息した。
彼女の周囲は、夕日の赤を浴びて朱に染まっている。
東方から持ち込まれた低木の垣根や、灯籠などが朱を照り返し、庭園の中央のため池に夕焼けの空が揺れていた。
「実際は広いだけでね、俺たちはあまり利用してないところばかりさ。管理は親父達が雇った庭師とか使用人の仕事だし、商館の方なんか何やっているか見当もつかないよ。住んでる母屋なんか、半分は使われてなくて、使用人達が掃除するためにあるようなものかな」
三人が横一列に並んで歩く中央、ダーンが肩をすくめながら話す。
「ちょっと疑問だったんだけど、使用人がいるなら、料理とか自分たちでしなくてもいいんじゃないの?」
エルの疑問に、ダーンを挟んで反対側、彼の左腕をしっかりと抱いているリリスが応じる。
「父さんの方針でね、生活は自分たちでやらなきゃ生きてる楽しさも半減だ、ってことで、母屋の生活に使用する場所の管理や炊事洗濯は自分たちでやることになってるの。まあ、私がいるときは、専ら私の仕事になっちゃうけど。ナスカお兄ちゃんのはホーチさんがたまにいっぺんに片づけてくれてるみたいね」
宮廷司祭は三年前からここの常連で、当然リリスとも親しいのだろう。
ナスカが彼女を呼ぶ際の愛称にさん付けで宮廷司祭のことを語る。
もっとも、当のナスカは人前で彼女をホーチとはあまり呼ばないようだったが。
リリスの言葉を聞いたエルはふと、先ほどから気にかかっていた疑問を口にする。
「そういえば、リリスちゃんはしばらくここを留守にしていたみたいだけど、その……失礼かもしれないけど、貴女いくつ?」
先ほどの街道でのダーンは、彼女と会うのは二週間ぶりとか言っていた。
彼女が犬呼ばわりしていた大きな銀狼を引き連れて、一人でアーク王国に旅をしていたようだが。
身長にして一四〇セグ・メライ(センチ・メートル)を下回る程度しかない彼女。
その見た目は十代初期のものだ。
熊のような大きさの狼を連れ、外国に一人旅できるようにも思えない。
「これでも十六歳よ。背が小さいからもっと子供に見えたかもしれないけど」
と、言ったリリスによく聞き及んだ念話が、距離を関係なく即座に届く。
『いや、胸で判断したのではないか?』
☆
アルドナーグ邸の南側、高さ一五メライの白い灯台の屋上、その展望台で鹿刺しを咀嚼していた銀狼が、雷雲のない天空から落下した突然の紫電に打たれていた。
☆
エルは、横目に見るリリスの瞳が一瞬緋色に光った様にも見えたが、夕日の反射だろうかと思い直し、それ以上気にしなかった。
「最初は、親父達にくっついて旅行を始めたんだけどな。いつの間にか一人であちこち行くようになっちゃって……。最近じゃあ、各地で色々覚えてきてさ……さっきの大道芸とか。もう随分前だけど、あの銀狼もどっかで拾ってきたみたいだし」
ダーンの言葉に、リリスは、
「あれは拾ってきたんじゃなくて、勝手に着いてきただけよ、お兄ちゃん」
と、ちょっと不機嫌に答える。
隣を歩く義妹はそのまま一人「あの駄犬、いつか父さんの扱う毛皮商品にしてやる。……どうせ狼の毛皮なんか安物にしかならないけど」と小さく呟いているが。
――その割には、さっき高い鹿肉大量に買ってやったり、いつも帰ってくるたびに、リリスの服や頭髪に銀の毛が付いてたりするんだけど?
「そうそう、さっきの大道芸すごかったわ。ジョッキのオレンジジュースとかなんでこぼれないの? それに、あの狼の口に剣が突き刺さった様に見えたけど、あのときはびっくりしたわ。どんなトリックなの?」
興味津々なエルの質問に、リリスは彼女の方を向き、エメラルドの瞳の片方を愛嬌よく瞑って見せた。
そして、ダーンの腕に巻かれた腕とは反対の左手人差し指を顔の前に『ぴっ』と立てるとこれ見よがしに言い放つ。
「乙女の秘密」
『フンッ。プラズマによる物質硬化に、リンゴの中で位相変換。《雷神王》のあんな過激な力を乙女の秘密などと……世界中のまともな乙女達に申し訳ないのではないか?』
☆
アルドナーグ邸の南側、高さ一五メライの白い灯台の屋上、その展望台で少し焦げた元・鹿刺しである肉の塊を咀嚼していた銀狼が、雷雲のない天空から落下した突然の紫電に打たれていた。
☆
「なんか遠くで雷みたいな音がしない?」
ふと足を止めたエルが、南の空を仰ぎ見るが……。
夕焼け空には雷雲など一つもなく、西から徐々に赤が薄まって東の群青へと変わるグラデーションが綺麗だった。
「そうかな……特に何も聞こえなかったよ。ええ、何も……」
アルドナーグ邸と岬の先端との間に張った音波障壁を強めつつ、リリスは断言をする。
三人が歩いて行く先に、重厚な金属製の両開きドアで設えた母屋の玄関が間近になっていた。
アテネ王国でも有数の名家で、現アテネ王家の親類にあたる貴族だ。
現当主はレビン・カルド・アルドナーグ。
レビンは貿易商人として世界各地を妻ミリュウと渡り歩いているという。
実際は、二人とも魔竜戦争時の英雄であった。
現在も表向きは貿易商として世界を渡りながら、裏では魔竜軍残党の調査や彼らとの重要な交渉等を行っている。
ただし、一般の市民達がそれを知ることはないだろう。
アテネ王国首都アテネ市の最南端、海岸線に小さな岬がオリン海に突き出ている。
その小さな岬は、オリン海に四〇〇メライ(メートル)ほど海に突き出していて、海面から三〇メライほどの高さに切り立った崖状になっていた。
真上から望めば、東西に伸びる海岸線を二つに割るように隆起した大地が海に張り出しているように見えるだろう。
その岬の先端には、《理力器》を利用した白い灯台があり、その北側の森林を切り分けた平地部にアルドナーグ邸がある。
アルドナーグ邸は、南北に二〇〇メライ、東西に一五〇メライの長方形状だ。
その敷地は低い石垣と鉄柵で囲まれ、敷地内にはいくつかの建物がある。
住居である二階建ての母屋。
商館と呼ばれる貿易商の本拠である事務棟。
敷地内を管理する使用人の住居棟に、剣術道場など。
敷地中心には、東洋の庭師達に作らせた庭園などもあった。
城下町での買い物を済ませたダーンとリリス、そして客人として招かれたエルの三人は、
街から馬車で邸宅の正門前まで移動してきている。
現在は、敷地を縦断する庭園の石畳を歩いていた。
なお、リリスと一緒にいた銀狼は、馬車で邸宅の正門前までは彼らと一緒だったが、買ってやった鹿肉の塊を包みごと咥え、邸内に入らずにいずれかに立ち去っている。
銀狼の存在は、街での買い物や馬車に乗るときも、街行く人々や店員、馬車の御者を驚かせていたが……。
その度に、リリスが銀狼の太い首に抱きついて、
「この子、私の大道芸のパートナーなの。こう見えて芸人ならぬ芸犬よ」
などと説明しては、当の銀狼は微妙に嫌そうな唸りを小さく上げていた。
「話には聞いていたけど、すごい広さね。こんな庭園見たことないわ」
異国の風情を醸し出す庭園の風景に囲まれ、エルは嘆息した。
彼女の周囲は、夕日の赤を浴びて朱に染まっている。
東方から持ち込まれた低木の垣根や、灯籠などが朱を照り返し、庭園の中央のため池に夕焼けの空が揺れていた。
「実際は広いだけでね、俺たちはあまり利用してないところばかりさ。管理は親父達が雇った庭師とか使用人の仕事だし、商館の方なんか何やっているか見当もつかないよ。住んでる母屋なんか、半分は使われてなくて、使用人達が掃除するためにあるようなものかな」
三人が横一列に並んで歩く中央、ダーンが肩をすくめながら話す。
「ちょっと疑問だったんだけど、使用人がいるなら、料理とか自分たちでしなくてもいいんじゃないの?」
エルの疑問に、ダーンを挟んで反対側、彼の左腕をしっかりと抱いているリリスが応じる。
「父さんの方針でね、生活は自分たちでやらなきゃ生きてる楽しさも半減だ、ってことで、母屋の生活に使用する場所の管理や炊事洗濯は自分たちでやることになってるの。まあ、私がいるときは、専ら私の仕事になっちゃうけど。ナスカお兄ちゃんのはホーチさんがたまにいっぺんに片づけてくれてるみたいね」
宮廷司祭は三年前からここの常連で、当然リリスとも親しいのだろう。
ナスカが彼女を呼ぶ際の愛称にさん付けで宮廷司祭のことを語る。
もっとも、当のナスカは人前で彼女をホーチとはあまり呼ばないようだったが。
リリスの言葉を聞いたエルはふと、先ほどから気にかかっていた疑問を口にする。
「そういえば、リリスちゃんはしばらくここを留守にしていたみたいだけど、その……失礼かもしれないけど、貴女いくつ?」
先ほどの街道でのダーンは、彼女と会うのは二週間ぶりとか言っていた。
彼女が犬呼ばわりしていた大きな銀狼を引き連れて、一人でアーク王国に旅をしていたようだが。
身長にして一四〇セグ・メライ(センチ・メートル)を下回る程度しかない彼女。
その見た目は十代初期のものだ。
熊のような大きさの狼を連れ、外国に一人旅できるようにも思えない。
「これでも十六歳よ。背が小さいからもっと子供に見えたかもしれないけど」
と、言ったリリスによく聞き及んだ念話が、距離を関係なく即座に届く。
『いや、胸で判断したのではないか?』
☆
アルドナーグ邸の南側、高さ一五メライの白い灯台の屋上、その展望台で鹿刺しを咀嚼していた銀狼が、雷雲のない天空から落下した突然の紫電に打たれていた。
☆
エルは、横目に見るリリスの瞳が一瞬緋色に光った様にも見えたが、夕日の反射だろうかと思い直し、それ以上気にしなかった。
「最初は、親父達にくっついて旅行を始めたんだけどな。いつの間にか一人であちこち行くようになっちゃって……。最近じゃあ、各地で色々覚えてきてさ……さっきの大道芸とか。もう随分前だけど、あの銀狼もどっかで拾ってきたみたいだし」
ダーンの言葉に、リリスは、
「あれは拾ってきたんじゃなくて、勝手に着いてきただけよ、お兄ちゃん」
と、ちょっと不機嫌に答える。
隣を歩く義妹はそのまま一人「あの駄犬、いつか父さんの扱う毛皮商品にしてやる。……どうせ狼の毛皮なんか安物にしかならないけど」と小さく呟いているが。
――その割には、さっき高い鹿肉大量に買ってやったり、いつも帰ってくるたびに、リリスの服や頭髪に銀の毛が付いてたりするんだけど?
「そうそう、さっきの大道芸すごかったわ。ジョッキのオレンジジュースとかなんでこぼれないの? それに、あの狼の口に剣が突き刺さった様に見えたけど、あのときはびっくりしたわ。どんなトリックなの?」
興味津々なエルの質問に、リリスは彼女の方を向き、エメラルドの瞳の片方を愛嬌よく瞑って見せた。
そして、ダーンの腕に巻かれた腕とは反対の左手人差し指を顔の前に『ぴっ』と立てるとこれ見よがしに言い放つ。
「乙女の秘密」
『フンッ。プラズマによる物質硬化に、リンゴの中で位相変換。《雷神王》のあんな過激な力を乙女の秘密などと……世界中のまともな乙女達に申し訳ないのではないか?』
☆
アルドナーグ邸の南側、高さ一五メライの白い灯台の屋上、その展望台で少し焦げた元・鹿刺しである肉の塊を咀嚼していた銀狼が、雷雲のない天空から落下した突然の紫電に打たれていた。
☆
「なんか遠くで雷みたいな音がしない?」
ふと足を止めたエルが、南の空を仰ぎ見るが……。
夕焼け空には雷雲など一つもなく、西から徐々に赤が薄まって東の群青へと変わるグラデーションが綺麗だった。
「そうかな……特に何も聞こえなかったよ。ええ、何も……」
アルドナーグ邸と岬の先端との間に張った音波障壁を強めつつ、リリスは断言をする。
三人が歩いて行く先に、重厚な金属製の両開きドアで設えた母屋の玄関が間近になっていた。
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