11 / 118
本編
五話 行動は出会いを生む
しおりを挟む
真っ暗な空間の中、大きなベッドが真っ白なスポットライトの当てられ、そこに苦しんでいる僕がいた。
夢を見ている。
汗を流して、顔色の悪い僕は唸されて真っ白な髪を振りみ出して痛みに耐えている。
そんな僕を、僕は暗闇の中からジッと見ている。
食い入るように、汗の一滴も見逃さない勢いで。
目を大きく、大きく開けて、なにかを思って見ている。
ふと、僕を見る僕がこれは夢なんだと分かった瞬間、感じたのは焦りでも恐怖でもなく純粋な……。
「ここを開けてください!! ニッキー様!!」
「……」
「ニッキー様!!」
もう少し寝たいな……静かにして欲しい。
「んん……んん? 」
うるさい、ほんとうにうるさい。
背中の扉からすごい振動と女性の悲痛な声。
「ううう……い、たい」
「っ! ニッキー様!? わたくしでございます! メルディアでございます! 」
騒々しい音と声に意識が強引に覚めて、体を動かそうと腰を動かして呻く。
それにしても誰だろう……怖いな、……ニッキー様とは何方だ。
この扉を叩いている人がメルディアさんで良いと思うけどどうしよう。
シンプルに怖い。
ここは息を殺してゆっくりとベッドに、あ……変なとこで寝たから鼻が……へっくちっ!
「やっべ……」
「ニッキー様!? 」
やだあ……ばれた、てかニッキー様ってだれ。
「どうしたメルディア、そこはニッキー様のお部屋だろう」
「良い所に、ニッキー様の声がして、多分扉の向こうにいるのだけど反応をいただけなくて、どうすれば良いのかしら……」
扉の向こうの人が反応されて背筋に冷たいものがはしる、それに男の声と新しい足音が近づいてきて……メルディアさんらしき人に声をかけている。
どうしようか。
「……どうしようか」
扉越しに二人の会話がうっすらと聞こえるけど……この人達の言っているニッキー様とはだれなのか疑問が尽きない。
この状態でベッドまで行くのは憚られるしで困るなあ……でもここに来てずっと欲してた人の気配に少し喜んでる自分もいる。
扉を開けて外の人と触れ合いたいけど……ニッキー様という人がなんなのかわからないから出られない。
さてどうしようか……と、悩むしびっくりしているけど、少し出るのは怖いけど……このまま引きこってたらこの人達ともう触れ合えないかもしれない。
リハビリしている間ずっと寂しすぎて苦しんでいたし……とにかく誰かに会いたいって嘆いていた。
「よい……しょ」
起きてから少し時間が経って足に力が入る。
扉を支えに腕に力を入れて、ゆっくりと時間をかけて立ち上がり、荒くなった息を整えて……良し。
ドアノブを掴み、恐る恐る引っ張ると昨日見た日光に目を細めて、少しだけ顔をだす。
「……ど、どうも」
「ニッキー様! ああなんてお姿に……!!」
様子を見ようとしたと途端、僕を見た女性が悲痛な顔をして顔を覆った。
「えっ」
「っ……お見苦しい姿を見せてしまい誠に申し訳ございませんニッキー様 少々お待ちいただいても」
侍女の仕事服を着た茶髪の綺麗な女性と、騎士の服を着た精悍な白髪混じりの男性が扉から近い場所。
「あ、はい……」
「よいしょ……では、そのまま」
目の前で膝から崩れ落ちた女性を慌てて支えた男性が申し訳なさそうに僕に言い、女性を抱きあげて走って行った。
えーっと、分からなくて怖いなあ。
その場に少し立っていると、走って戻って来た男性は頭が真っ白で固まる僕に騎士の礼をすると口元に笑みを浮かべ言った。
「お待たせしました、お部屋にご案内致しますのでどうぞこちらに」
「え、あっはい……はい?」
ここに来て初めての人と出会ったインパクトを超えて何がなんだかわからない僕は男性に誘われるまま差し出された手を取った。
取りあえず……ニッキー様は一体誰なんだろう。
夢を見ている。
汗を流して、顔色の悪い僕は唸されて真っ白な髪を振りみ出して痛みに耐えている。
そんな僕を、僕は暗闇の中からジッと見ている。
食い入るように、汗の一滴も見逃さない勢いで。
目を大きく、大きく開けて、なにかを思って見ている。
ふと、僕を見る僕がこれは夢なんだと分かった瞬間、感じたのは焦りでも恐怖でもなく純粋な……。
「ここを開けてください!! ニッキー様!!」
「……」
「ニッキー様!!」
もう少し寝たいな……静かにして欲しい。
「んん……んん? 」
うるさい、ほんとうにうるさい。
背中の扉からすごい振動と女性の悲痛な声。
「ううう……い、たい」
「っ! ニッキー様!? わたくしでございます! メルディアでございます! 」
騒々しい音と声に意識が強引に覚めて、体を動かそうと腰を動かして呻く。
それにしても誰だろう……怖いな、……ニッキー様とは何方だ。
この扉を叩いている人がメルディアさんで良いと思うけどどうしよう。
シンプルに怖い。
ここは息を殺してゆっくりとベッドに、あ……変なとこで寝たから鼻が……へっくちっ!
「やっべ……」
「ニッキー様!? 」
やだあ……ばれた、てかニッキー様ってだれ。
「どうしたメルディア、そこはニッキー様のお部屋だろう」
「良い所に、ニッキー様の声がして、多分扉の向こうにいるのだけど反応をいただけなくて、どうすれば良いのかしら……」
扉の向こうの人が反応されて背筋に冷たいものがはしる、それに男の声と新しい足音が近づいてきて……メルディアさんらしき人に声をかけている。
どうしようか。
「……どうしようか」
扉越しに二人の会話がうっすらと聞こえるけど……この人達の言っているニッキー様とはだれなのか疑問が尽きない。
この状態でベッドまで行くのは憚られるしで困るなあ……でもここに来てずっと欲してた人の気配に少し喜んでる自分もいる。
扉を開けて外の人と触れ合いたいけど……ニッキー様という人がなんなのかわからないから出られない。
さてどうしようか……と、悩むしびっくりしているけど、少し出るのは怖いけど……このまま引きこってたらこの人達ともう触れ合えないかもしれない。
リハビリしている間ずっと寂しすぎて苦しんでいたし……とにかく誰かに会いたいって嘆いていた。
「よい……しょ」
起きてから少し時間が経って足に力が入る。
扉を支えに腕に力を入れて、ゆっくりと時間をかけて立ち上がり、荒くなった息を整えて……良し。
ドアノブを掴み、恐る恐る引っ張ると昨日見た日光に目を細めて、少しだけ顔をだす。
「……ど、どうも」
「ニッキー様! ああなんてお姿に……!!」
様子を見ようとしたと途端、僕を見た女性が悲痛な顔をして顔を覆った。
「えっ」
「っ……お見苦しい姿を見せてしまい誠に申し訳ございませんニッキー様 少々お待ちいただいても」
侍女の仕事服を着た茶髪の綺麗な女性と、騎士の服を着た精悍な白髪混じりの男性が扉から近い場所。
「あ、はい……」
「よいしょ……では、そのまま」
目の前で膝から崩れ落ちた女性を慌てて支えた男性が申し訳なさそうに僕に言い、女性を抱きあげて走って行った。
えーっと、分からなくて怖いなあ。
その場に少し立っていると、走って戻って来た男性は頭が真っ白で固まる僕に騎士の礼をすると口元に笑みを浮かべ言った。
「お待たせしました、お部屋にご案内致しますのでどうぞこちらに」
「え、あっはい……はい?」
ここに来て初めての人と出会ったインパクトを超えて何がなんだかわからない僕は男性に誘われるまま差し出された手を取った。
取りあえず……ニッキー様は一体誰なんだろう。
121
お気に入りに追加
3,086
あなたにおすすめの小説
【完結】別れ……ますよね?
325号室の住人
BL
☆全3話、完結済
僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。
ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。
もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中
急に運命の番と言われても。夜会で永遠の愛を誓われ駆け落ちし、数年後ぽい捨てされた母を持つ平民娘は、氷の騎士の甘い求婚を冷たく拒む。
石河 翠
恋愛
ルビーの花屋に、隣国の氷の騎士ディランが現れた。
雪豹の獣人である彼は番の匂いを追いかけていたらしい。ところが花屋に着いたとたんに、手がかりを失ってしまったというのだ。
一時的に鼻が詰まった人間並みの嗅覚になったディランだが、番が見つかるまでは帰らないと言い張る始末。ルビーは彼の世話をする羽目に。
ルビーと喧嘩をしつつ、人間についての理解を深めていくディラン。
その後嗅覚を取り戻したディランは番の正体に歓喜し、公衆の面前で結婚を申し込むが冷たく拒まれる。ルビーが求婚を断ったのには理由があって……。
愛されることが怖い臆病なヒロインと、彼女のためならすべてを捨てる一途でだだ甘なヒーローの恋物語。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
扉絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(ID25481643)をお借りしています。
転生したら同性の婚約者に毛嫌いされていた俺の話
鳴海
BL
前世を思い出した俺には、驚くことに同性の婚約者がいた。
この世界では同性同士での恋愛や結婚は普通に認められていて、なんと出産だってできるという。
俺は婚約者に毛嫌いされているけれど、それは前世を思い出す前の俺の性格が最悪だったからだ。
我儘で傲慢な俺は、学園でも嫌われ者。
そんな主人公が前世を思い出したことで自分の行動を反省し、行動を改め、友達を作り、婚約者とも仲直りして愛されて幸せになるまでの話。
心からの愛してる
マツユキ
BL
転入生が来た事により一人になってしまった結良。仕事に追われる日々が続く中、ついに体力の限界で倒れてしまう。過労がたたり数日入院している間にリコールされてしまい、あろうことか仕事をしていなかったのは結良だと噂で学園中に広まってしまっていた。
全寮制男子校
嫌われから固定で溺愛目指して頑張ります
※話の内容は全てフィクションになります。現実世界ではありえない設定等ありますのでご了承ください
【完結】婚約破棄された僕はギルドのドSリーダー様に溺愛されています
八神紫音
BL
魔道士はひ弱そうだからいらない。
そういう理由で国の姫から婚約破棄されて追放された僕は、隣国のギルドの町へとたどり着く。
そこでドSなギルドリーダー様に拾われて、
ギルドのみんなに可愛いとちやほやされることに……。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる