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九章 亀裂
前門の鬼神後門の魔王
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「ラグーン」
「......はい」
「そいつは誰だ」
ダルーダさんとアルさん、バチバチと比喩でも例えでもなく火花を散らし睨みあったと思えば、今度は人殺しの視線を僕に向ける。
「ダルーダさんは… ええと、先輩の魔王……」
「そうか、ならそこから降りろ」
たぶん......僕が悪かったんだろうな、うん......悪かった.....のか?
「大国の王に続いて今度は蛮族......ラグーンの人間関係は実に独特だな.....」
「おいこらてめぇ......」
「なんだ蛮族」
「ああ”ん? 表でろやごらぁ!!」
「断る!」
助けてアルさんとかちょいちょい願掛けしてたような気もしないでもないけどタイミングが悪い……。
アルさんの立つ開け放たれた扉……多分思い切り開けたんだね……自分の事でいっぱいいっぱいだったから気がつかなかった……くっ、迂闊。
「チッ……おいラグ」
「うい」
「こい」
「……あい」
額とか血管とか過去最高にダイナミックになっているアルさんの一声に緩く返事を返しダルーダさんに声をかける。
「ちょっとごめんなさいねダルーダさん、よい……しょ」
「あぁまてまて、行くな勿体ない」
「へ?」
「あぁ゛?」
……やだ怖い。
「ダルーダさんあの、降りたい……です」
「何故俺の膝から降りる必要がある? 危ないからここにいなさい」
降りようと力を入れた手を掴み、意外そうな顔をするダルーダさんに顔がひきつる。
「おい……! 」
「……ちょっと待ってねアルさん!」
さて……この状況をどう切り抜けるか。
大先輩、尊敬していふダルーダさんを取ればアルさん大激怒。
乱暴だけも優しく僕と暮らすアルさんのほうを取ったらダルーダさんがどうなるかわからない。
両方? 論外論外......濃すぎるキャラ二人も抱えきれる訳ないじゃんパス、一番は二人ともとらないだけどそうするとマイホームが犠牲になる。
ああもう、しっかりものツッコミキャラが欲しい。
いや、ツッコミはいらない、僕はいま静かな空間が欲しい。
「.....ラグ?」
「どうしたラグーン」
うん、助けて.....。
ヘルプミー誰か。
「......ん」
「む?」
「お?」
小さすぎる僕の声を聞き取れなかったのか顔を近づけるダルーダさんに構わず僕はにっこり笑顔を浮かべる。
「アリムさん!」
「む?」
「は?」
「御呼びですかマスタァアきさまあああ我が君に何をしているうううう!!」
「ぬおお?! 」
殺伐とした空間に響く忠臣の絶叫。
イッツ、常識人召喚。
僕の声に呼応して何処かの影から登場したのは(多分恐らくきっと)常識人のアリムさん。
飛び出した勢いそのままに鎧姿のアリムさんに救出された結果ぼく...お姫様抱っこされております。
呆然と見るアルさんとかダルーダさんと知りません見ないふりしますへい、アリムさん全身鋼鉄だから痛いですはい。
「チッ、甲冑野郎てめえ......」
「はいどうも甲冑野郎です!!」
「......ラグーンの部下か」
「えぇそうです!! マスターラグーン臣下!! アリム! 参上致しました!」
弾みまくったでかい声が間近で聞こえるのはちょっと......。
荒みきった心にきついですわ。
それに、咄嗟の判断でアリムさん呼んだとはいえ......。
「機械仕掛けだと視えんな、つまらん」
「おいラグ、こいつらめんどくせえぞ」
「......ああもう」
「ん?」
「む?」
自分の事を棚にあげぬけぬけとほざくアルさんに会話ができないダルーダさんを見比べたまらず顔を覆う。
「めんどくさすぎて死ぬ」
良い方向進む処か現状維持亜種になってるよこれ......クロユリさん呼ぼうかな。
あぁぁ......おもいっきり叫びたい。
★★★
読んでいただきありがとうございます
「......はい」
「そいつは誰だ」
ダルーダさんとアルさん、バチバチと比喩でも例えでもなく火花を散らし睨みあったと思えば、今度は人殺しの視線を僕に向ける。
「ダルーダさんは… ええと、先輩の魔王……」
「そうか、ならそこから降りろ」
たぶん......僕が悪かったんだろうな、うん......悪かった.....のか?
「大国の王に続いて今度は蛮族......ラグーンの人間関係は実に独特だな.....」
「おいこらてめぇ......」
「なんだ蛮族」
「ああ”ん? 表でろやごらぁ!!」
「断る!」
助けてアルさんとかちょいちょい願掛けしてたような気もしないでもないけどタイミングが悪い……。
アルさんの立つ開け放たれた扉……多分思い切り開けたんだね……自分の事でいっぱいいっぱいだったから気がつかなかった……くっ、迂闊。
「チッ……おいラグ」
「うい」
「こい」
「……あい」
額とか血管とか過去最高にダイナミックになっているアルさんの一声に緩く返事を返しダルーダさんに声をかける。
「ちょっとごめんなさいねダルーダさん、よい……しょ」
「あぁまてまて、行くな勿体ない」
「へ?」
「あぁ゛?」
……やだ怖い。
「ダルーダさんあの、降りたい……です」
「何故俺の膝から降りる必要がある? 危ないからここにいなさい」
降りようと力を入れた手を掴み、意外そうな顔をするダルーダさんに顔がひきつる。
「おい……! 」
「……ちょっと待ってねアルさん!」
さて……この状況をどう切り抜けるか。
大先輩、尊敬していふダルーダさんを取ればアルさん大激怒。
乱暴だけも優しく僕と暮らすアルさんのほうを取ったらダルーダさんがどうなるかわからない。
両方? 論外論外......濃すぎるキャラ二人も抱えきれる訳ないじゃんパス、一番は二人ともとらないだけどそうするとマイホームが犠牲になる。
ああもう、しっかりものツッコミキャラが欲しい。
いや、ツッコミはいらない、僕はいま静かな空間が欲しい。
「.....ラグ?」
「どうしたラグーン」
うん、助けて.....。
ヘルプミー誰か。
「......ん」
「む?」
「お?」
小さすぎる僕の声を聞き取れなかったのか顔を近づけるダルーダさんに構わず僕はにっこり笑顔を浮かべる。
「アリムさん!」
「む?」
「は?」
「御呼びですかマスタァアきさまあああ我が君に何をしているうううう!!」
「ぬおお?! 」
殺伐とした空間に響く忠臣の絶叫。
イッツ、常識人召喚。
僕の声に呼応して何処かの影から登場したのは(多分恐らくきっと)常識人のアリムさん。
飛び出した勢いそのままに鎧姿のアリムさんに救出された結果ぼく...お姫様抱っこされております。
呆然と見るアルさんとかダルーダさんと知りません見ないふりしますへい、アリムさん全身鋼鉄だから痛いですはい。
「チッ、甲冑野郎てめえ......」
「はいどうも甲冑野郎です!!」
「......ラグーンの部下か」
「えぇそうです!! マスターラグーン臣下!! アリム! 参上致しました!」
弾みまくったでかい声が間近で聞こえるのはちょっと......。
荒みきった心にきついですわ。
それに、咄嗟の判断でアリムさん呼んだとはいえ......。
「機械仕掛けだと視えんな、つまらん」
「おいラグ、こいつらめんどくせえぞ」
「......ああもう」
「ん?」
「む?」
自分の事を棚にあげぬけぬけとほざくアルさんに会話ができないダルーダさんを見比べたまらず顔を覆う。
「めんどくさすぎて死ぬ」
良い方向進む処か現状維持亜種になってるよこれ......クロユリさん呼ぼうかな。
あぁぁ......おもいっきり叫びたい。
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