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完結編 月の獅子の目は彼の者に
十話 歴史をしらべましょうか
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「ーーひとつ 其処は砂漠だった
ーーふたつ そこに光が満ちた、ーーみっつ獅子は光を見つけた、ーーよっつ そして国は成り立った………なんだこりゃ」
「なんだもなにも、初等部の学生が習うこの国の歴史ですが? 」
どうも、ニッキーです、こう頭の中で言っとくと自分のことをきちんとニッキーだと認識できると考えて勝手にやってます、どうもニッキーです。
ダンさんがアルゴスさんに国の歴史を教えてるっぽいです。
ぼく? 僕はなんか聞かれたら答えられたから横でケーキ食べてます、うまうま。
「王が中心なのにこれじゃ神話じゃねえか、この国はなんか神祀ってたっけか? 教会はあるが司祭みてえのは見かけねえし儀式も見たことがねえしよお」
「ふむ確かに、いざそう考えると不思議ですねえ」
「だろお? 」
眉をみたことない感じにグネングネン動かしてアルゴスさんがぴーちくぱーちく……おっと口が悪い、考えを述べていらっしゃる。
ダンさんも腕を組んでむむむってはじめた……むむ? なぜこちらを見るのかねお二人さん。
「そこんところどうなんだ? 国王の次に偉い家の教育なら多少裏がわかるんじゃあねえのか? 」
「うらー? エウァルドさんなんかわかります? 」
「いや、わからん」
「そうですかー、んー」
真後ろに立ってるエウァルドさんから降ってくる返事にまたむむっとして、……考えないようにした。
「えっとー、あれですあれ」
「あれってなんだよ」
「この国はたぶんー、陛下を神のように扱ってはいますが、その陛下の上に獅子がいるんですよ」
「獅子は神じゃねえのか? 」
「じゃあないんですよこれが」
何度も何度も、歴史書のはじまりに獅子の名前が出てくるけれど、信憑性の高いものほど、王城に収められている蔵書であるほど、それは獣だと、神なんて記されてない……はず?
ちなみにここまで脊髄反射で喋ってる、頭の方ではちょっとニッキー大混乱。
「今ものびのびとご存命っぽいですよ」
「ぽいってなんだよ、やけに軽いな」
「そこはなんとも~、だってほら……あー、なんだっけ、わかんないです」
「ほぉん」
頭で考え始めちゃったからもうおしまい。
無意識にでも言葉を選ぼうとした瞬間意味のある言葉はただの戯言に大暴落。
きっとなにか大事なこともあるのだろうけど僕にはわからない、知らない、理解しちゃいけない。
「ディフラカンは三つの大きな試練の末に建国へと至った、とりあえずはそんな感じじゃないですかね? 」
「まんま宗教の教えなんだよなぁ……うちの国は初代王が力で全部まとめて築き上げたってシンプルな話になるぜ」
「ほぇー」
「興味ねえだろ」
「うん」
「うんじゃねえよ」
ここでケーキを一口ぱくん、お茶がもうないからいれてもら……エウァルドさんがいれてくれてた、ありがたーい。
「……普通に教育は受けてたんだな、ニッキーサマ」
「それはもう、元々は当主になる予定の方だったのですから相応の知識はもたれているのでしょう、高等部からは薬の開発に勤しんでいたようですがそれでも「違うぞ」 」
「ん? 」
ダンさんの言葉に耳を傾けつつ、一切れケーキを食べ終えたところで上から降ってくる否定の言葉。
「違うというのはどの部分ですかエウァルド君」
ダンさんからにっこり微笑みが消えちゃった。
「高等部からじゃない、初等部の終わりからだ」
「……その時からまともに学園に通ってなかったと? 」
「あぁそうだ、月に一度の茶会以外は何処かへと旅立っていたと昔ニッキーの専属侍女メルディアから聞いた」
ほんほん………そんなちっちゃい頃から?
「えー……その人頭おかしくない? 」
「おうそれ自分自身に言ってるぞ」
「しりませーん」
へいエウァルドさん、ケーキのおかわりをおくれ。
「ちょっと今の会話記録したので公爵に確認取ってみますね」
「んえ? お父様に? 」
そりゃまたどうして。
「ニッキー様がお持ちのその知識がはたして公爵由来の知識なのかはたまた別のなにかからなのか、前半だと思いたい限りですが」
「が? 」
「あの公爵の甘やかしぶりを考えると後半でしょうなあ」
「えー」
さらさらと手元の紙にペンを走らせながら苦笑いするダンさんはそれを折りたたんで封に収めてペコリと一礼。
「では手紙を届けに少し出ますね、ごゆるりとお過ごしください」
「はーい」
おやなんと、ちょっとダンさんに気を取られている間に新しいケーキが置いてある、ありがとうエウァルドさん。
「おいダンちゃん俺の授業は? 」
「優先順位というものがありますので、ではでは」
「ちぇー、まあいいか」
甘いものと甘い飲み物を合わせるのは最高だけど、たまには甘いものと苦いものを合わせるのもありだと思う、そんなニッキーなのであった。
ーーふたつ そこに光が満ちた、ーーみっつ獅子は光を見つけた、ーーよっつ そして国は成り立った………なんだこりゃ」
「なんだもなにも、初等部の学生が習うこの国の歴史ですが? 」
どうも、ニッキーです、こう頭の中で言っとくと自分のことをきちんとニッキーだと認識できると考えて勝手にやってます、どうもニッキーです。
ダンさんがアルゴスさんに国の歴史を教えてるっぽいです。
ぼく? 僕はなんか聞かれたら答えられたから横でケーキ食べてます、うまうま。
「王が中心なのにこれじゃ神話じゃねえか、この国はなんか神祀ってたっけか? 教会はあるが司祭みてえのは見かけねえし儀式も見たことがねえしよお」
「ふむ確かに、いざそう考えると不思議ですねえ」
「だろお? 」
眉をみたことない感じにグネングネン動かしてアルゴスさんがぴーちくぱーちく……おっと口が悪い、考えを述べていらっしゃる。
ダンさんも腕を組んでむむむってはじめた……むむ? なぜこちらを見るのかねお二人さん。
「そこんところどうなんだ? 国王の次に偉い家の教育なら多少裏がわかるんじゃあねえのか? 」
「うらー? エウァルドさんなんかわかります? 」
「いや、わからん」
「そうですかー、んー」
真後ろに立ってるエウァルドさんから降ってくる返事にまたむむっとして、……考えないようにした。
「えっとー、あれですあれ」
「あれってなんだよ」
「この国はたぶんー、陛下を神のように扱ってはいますが、その陛下の上に獅子がいるんですよ」
「獅子は神じゃねえのか? 」
「じゃあないんですよこれが」
何度も何度も、歴史書のはじまりに獅子の名前が出てくるけれど、信憑性の高いものほど、王城に収められている蔵書であるほど、それは獣だと、神なんて記されてない……はず?
ちなみにここまで脊髄反射で喋ってる、頭の方ではちょっとニッキー大混乱。
「今ものびのびとご存命っぽいですよ」
「ぽいってなんだよ、やけに軽いな」
「そこはなんとも~、だってほら……あー、なんだっけ、わかんないです」
「ほぉん」
頭で考え始めちゃったからもうおしまい。
無意識にでも言葉を選ぼうとした瞬間意味のある言葉はただの戯言に大暴落。
きっとなにか大事なこともあるのだろうけど僕にはわからない、知らない、理解しちゃいけない。
「ディフラカンは三つの大きな試練の末に建国へと至った、とりあえずはそんな感じじゃないですかね? 」
「まんま宗教の教えなんだよなぁ……うちの国は初代王が力で全部まとめて築き上げたってシンプルな話になるぜ」
「ほぇー」
「興味ねえだろ」
「うん」
「うんじゃねえよ」
ここでケーキを一口ぱくん、お茶がもうないからいれてもら……エウァルドさんがいれてくれてた、ありがたーい。
「……普通に教育は受けてたんだな、ニッキーサマ」
「それはもう、元々は当主になる予定の方だったのですから相応の知識はもたれているのでしょう、高等部からは薬の開発に勤しんでいたようですがそれでも「違うぞ」 」
「ん? 」
ダンさんの言葉に耳を傾けつつ、一切れケーキを食べ終えたところで上から降ってくる否定の言葉。
「違うというのはどの部分ですかエウァルド君」
ダンさんからにっこり微笑みが消えちゃった。
「高等部からじゃない、初等部の終わりからだ」
「……その時からまともに学園に通ってなかったと? 」
「あぁそうだ、月に一度の茶会以外は何処かへと旅立っていたと昔ニッキーの専属侍女メルディアから聞いた」
ほんほん………そんなちっちゃい頃から?
「えー……その人頭おかしくない? 」
「おうそれ自分自身に言ってるぞ」
「しりませーん」
へいエウァルドさん、ケーキのおかわりをおくれ。
「ちょっと今の会話記録したので公爵に確認取ってみますね」
「んえ? お父様に? 」
そりゃまたどうして。
「ニッキー様がお持ちのその知識がはたして公爵由来の知識なのかはたまた別のなにかからなのか、前半だと思いたい限りですが」
「が? 」
「あの公爵の甘やかしぶりを考えると後半でしょうなあ」
「えー」
さらさらと手元の紙にペンを走らせながら苦笑いするダンさんはそれを折りたたんで封に収めてペコリと一礼。
「では手紙を届けに少し出ますね、ごゆるりとお過ごしください」
「はーい」
おやなんと、ちょっとダンさんに気を取られている間に新しいケーキが置いてある、ありがとうエウァルドさん。
「おいダンちゃん俺の授業は? 」
「優先順位というものがありますので、ではでは」
「ちぇー、まあいいか」
甘いものと甘い飲み物を合わせるのは最高だけど、たまには甘いものと苦いものを合わせるのもありだと思う、そんなニッキーなのであった。
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