燃え尽きた貴族が10年後療養してたら元婚約者に娶られてしまいまして

おげんや豆腐

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本編

七十七話 魔術の国からのお客様

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いち 自分と直接関係あることはとてもめんどくさい。

に 少し関係あることはちょっとだけめんどくさい、少し気になる。

さん 自分とはワンクッション置いた位置での問題はちょっと面倒だけど気にはなる。

よん 自分とは全く関係ない問題は興味すら湧かない。

さて、今の僕の問題はどれに位置してるでしょうか、多分だけどにかもしれない。

今この瞬間がけ切り撮れば僕とはそこまで関係ないけど大きくみたらとても重要……はぁ、めんどく感じる……逃げたいなあ逃避したいなあ。

そんな気持ちで目を背けて、いざ目を向けたその時は、どうせ手遅れになっている……のかな。

あぁもう、”私”は卑屈だなあ。



「にしても老けたね~アルちゃんトサカなかったら気づかなかったかも~」
「どの口が言ってんだボケナス、俺が渡した結界が無けりゃ今頃叩きのめしてたぞお前」
「やだこわーい」

まほうってすごいね、壊した壁が元通り、壊れたテーブルとかも元通り、トカゲさんのたんこぶはそのまま。

右にエウァルドさん、左にダンさんの布陣に固められて座って、テーブル挟んだ向こうに床に座ってるトカゲさんと偉そうに足組んでるニワトリ。

「で、ダンちゃんよ」
「なんでしょう、ちゃん付けやめろ」
「俺を呼んだ理由はクーちゃんがいるからか? 嬉しいサプライズだがちげえだろ? 」
「ダンちゃん」 
ダンさんをダンちゃん呼びしたぞこの人、なんか面白い。

「………まあいいでしょう、今は、確かにそうです、異形の彼については私も初めてなもので正直驚いていますしなんなら今すぐにでも叩き出したいと考えてます」
「おーこわ」
「ともかく、貴方をお呼びしたのは他でもない、我が主ニッキー様の問題を解決するために呼んだ次第です」
「ほーん、ニッキー”さま”ねえ」
なんかニワトリがこっち見てる、じとーってしてる。

「私では手に余る、いえ、魔術に長ける貴方なら解決できるだろうと思っていたのですが……おい、城で遊び呆けてたのはどう落とし前つけてくれる」
こわ。

「しゃーねーだろ、これでも帝国一の魔術師だぜぇ? 三日三晩の接待くらいうけるのも礼儀ってもんよ、おいやめろその目こええよ」
「こちとら早めに厄ネタ解決して緩やかなニッキー様の従者ライフしてえんだよ、手が出るぞ」
「使節団にくっついちまったのがなー、まあお前の頼みだし働いてやるが……報酬は? 」
「言い値で良いぜ」
「へぇ、気前がいいな」
「ニッキー様に関わることなら公爵から好きなだけ金を使って良いと交渉できてるんでな」
ダンさんすっごい悪い顔してる、

「そりゃいい、だが俺としてはそろそろ弟子とりてえんだが良い感じの魔術師に心当たりねえか? 」
「ない」
「そうかー……おい、なんだったか、ニッキーとか言ったなお前」
おや、ダンさんとのお話は終わったっぽい。

「口のきき方に気をつけろ、俺の主だぞ」
「おうわりいわりい、でよニッキーサマ」
「なんでしょう」
じっと僕を見るニワトリさんに瞬きをぱちくり。

「ん~………まあまあな逸材だな、どうだ、報酬代わりに俺の弟子にならねえか」
「でし? なんのです? 」
「そりゃあ勿論魔術師に決まってるだろ」
「……んー? いきなり言われても困りますねえ」
「そうかー、なら考えといてくれ、お前ならいい感じの魔術師になれるぜ」
「お話中のところすいませんね、いきなりなにほざいてるんです? 」
「なにって、よくよくみりゃ才能はいまいちだが研鑽はこなしてるようだしいいなって」
「はあ? ニッキー様の問題解決した報酬にニッキー様要求するとか悪魔ですか貴方は」
「ちゃんと本人の意見も尊重するし無理なら金もらうからいーぞ、たくっ……おいそこの男も、ダンちゃんみてえな戦士の眼してるが俺にそれ向けるな、シンプル怖い」
「………ちっ」
エウァルドさんもなんかこわーい。

あらトカゲさんなにしてるの? 喉乾いた? がまんしなさい。

「あーこわこわ、無理矢理なんかするようなこたあねえよ安心しろ、ようはこの呪いまみれの屋敷調べて呪われてるニッキーサマを治しゃいいんだろ? 」
「そうだ……おいまて呪われてるのかここ」
え、呪われてるのここ。

「おう、おもしれえくらいどっぷりじっくり見たことねえ呪われ方してやがる、いいねえ好きだぜーこういうよくわかんねえの」
「…………えー」
そんな呪いだのなんだの良くわかんないものなんてあるわけ……ない、ようなあるような。

まああの僕だけ入れて他の人は通れないあの扉が呪いだ~って言われたら納得するかも。

「ねえニッキー、喉乾いたー」
「我慢なさい」
「はーい」
トカゲさんは呑気だなあ、と思ったと同時に、自分も結構呑気だなあなんて思った。





呑気に考えないと卑屈になるからね、うん。





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