燃え尽きた貴族が10年後療養してたら元婚約者に娶られてしまいまして

おげんや豆腐

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本編

断章 書庫姫

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男女の恋愛要素があります、苦手な方は読み飛ばしてくださいませ。



★★★


月の獅子に愛された国にはかつて、貴族の令嬢でありながら、有名な恋愛作家がいた。


王都の図書館に数週間過ごしたかと思えば、様々な国に行き、物語の刺激となるものを集めていた。


東の国の慎ましさを慈しみ、優雅な物語を。
西の国の情熱さを称え壮大で喜劇な物語を。

最後は必ず幸せに暮らしましたと、終わらせ、また新しい作品を作る。

思いのままに時をかけて作り上げた彼女の作品に惚れ込んだ者は数知れない。


社交の場にはあまり出ず、自宅の書庫にて作品を作り続けるその様子を夜会の心ない令嬢たちは【書庫姫】と呼んだ。

【書庫姫】という名はいつの間に街に広がり、彼女の耳に入ったが、特に気にした様子もなくあろうことか、作者の名として採用してしまったという。


国内外多くの愛読者の多い彼女にはひとつの問題があった。

結婚である。


筆を取る事に熱中するあまり、決められていた婚約者にいつの間にやら婚約を破棄され、親族王族に慰められて漸く気付いた。

そしてそのまま気が付けば24歳という適齢期から大きく過ぎていたのであった。

収入があり、一人で生活できるため無理して結婚をする必要がなく。

愛読者の中に国の王族が多くいることで陰湿な陰口や嫌がらせをされることも少ない彼女はこのまま本を書き続けるのだろう気にもとめず、勤しんでいたのだが。


なんと急に出来てしまったのである。


幾人かの護衛を連れ彼女が他国に取材に出掛けていた時丁度開かれていた戦功者を称える式典にて、彼女を欲しいと願う男がいたのだ。




取材を終え、彼女が帰宅したときに出迎えたのは一人の騎士。

王の力により作られた夫婦の証明書を持った一人の男だった。






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