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本編

五話 行動は出会いを生む

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真っ暗な空間の中、大きなベッドが真っ白なスポットライトの当てられ、そこに苦しんでいる僕がいた。


夢を見ている。



汗を流して、顔色の悪い僕は唸されて真っ白な髪を振りみ出して痛みに耐えている。


そんな僕を、僕は暗闇の中からジッと見ている。

食い入るように、汗の一滴も見逃さない勢いで。

目を大きく、大きく開けて、なにかを思って見ている。


ふと、僕を見る僕がこれは夢なんだと分かった瞬間、感じたのは焦りでも恐怖でもなく純粋な……。





「ここを開けてください!! ニッキー様!!」
「……」
「ニッキー様!!」

もう少し寝たいな……静かにして欲しい。

「んん……んん? 」
うるさい、ほんとうにうるさい。

背中の扉からすごい振動と女性の悲痛な声。


「ううう……い、たい」
「っ! ニッキー様!? わたくしでございます! メルディアでございます! 」
騒々しい音と声に意識が強引に覚めて、体を動かそうと腰を動かして呻く。


それにしても誰だろう……怖いな、……ニッキー様とは何方だ。



この扉を叩いている人がメルディアさんで良いと思うけどどうしよう。

シンプルに怖い。

ここは息を殺してゆっくりとベッドに、あ……変なとこで寝たから鼻が……へっくちっ!


「やっべ……」
「ニッキー様!? 」
やだあ……ばれた、てかニッキー様ってだれ。


「どうしたメルディア、そこはニッキー様のお部屋だろう」
「良い所に、ニッキー様の声がして、多分扉の向こうにいるのだけど反応をいただけなくて、どうすれば良いのかしら……」
扉の向こうの人が反応されて背筋に冷たいものがはしる、それに男の声と新しい足音が近づいてきて……メルディアさんらしき人に声をかけている。

どうしようか。



「……どうしようか」
扉越しに二人の会話がうっすらと聞こえるけど……この人達の言っているニッキー様とはだれなのか疑問が尽きない。


この状態でベッドまで行くのは憚られるしで困るなあ……でもここに来てずっと欲してた人の気配に少し喜んでる自分もいる。
扉を開けて外の人と触れ合いたいけど……ニッキー様という人がなんなのかわからないから出られない。



さてどうしようか……と、悩むしびっくりしているけど、少し出るのは怖いけど……このまま引きこってたらこの人達ともう触れ合えないかもしれない。

リハビリしている間ずっと寂しすぎて苦しんでいたし……とにかく誰かに会いたいって嘆いていた。



「よい……しょ」
起きてから少し時間が経って足に力が入る。

扉を支えに腕に力を入れて、ゆっくりと時間をかけて立ち上がり、荒くなった息を整えて……良し。


ドアノブを掴み、恐る恐る引っ張ると昨日見た日光に目を細めて、少しだけ顔をだす。


「……ど、どうも」
「ニッキー様! ああなんてお姿に……!!」
様子を見ようとしたと途端、僕を見た女性が悲痛な顔をして顔を覆った。

「えっ」
「っ……お見苦しい姿を見せてしまい誠に申し訳ございませんニッキー様 少々お待ちいただいても」
侍女の仕事服を着た茶髪の綺麗な女性と、騎士の服を着た精悍な白髪混じりの男性が扉から近い場所。


「あ、はい……」
「よいしょ……では、そのまま」
目の前で膝から崩れ落ちた女性を慌てて支えた男性が申し訳なさそうに僕に言い、女性を抱きあげて走って行った。

えーっと、分からなくて怖いなあ。


その場に少し立っていると、走って戻って来た男性は頭が真っ白で固まる僕に騎士の礼をすると口元に笑みを浮かべ言った。


「お待たせしました、お部屋にご案内致しますのでどうぞこちらに」
「え、あっはい……はい?」
ここに来て初めての人と出会ったインパクトを超えて何がなんだかわからない僕は男性に誘われるまま差し出された手を取った。



取りあえず……ニッキー様は一体誰なんだろう。




















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