生産チートの流され魔王ののんびり流されライフ

おげんや豆腐

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七章 欠片

ほえ?

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「おっまたせ~、遅くなってごめんねー、………てなにこれ」

軽やかなノックと共に部屋の主の返事も聞かず勢いよく開いた扉。

軽快なステップで現れたのは青い髪を後ろに結び、鼻唄を歌いそうな笑顔のナパス。


しかし、るんるんと歩いてきたナパスはピタリとソファーの前で立ち止まる。


ナパスの目の前には自分が嫌悪して止まない魔族を膝にのせ、だらしない顔で見ている国王。

その前の席では頭を抱えているアルギスにその膝の上でだらけている魔王崩れ…………。


そしてその近くではアルギス同様、頭を抱えているアイデン…………。

とどめに全員を面白そうににこにこと見ているミネルス。



「………なんなのこれ? 」

笑顔をひきつらせたナパスは言葉を溢すが、答える者はいない。





※※※






結婚



「ねえイウァン……その豚……なに? 報告にないんだけど」

「拾った」

「……捨ててきて」

「嫌だね、名前もつけて寝場所も作ってお風呂も一緒に入っているのだ、俺の癒しを奪うな」

「うーわ………この状況はなに? 」

朝は共に起き、朝食を取って。



「あそこで頭抱えてる二人を遠征に行かせるんだが……まぁ出張だな」

「それでなんでこの落ち込みようなの……? あとミネルス、笑いすぎ」

「あぁ、すみません……ふふ、おかしいったらもう……ふふふ」

「全く……いやな、こいつとラグーンが式をあげる日取りを伝えた後に言ったからまぁなんだ……単に堪え性のないだけだな」

えーっと、夕方になったら仕事終わりの夫を出迎えたり? 夕飯だったりを……えっと、頭混乱してきた。



「はぁうん…………くだらな」

「言ってやるな」

笑顔を消し嫌悪感まるだしのナパスをたしなめる王様だけど、そこにミネルスさんがにこやかにはいってくる。


「確かにこの光景は面白いですけどくだらないと言われればそれまでですね、はい」

「はいじゃねえ……ああもう、お前ら!! 女々しい事してないで飯行くぞ!! ラグーン! 」

「はいはい 」

王様に呼ばれ、黙々と考えていた頭を切り替え前をみる。


「飯に行くからそこの馬鹿二人を叩き起こしてくれ 」

「あー……はーい」

呆れた顔の王様に頷き、頭を抱えて何かぶつぶつ言っているアルさんに顔を向ける。



そうね、結婚………結婚。



結婚……ね、上手く、良い想像はできないな。








※※※




「ラグ、口開けろ」

「んー? 」

「ほれ」

肩を叩かれ向けば差し出されるフォークに刺された野菜を持ったアルさん。


「むぐ」

言われるがまま口を開け野菜を咀嚼する。


「うまいか? 」

「ん……、美味しい」

「こっちもだラグーン」

今度は左肩を叩かれ、そちらを見ればパンを持ったアイデンさん。


「あぁはいはい……」

………一人でごはん食べたいわあ。



「お前ら……人が開いた席でなにをやっているんだよ…………」

左右の椅子に座るアルさんとアイデンさんに乞われ食べ物を与えられていると、うんざりしたのか王様が


「みりゃわかるだろう、いちゃついてる」

「ラグーンの目が死んでるが? 」

「元から僕は死んでるよ……はぁ」

「疲れきってるじゃないかよ……構うのもほどほどにしろあほども」

「……………………………………おう」

「今の間はなに、ちょっと、アルさん、アルさん? 」

「……ほらラグ、貝好きだろ、あーん」

「はー? 」


親鳥が雛に餌を与えるような、といったら良いだろうか、客観的にみたらどん引く光景に僕は内心ぐったり、王様はため息をつく。


「せめて少しは自重しろよ」

「「断る」」

「………もうやだこいつら」

息のあった二人に王様は更にげんなりと肘をついた。


「話を進めるが……罪人たちについての処遇だがな……」

「まてイウァン」

「なんだよ」

「今日俺は休みを取っている、わかるな? 」

フォークを持った状態で真面目な顔で言ったアルさん、次の瞬間王様の血管が切れる音が聞こえた気がした。


「わからねえよしばくぞこら…………後にしろってことだな」

「おう、ラグ~、今度はこっち食え」

「うぇーい」

「はぁ……あぁもうやだこいつら……あとで報告するから残ってくれよアイデン、頼むから」

「了解した」

今日何度目とわからないため息をついた王様は疲れたように言うとナイフを手に取り食事をはじめる。







…………んー。











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