上 下
108 / 182
七章 欠片

眠い

しおりを挟む
「おーい、ラグ、起きてるか~?」


猫のようにアルさんに運ばれ王様の部屋を後にした僕はうとうととまどろんでいるといつの間にかアルさんと寝る部屋についたようで、あと少しで眠ると言う時に体を揺さぶられ、意識が浮上する。


「ねる~」

目を閉じたままアルさんの声に答えれば、アルさんが笑う気配を感じ、片目を開ければ思った通り、苦笑しているアルさんが寝室の扉に手をかける所だった。



ガチャリとのぶを回したアルさんは器用に足でドアを開けると、大きなベッドまで歩き、優しく僕を寝かせてくれる。

流されるがままにふかふかとした布団に沈めば、すぐ隣に大きなアルさんが腰掛け、僕以上にベッドが沈みこみアルさんの方へと体が転がる。



されるがままの僕はアルさんの背中に当たり、何も反応しない僕にアルさんは僕の頭を撫でる。


「出来りゃあ土産話でもして貰いてえんだがな~」

「眠いから今度ね……」

「なんで眠いんだよ」

「酒と満腹と魔力枯渇」

バー行って買い食いして戦って……やだもう疲れた。


「あぁー……眠くなるなそれは……魔力の方は大丈夫なのか? 」

魔力の枯渇、これ結構重大みたいで、例えるなら魔力は血を循環させるエネルギー、もしくは、体を動かすための体力とも、言われる……だからゲームの頃でも魔力が0になると途端にすべてのステータスが半減し、それでもなお魔法を使おうとすると、生命の方のエネルギーを消費する。



「寝てりゃ治ると思うよ」

金曜日の仕事を終えた後のような、徹夜明けの夜のような……沼のなかに浸かっているような感覚で……ストレートに言うと眠い、寝る。



「おぉ、じゃあねろねろ……風呂は? 」

「明日の朝入る~」

「寝巻きは? 」

「着替えるのめんどくさい……アルさん上着とって」

「あぁー? しゃーねーな、ほれ、ごろんとしろ、ごろんと」

「んー」

アルさんの手が僕の脇腹に入り、僕を仰向けにする。


「よーしよし、……ああもうくしゃくしゃじゃねえかよ」

「洗濯すればいいのよ」

目を閉じたまま答えるが、流石に眠気が段々強くなっていく。


「だとしてもなー、こらこら布団を被るな、ほれズボンも脱げ、」

「むー……」

「むーじゃねえ襲うぞっ」

軽く脅しを効かせている様だけど手つきが優しいから全く怖くない。


「明日にして」

「明日にしてってなんだよ……」

「今度おみやげもわたす……ふう、おやすみ」

「おう、まて、お土産ってなんだ、おい」

なんか凄い体揺すぶられてるけどもう限界………。



うむ、おやすみなさい。











しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

変態村♂〜俺、やられます!〜

ゆきみまんじゅう
BL
地図から消えた村。 そこに肝試しに行った翔馬たち男3人。 暗闇から聞こえる不気味な足音、遠くから聞こえる笑い声。 必死に逃げる翔馬たちを救った村人に案内され、ある村へたどり着く。 その村は男しかおらず、翔馬たちが異変に気づく頃には、すでに囚われの身になってしまう。 果たして翔馬たちは、抱かれてしまう前に、村から脱出できるのだろうか?

とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~

無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。 自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

その男、有能につき……

大和撫子
BL
 俺はその日最高に落ち込んでいた。このまま死んで異世界に転生。チート能力を手に入れて最高にリア充な人生を……なんてことが現実に起こる筈もなく。奇しくもその日は俺の二十歳の誕生日だった。初めて飲む酒はヤケ酒で。簡単に酒に呑まれちまった俺はフラフラと渋谷の繁華街を彷徨い歩いた。ふと気づいたら、全く知らない路地(?)に立っていたんだ。そうだな、辺りの建物や雰囲気でいったら……ビクトリア調時代風? て、まさかなぁ。俺、さっきいつもの道を歩いていた筈だよな? どこだよ、ここ。酔いつぶれて寝ちまったのか? 「君、どうかしたのかい?」  その時、背後にフルートみたいに澄んだ柔らかい声が響いた。突然、そう話しかけてくる声に振り向いた。そこにいたのは……。  黄金の髪、真珠の肌、ピンクサファイアの唇、そして光の加減によって深紅からロイヤルブルーに変化する瞳を持った、まるで全身が宝石で出来ているような超絶美形男子だった。えーと、確か電気の光と太陽光で色が変わって見える宝石、あったような……。後で聞いたら、そんな風に光によって赤から青に変化する宝石は『ベキリーブルーガーネット』と言うらしい。何でも、翠から赤に変化するアレキサンドライトよりも非常に希少な代物だそうだ。  彼は|Radius《ラディウス》~ラテン語で「光源」の意味を持つ、|Eternal《エターナル》王家の次男らしい。何だか分からない内に彼に気に入られた俺は、エターナル王家第二王子の専属侍従として仕える事になっちまったんだ! しかもゆくゆくは執事になって欲しいんだとか。  だけど彼は第二王子。専属についている秘書を始め護衛役や美容師、マッサージ師などなど。数多く王子と密に接する男たちは沢山いる。そんな訳で、まずは見習いから、と彼らの指導のもと、仕事を覚えていく訳だけど……。皆、王子の寵愛を独占しようと日々蹴落としあって熾烈な争いは日常茶飯事だった。そんな中、得体の知れない俺が王子直々で専属侍従にする、なんていうもんだから、そいつらから様々な嫌がらせを受けたりするようになっちまって。それは日増しにエスカレートしていく。  大丈夫か? こんな「ムササビの五能」な俺……果たしてこのまま皇子の寵愛を受け続ける事が出来るんだろうか?  更には、第一王子も登場。まるで第二王子に対抗するかのように俺を引き抜こうとしてみたり、波乱の予感しかしない。どうなる? 俺?!

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

アダルトショップでオナホになった俺

ミヒロ
BL
初めて同士の長年の交際をしていた彼氏と喧嘩別れした弘樹。 覚えてしまった快楽に負け、彼女へのプレゼントというていで、と自分を慰める為にアダルトショップに行ったものの。 バイブやローションの品定めしていた弘樹自身が客や後には店員にオナホになる話し。 ※表紙イラスト as-AIart- 様(素敵なイラストありがとうございます!)

【完結】父を探して異世界転生したら男なのに歌姫になってしまったっぽい

おだししょうゆ
BL
超人気芸能人として活躍していた男主人公が、痴情のもつれで、女性に刺され、死んでしまう。 生前の行いから、地獄行き確定と思われたが、閻魔様の気まぐれで、異世界転生することになる。 地獄行き回避の条件は、同じ世界に転生した父親を探し出し、罪を償うことだった。 転生した主人公は、仲間の助けを得ながら、父を探して旅をし、成長していく。 ※含まれる要素 異世界転生、男主人公、ファンタジー、ブロマンス、BL的な表現、恋愛 ※小説家になろうに重複投稿しています

処理中です...