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完結編 月の獅子の目は彼の者に
十七話 抱擁の苦しみと甲冑の人からの手紙
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「ふぐむう……」
「怪我はないか」
「むう」
「外傷もない、な、よし……何故喋らない」
「……んぐぐ」
喋れねえのよ、抱き込まれてるから。
「エウァルド君、ニッキー様が窒息してます」
視界が真っ暗、おそらくエウァルドさんの膝の上にいる。
んで思い切り抱きしめられてて大変苦しい、エウァルドさんの背中あたりを叩いて離してもらった。
「む……すまない」
「ぷへ……つかれた」
主に酸欠的な意味で、こんなところグレイブさんに見られたらなんて言われるか……グレイブさん?
「遅くなってしまい申し訳ございませんニッキー様」
「……ん? 」
真面目な顔のダンさんがいつの間に、そしてつい先ほど、ほんのちょっと前までいたはずのグレイブさんがいない。
「エウァルド君、報告を」
「窓の外から見たところ“奴“はいた、声も聞こえた、だが部屋に突入しニッキーを保護した瞬間姿を消した……と見える」
「私もエウァルド君の合図とともに突入しましたが影の形も……痕跡はあるようですが……さてこれは “いいものを見させてもらった“ ですか」
「見せてくれ」
どうやらテーブルの上にメモがあったらしい。
それを見たダンさんが顔の表情の全てを険しくさせて、そのメモ書きを受け取って見たエウァルドさんも。
「あぁ? 」
聞いたことない声だしたね?
「ニッキー様に関わる事柄に限り宝物庫のものは自由に使っていいとも書いてありますね、一体何様なのか……エウァルド君? 」
「“いくじなしが、目の前のことばかり見てないで己と向き合えくそタコナス“と書いてある」
「えぇなにそれぇ」
口わっる。
「見せてください」
「あぁ、みてくれ」
ちょっとくしゃってなった紙がエウァルドさんからダンさんに渡る、そして改めて見たダンさんが眉を器用に片方だけあげて一言。
「ふうむ、書いてませんね、そういった類のものは」
「なんだと? いややはり書いてある、ダン殿が仰っていることも書いていないな」
「ほう? 」
「エウァルドさんエウァルドさん、その紙見せてくださいな」
「………」
「ちょっと、なんで嫌そうな顔するんですか」
「嫌な予感がする」
「なんですそれ、ほれ、見せてくださいな、いいですね? 」
「……むう」
手を伸ばしてぺしっとくしゃくしゃな紙を取ってみ……、あのねえ。
「エウァルドさん、ねーエウァルドさん、届かない、届かないです」
手を伸ばした、紙を取ろうとした、そしたらギリギリ届かないでところにエウァルドさんが腕を伸ばされてしまった。
「……見せたくない」
「そんないじわる言わないで~」
「よくないきがする」
んなもん関係ないわ、見たいから見せて、それだけなのよ。
「むー」
「エウァルド君、お気持ちは痛いほどわかりますが今はそれをする余裕はありません、わかりますね? 」
「……すまない」
「むん」
わかってくれればわそれでいいのです。
一連の流れでくしゃくしゃになった紙を受け取って、体勢もエウァルドさんの膝の上に座るように変える。
さてさて、回らない頭でもわかることはある。
たった一枚の紙を前にしてダンさんとエウァルドさんの言っていることが食い違っている。
それがなんでなのかとちょっと考えて出した結論は、見えているものが二人とも違うんじゃないかなって。
二人が違うのなら僕が見てもまた違うものが見れるのかも、なんて思ったり。
てことでダンさんの助言のおかげで紙をゲット。
「……むう」
エウァルドさんのしっぶい顔が視界の真ん中に見える、無視。
申し訳ないなという気持ちがデカいけど、好奇心が今は勝っている。
ほんとに不満そうにしているエウァルドさんの眉間のシワを数えそうになるけどまあ、後でしよう。
「やだくしゃくしゃじゃないですか」
「すまない、感情を抑えるのが遅れた」
紙を僕の膝の上でまっすぐに伸ばした、これで読める。
いったいどんなことが書いているのか、はたまたなんにも書かれていないのか。
どんな結果であれ好奇心は満たされる、書かれてなかったらシンプルに落胆する、その結果だけが欲しい。
「どれど……れ? 」
「どうした、不快な事が書かれていたか、燃やそう」
「違いますって、ちょっと読んでるのでまっててくださいねー」
目を左から右に、単語の羅列を頭に入れる。
「……難しい顔をされてますがニッキー様、なにか良からぬことが書かれてましたか」
「いや……うーん」
予想通り、ダンさんの言った内容とも、エウァルドさんが怒った内容とも違うであろうことが書かれている、けど、理解をするのに時間がいる内容だった。
「燃やしますか、やはり」
「それはちょっと待ってくださいね~、悪口とかじゃないのでー」
「なら何故渋い顔をしてるんだ」
「単純に難しくって」
「難しい」
「はいーあとシンプルに長いです」
「ながい?」
“ニッキークロトゥランへ
手紙にしなければこそばゆく、面と向かっては言えないことをここに記す。
まずはありがとう、死なないでくれて。
君は歴代のクロトゥランで唯一、死ではなく知識と力をもってディフラカンの呪いを乗り越えた、例えその記憶が君になくとも心の底から祝福しよう“
「てのが前半に描かれてまして 」
「よいことが一応書かれてますね、前半というと……」
「まだ書いてあるんですよね」
「長いですねぇ……」
“祝福の言葉はまた改めて贈る、ここからは君に対する忠告と、今後のことだ。
君は記憶を燃やしたが、同時に獅子がかけた加護も灰にした。
加護のないクロトゥランはただ使命を全うすることだけを考えありもしない厄災からディフラカンを護ろうと考え行動する。
それはいけない、本当にいけない。
ニッキークロトゥラン、我々は唯一使命を乗り越えたクロトゥランを祝福する。
夢の帳を下ろし、間違った現実に目を向く前に夢境に浸らせ獅子の目から君を隠した。
予定ではどこまでも緩い日常を浸らせ自我を育たせる予定だったが、クロトゥランの本能は君に芽生えた自我を塗りつぶそうとしている故に、不服ではあるが君を月に連れていき獅子に加護をつけることにした。
来週ちょうど満月だ、準備を整えておくように。
間違っても現実を見ようとしないでくれ。
君の思考には必ずディフラカンが混ざる、意識しようかしまいが最終的にはディフラカンのためになることに帰結する。
クロトゥランとはそういう習性を持った生き物だ、肝に命じておけ。
グレイブ・ディウエクチアより “
「ですって」
随分と長い文章にニッキーは大変見苦しいことに理解を拒否している、お二人の反応は……あ、怒ってる。
「………ふざけるな」
「内容が重要なら私達にも見れるようにしておけよ」
それはそう。
「怪我はないか」
「むう」
「外傷もない、な、よし……何故喋らない」
「……んぐぐ」
喋れねえのよ、抱き込まれてるから。
「エウァルド君、ニッキー様が窒息してます」
視界が真っ暗、おそらくエウァルドさんの膝の上にいる。
んで思い切り抱きしめられてて大変苦しい、エウァルドさんの背中あたりを叩いて離してもらった。
「む……すまない」
「ぷへ……つかれた」
主に酸欠的な意味で、こんなところグレイブさんに見られたらなんて言われるか……グレイブさん?
「遅くなってしまい申し訳ございませんニッキー様」
「……ん? 」
真面目な顔のダンさんがいつの間に、そしてつい先ほど、ほんのちょっと前までいたはずのグレイブさんがいない。
「エウァルド君、報告を」
「窓の外から見たところ“奴“はいた、声も聞こえた、だが部屋に突入しニッキーを保護した瞬間姿を消した……と見える」
「私もエウァルド君の合図とともに突入しましたが影の形も……痕跡はあるようですが……さてこれは “いいものを見させてもらった“ ですか」
「見せてくれ」
どうやらテーブルの上にメモがあったらしい。
それを見たダンさんが顔の表情の全てを険しくさせて、そのメモ書きを受け取って見たエウァルドさんも。
「あぁ? 」
聞いたことない声だしたね?
「ニッキー様に関わる事柄に限り宝物庫のものは自由に使っていいとも書いてありますね、一体何様なのか……エウァルド君? 」
「“いくじなしが、目の前のことばかり見てないで己と向き合えくそタコナス“と書いてある」
「えぇなにそれぇ」
口わっる。
「見せてください」
「あぁ、みてくれ」
ちょっとくしゃってなった紙がエウァルドさんからダンさんに渡る、そして改めて見たダンさんが眉を器用に片方だけあげて一言。
「ふうむ、書いてませんね、そういった類のものは」
「なんだと? いややはり書いてある、ダン殿が仰っていることも書いていないな」
「ほう? 」
「エウァルドさんエウァルドさん、その紙見せてくださいな」
「………」
「ちょっと、なんで嫌そうな顔するんですか」
「嫌な予感がする」
「なんですそれ、ほれ、見せてくださいな、いいですね? 」
「……むう」
手を伸ばしてぺしっとくしゃくしゃな紙を取ってみ……、あのねえ。
「エウァルドさん、ねーエウァルドさん、届かない、届かないです」
手を伸ばした、紙を取ろうとした、そしたらギリギリ届かないでところにエウァルドさんが腕を伸ばされてしまった。
「……見せたくない」
「そんないじわる言わないで~」
「よくないきがする」
んなもん関係ないわ、見たいから見せて、それだけなのよ。
「むー」
「エウァルド君、お気持ちは痛いほどわかりますが今はそれをする余裕はありません、わかりますね? 」
「……すまない」
「むん」
わかってくれればわそれでいいのです。
一連の流れでくしゃくしゃになった紙を受け取って、体勢もエウァルドさんの膝の上に座るように変える。
さてさて、回らない頭でもわかることはある。
たった一枚の紙を前にしてダンさんとエウァルドさんの言っていることが食い違っている。
それがなんでなのかとちょっと考えて出した結論は、見えているものが二人とも違うんじゃないかなって。
二人が違うのなら僕が見てもまた違うものが見れるのかも、なんて思ったり。
てことでダンさんの助言のおかげで紙をゲット。
「……むう」
エウァルドさんのしっぶい顔が視界の真ん中に見える、無視。
申し訳ないなという気持ちがデカいけど、好奇心が今は勝っている。
ほんとに不満そうにしているエウァルドさんの眉間のシワを数えそうになるけどまあ、後でしよう。
「やだくしゃくしゃじゃないですか」
「すまない、感情を抑えるのが遅れた」
紙を僕の膝の上でまっすぐに伸ばした、これで読める。
いったいどんなことが書いているのか、はたまたなんにも書かれていないのか。
どんな結果であれ好奇心は満たされる、書かれてなかったらシンプルに落胆する、その結果だけが欲しい。
「どれど……れ? 」
「どうした、不快な事が書かれていたか、燃やそう」
「違いますって、ちょっと読んでるのでまっててくださいねー」
目を左から右に、単語の羅列を頭に入れる。
「……難しい顔をされてますがニッキー様、なにか良からぬことが書かれてましたか」
「いや……うーん」
予想通り、ダンさんの言った内容とも、エウァルドさんが怒った内容とも違うであろうことが書かれている、けど、理解をするのに時間がいる内容だった。
「燃やしますか、やはり」
「それはちょっと待ってくださいね~、悪口とかじゃないのでー」
「なら何故渋い顔をしてるんだ」
「単純に難しくって」
「難しい」
「はいーあとシンプルに長いです」
「ながい?」
“ニッキークロトゥランへ
手紙にしなければこそばゆく、面と向かっては言えないことをここに記す。
まずはありがとう、死なないでくれて。
君は歴代のクロトゥランで唯一、死ではなく知識と力をもってディフラカンの呪いを乗り越えた、例えその記憶が君になくとも心の底から祝福しよう“
「てのが前半に描かれてまして 」
「よいことが一応書かれてますね、前半というと……」
「まだ書いてあるんですよね」
「長いですねぇ……」
“祝福の言葉はまた改めて贈る、ここからは君に対する忠告と、今後のことだ。
君は記憶を燃やしたが、同時に獅子がかけた加護も灰にした。
加護のないクロトゥランはただ使命を全うすることだけを考えありもしない厄災からディフラカンを護ろうと考え行動する。
それはいけない、本当にいけない。
ニッキークロトゥラン、我々は唯一使命を乗り越えたクロトゥランを祝福する。
夢の帳を下ろし、間違った現実に目を向く前に夢境に浸らせ獅子の目から君を隠した。
予定ではどこまでも緩い日常を浸らせ自我を育たせる予定だったが、クロトゥランの本能は君に芽生えた自我を塗りつぶそうとしている故に、不服ではあるが君を月に連れていき獅子に加護をつけることにした。
来週ちょうど満月だ、準備を整えておくように。
間違っても現実を見ようとしないでくれ。
君の思考には必ずディフラカンが混ざる、意識しようかしまいが最終的にはディフラカンのためになることに帰結する。
クロトゥランとはそういう習性を持った生き物だ、肝に命じておけ。
グレイブ・ディウエクチアより “
「ですって」
随分と長い文章にニッキーは大変見苦しいことに理解を拒否している、お二人の反応は……あ、怒ってる。
「………ふざけるな」
「内容が重要なら私達にも見れるようにしておけよ」
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ありがとうございます、修正しました
いつも楽しく読ませていただいてます。赤いモヒカンのおじさまって、ニッキーの叔父さんの婚約者様だったりして( *´艸)
ありがとうございます!
秘密です!
全くこの先が読めないのが面白いです!
王が動き出したということは何らかの前進?があるのやもと思いますけど、どーなっちゃうの?!が楽しすぎます笑