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本編
三話 努力は実を結び ネガティブを呼ぶ
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頑張った、すんごい頑張った。
頭の中で筋肉痛の研究した人をひらすら罵倒してビンタして、現実では立ち上がる練習からスタートして。
この空間にきてからもうどれほど僕が努力してるのか誰かに自慢したくてしたくて、努力する理由のひとつになるくらい頑張っている自分、スーパー偉い。
「ふわあ……ふう、……うう」
自然な動作で欠伸ができるようになり、ベッドの上限定で自由に動けるようになった自分の自尊心を最大限に生かして、本日も密かに元気にささやかに頑張ってる自分を褒めたたえて……ちょっと疲れてきちゃった。
体力増強と言う名のリハビリを少し終えて、なんとなくな終わりが見えてきた。
ベッドから半径一メートル離れたことない問題はその内解決するとして、問題は今の僕の気持ちだ。
「ああー……、ううううう」
枕に顔を埋めて、目をぎゅっと瞑ってその衝動をひたすら耐える。
最近リハビリを終えた後や体の治療に一区切りついたときほぼ必ず、衝動的に叫びだしそうになる、ひとつの発作が起こるようになった。
「……、…………、………………寂しい」
取るに足らない、みっともなくて弱々しい本音が真っ暗な部屋に吸い込まれていく。
まあこうなるよなと、頭の片隅で考える。
瀕死な体に意識が向いていた、今の状況に驚いていた、動かない体に絶望して、前抜きに考えて誤魔化していた。
じゃあ、いまは?
無理な事をしなければ動けて、ここが悪い場所ではないと理解した今、僕は何を支えにすれば良い?
ストックホルム症候群という、閉鎖された空間にて被害者が加害者に感情を寄せるものがあるが、僕は自分の体に対しそれと似た事をしていたと勝手に決めておく。
筋肉の痛みを抜いて、今体の痛みは無いと言ってもいい、体の隅々を丁寧に時間をかけてみても異常なものは無い、治しきってしまった。
痛い体を治すという理由が無くなってしまった僕は今強烈な寂しさに耐えていた。
だって……だれもいないのは、寂しいじゃない? 一匹狼や孤高な性格なら幾分マシだったかもしれないけど、特段普通な心を持つ僕に、理由のない孤独はきつい。
小難しいことを考えて、見せかけだけでも論理を並べないとすぐにでも泣き出してしまいかねない。
端的に言って人肌が欲しい、誰か、誰か人がすぐ近くにいるという確証さえあればもう少し頑張れると、思う。
「はあ……、うう」
僕には記憶が無い、まるで空っぽの箱のような虚無感がとても気持ち悪い、
まともに考えられる知識と人格があるにも関わらず、それを形成するのに不可欠な大切な思い出が欠片も思いだせない、いや、最初からないのかもしれない。
なのに、僕はこうして存在している、その矛盾がとても、気持ち悪い。
寂しい、寂しい……寂しい。
縋りついて思いっきり抱きしめてほしい、頭を撫でて頑張りを褒めてほしい、切実に、この瀕死の体をここまで自力で治したんだものそれくらい当然だとおもう。
思い切り泣き叫んで気持ちをすっきりとしてしまえば良いけど、喉を傷めて治りきっていない体がまた壊れてしまえばいるかもしれない誰かを探しに行くのが遅くなってしまう。
だから泣くのは、誰かを見つけた後、
「……寝よう」
これ以上ネガティブな事を考えるのならふて寝をすれば良い、体に悪い。
次起きた時はもう少しポジティブに頑張るから、今だけは、ものすごいネガティブでも許しちゃう、だって僕しかないからね! 咎める人いないからね!
あう……すっごい虚しくなってきた、続きはまた明日。
おやすなさい、自分。
頭の中で筋肉痛の研究した人をひらすら罵倒してビンタして、現実では立ち上がる練習からスタートして。
この空間にきてからもうどれほど僕が努力してるのか誰かに自慢したくてしたくて、努力する理由のひとつになるくらい頑張っている自分、スーパー偉い。
「ふわあ……ふう、……うう」
自然な動作で欠伸ができるようになり、ベッドの上限定で自由に動けるようになった自分の自尊心を最大限に生かして、本日も密かに元気にささやかに頑張ってる自分を褒めたたえて……ちょっと疲れてきちゃった。
体力増強と言う名のリハビリを少し終えて、なんとなくな終わりが見えてきた。
ベッドから半径一メートル離れたことない問題はその内解決するとして、問題は今の僕の気持ちだ。
「ああー……、ううううう」
枕に顔を埋めて、目をぎゅっと瞑ってその衝動をひたすら耐える。
最近リハビリを終えた後や体の治療に一区切りついたときほぼ必ず、衝動的に叫びだしそうになる、ひとつの発作が起こるようになった。
「……、…………、………………寂しい」
取るに足らない、みっともなくて弱々しい本音が真っ暗な部屋に吸い込まれていく。
まあこうなるよなと、頭の片隅で考える。
瀕死な体に意識が向いていた、今の状況に驚いていた、動かない体に絶望して、前抜きに考えて誤魔化していた。
じゃあ、いまは?
無理な事をしなければ動けて、ここが悪い場所ではないと理解した今、僕は何を支えにすれば良い?
ストックホルム症候群という、閉鎖された空間にて被害者が加害者に感情を寄せるものがあるが、僕は自分の体に対しそれと似た事をしていたと勝手に決めておく。
筋肉の痛みを抜いて、今体の痛みは無いと言ってもいい、体の隅々を丁寧に時間をかけてみても異常なものは無い、治しきってしまった。
痛い体を治すという理由が無くなってしまった僕は今強烈な寂しさに耐えていた。
だって……だれもいないのは、寂しいじゃない? 一匹狼や孤高な性格なら幾分マシだったかもしれないけど、特段普通な心を持つ僕に、理由のない孤独はきつい。
小難しいことを考えて、見せかけだけでも論理を並べないとすぐにでも泣き出してしまいかねない。
端的に言って人肌が欲しい、誰か、誰か人がすぐ近くにいるという確証さえあればもう少し頑張れると、思う。
「はあ……、うう」
僕には記憶が無い、まるで空っぽの箱のような虚無感がとても気持ち悪い、
まともに考えられる知識と人格があるにも関わらず、それを形成するのに不可欠な大切な思い出が欠片も思いだせない、いや、最初からないのかもしれない。
なのに、僕はこうして存在している、その矛盾がとても、気持ち悪い。
寂しい、寂しい……寂しい。
縋りついて思いっきり抱きしめてほしい、頭を撫でて頑張りを褒めてほしい、切実に、この瀕死の体をここまで自力で治したんだものそれくらい当然だとおもう。
思い切り泣き叫んで気持ちをすっきりとしてしまえば良いけど、喉を傷めて治りきっていない体がまた壊れてしまえばいるかもしれない誰かを探しに行くのが遅くなってしまう。
だから泣くのは、誰かを見つけた後、
「……寝よう」
これ以上ネガティブな事を考えるのならふて寝をすれば良い、体に悪い。
次起きた時はもう少しポジティブに頑張るから、今だけは、ものすごいネガティブでも許しちゃう、だって僕しかないからね! 咎める人いないからね!
あう……すっごい虚しくなってきた、続きはまた明日。
おやすなさい、自分。
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