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二部前編 臆病者は恐れ 強者達は焦る
それは確かなプロロー愚
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僕はただの小さな子供。
15歳の、ちょっと世間を知ってきた、視野が少しだけ広がってきた子供だ。
何が駄目なのか、何が良いのか、最善か、最悪か、分別がほんの少しだけついたただの、捻くれた子供らだから。
……だから。
今の状況に対する最善は全く分からない。
痛い……痛い痛い。
頭が痛い、考えれば考えるほど頭が痛くなる。
思えば思うほど胸が痛くなる。
頭が痛くなれば首が痛くなる、首が痛くなれば胸が、胸が痛めばお腹が痛くなる。
なんで……なんでこうなるんだろう。
平凡に過ごせれば良いだけ、それなのに、なんでややこしくなるんだろう。
良いことも悪いことも起こらず、何もない暮らしをして、ほんの少しの楽しさを味わえれば良かったのに、満足だったのに。
何もしたくないだけなのになんで……なんで難しいことが起きるの、なんで……?
アルさんの告白、アイデンさんのプロポーズ、国の問題、王様の事情。
難しいけど曖昧に流されるだけで良い、王様に任せれば良い、ただやんわりと頷いてれば大丈夫。
だって無知で無力な小童一人動いたところで足手まといにしかならないのだから。
大事なときに余分なことはしない、大事。
迷宮もクロユリさん達に任せれば特に苦労はしない筈、人の迷惑にならなければそれで晴れてのんびりと現実から目を背けて暮らせる筈だったけど。
魔王様の目が、龍王様の言葉が、怖かった。
見なかった現実を無理矢理付き出されたような、ぐさりと刺されたような、とてもとても、怖い。
なんで今になって隠していたことが出てくるのだろうか。
このままあやふやに過ごせると思ったのに。
そのうち打ち明ければいいやと思ったのに、むしろ言う必要は無いとさえ思ったのに、。
たった半年、数ヵ月の信頼ではとても言えない。
言って、もし軽蔑されると思うと……何も出来なくなる。
逃げたい。
この世界の、見知らぬ世界の人になんて説明すれば良い?
元は別の世界にいたけど今は魔王してます?
心は別の世界で身体はここの世界だよ?
無理、あり得ない、無理。
僕が……僕であることがバレたくない。
もしバレて、バレたとして……想像したくない。
余分なことをしたくない、嫌われたくない、捨てられたくない、……ただただ、予想が出来なくて、怖いんだ。
こんな僕に優しくしてくれる人に、嫌われたくない、離れられたくない、一人に……なりたくない。
怖い……逃げたい、誰もいない所に行って部屋の隅でうずくまりたい。
あぁ……どっか行きたいなぁ。
「久方ぶりに降りてきたかと思うたらなんじゃいきなり……ほれ、肉体はまだ動くじゃろ、戻れ戻れ」
……かえりたいなぁ。
「……ホームシックかの? まあいい、呼べば駆け付けてやるからの、ほれ、帰れ帰れ」
15歳の、ちょっと世間を知ってきた、視野が少しだけ広がってきた子供だ。
何が駄目なのか、何が良いのか、最善か、最悪か、分別がほんの少しだけついたただの、捻くれた子供らだから。
……だから。
今の状況に対する最善は全く分からない。
痛い……痛い痛い。
頭が痛い、考えれば考えるほど頭が痛くなる。
思えば思うほど胸が痛くなる。
頭が痛くなれば首が痛くなる、首が痛くなれば胸が、胸が痛めばお腹が痛くなる。
なんで……なんでこうなるんだろう。
平凡に過ごせれば良いだけ、それなのに、なんでややこしくなるんだろう。
良いことも悪いことも起こらず、何もない暮らしをして、ほんの少しの楽しさを味わえれば良かったのに、満足だったのに。
何もしたくないだけなのになんで……なんで難しいことが起きるの、なんで……?
アルさんの告白、アイデンさんのプロポーズ、国の問題、王様の事情。
難しいけど曖昧に流されるだけで良い、王様に任せれば良い、ただやんわりと頷いてれば大丈夫。
だって無知で無力な小童一人動いたところで足手まといにしかならないのだから。
大事なときに余分なことはしない、大事。
迷宮もクロユリさん達に任せれば特に苦労はしない筈、人の迷惑にならなければそれで晴れてのんびりと現実から目を背けて暮らせる筈だったけど。
魔王様の目が、龍王様の言葉が、怖かった。
見なかった現実を無理矢理付き出されたような、ぐさりと刺されたような、とてもとても、怖い。
なんで今になって隠していたことが出てくるのだろうか。
このままあやふやに過ごせると思ったのに。
そのうち打ち明ければいいやと思ったのに、むしろ言う必要は無いとさえ思ったのに、。
たった半年、数ヵ月の信頼ではとても言えない。
言って、もし軽蔑されると思うと……何も出来なくなる。
逃げたい。
この世界の、見知らぬ世界の人になんて説明すれば良い?
元は別の世界にいたけど今は魔王してます?
心は別の世界で身体はここの世界だよ?
無理、あり得ない、無理。
僕が……僕であることがバレたくない。
もしバレて、バレたとして……想像したくない。
余分なことをしたくない、嫌われたくない、捨てられたくない、……ただただ、予想が出来なくて、怖いんだ。
こんな僕に優しくしてくれる人に、嫌われたくない、離れられたくない、一人に……なりたくない。
怖い……逃げたい、誰もいない所に行って部屋の隅でうずくまりたい。
あぁ……どっか行きたいなぁ。
「久方ぶりに降りてきたかと思うたらなんじゃいきなり……ほれ、肉体はまだ動くじゃろ、戻れ戻れ」
……かえりたいなぁ。
「……ホームシックかの? まあいい、呼べば駆け付けてやるからの、ほれ、帰れ帰れ」
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