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七章 欠片
暑苦しい
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チリチリと照りつける太陽、それに似合った灼熱の暑さ、そしてそれに負けない位暑苦しいアルさんの怒声。
「オラァ!!、もっと気合いいれろやお前らぁ!!」
「「「はいっ!」」」
「素振り1000回!!、やれるなお前らぁ!!」
「「「はいっ」」」
あぁ、今日も晴れて雲の流れも早いし見てて飽きない。
今僕がいるのはこの城の兵士とか騎士とかが使う訓練場、僕から離れたくないと言うアルさんに拉致られて現在、ベンチに座ってアルさん達の訓練をぼーっと眺めております。
まぁそれもただ暑苦しいだけだからすぐに飽きたけどね。
……それにしても雲の動き普通に早い、台風でも来るのかしら?。
「終わった者から30分休憩!……ああめんどくせええ」
太陽の光が暑いこと暑いこと………。
ておいアルさん本音でてる。
騎士さん達に指示をしたアルさんが首をこきこきと鳴らしてやって来るのを尻目に僕はあくびを漏らす。
「マスター、眼鏡が汚れております」
「ん? うん」
僕の側で控えているアリムさんに手を出されるまま眼鏡を取って渡せば何処からか出した布で僕の眼鏡を拭く。
「さ、どうぞ」
「ありがと」
「いえいえ」
かしゃりと音を立てて礼をするアリムさんにお礼を言った僕はもう一度大きく欠伸をした。
するとアリムさんは音を立てて首を傾げた。
「おやマスター、眠いのですか? 」
「いんや、ただ夢見が悪くて寝た気がしないだけ」
「つまり、眠いのですね」
「…………ちょっとだけね、でもこんな暑いと寝られたもんじゃないし」
「成る程……」
「おーいラグ~」
「ほら、あの人もいるし」
「あぁ、確かに……」
のしのしと笑顔でこっちに来るアルさんを指差しながら言えばなんとなくアリムさんから苦笑する雰囲気が伝わってくる。
「お? 何はなしてんだお前ら」
「眠いなー、て話してる」
キョトンとした顔で聞いてくるアルさんにそう答えればアルさんはばっと腕を広げてにやりと笑う。
「なら俺の胸の中で眠るか」
「お断りします」
「ちぇー、隣座るぜ」
「はいタオル」
「おうサンキュ、おらっ」
「ふぎゃっ」
ドカリと隣に座ったアルさんに影から出したタオルを渡せばグシャグシャとでかい手で頭をかき回される。
髪の毛ぐしゃぐしゃ……。
「……今日アルさんと一緒に風呂入らん」
「はあ?、嘘だろ? 」
「て言うか一緒に寝るのも今日は」
「すまん」
「えー? 」
「すまん! 悪かったからそれは勘弁してくれっ」
慌てて手を会わせているおっさん、でも僕はぷいっと顔をそらす。
「やだ」
「なっ………!? 」
目を剥いて驚いてるおっさんを尻目に僕はよいしょと立ち上がった。
「ここちょっと暑すぎるねー」
「あ、おいこらラグ今の台詞とりけ」
「ちょっと中に入って涼んでくるねー」
「あ、ちょっ、俺もいく!!」
とぼとぼと歩き始めた僕に慌てて立ち上がったアルさんがあわてで追い付いてくる。
「えー、アルさんそこにいるだけで暑いしなぁ~」
そこにいるだけて熱気を感じるのよ。
「なんだよそれー」
「とりあえず夜になるまで僕抱き上げる禁止」
「……」
「返事は」
口を尖らせてふてくされるおっさん。
最近では別に嫌いでは無くなっている、……いやむしろ面白い。
「さて、何処行こうか」
めちゃんこ暑い訓練場から割りと涼しいお城の中に入った僕は意味もなく廊下を歩く。
「なあなあラグ~」
「な~に~?」
「お前は何処いこうとしてんだ?」
「んー」
アルさんの声に僕は考える。
「そうだねー、涼しくて日陰になっていて昼寝するのにもってこいの場所」
「つまり俺らの部屋ってことか、よしラグ、仕事なんて山の彼方に投げ飛ばしてサボろうぜ」
「お、いいねー」
「だろー?」
にやりと笑うアルさんに僕もにやりと笑えば静かだった廊下の先からコツコツと足音か響いてくる。
「お? 」
「ん? 」
僕とアルさんがその方向を見れば、そこには束になった書類を手に仕事用のスーツをキリッと着こなしたミネルスさんが僕達を不思議そうに見ながら歩いてきていた。
「おや、アルギス、仕事はどうしたんです? 」
「おう、休憩だ休憩」
「そうですか……まあいいでしょう、それはさておきこんにちはラグーン君、今日も暑いですが体調等は崩してませんか? 」
「大丈夫だよー、ただ暑いからちょっと涼しいところに行こうかなと徘徊しているんだよねー」
にこやかに挨拶してくれたミネルスさんにのんびりと返せばミネルスさんはにこりと頷く。
「そうですか、なら……図書館に行ってみてはどうでしょう、あそこなら本が痛まないよう常に一定の温度にするようにしてあるのでとても快適ですよ」
「へぇー」
「あー? 本~?」
「貴方には進めてないんですよもう、ところで貴方、遠征に向けての資料は揃えたんですか? 」
「いや、まだだが……」
「なら早く集めなさいな、二週間後ですよ? いいですね? 前みたいに部下達をけしかけて無理矢理集めるなんて事したらしばき倒しますから」
笑顔で吹雪を放出しはじめたミネルスさん、僕はアルさんを盾にして避けるのみ。
「わーったよ、たくっ、めんどくせえ……行くぜラグ」
「はーい」
ガリガリと頭をかいたアルさんは僕の首に腕を回すとのしのしとミネルスさんを避けて歩き始める。
「ではごゆっくり」
にこやかな声に見送られ長い長い廊下を進む。
「所で図書館て何処?」
「……何処だっけか?」
「行ったことないからしらないよ」
「だよなあ……」
前途多難とはこういうことを言うのかね?(違う)
「オラァ!!、もっと気合いいれろやお前らぁ!!」
「「「はいっ!」」」
「素振り1000回!!、やれるなお前らぁ!!」
「「「はいっ」」」
あぁ、今日も晴れて雲の流れも早いし見てて飽きない。
今僕がいるのはこの城の兵士とか騎士とかが使う訓練場、僕から離れたくないと言うアルさんに拉致られて現在、ベンチに座ってアルさん達の訓練をぼーっと眺めております。
まぁそれもただ暑苦しいだけだからすぐに飽きたけどね。
……それにしても雲の動き普通に早い、台風でも来るのかしら?。
「終わった者から30分休憩!……ああめんどくせええ」
太陽の光が暑いこと暑いこと………。
ておいアルさん本音でてる。
騎士さん達に指示をしたアルさんが首をこきこきと鳴らしてやって来るのを尻目に僕はあくびを漏らす。
「マスター、眼鏡が汚れております」
「ん? うん」
僕の側で控えているアリムさんに手を出されるまま眼鏡を取って渡せば何処からか出した布で僕の眼鏡を拭く。
「さ、どうぞ」
「ありがと」
「いえいえ」
かしゃりと音を立てて礼をするアリムさんにお礼を言った僕はもう一度大きく欠伸をした。
するとアリムさんは音を立てて首を傾げた。
「おやマスター、眠いのですか? 」
「いんや、ただ夢見が悪くて寝た気がしないだけ」
「つまり、眠いのですね」
「…………ちょっとだけね、でもこんな暑いと寝られたもんじゃないし」
「成る程……」
「おーいラグ~」
「ほら、あの人もいるし」
「あぁ、確かに……」
のしのしと笑顔でこっちに来るアルさんを指差しながら言えばなんとなくアリムさんから苦笑する雰囲気が伝わってくる。
「お? 何はなしてんだお前ら」
「眠いなー、て話してる」
キョトンとした顔で聞いてくるアルさんにそう答えればアルさんはばっと腕を広げてにやりと笑う。
「なら俺の胸の中で眠るか」
「お断りします」
「ちぇー、隣座るぜ」
「はいタオル」
「おうサンキュ、おらっ」
「ふぎゃっ」
ドカリと隣に座ったアルさんに影から出したタオルを渡せばグシャグシャとでかい手で頭をかき回される。
髪の毛ぐしゃぐしゃ……。
「……今日アルさんと一緒に風呂入らん」
「はあ?、嘘だろ? 」
「て言うか一緒に寝るのも今日は」
「すまん」
「えー? 」
「すまん! 悪かったからそれは勘弁してくれっ」
慌てて手を会わせているおっさん、でも僕はぷいっと顔をそらす。
「やだ」
「なっ………!? 」
目を剥いて驚いてるおっさんを尻目に僕はよいしょと立ち上がった。
「ここちょっと暑すぎるねー」
「あ、おいこらラグ今の台詞とりけ」
「ちょっと中に入って涼んでくるねー」
「あ、ちょっ、俺もいく!!」
とぼとぼと歩き始めた僕に慌てて立ち上がったアルさんがあわてで追い付いてくる。
「えー、アルさんそこにいるだけで暑いしなぁ~」
そこにいるだけて熱気を感じるのよ。
「なんだよそれー」
「とりあえず夜になるまで僕抱き上げる禁止」
「……」
「返事は」
口を尖らせてふてくされるおっさん。
最近では別に嫌いでは無くなっている、……いやむしろ面白い。
「さて、何処行こうか」
めちゃんこ暑い訓練場から割りと涼しいお城の中に入った僕は意味もなく廊下を歩く。
「なあなあラグ~」
「な~に~?」
「お前は何処いこうとしてんだ?」
「んー」
アルさんの声に僕は考える。
「そうだねー、涼しくて日陰になっていて昼寝するのにもってこいの場所」
「つまり俺らの部屋ってことか、よしラグ、仕事なんて山の彼方に投げ飛ばしてサボろうぜ」
「お、いいねー」
「だろー?」
にやりと笑うアルさんに僕もにやりと笑えば静かだった廊下の先からコツコツと足音か響いてくる。
「お? 」
「ん? 」
僕とアルさんがその方向を見れば、そこには束になった書類を手に仕事用のスーツをキリッと着こなしたミネルスさんが僕達を不思議そうに見ながら歩いてきていた。
「おや、アルギス、仕事はどうしたんです? 」
「おう、休憩だ休憩」
「そうですか……まあいいでしょう、それはさておきこんにちはラグーン君、今日も暑いですが体調等は崩してませんか? 」
「大丈夫だよー、ただ暑いからちょっと涼しいところに行こうかなと徘徊しているんだよねー」
にこやかに挨拶してくれたミネルスさんにのんびりと返せばミネルスさんはにこりと頷く。
「そうですか、なら……図書館に行ってみてはどうでしょう、あそこなら本が痛まないよう常に一定の温度にするようにしてあるのでとても快適ですよ」
「へぇー」
「あー? 本~?」
「貴方には進めてないんですよもう、ところで貴方、遠征に向けての資料は揃えたんですか? 」
「いや、まだだが……」
「なら早く集めなさいな、二週間後ですよ? いいですね? 前みたいに部下達をけしかけて無理矢理集めるなんて事したらしばき倒しますから」
笑顔で吹雪を放出しはじめたミネルスさん、僕はアルさんを盾にして避けるのみ。
「わーったよ、たくっ、めんどくせえ……行くぜラグ」
「はーい」
ガリガリと頭をかいたアルさんは僕の首に腕を回すとのしのしとミネルスさんを避けて歩き始める。
「ではごゆっくり」
にこやかな声に見送られ長い長い廊下を進む。
「所で図書館て何処?」
「……何処だっけか?」
「行ったことないからしらないよ」
「だよなあ……」
前途多難とはこういうことを言うのかね?(違う)
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