生産チートの流され魔王ののんびり流されライフ

おげんや豆腐

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七章 欠片

帰宅

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「と、いうことだ、他に説明はいるか?」



アルさんに運ばれて城に帰り、後始末、あの兵士や女の人を連行し、帰ってきたアイデンさんは今、王様の執務室にいる。


僕の座っているソファーの前で腕を組み不機嫌を露にこれまでの事を報告したアイデンさんの背景が起こっているようにゆらゆらと、陽炎のようなものが立ち上る………。


それを僕のむかいのソファーに座って頷いて聞いていた王様が面倒くさそうにため息をつくと、苦笑を浮かべた。


「捕縛した奴等に尋問かけるとして………、悪かったな、ラグーン……こちらの手が遅くて」

「ううん、別にいいよ、……とりあえず今は凄く眠い」

「全く……ラグーンとの折角のデートが台無しじゃないか」

「へっ、いい気味だ、アデッ」

鼻で笑おうとしたアルさんにアイデンさんは頭に鉄の拳が入り苛立たしげに唸ったアイデンさんは目付きを鋭く変える。


「ふん、正直腑抜けどもは即刻処刑したい……が、ラグーンに怪我がないからまぁ……大丈夫じゃないが、まあ大丈夫だ、」

「処刑なんて軽々しくすれば問題がおきるからな…………ラグーンが無事なら良かった………が、ラグーン? 」

怒れるアイデンさんと話していた王様の視線がふいに、僕をみる。


「なに~? 」

「なんでお前はそんなぐったりしているんだ? ……アルギスの膝の上にいるのは無視しよう」

「俺の所にいるのは普通だろうが、……にしてもさっきから元気ねえなお前、どうした? 」

「べっつに~」

アルさんには女の人とした所からこごまでずっと運ばれ、ソファーに座るときもアルさんの膝の上、うん、普通だ普通。


紅茶を飲みながらブクブクと答えれば頭をわしゃわしゃと撫でられる。


「別にじゃあ、わからねえだろ」

「ほっときゃ治るからいいよ」

「ほっとけるか、言え、……じゃねえとまたねちっこいキスするぞ? 」

笑みを含んだ声で脅し紛いの事を言うアルさんにため息をつく。


「……キスを脅しに使うと好かれないよ」

「な……………」

キス=罰になるやん、と言えば僕のお腹に回っている腕が強張る。


「……………言い返されてるな」

「……………なにも言い返せないじゃないかあの馬鹿」

絶句した様子のアルさんに冷ややかな視線を送る王様とアイデンさんを見た僕はカップをテーブルに置く。


「単純に魔力無くなってて眠いだけだからとりあえず……疲れたから休みたいんだけど……良いかね」

アイデンさんとのショッピングは楽しかったけど………後半のあれで主に精神的にも、魔法使い過ぎると体の動きが鈍くなる……疲れた。




ちょっとステータス画面見てみるか………。


ぴっと何もないところを指で押せば白い文字で僕の情報が記された黒いパネルが現れる。

そこには魔法、MPの青いゲージが0と記されて、体力の緑色のHPのバーが半分近く削れていた。


そしてその下の状態の欄には魔力枯渇、と赤く記されてる。


あぁーこれは、だめですわー




「何やってんだ? 」

そのパネルのプロフィールを押した所で僕の指を不思議そうに見ているアルさんに聞かれた。


「ひみつー」

「秘密やめろー」

「機嫌が良いときに聞いて」

「機嫌が良いときってなんだよ」

訝しげな顔のアルさんを無視して僕は耳につけているイヤリングをいじる。


「そしたら答えるかもしれない」

「なんだそりゃ…………、てかそのイヤリングどうしたよ」

眉間にシワを寄せて顔を近づけてくる僕も額に

しわを寄せて答える。


「貰ったんだよ」

「誰に」

「アイデンさんに買って貰った」

「ほう……よし、取れ」

よしじゃねえ。


「寝るとき取る」

「今取れ」

「やーだよ、結構気に入ってんだからねこれ」

「あぁ"? 」

「ほう、気に入ってくれてるのか、嬉しいな」

嬉しそうに近くに来たアイデンさんが嬉しそうに口元を綻ばせる。


「うん、青とか好きだからねー」

「なるほど……俺の瞳の色だな」  

「そうなると僕はアイデンさんの瞳の色が好きということになるね」

「ラグてめえ浮気するする気かゴラァ……!!!」

僕の頭の上でそんな大声出さないでよもぉー。


「………アルさんの瞳の色も嫌いではない」

うん、茶色い瞳だけど日に当たるとキラキラとしてるの琥珀みたいで好きかな。


「…………抱いてもいいか? 」

「断る」

耳元で鼻息荒くしているおっさんとか誰得。


「……で、いちゃついてる所悪いが………実際何やってるんだ? 」

「自分の魔力残量見てる」 

「なるほど……? 」

「俺が聞いても答えなかったくせに何答えてんだおめー」

左から右の耳に移動したおっさんの声に眉を寄せる。


「だって王様真顔だし怖いじゃん………」

「はぁあ? 」

「時には怖くもなるぜ俺は」

にやりとアルさんが剣呑な笑みを浮かべた所で隣に部屋に続く扉がゆっくりと開いた。


皆の視線が集まる中ドアからトコトコと歩いてきたのは頭に葉っぱが生えた子供のオークちゃん。


部屋のあかりに目を細くしたオークちゃんは周りをキョロキョロと見渡し、王様をその目に写すとぱっともこもこな顔が輝く。


「ぶ……」

「おぉ起きたのかテル、さぁおいで」

てちてちと歩いて来たオークちゃんを腕を広げて出迎える王様………王様………。


「…………怖くないやん」

さっきの威厳何処行った。


「否定はしない」

「子供馬鹿イウァンだな」

「うるさい黙ってろお前らは」

耳を真っ赤にする王様にアルさんとアイデンさんは顔を会わせてにやりと同時に笑った。


「ぶぅ? 」 

「あぁなんでもないぞ~」

不思議そうに顔を上げるオークちゃんに王様は慌てたように首を傾げるオークちゃんを撫でる。


するとオークちゃんは心地良さそうに目を細めると王様のお腹に顔をうずめ、すぐにすぴすぴと寝息が聞こえた。


あらやだ可愛い……なにこの微笑ましい光景………。


「へっ」

「何故笑う!? 」

「王様は王様だよねー」


アルさんとアイデンさんも頷いてるし間違いないかなーと。




へっ、疲れてるしちょっと刺々してる僕はやさぐれるよ。










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