燃え尽きた貴族が10年後療養してたら元婚約者に娶られてしまいまして

おげんや豆腐

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本編

一話  ポジティブは身を救う

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つよい痛み、よわい痛み、とんでもない痛み、痛くない時。


ひとつひとつ高く乱雑に積みあがった本を崩さないよう上から取るような治療を繰り返す。


最初に目が覚めてからいったいどれくらい経ったのか、寝て起きて寝て起きて、一体何日過ぎたのか。
考えても仕方ないとは分かっているものの、考えてしまうのは仕方ないと思う。




「ふ、ふわ……あ、あたた」
体の中で特に痛い部分を集中的に診て、壊れた器官を治す。

たゆまぬ努力のおかげで欠伸も問題なくできるようになった、やったね。

もう少しで寝返りも出来て、多分来週には起き上がれると思う、まあそれはそれとして。


「毒……かあ」
毒で体が瀕死になって、それを治した、みたいな体の中を隅々まで丁寧に診ると、壊れた痕がたくさんある。

自分の名前は思い出せない、けれど毒の知識は僕にはあったみたいで何故こんなにも体がボロボロなのか分かってしまった。

内臓を腐らせてしまう正真正銘の致死毒、何故そんながと思うけどさっぱりわからない。
もしや恨まれることでもしちゃったのだろうか……もしくは自分で飲んだ? え、自害しようとした? なぜだ。


記憶飛んでるから好き勝手に言えるけれども自分よ、なにか悩みでもあったのかね。
いじめでも受けてた? 何でそんな悲惨なことになってるの後々治す僕すっごい迷惑してるよどうしてくれるの。

そもそもなんで僕は瀕死な体をここまでなんの力も借りずに治せてるのか、それもわからない。

んーもしや僕は天才か? 天才では?
自分の体のなんかグロいところを探検する感覚でみるんだけども、きっとこのやり方は誰かから教えて貰ったのだろう。

教えてくれた人を思いだせないのが悔しい、きっと白い髭のおじいちゃんみたいな変な人なんだろうなぁ。


……んー。

「……ねむい」
思考で遊びすぎて疲れちゃった、続きはまた明日。


すやあ。





※※※


「あー、あー、あー」
ボイスチェック、ボイスチェック。


「げんきー げんきー、よし」
声を出しても喉が痛くない、大声は多分まだダメ。

寝返りが問題なくできるようになった、ハッピー、早く動くにはまだ危ない。


ひたすら寝てひたすら治してを繰り返してついに、全身の激痛が大体無くなった。
耐える程でもない鈍い痛みはあれどいつかは治ると楽観視できる位には良くなったと思う。

頑張れば起きれると思うけどどうやら僕は楽天家な性格らしくもう少しだけ寝ていたい欲を取った。


もう一回寝返りを打って欠伸を溢して目を閉じると、ストンと眠りについた。











おきた。





部屋が暗くて今が昼なのか夜なのか確認できないけど、いま自分はすっきりとした目覚めを味わえている、それだけで100点。


さて……。


「んん……、がんばろう」
寝るのは治すため当然として、ほんの少しだけ、ちょっとだけ、固くなった体を動かす練習をしなきゃいけない。
指先を動かすのは簡単、でもそこからができなかった。

てっきり痛くて動かせないと思ったけど、この鉛みたいに動かない体は間違いなく長い間体を動かさなかった時にでる症状で、ようするにストレッチとリハビリと体を温めるの繰り返しをしなければいけない。


やばい、面倒すぎて眠くなってきたぞ、頑張れ自分。

割と治癒パワー使っても時間かかるやつだぞやりたくないぞ自分。

でも今のところそれしかやること無いから結局するしかないぞ!






「……寝よ」

きっと明日か明後日の自分が頑張ってくれる、グットラック!














★★★
読んでいただきありがとうございます!

本編は明るく楽しく書いていくのでお楽しみに







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