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本編
二十二話 ひとまず朝食を取り 父親は熱く語る
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「どうだ、今日の朝食は」
涙を流してる男の人は置いといて、ご飯を食べている。
育ち盛りかどうかはさておいて、お腹が鳴ってしまったのだから仕方がない、腹が空いてはなんとやら、だね。
「とっても美味しいです」
「そうだろうそうだろう、今日はよいキノコが採れたからな」
エプロンをつけたお父様と僕の右隣に控えるダンさん。
そして左真横でジッと僕を見るエウァルトさんの視線が痛いほど感じるけど不快では無いから無視。
肉厚熱々のステーキにキノコのパスタがついてきてボリュームたっぷり。
「近くの森にだけ生えるキノコがあってな毒はあるが栄養が豊富でとても気に入ってるんだ」
「へえ毒が……毒ですと?」
朝食に食べるものではないけど凄い美味しい、特にこのコリコリしててちょっと大きなキノコが良い……うん毒ね。
うん?
「毒抜きは完璧に済ませてある、大丈夫だ」
「……ううん、そういう話じゃないような」
毒抜きは完璧だけど毒キノコででも美味しくて、うーん、とりあえずもう一口、うむ美味しい。
お肉が大味なのに対してパスタは少しぴりりと辛くて
口の中のパスタを腹に収め、お父様をみればにこにこと笑っている。
「ちなみに……毒抜きの工程はどんな感じで?」
「ん? 気になるのか?」
「ええ、ロマンを感じます」
正直考え方としては下の下なんだろうけど、多分大抵の毒はどうにでもなるという自信がある。
毒が怖いとかそんなもの食べさせるなんてとかネガティブな感情はあるにはあるけど。
何故か毒という言葉の響きに魅力を感じた。
なんか、具体的には分からないけどかっこいい気がする。
「ほう! それは大変素晴らしい」
笑顔だったお父様が凄く嬉しそうに笑みを深めて、懐からパスタに入っているのと同じキノコを取り出した、なんで持ってるの。
「簡単に言うとだな、このキノコは多少煮ても中の栄養がほとんど抜けなくてな、その特性を利用して30分きっかり煮込み水気を切ったら別のキノコと共に三分煮れば安全に食べれるのだよ、覚えておくと良い」
「成る程……でもそこまでして食べなくて良いと思うような」
「そうだな、だが美味だろう?」
「それは、まぁ」
すんごい美味しい。
「どんなに毒があろうが味と食感が良いのならどんな手を尽くしてでも口に入れる、楽しいぞ~? 」
「あー……確かに~」
美味しいものは何でも食べたいと思えるからちょっとだけ分かる。
「手間をかけ試行錯誤をして美味なる物を得たときの達成感はたまらんからな、どうだ、もう少し体が良くなったらそういった研究の一つでも」
「公爵」
「うぉ!? 」
「御歓談中の所申し訳ありませんが、ニッキー様に教育によろしくない事を吹き込まれますと困ります」
「なんだとう?! なんだその顔は! 」
「このままこの話が続くのなら少し怖い顔をしなければいけないなと」
「意味がわからん!」
「ちょっと面白いですねそれ」
「面白く等ない! 」
びっくりした顔のお父様がダンさんを見てぎゃーぎゃー言ってるけど、僕からはダンさんの顔が見えない。
どんな顔なのか少し気になるけど食事中だしいいや。
うん、美味しい。
お肉は少し冷めちゃったけど柔らかくて美味。
お肉を食べて、舌が飽きてきたら味が全くちがうパスタを食べて、パスタに飽きてきたらお肉を食べて、好きなように食べて、うむ、この繰り返しは中々良い。
休憩がてらお水を飲んで、よし、食べるぞー。
「……少し良いか」
「む?」
なんでい人が楽しんでる所に……エウァルドさん?
「なんでしょう」
お父様なら文句言ってダンさんなら……まぁ従うけど、エウァルトさんとまともに会話をするのはこれが初、真面目に聞こうではないか、うむうむ。
「ここだ、ここ」
「へ? 」
エウァルドさん、自分の頬を指差している? ん?
あ、ハンカチ取り出した。
「少し失礼する」
「む? ほふ」
理僕の頬にハンカチを当てて拭って、満足げに頷いている。
「食べているところすまん、頬にソースがついていた」
「あ……ありがとうございます」
あらやだ恥ずかしい。
涙を流してる男の人は置いといて、ご飯を食べている。
育ち盛りかどうかはさておいて、お腹が鳴ってしまったのだから仕方がない、腹が空いてはなんとやら、だね。
「とっても美味しいです」
「そうだろうそうだろう、今日はよいキノコが採れたからな」
エプロンをつけたお父様と僕の右隣に控えるダンさん。
そして左真横でジッと僕を見るエウァルトさんの視線が痛いほど感じるけど不快では無いから無視。
肉厚熱々のステーキにキノコのパスタがついてきてボリュームたっぷり。
「近くの森にだけ生えるキノコがあってな毒はあるが栄養が豊富でとても気に入ってるんだ」
「へえ毒が……毒ですと?」
朝食に食べるものではないけど凄い美味しい、特にこのコリコリしててちょっと大きなキノコが良い……うん毒ね。
うん?
「毒抜きは完璧に済ませてある、大丈夫だ」
「……ううん、そういう話じゃないような」
毒抜きは完璧だけど毒キノコででも美味しくて、うーん、とりあえずもう一口、うむ美味しい。
お肉が大味なのに対してパスタは少しぴりりと辛くて
口の中のパスタを腹に収め、お父様をみればにこにこと笑っている。
「ちなみに……毒抜きの工程はどんな感じで?」
「ん? 気になるのか?」
「ええ、ロマンを感じます」
正直考え方としては下の下なんだろうけど、多分大抵の毒はどうにでもなるという自信がある。
毒が怖いとかそんなもの食べさせるなんてとかネガティブな感情はあるにはあるけど。
何故か毒という言葉の響きに魅力を感じた。
なんか、具体的には分からないけどかっこいい気がする。
「ほう! それは大変素晴らしい」
笑顔だったお父様が凄く嬉しそうに笑みを深めて、懐からパスタに入っているのと同じキノコを取り出した、なんで持ってるの。
「簡単に言うとだな、このキノコは多少煮ても中の栄養がほとんど抜けなくてな、その特性を利用して30分きっかり煮込み水気を切ったら別のキノコと共に三分煮れば安全に食べれるのだよ、覚えておくと良い」
「成る程……でもそこまでして食べなくて良いと思うような」
「そうだな、だが美味だろう?」
「それは、まぁ」
すんごい美味しい。
「どんなに毒があろうが味と食感が良いのならどんな手を尽くしてでも口に入れる、楽しいぞ~? 」
「あー……確かに~」
美味しいものは何でも食べたいと思えるからちょっとだけ分かる。
「手間をかけ試行錯誤をして美味なる物を得たときの達成感はたまらんからな、どうだ、もう少し体が良くなったらそういった研究の一つでも」
「公爵」
「うぉ!? 」
「御歓談中の所申し訳ありませんが、ニッキー様に教育によろしくない事を吹き込まれますと困ります」
「なんだとう?! なんだその顔は! 」
「このままこの話が続くのなら少し怖い顔をしなければいけないなと」
「意味がわからん!」
「ちょっと面白いですねそれ」
「面白く等ない! 」
びっくりした顔のお父様がダンさんを見てぎゃーぎゃー言ってるけど、僕からはダンさんの顔が見えない。
どんな顔なのか少し気になるけど食事中だしいいや。
うん、美味しい。
お肉は少し冷めちゃったけど柔らかくて美味。
お肉を食べて、舌が飽きてきたら味が全くちがうパスタを食べて、パスタに飽きてきたらお肉を食べて、好きなように食べて、うむ、この繰り返しは中々良い。
休憩がてらお水を飲んで、よし、食べるぞー。
「……少し良いか」
「む?」
なんでい人が楽しんでる所に……エウァルドさん?
「なんでしょう」
お父様なら文句言ってダンさんなら……まぁ従うけど、エウァルトさんとまともに会話をするのはこれが初、真面目に聞こうではないか、うむうむ。
「ここだ、ここ」
「へ? 」
エウァルドさん、自分の頬を指差している? ん?
あ、ハンカチ取り出した。
「少し失礼する」
「む? ほふ」
理僕の頬にハンカチを当てて拭って、満足げに頷いている。
「食べているところすまん、頬にソースがついていた」
「あ……ありがとうございます」
あらやだ恥ずかしい。
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