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完結編 月の獅子の目は彼の者に
二話 難しい話はケーキの前には無力
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「公爵ほどの腕はありませんが、レシピ通りにできたはずです いかがでしょう」
ショート、チーズ、ブルーベリーをでんでんでん。
「なんだよこのでけえの、どんだけ砂糖使ってんだこりゃ」
モンブラン、アップル、なんか紫色の芋?、をホール状にでんでんと敷き詰めて。
それをさらにでんでんでんと三段。
「ここらへんねー、なんでか何代も前からサトウキビの栽培に鬼ほど力入れてるから砂糖はね使い放題らしいんですよ~」
「ほーん……にしても作り過ぎじゃねえか? 」
場所は変わって食堂、大きなテーブルに目茶苦茶大きなケーキと満足そうな顔のコック服のダンさん。
「いえいえ、ニッキー樣なら食べられます」
「は? マジで? 」
「マジです」
「うっそー」
「そのニッキーサマが驚いてるんだが? 」
「公爵がいらっしゃった時は毎日この量を召し上がってましたよ」
「はあ? 」
「……うそぉ」
「食べてたぞ」
「えっ」
「時間はかかっていたが山盛りのステーキや菓子類を平らげていたぞ、朝昼晩」
「えー……? あーー……」
そう、いえばー?
熱々のステーキ焼かれてたような? ちょっと多くないかしらとか思ってた? ような?
気がする~……?
「いやおい……太るぞ」
「それが目的なので 一度がっつりと脂肪をつけていただいてからでないと筋肉のつきようがありません、目指せメタボ、です」
「メタボは~ちょっとー」
「ささ、召し上がってください」
「わあいい笑顔」
グッドスマイル、グッと親指のダンさん。
「荒療治にも程があるがまあ……専門外だから口は出さないでおく」
「賢明な判断です、ニッキー樣の健康状態は毎日レポートにまとめて公爵に届けておりますのでご安心ください、お茶はストレートで、寒くなってきましたので温かいものを用意しました、エウァルド君もどうぞ」
「感謝する」
「ニッキー樣お砂糖はどっさり? それともさらに」
「スプーン一杯分でお願いします」
どんだけ甘党だと思われてんの、まあいいか、食べよう、いただきます。
「うわあ……しばらくみねえ間にジジバカになってんなぁ」
「なにか? ああ貴方はブラックでしたねはいどうぞ」
むむ! 美味しい。
「口、ついてるぞ、」
「おっと、失礼、んぐんぐ」
もちもちふわふわ、甘くて甘酸っぱくて、いいね、もう一口、二口、三口、うまうま。
大口で食べたら流石にマナー的にお下品かな、うん、ならお上品にしよう。
「ちげえよ砂糖たっぷりミルクマシマシでしか飲めねえよ」
「うわ」
「うわってなんだよ、」
「いえ、子供だなーなんて思っちゃいませんよ? 」
「思ってるじゃねえかこんにゃろー」
ちびちび……は嫌だから一口にフォークで切って、パクっと、うん美味しい。
たまに紅茶を挟むのもまたよし、それ。繰り返す。
味をしっかり感じながら咀嚼して、飲み込んで、たまに紅茶といっしょに流し込んで、うん美味しい。
「……噛んでる……よな? 飲んでねえよな? 」
「恐らく」
「それどっちの恐らくだダンちゃん、吸い込まれてくぞケーキが」
美味しいものは良いものだ、食べてる間は甘いとか美味しいとかで頭がいっぱいになって幸せになれる。
うむ、うむうむ、む? この考え方は過食の兆し? ……まあええか。
うまうま、うまうま。
「ニッキー」
「んむ? また口にクリームついてます? 」
「いや、鼻についてる」
「うそお、拭いてくださいまし」
「わかった」
むむむ、夢中になりすぎるのも問題だねえ。
「なあおいダンちゃんや」
「何でしょう」
「もう半分平らげてるぞ、どこに収まってんだあれ」
「さあ? ですがニッキー樣が幸せそうなら問題なしです、さあ貴方はキビキビ働いてもらいますよ」
「へーい、ところでクーちゃん見なかったか? 」
「クアフル様ですか? 存じませんが」
「……そうかー」
うまうま、うまうま。
たまにはコーヒーも飲みたいけどそこは流石に贅沢すぎるね、我慢。
「ダン殿、ニッキーがコーヒーを飲みたがっている、頼めるか」
「畏まりました」
うそでしょお?
ショート、チーズ、ブルーベリーをでんでんでん。
「なんだよこのでけえの、どんだけ砂糖使ってんだこりゃ」
モンブラン、アップル、なんか紫色の芋?、をホール状にでんでんと敷き詰めて。
それをさらにでんでんでんと三段。
「ここらへんねー、なんでか何代も前からサトウキビの栽培に鬼ほど力入れてるから砂糖はね使い放題らしいんですよ~」
「ほーん……にしても作り過ぎじゃねえか? 」
場所は変わって食堂、大きなテーブルに目茶苦茶大きなケーキと満足そうな顔のコック服のダンさん。
「いえいえ、ニッキー樣なら食べられます」
「は? マジで? 」
「マジです」
「うっそー」
「そのニッキーサマが驚いてるんだが? 」
「公爵がいらっしゃった時は毎日この量を召し上がってましたよ」
「はあ? 」
「……うそぉ」
「食べてたぞ」
「えっ」
「時間はかかっていたが山盛りのステーキや菓子類を平らげていたぞ、朝昼晩」
「えー……? あーー……」
そう、いえばー?
熱々のステーキ焼かれてたような? ちょっと多くないかしらとか思ってた? ような?
気がする~……?
「いやおい……太るぞ」
「それが目的なので 一度がっつりと脂肪をつけていただいてからでないと筋肉のつきようがありません、目指せメタボ、です」
「メタボは~ちょっとー」
「ささ、召し上がってください」
「わあいい笑顔」
グッドスマイル、グッと親指のダンさん。
「荒療治にも程があるがまあ……専門外だから口は出さないでおく」
「賢明な判断です、ニッキー樣の健康状態は毎日レポートにまとめて公爵に届けておりますのでご安心ください、お茶はストレートで、寒くなってきましたので温かいものを用意しました、エウァルド君もどうぞ」
「感謝する」
「ニッキー樣お砂糖はどっさり? それともさらに」
「スプーン一杯分でお願いします」
どんだけ甘党だと思われてんの、まあいいか、食べよう、いただきます。
「うわあ……しばらくみねえ間にジジバカになってんなぁ」
「なにか? ああ貴方はブラックでしたねはいどうぞ」
むむ! 美味しい。
「口、ついてるぞ、」
「おっと、失礼、んぐんぐ」
もちもちふわふわ、甘くて甘酸っぱくて、いいね、もう一口、二口、三口、うまうま。
大口で食べたら流石にマナー的にお下品かな、うん、ならお上品にしよう。
「ちげえよ砂糖たっぷりミルクマシマシでしか飲めねえよ」
「うわ」
「うわってなんだよ、」
「いえ、子供だなーなんて思っちゃいませんよ? 」
「思ってるじゃねえかこんにゃろー」
ちびちび……は嫌だから一口にフォークで切って、パクっと、うん美味しい。
たまに紅茶を挟むのもまたよし、それ。繰り返す。
味をしっかり感じながら咀嚼して、飲み込んで、たまに紅茶といっしょに流し込んで、うん美味しい。
「……噛んでる……よな? 飲んでねえよな? 」
「恐らく」
「それどっちの恐らくだダンちゃん、吸い込まれてくぞケーキが」
美味しいものは良いものだ、食べてる間は甘いとか美味しいとかで頭がいっぱいになって幸せになれる。
うむ、うむうむ、む? この考え方は過食の兆し? ……まあええか。
うまうま、うまうま。
「ニッキー」
「んむ? また口にクリームついてます? 」
「いや、鼻についてる」
「うそお、拭いてくださいまし」
「わかった」
むむむ、夢中になりすぎるのも問題だねえ。
「なあおいダンちゃんや」
「何でしょう」
「もう半分平らげてるぞ、どこに収まってんだあれ」
「さあ? ですがニッキー樣が幸せそうなら問題なしです、さあ貴方はキビキビ働いてもらいますよ」
「へーい、ところでクーちゃん見なかったか? 」
「クアフル様ですか? 存じませんが」
「……そうかー」
うまうま、うまうま。
たまにはコーヒーも飲みたいけどそこは流石に贅沢すぎるね、我慢。
「ダン殿、ニッキーがコーヒーを飲みたがっている、頼めるか」
「畏まりました」
うそでしょお?
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