88 / 118
本編
七十二話 満月をひとつ
しおりを挟む
突然だが、僕が夜に寝る時はかならずカーテンを閉められている。
当然といえば当然だけど、それにしては真っ暗すぎるくらい、冬に使うような分厚いカーテンをかけられている、月明かりの一つも入ってこない。
「ねーエウァルドさーん」
「なんだ」
「たまには月明かり見ながら寝たいでーす」
ご飯を食べてお風呂に入ってパジャマに着替えて体のお手入れをしてもらって後はベッドに転がるだけ。
なのだけど欲がひとつ出てきた、夜空を眺めながら寝てみたい。
ということでお部屋の点検していたエウァルドさんに声をかけてみたわけだけど。
「ううむ……」
顎に手をおいて唸っていらっしゃる。
「だめ~? 」
「俺としてはだめではないのだが……」
「ないのだが? 」
「公爵からきつく言われていてな、防犯の面もある、すまない」
「えー」
駄目ならば仕方ない、我慢しよう。
「すまない」
「いーえー、それじゃあ、おやすみなさい」
「あぁ、おやすみ」
寝転ぶベッド脇でしょげてるエウァルドさんににっこり挨拶をして、すやあっと眠りについて。
ちょっと目を覚ました。
「……むむ」
極たまーにある、ぐっすり寝ていたのに突然目が覚めるやつ、少し困る。
明かりもなくちょっと真っ暗闇な中で目を開けても、目の前は真っ暗なまま。
仕方がない。
「エウァルドさーん」
きっとまだ起きているであろうエウァルドさんにお話相手になってもらう、そんな浅はかな魂胆を全面に出して、声をかける。
……うむ?
「エウァルドさーん? 」
部屋にいないのかしら、お手洗いかしら。
ぐぐーっと耳を澄ましてみる。
「………」
なんも聞こえない、なんも見えない。
「……エウァルドさん? 」
おやおやおや? 珍しいことこの上ない。
……ほんとに珍しい、いつもいるのに、エウァルドさん。
うん、うん? ……うむぅ、どうしよう、納得できない何故いないのだ。
きっときっと、あれだ、お手洗いとか、何か用事があって運悪く、運悪く僕が起きた? からだね、たぶんきっと、それにしても。
ちょっと不快、うむ、エウァルドさん早く帰ってきて僕のダル絡みに付き合って欲しい。
むむむ……ん? エウァルドさんかいると思って壁の方向いたけどなんか目の端が明るいような。
ちょっと寝返りをごろんと……おや、明るい。
「開いてるじゃない」
僕から一番近い場所のカーテンが大きく開いて、まあるい月がこちらを覗いている。
あんなに重たそうで分厚いカーテンが思い切り開いて、夜空が見える。
「いいねぇ……」
きっとエウァルドさんが開けてくれたんだろう窓の外、雲ひとつ無い闇に、大きくて丸い月の光が照らしてとてもとても明るい。
本当に、本当に明るい……マジで明るい。
たった一箇所しか空いてないのに部屋の中いっぱいに照らして、唯一僕が向いていあ壁際だけが薄暗い。
「まぶしっ……」
お空は綺麗だけど、寝るお供には全然向かない、休めない。
ごねてまで見ようとするものじゃないね。
暗いほう向いて、おやすみなさい。
当然といえば当然だけど、それにしては真っ暗すぎるくらい、冬に使うような分厚いカーテンをかけられている、月明かりの一つも入ってこない。
「ねーエウァルドさーん」
「なんだ」
「たまには月明かり見ながら寝たいでーす」
ご飯を食べてお風呂に入ってパジャマに着替えて体のお手入れをしてもらって後はベッドに転がるだけ。
なのだけど欲がひとつ出てきた、夜空を眺めながら寝てみたい。
ということでお部屋の点検していたエウァルドさんに声をかけてみたわけだけど。
「ううむ……」
顎に手をおいて唸っていらっしゃる。
「だめ~? 」
「俺としてはだめではないのだが……」
「ないのだが? 」
「公爵からきつく言われていてな、防犯の面もある、すまない」
「えー」
駄目ならば仕方ない、我慢しよう。
「すまない」
「いーえー、それじゃあ、おやすみなさい」
「あぁ、おやすみ」
寝転ぶベッド脇でしょげてるエウァルドさんににっこり挨拶をして、すやあっと眠りについて。
ちょっと目を覚ました。
「……むむ」
極たまーにある、ぐっすり寝ていたのに突然目が覚めるやつ、少し困る。
明かりもなくちょっと真っ暗闇な中で目を開けても、目の前は真っ暗なまま。
仕方がない。
「エウァルドさーん」
きっとまだ起きているであろうエウァルドさんにお話相手になってもらう、そんな浅はかな魂胆を全面に出して、声をかける。
……うむ?
「エウァルドさーん? 」
部屋にいないのかしら、お手洗いかしら。
ぐぐーっと耳を澄ましてみる。
「………」
なんも聞こえない、なんも見えない。
「……エウァルドさん? 」
おやおやおや? 珍しいことこの上ない。
……ほんとに珍しい、いつもいるのに、エウァルドさん。
うん、うん? ……うむぅ、どうしよう、納得できない何故いないのだ。
きっときっと、あれだ、お手洗いとか、何か用事があって運悪く、運悪く僕が起きた? からだね、たぶんきっと、それにしても。
ちょっと不快、うむ、エウァルドさん早く帰ってきて僕のダル絡みに付き合って欲しい。
むむむ……ん? エウァルドさんかいると思って壁の方向いたけどなんか目の端が明るいような。
ちょっと寝返りをごろんと……おや、明るい。
「開いてるじゃない」
僕から一番近い場所のカーテンが大きく開いて、まあるい月がこちらを覗いている。
あんなに重たそうで分厚いカーテンが思い切り開いて、夜空が見える。
「いいねぇ……」
きっとエウァルドさんが開けてくれたんだろう窓の外、雲ひとつ無い闇に、大きくて丸い月の光が照らしてとてもとても明るい。
本当に、本当に明るい……マジで明るい。
たった一箇所しか空いてないのに部屋の中いっぱいに照らして、唯一僕が向いていあ壁際だけが薄暗い。
「まぶしっ……」
お空は綺麗だけど、寝るお供には全然向かない、休めない。
ごねてまで見ようとするものじゃないね。
暗いほう向いて、おやすみなさい。
24
お気に入りに追加
3,084
あなたにおすすめの小説

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

家を追い出されたのでツバメをやろうとしたら強面の乳兄弟に反対されて困っている
香歌奈
BL
ある日、突然、セレンは生まれ育った伯爵家を追い出された。
異母兄の婚約者に乱暴を働こうとした罪らしいが、全く身に覚えがない。なのに伯爵家当主となっている異母兄は家から締め出したばかりか、ヴァーレン伯爵家の籍まで抹消したと言う。
途方に暮れたセレンは、年の離れた乳兄弟ギーズを頼ることにした。ギーズは顔に大きな傷跡が残る強面の騎士。悪人からは恐れられ、女子供からは怯えられているという。でもセレンにとっては子守をしてくれた優しいお兄さん。ギーズの家に置いてもらう日々は昔のようで居心地がいい。とはいえ、いつまでも養ってもらうわけにはいかない。しかしお坊ちゃん育ちで手に職があるわけでもなく……。
「僕は女性ウケがいい。この顔を生かしてツバメをしようかな」「おい、待て。ツバメの意味がわかっているのか!」美貌の天然青年に振り回される強面騎士は、ついに実力行使に出る?!
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。

新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?
下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。
そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。
アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。
公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。
アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。
一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。
これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。
小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる