燃え尽きた貴族が10年後療養してたら元婚約者に娶られてしまいまして

おげんや豆腐

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本編

十三話 穏やかな暮らしとささやかな刺激 あとお風呂

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ネガティブな考えをうだうだジメジメ悩み三日……疲れたからやめようと思う。

小難しく考えるからいけない、こうなんか良い感じに過ごそう、ご飯のこととか考えていれば、多分大丈夫。



「おはようございますニッキー様、お手伝いしますね」
「はい……おはよう」
この先の不安を過剰に考えても体に悪いという結論に至った今日の朝、寝ぼけてる中お父様の手厚い検査を受け、ダンさんに手伝って貰い起きて、しばらく何もない壁無心で見つめる。

ああ~……、なんかいい感じがする。


「ニッキー様、ニッキー様」
「はいー、なんでしょう」
「壁をずっと見ていますが、もし体調が優れなければ当主様を」
「いえ、壁見てると和むので」
「……失礼いたしました」
「いえー」
……鼻から大きく息を吐きだして、もう一度壁を見る。


本は読み終わってしまい、朝から読みたいという熱は冷めて、やりたいことが無くなってしまった……悪いことではないからゆっくりと新しいことを探せばいいよね。


「待たせてすまないニッキー!! 今日はよい合鴨を仕入れステーキにしてみたぞ!」
「え、朝からステーキ……?」
「うむ! 味付けは軽くしたからお前なら大丈夫だ!」
「その信頼いらないです」
「うむ!」
うむじゃない。

鼻歌を謳いながらワゴンを押してきたお父様に驚き、その上に乗っている料理に更に驚き、ボリュームに絶句する。

「さっ、少し多く作ってしまったがたんと召し上がれ!」
「……よろこんで」
お肉これすんごい大きいじゃないの、サラダもついて大きいパンもついて……え、朝食? とりあえず一口、うん、すんごい美味しい。

若干独特な肉の味もソースでいい感じになってて自分好みで朝食に食べるメニューじゃない点さえみなければ最高。

カットされたお肉を一口、足りないからもう一口たべて、くどくなってきたらサラダでさっぱり、たまにパンを食べて、味に集中食べている間は何も考えずに済む……たのしい。


「さてニッキー! 」
「む、なんでしょう」
「今日は風呂に入ろうではないか! 」
「お風呂、ですか? 」
お風呂とな……湯船に入って体を効率的に温めれてリラックスもできるあれ? ほうほうほう……入ったことないけど楽しそう。


「いつも拭くだけでは楽しくないだろうと思ってな、好きだろう? 」
「良いですねえお風呂、ゆっくりしたいです」
いつもベッドの上にいたから疲れらしい疲れはないけど気分転換には最適すぎて、わくわくしてきた。
のんびりとした一日にもこういう刺激は大事だね、うん、嬉しくて食欲も出てきた気がする。



「体力は正直目も当てられん程だが気分転換によいだろう、花を浮かべ流行りの入浴剤を入れ冷たいジュースでも飲んで存分に楽しもうではないか、私と」
「え”」
今日は楽しく過ごせそうだなと思いながら口の中のものを飲み込んで、お父様の最後の言葉に固まる。


「え……ん?_ ちょっとあの」
「詳しくは食事を終えてからにしようか」
「え」
「さ、残ったら私が食べるから思う冷める前に存分味わってくれ」
「え、あ……はい、……まあいいか」
「うむ!」
ん~難しく考えない難しく考えない、……ごはん美味しい!



「……いや、私だけではだめだな」
「んぐ?」
なにをしようとしてるのかな……。

「ダン、手伝ってくれるか」
「ん?!」
え?!

「畏まりました」
「んぐ、あの、どういうことで……?」
どんどん進む話に慌てて聞けば、お父様はにこりと笑う。


「なに、体力のない今のお前ではなにをどう頑張っても一人では入れぬからな、私が手伝おうと思ったのだがさすがに歳でな、もしもの事もある故、のあるダンの手も借りようかと思ってな」
「え……あ~」
まあ、うん、正論でぐうの音もでないです、はい。

「ん~? なんだ、一人で入りたかったのか? 残念だがもう少し力をつけてからだぞ? 」
「はい~……」
「くくっ、そう落ち込まないでくれ、侍女でもつけるか?」
「勘弁してください」
「だろうな、さあ、水を飲むといい」
ニコニコと笑うお父様の顔がすんごく邪悪にみえるのは気のせいではない、言い返せないのもなんか理不尽だし、この人意地悪!! 助けてダンさん! あ、ダンさんも一緒だった、悲しい!! 







★★★

遅くなりました! 読んで頂きありがとうございます!


蛇足

ニッキーの心情

序盤   悩みなんて知らない(´・ω・`)

ステーキを見て  (´・ω・`)ナンダコレ

食べて (´ω`*オイシイ)

風呂の話  (´ω`*ハピネス)

風呂に父がついてくると聞いて ( ・ω・)エェ

ダンさんもついてくる(;・ω・)エェ


次回 風呂  です!







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