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本編
六十九 変化の兆し
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エウァルドさんは重いけど、イケメンだなーとは前から思う、思うってだけ。
硬い感じというか、ぴしっとした雰囲気を漂わせてるし、騎士だって言う通り体が大きいし、顔は無表情ばっかりだけど身振りとか僕に向けての言葉とかが優しい。
好感度的に言えばもう少しで依存しそうって位まではある、多分
だって優しくしてくれるし、優しくしてくれるから、己の単純さよ。
しかしまあ岩とか鋼鉄とかの゙言葉が似合いそうなお城の壁でかっちり控えてそうなこの人がニッキーの婚約者ねぇ……こんな自分にこんな真面目が服着てるような人がねえ。
いやニッキーがどうかは知らないけども貴族的な約束で決まった、のかな? んで律儀にその約束を守ろうとしてるのは真面目だねえ……。
ん? なんでこんな事を考えてるのかって? そりゃもちろん目の前にエウァルドさんがいてね、いそいそと僕の腕とか脚をマッサージしてるからついついそんなことも考える。
動けないでいると体はどんどん固くなるから、だそうだけど、普通に歩けるし動けるけども5分歩いてるとベッドに回収されるのよ。
「エウァルドさん、エウァルドさん」
「どうした」
「そろそろ運動したいです」
「今日はもう十分しただろう、駄目だ」
「えー」
「もしもの事があってからでは遅い、関係性については無理に進めないが、これらに関しては妥協はしない、いいな? 」
「はーい」
五分歩いて三十分休憩をのセットを四回しかしてないじゃない。
うそ、二十分しか運動してないの自分、うそ……。
「よし、休憩にしよう」
「もうしてますがな」
サンドイッチがやってくるよ、やったね。
割と単純な感情でいると、微笑みと言うよりはニヤニヤした顔でダンさんがやってきた。
「おやおや面白いことになってすね」
「これのどこが面白いんですかやだー」
いつものように兵士の服をビシッときめていらっしゃる。
「この屋敷では中々お目にかかれない事なのでつい、詳細を簡単に聞いても? 」
もぐもぐとサンドイッチに舌鼓を打っている僕と、無駄に長くなった真っ白な髪の毛を整えてくれているエウァルドさん、ただしなんかどんよりした空気を感じている所存。
「意見の食い違いが起きましたねえ 」
「己の無遠慮さを恥じている」
どうやら負い目を感じているらしいエウァルドさんだけど、僕としてはそんな気落ちするもんかね~なんて思ったり、しなかったり。
「なるほどなるほど、まぁそういうこともあるのでしょう、仲直りはきちんとするように、私から言えることはそれだけです」
「無論だ」
「はーい」
にっこりと微笑むダンさんに頭の中で手をあげつつのんびりと返事をした。
「ところで、忙しいと言ってましたけど用事は落ち着いた感じですかね? 」
「いえいえ、全然片付いてはないのですが」
「ですが? 」
「ひとつ重要な事を伝えに参りました」
「ほほう、どんな事でしょう」
「ニッキー様のお手を煩わす事はありませんのでご安心くださいとだけ、ふふ」
「重要なこと……なんだろう」
なんも思いつかない、お金が無いは貴族だし無いし、体の具合が悪いも多分無い。
なんだろう、むむむ。
「端的に言えば、私の友人を呼びました」
「ほう、ほう……ゆうじん? 」
ダンさんのおともだち……お友達?
「現在ニッキー様の身体的虐待状態は大変よいと、このまま安定させれば来年までには自由に動き回れるだろうと言うのが公爵の見解です」
「なるほど? 」
早く元気になれると。
「身体的治療はこのまま継続するとして、私はニッキー様の内面の問題を解決しようかと思いまして」
「内面? 」
「心当たりありませんか?」
「ん~、あんまり 「あるだろう」 む? 」
あらいやだ、真横に怒った顔のエウァルドさん。
「”あの”部屋然りかなりの頻度でおかしくなる言葉と行動、誰がどう見てもおかしい事だと思うが」
「そうかなぁ」
「わからないのか? 」
「んー」
確かにあの部屋に行ってでっかいトカゲに会ったり、色々な夢を見たり、光を求めているけど別におかしい所は無いと思う……違和感を、感じる。
おかしくない、おかしくない、と思う。
おかしいのは……なんだろうね、変な感じ。
「ちょっと待ってくださいなんか変なスイッチ入りそう」
「すまない」
カチッと押したらいけない気持ちの切り替えが発生しそう、やだー。
「えぇえぇ、エウァルド君の言う通りニッキー様のその歪な点は常軌を逸している……なのでその点を中心にこの家の不自然さやクロトゥラン家やこの王国自体の歴史の隅々まで紐解いて、あわよくば何故記憶が戻らないかも調べてみようかと思いまして」
「スケールがデカいですねえ」
「これは戦場に出た私の勘ですが、貴方様のソレは生半可に手を伸ばしてはならない」
「そうですかねえ……? 」
よくわからないけども、ダンさんがそうしてくれるなら……単純だなあ。
「数日後には彼が到着しますので、気長にお待ち下さいませ」
「はーい」
よくわからないけどイキイキしてて楽しそうなダンさんににっこりと心のなかで思うニッキーなのでした、まる。
硬い感じというか、ぴしっとした雰囲気を漂わせてるし、騎士だって言う通り体が大きいし、顔は無表情ばっかりだけど身振りとか僕に向けての言葉とかが優しい。
好感度的に言えばもう少しで依存しそうって位まではある、多分
だって優しくしてくれるし、優しくしてくれるから、己の単純さよ。
しかしまあ岩とか鋼鉄とかの゙言葉が似合いそうなお城の壁でかっちり控えてそうなこの人がニッキーの婚約者ねぇ……こんな自分にこんな真面目が服着てるような人がねえ。
いやニッキーがどうかは知らないけども貴族的な約束で決まった、のかな? んで律儀にその約束を守ろうとしてるのは真面目だねえ……。
ん? なんでこんな事を考えてるのかって? そりゃもちろん目の前にエウァルドさんがいてね、いそいそと僕の腕とか脚をマッサージしてるからついついそんなことも考える。
動けないでいると体はどんどん固くなるから、だそうだけど、普通に歩けるし動けるけども5分歩いてるとベッドに回収されるのよ。
「エウァルドさん、エウァルドさん」
「どうした」
「そろそろ運動したいです」
「今日はもう十分しただろう、駄目だ」
「えー」
「もしもの事があってからでは遅い、関係性については無理に進めないが、これらに関しては妥協はしない、いいな? 」
「はーい」
五分歩いて三十分休憩をのセットを四回しかしてないじゃない。
うそ、二十分しか運動してないの自分、うそ……。
「よし、休憩にしよう」
「もうしてますがな」
サンドイッチがやってくるよ、やったね。
割と単純な感情でいると、微笑みと言うよりはニヤニヤした顔でダンさんがやってきた。
「おやおや面白いことになってすね」
「これのどこが面白いんですかやだー」
いつものように兵士の服をビシッときめていらっしゃる。
「この屋敷では中々お目にかかれない事なのでつい、詳細を簡単に聞いても? 」
もぐもぐとサンドイッチに舌鼓を打っている僕と、無駄に長くなった真っ白な髪の毛を整えてくれているエウァルドさん、ただしなんかどんよりした空気を感じている所存。
「意見の食い違いが起きましたねえ 」
「己の無遠慮さを恥じている」
どうやら負い目を感じているらしいエウァルドさんだけど、僕としてはそんな気落ちするもんかね~なんて思ったり、しなかったり。
「なるほどなるほど、まぁそういうこともあるのでしょう、仲直りはきちんとするように、私から言えることはそれだけです」
「無論だ」
「はーい」
にっこりと微笑むダンさんに頭の中で手をあげつつのんびりと返事をした。
「ところで、忙しいと言ってましたけど用事は落ち着いた感じですかね? 」
「いえいえ、全然片付いてはないのですが」
「ですが? 」
「ひとつ重要な事を伝えに参りました」
「ほほう、どんな事でしょう」
「ニッキー様のお手を煩わす事はありませんのでご安心くださいとだけ、ふふ」
「重要なこと……なんだろう」
なんも思いつかない、お金が無いは貴族だし無いし、体の具合が悪いも多分無い。
なんだろう、むむむ。
「端的に言えば、私の友人を呼びました」
「ほう、ほう……ゆうじん? 」
ダンさんのおともだち……お友達?
「現在ニッキー様の身体的虐待状態は大変よいと、このまま安定させれば来年までには自由に動き回れるだろうと言うのが公爵の見解です」
「なるほど? 」
早く元気になれると。
「身体的治療はこのまま継続するとして、私はニッキー様の内面の問題を解決しようかと思いまして」
「内面? 」
「心当たりありませんか?」
「ん~、あんまり 「あるだろう」 む? 」
あらいやだ、真横に怒った顔のエウァルドさん。
「”あの”部屋然りかなりの頻度でおかしくなる言葉と行動、誰がどう見てもおかしい事だと思うが」
「そうかなぁ」
「わからないのか? 」
「んー」
確かにあの部屋に行ってでっかいトカゲに会ったり、色々な夢を見たり、光を求めているけど別におかしい所は無いと思う……違和感を、感じる。
おかしくない、おかしくない、と思う。
おかしいのは……なんだろうね、変な感じ。
「ちょっと待ってくださいなんか変なスイッチ入りそう」
「すまない」
カチッと押したらいけない気持ちの切り替えが発生しそう、やだー。
「えぇえぇ、エウァルド君の言う通りニッキー様のその歪な点は常軌を逸している……なのでその点を中心にこの家の不自然さやクロトゥラン家やこの王国自体の歴史の隅々まで紐解いて、あわよくば何故記憶が戻らないかも調べてみようかと思いまして」
「スケールがデカいですねえ」
「これは戦場に出た私の勘ですが、貴方様のソレは生半可に手を伸ばしてはならない」
「そうですかねえ……? 」
よくわからないけども、ダンさんがそうしてくれるなら……単純だなあ。
「数日後には彼が到着しますので、気長にお待ち下さいませ」
「はーい」
よくわからないけどイキイキしてて楽しそうなダンさんににっこりと心のなかで思うニッキーなのでした、まる。
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