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本編
六十三話 思う事と 認識のズレ
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「では私はすこし離れますが公爵、馬車がきているそうです、お急ぎください」
「う、うむ」
恭しく頭を下げたダンさんは真面目な顔で廊下に出て行った。
「……ダンさんはどちらに? 」
「あの部屋だろう」
「へや? 」
当然気になった僕も疑問に答えたのはお父様ではなく、エウァルドさん。
「部屋かでてこないお前を心配するあまり公爵は扉を無意味に叩きまくっていたが、ダン殿は警備を呼び寄せ木材を用意するよう言っていた、恐らく扉そのものを封鎖するつもりだろう」
「……ええ」
塞いじゃうのか、あそこ。
「不服か? 」
「ちょっとだけ」
少し眉間に皺を寄せた横の人に頷くと、皺がちょっと増える。
「そうか、悪いが俺たちはその気持ちを無視させて貰う、そうだろう公爵」
「へ」
「 ああそうだとも、前々から思っていたがニッキー」
「はいなんでしょう」
「お前には危機感が足りてないと思うのだよ、」
「いやそんなことは 「足りてないぞ」 うそお」
お父様だけじゃなくエウァルドさんにまで、悲しい。
「そもそも、危機感がある者は帰れるかどうかも怪しい危険な場所に近づこうとしない、私なら考えることもおぞましい思うがね」
「ん~……」
「あんな危険な部屋が何故存在するのやら……、無事に帰ってきたのも奇跡に等しい」
「ああ、なるほど」
「わかってくれたか」
「いえ、ぜんぜん」
「なにっ」
えーっとね、なんかね、違う気がするの。
「ただちょっとなんでなのかが分かったというか、ちょっとまってくださいね、頭の整理します」
「いやまてまて、話が見えん、なにが言いたいのだね」
「あのですね」
明確にお父様達と僕の、そうそう、考え、認識違うことだけはわかった。
なにがどうっていうのをこう、ちゃんと考えて、一個ずつ単語を並べていこうそうしよう。
「お父様やエウァルドさん達は、あの部屋を危険なものと認識している? 」
「ああそうだ、そうだね? エウァルド君」
「ああ、肝が冷えた」
「ですね……あの部屋には近づかない方が良いって言うのが結論、みたいな感じであってます? 」
「ああ、細かな違いがあるがそうだ、その話を今しているのだろう」
「なるほどー、分かりました」
「ほんとうかねえ?」
「ええ、たぶん」
「ふあんだな」
「しばしお待ちを」
「んんー? 」
訝しむお父様は置いといて、、目を閉じて今聞いた内容と自分の感情を比べます、比較、言語化、分析。
「……なにを考えているんだ? 」
「わからん」
「分かりました」
「おっと」
理解、理解、理解。
頭の中で、思考の中で結論が出た、よし、なんて伝えようか。
「んーと、ですね、そもそもというか、根本的に多分、僕とお父様達で認識のずれがあるんですよ、多分」
「いきなりなんだというのは無粋か……なぜそう思うのだね?」
「思うも何もあれです、知っていることの差です、僕はあの部屋がなんなのかはある程度”知っている”けど、お父様達はあんまり”知らない”から警戒をしている、みたいな? 」
「ふむ、考慮に値するものだな、続けてくれ」
足を組んでギラって目をするお父様、見るの初めて。
「それでですね、あの部屋に僕とかが入れる理由は、たしか屋敷を作ったひと? が僕たち専用にってことで特別な感じにしたらしくって、クロトゥランの長男が安心して過ごせる場所らしいです、実際僕としてはあそこにずっといたいなーってリラックスしてました」
「それは……自称わたしの兄のトカゲ男から聞いたのだな? 」
「間違ってないと見てますね、僕は」
「……はあ、そうか」
トカゲさんのことは信じてないっぽいね、僕とは関係ないし別にいいけど、意見が通りそうなのって気持ちがいいね。
「……思いのほかまともだな、それで? お前からみてあの部屋はなんなのかね?」
ため息をついて頭ぼりぼりしたお父様の問いに僕はにこやかに頭の中でだした結論をだす。
「安らかに死ぬ場所? ですね、うん、気持ちよく寝れそう」
「「はあ? 」」
ん?
「え、なんか間違えました? 」
「はああぁ~……ニッキーおまえはさあ……」
「え、なんです? 」
答えはあってるはずよ?
「ああーなんだ、エウァルド君、どうやら我が愛する息子は感情に難があるようだ、私はしばらく助けてやれないが力になってやってくれ」
「了解した」
「え、悪口? 」
「事実だこのおおばかもん!! 死ぬ場所と聞いてだれが安心できるのだね阿呆!」
「うわひっど」
「やかましい! 」
なんでこんな怒られてるのか理解できないけどなにか食い違いが起こってるのとシンプル暴言吐かれた、傷つきますわーこれー。
……もしや結構重大なことな気もしないでもないけどこれは……また今度ちゃんと考えよ、うん。
考えよう、前向きに。
「う、うむ」
恭しく頭を下げたダンさんは真面目な顔で廊下に出て行った。
「……ダンさんはどちらに? 」
「あの部屋だろう」
「へや? 」
当然気になった僕も疑問に答えたのはお父様ではなく、エウァルドさん。
「部屋かでてこないお前を心配するあまり公爵は扉を無意味に叩きまくっていたが、ダン殿は警備を呼び寄せ木材を用意するよう言っていた、恐らく扉そのものを封鎖するつもりだろう」
「……ええ」
塞いじゃうのか、あそこ。
「不服か? 」
「ちょっとだけ」
少し眉間に皺を寄せた横の人に頷くと、皺がちょっと増える。
「そうか、悪いが俺たちはその気持ちを無視させて貰う、そうだろう公爵」
「へ」
「 ああそうだとも、前々から思っていたがニッキー」
「はいなんでしょう」
「お前には危機感が足りてないと思うのだよ、」
「いやそんなことは 「足りてないぞ」 うそお」
お父様だけじゃなくエウァルドさんにまで、悲しい。
「そもそも、危機感がある者は帰れるかどうかも怪しい危険な場所に近づこうとしない、私なら考えることもおぞましい思うがね」
「ん~……」
「あんな危険な部屋が何故存在するのやら……、無事に帰ってきたのも奇跡に等しい」
「ああ、なるほど」
「わかってくれたか」
「いえ、ぜんぜん」
「なにっ」
えーっとね、なんかね、違う気がするの。
「ただちょっとなんでなのかが分かったというか、ちょっとまってくださいね、頭の整理します」
「いやまてまて、話が見えん、なにが言いたいのだね」
「あのですね」
明確にお父様達と僕の、そうそう、考え、認識違うことだけはわかった。
なにがどうっていうのをこう、ちゃんと考えて、一個ずつ単語を並べていこうそうしよう。
「お父様やエウァルドさん達は、あの部屋を危険なものと認識している? 」
「ああそうだ、そうだね? エウァルド君」
「ああ、肝が冷えた」
「ですね……あの部屋には近づかない方が良いって言うのが結論、みたいな感じであってます? 」
「ああ、細かな違いがあるがそうだ、その話を今しているのだろう」
「なるほどー、分かりました」
「ほんとうかねえ?」
「ええ、たぶん」
「ふあんだな」
「しばしお待ちを」
「んんー? 」
訝しむお父様は置いといて、、目を閉じて今聞いた内容と自分の感情を比べます、比較、言語化、分析。
「……なにを考えているんだ? 」
「わからん」
「分かりました」
「おっと」
理解、理解、理解。
頭の中で、思考の中で結論が出た、よし、なんて伝えようか。
「んーと、ですね、そもそもというか、根本的に多分、僕とお父様達で認識のずれがあるんですよ、多分」
「いきなりなんだというのは無粋か……なぜそう思うのだね?」
「思うも何もあれです、知っていることの差です、僕はあの部屋がなんなのかはある程度”知っている”けど、お父様達はあんまり”知らない”から警戒をしている、みたいな? 」
「ふむ、考慮に値するものだな、続けてくれ」
足を組んでギラって目をするお父様、見るの初めて。
「それでですね、あの部屋に僕とかが入れる理由は、たしか屋敷を作ったひと? が僕たち専用にってことで特別な感じにしたらしくって、クロトゥランの長男が安心して過ごせる場所らしいです、実際僕としてはあそこにずっといたいなーってリラックスしてました」
「それは……自称わたしの兄のトカゲ男から聞いたのだな? 」
「間違ってないと見てますね、僕は」
「……はあ、そうか」
トカゲさんのことは信じてないっぽいね、僕とは関係ないし別にいいけど、意見が通りそうなのって気持ちがいいね。
「……思いのほかまともだな、それで? お前からみてあの部屋はなんなのかね?」
ため息をついて頭ぼりぼりしたお父様の問いに僕はにこやかに頭の中でだした結論をだす。
「安らかに死ぬ場所? ですね、うん、気持ちよく寝れそう」
「「はあ? 」」
ん?
「え、なんか間違えました? 」
「はああぁ~……ニッキーおまえはさあ……」
「え、なんです? 」
答えはあってるはずよ?
「ああーなんだ、エウァルド君、どうやら我が愛する息子は感情に難があるようだ、私はしばらく助けてやれないが力になってやってくれ」
「了解した」
「え、悪口? 」
「事実だこのおおばかもん!! 死ぬ場所と聞いてだれが安心できるのだね阿呆!」
「うわひっど」
「やかましい! 」
なんでこんな怒られてるのか理解できないけどなにか食い違いが起こってるのとシンプル暴言吐かれた、傷つきますわーこれー。
……もしや結構重大なことな気もしないでもないけどこれは……また今度ちゃんと考えよ、うん。
考えよう、前向きに。
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