151 / 182
十章 緩やかに劇的に
とても限界です
しおりを挟む
「ラグ、説明」
「……ちょっと」
「まあ待て、そう急かすな馬鹿者」
「ああ?」
自分でもあんまりわからない事案の説明を求められ迫り来る圧力を止めたのは事案の元凶である男性……る、ルドレウス? さん。
「今のラグーンに質問を投げてもよい返事は取れぬぞ?」
「見も知らねえ野郎が分かったような口聞くんじゃねえよ」
「そうカリカリするでない、ようなではなく分かっているのだ若造……ラグーンに嫌われるぞ?」
「あぁ゛?!」
得意気に笑うルドレウスさんと眉間の皺とか出すオーラがやばいアルさんがよろしくないことになっている。
ドスを効かせた声を聞いたルドレウスさんは急に笑みを消し低い声を出したり
「亭主関白、傍若無人、監禁……もし弟を苦しめているようなら殺すぞ」
「する訳ねえだろ……気に食わねえ」
「同意見だ、我も貴様は気に食わん」
表面上だけの笑顔が消えたルドレウスさんの真剣な声と、恐ろしい顔によってもたらされる緊迫とした空気。
今日、何度目だろうかこれは、そろそろ僕のメンタル、胃、頭、その他もろもろが限界を迎えそうになってちょっとヤバイです、はい。
「……あの」
「おうどうした」
「なにかな愛しのラグーン」
「「あぁ?」」
「……なんでもないです」
同時に反応しなくても良いじゃない。
「蛮将貴様! 貴様が不必要に声を張るから見ろ、ラグーンが萎縮しているではないか」
「てめぇが俺の声に被せるからだろうが、安心しろラグーン、こんなドラゴンすーぐに追い返してやるからな」
「……この国を滅ぼしても良いと言うことか?」
「それはやめてくれ!」
「だとよ?」
「ならば貴様だけに留めておこう」
随分と物騒な会話とたまらず上がる王様の悲鳴。
手放しに傍観できたらどんなにいいか……。
色んな感情が合わさって胸がいたい。
限界ですわ……。
「む? ……ラグーン」
「なんでしょう」
じりじりと言い合っていたルドレウスさんは真顔になっている僕の顔を確認すると紅く輝く目を開きアルさんを睨む。
「おい蛮将、話を戻すぞ」
「はぁ? なに言ってんだおまえ………分かった」
なんで僕の顔見て納得するんですかアルさん、僕は至って普通ですよ。
「ラグーンよ」
「はい」
なんでしょう。
「暫し目を閉じるがよい」
「……何ででしょうか」
ルドレウスさんの言っていることが理解できず顔を見れば、ルドレウスさんと目が合う。
「辛いだろう?」
「……辛い、とは」
「そのままの意味と受けとれ……嫌な臭いだ、視界を遮断し耳だけを傾けることを許そう」
命令することに慣れた上からの主張は普段ならムッとするのだろうけど今の僕には少し有りがたい気がした。
「お言葉に甘えます」
色々と、眠いし考えることたくさんだし……少し限界。
イッツ、ブラックアウト、でもちょっと明るい。
「……おいドラゴン」
「龍王と呼べ」
「なんで分かった」
「何とは?」
「こいつの状態だよ」
ルドレウスさんに対して苛つかず怒らない声で訪ねているアルさん。
「愛だ」
「角折るぞ」
「腕へし折ってやろうか」
「「あぁ゛?」」
……仲が良いとポジティブに捉えよう。
あぁまた余分なこと考える僕……頭いたい。
「ふむ、……少しさわるぞ」
「へ?」
「目を開けるでない」
異様に近くなった声に開けようとした目を目元ごと大きくて温かい手が覆い、撫でられる。
……この手の感触はアルさんじゃない。
眠い……。
「暫し眠れ……愛しい弟よ、起きたとき全て終わっている」
耳に溶け込む低音と急速に強まる眠気に僕は意識を手放した。
「……ちょっと」
「まあ待て、そう急かすな馬鹿者」
「ああ?」
自分でもあんまりわからない事案の説明を求められ迫り来る圧力を止めたのは事案の元凶である男性……る、ルドレウス? さん。
「今のラグーンに質問を投げてもよい返事は取れぬぞ?」
「見も知らねえ野郎が分かったような口聞くんじゃねえよ」
「そうカリカリするでない、ようなではなく分かっているのだ若造……ラグーンに嫌われるぞ?」
「あぁ゛?!」
得意気に笑うルドレウスさんと眉間の皺とか出すオーラがやばいアルさんがよろしくないことになっている。
ドスを効かせた声を聞いたルドレウスさんは急に笑みを消し低い声を出したり
「亭主関白、傍若無人、監禁……もし弟を苦しめているようなら殺すぞ」
「する訳ねえだろ……気に食わねえ」
「同意見だ、我も貴様は気に食わん」
表面上だけの笑顔が消えたルドレウスさんの真剣な声と、恐ろしい顔によってもたらされる緊迫とした空気。
今日、何度目だろうかこれは、そろそろ僕のメンタル、胃、頭、その他もろもろが限界を迎えそうになってちょっとヤバイです、はい。
「……あの」
「おうどうした」
「なにかな愛しのラグーン」
「「あぁ?」」
「……なんでもないです」
同時に反応しなくても良いじゃない。
「蛮将貴様! 貴様が不必要に声を張るから見ろ、ラグーンが萎縮しているではないか」
「てめぇが俺の声に被せるからだろうが、安心しろラグーン、こんなドラゴンすーぐに追い返してやるからな」
「……この国を滅ぼしても良いと言うことか?」
「それはやめてくれ!」
「だとよ?」
「ならば貴様だけに留めておこう」
随分と物騒な会話とたまらず上がる王様の悲鳴。
手放しに傍観できたらどんなにいいか……。
色んな感情が合わさって胸がいたい。
限界ですわ……。
「む? ……ラグーン」
「なんでしょう」
じりじりと言い合っていたルドレウスさんは真顔になっている僕の顔を確認すると紅く輝く目を開きアルさんを睨む。
「おい蛮将、話を戻すぞ」
「はぁ? なに言ってんだおまえ………分かった」
なんで僕の顔見て納得するんですかアルさん、僕は至って普通ですよ。
「ラグーンよ」
「はい」
なんでしょう。
「暫し目を閉じるがよい」
「……何ででしょうか」
ルドレウスさんの言っていることが理解できず顔を見れば、ルドレウスさんと目が合う。
「辛いだろう?」
「……辛い、とは」
「そのままの意味と受けとれ……嫌な臭いだ、視界を遮断し耳だけを傾けることを許そう」
命令することに慣れた上からの主張は普段ならムッとするのだろうけど今の僕には少し有りがたい気がした。
「お言葉に甘えます」
色々と、眠いし考えることたくさんだし……少し限界。
イッツ、ブラックアウト、でもちょっと明るい。
「……おいドラゴン」
「龍王と呼べ」
「なんで分かった」
「何とは?」
「こいつの状態だよ」
ルドレウスさんに対して苛つかず怒らない声で訪ねているアルさん。
「愛だ」
「角折るぞ」
「腕へし折ってやろうか」
「「あぁ゛?」」
……仲が良いとポジティブに捉えよう。
あぁまた余分なこと考える僕……頭いたい。
「ふむ、……少しさわるぞ」
「へ?」
「目を開けるでない」
異様に近くなった声に開けようとした目を目元ごと大きくて温かい手が覆い、撫でられる。
……この手の感触はアルさんじゃない。
眠い……。
「暫し眠れ……愛しい弟よ、起きたとき全て終わっている」
耳に溶け込む低音と急速に強まる眠気に僕は意識を手放した。
2
お気に入りに追加
1,923
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

兄たちが弟を可愛がりすぎです
クロユキ
BL
俺が風邪で寝ていた目が覚めたら異世界!?
メイド、王子って、俺も王子!?
おっと、俺の自己紹介忘れてた!俺の、名前は坂田春人高校二年、別世界にウィル王子の身体に入っていたんだ!兄王子に振り回されて、俺大丈夫か?!
涙脆く可愛い系に弱い春人の兄王子達に振り回され護衛騎士に迫って慌てていっもハラハラドキドキたまにはバカな事を言ったりとしている主人公春人の話を楽しんでくれたら嬉しいです。
1日の話しが長い物語です。
誤字脱字には気をつけてはいますが、余り気にしないよ~と言う方がいましたら嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる