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六章 変化

いや、あの

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お風呂でわちゃわちゃして最終的にタコみたいにのぼせた次の日。



朝の光に自然と目が覚る。


もそもそと起きあがろうとすれば案の定、というかもはや定番と化した寝ぼすけなアルさんの巻き付かれ起き上がれず三十分程ごろごろ。



その後漸く起きたアルさんの腕から脱出した撲は起き上がり、ベッドから降りて近くの椅子にちょこんと座る。


そしたら腹ぼりぼりかいてあくびしているアルさんに早く着替えろとつっつき、僕も影から服を出してお着替え開始。




ー五分後ー



服を着替え終わった僕が顔を洗っていると人が着替えろと言ったのにも関わらず未だ上半身裸でどうだとどや顔を抜かしているおっさんの背中をパァンと張り手をお一つ。

からの痛てえなとごねてるおっさんを早くしろと脇腹を突っつき急かした。


やれやれとソファーに座るとちょいちょいと肩をつつかれ横を向けば間近にアルさん。


振り向いた瞬間ほっぺにちゅっとキスされ動揺していると、アルさんはニカッと笑い一言。


「今日も可愛いな」

「もう一発張り手いる? 」

「いらん」

せめて服を着てから言って。



その後のそのそと洗面台の前で身支度を整えてるアルさんを椅子に座ってボケーっと眺めて。


そうして漸く朝の支度しゅーりょー。


うん。


…………うん。


なにこの新婚夫婦………。




ふと、頭に浮かんだその単語に一人呆然としていると急に視界が高くなる。


「………はぁ」


ため息をついて後ろを向けば漸く身支度を済ませたおっさんのいい笑顔。

そのままアルさんは部屋の扉まで歩いていく。

時刻は現在午前九時…………。


もう少し早くできない?。


扉に手をかける様子をじーと見ながら一人またため息をつく。

朝からため息しすぎだろ僕、幸せが逃げるから控えなきゃな……。




※※※




とか思っていたけど、僕はまたため息をつくことになる。



なんでかって?


今ね、頭上で不機嫌なオーラ全開のアルさん、その不機嫌なオーラを一新に受けてるのが、目の前にいる。


「なんでてめえがいるんだよ………仕事はどうした仕事は」

「ふふん、お前と違って今日は休みだ、ここにいてもなんらおかしくはないだろう? 」

満面の笑みのアイデンさん。


今朝はかっちりとした制服ではなく茶色いラフな私服を着てらっしゃる。

真逆の態度を取っているふたりに僕はびみょーな顔をした。


「で? 何しに来たんだ?」

苛立たしげに聞いたアルさんにアイデンさんは爽やかな笑顔で答えた。


「決まっているだろう、ラグーンを借りに来た」

借りるってなんじゃそら………。


「…………はぁ?」

「アルさん近くでその声されると耳に痛いからやめて」

そんなおにみたいな顔で言うのは勝手だけどそれを耳元、近くで出さないで。


「あ? おうわりい、………んで、そりゃどういうことだ」

僕が抗議したお陰で声を通常に戻しながらも怖い形相でアルさんはアイデンさんに聞くと、アイデンさんはフフンと腕を組む。


「昨日はお前がラグーンを外に連れていっただろう? だから今日は俺がラグーンを遊びに連れて行きたいと思ってな」 

ほほう。


「あぁ? そんなことさせるわけねえだろ」

えー。


「お前の意見など聞いてない、一番重要なのはラグーンだ、ラグーン、そこで威嚇している了見の狭いアルギスの意見は今は無視してくれ」

ほう。


「あぁ!? 」

ドス声やめいアルさん。


「………へい」

アルさんの殺気をガン無視したアイデンさんは僕と視線を会わせるとにこりと笑う。


二人の感情の温度差どうにかしろよ………。

「今日はなラグーン、君と遊びに行きたいと思っているんだが、よければ付き合ってくれないか? 」

ほほう、アルさんときみたいな遠乗り、かな?


気になる。


「俺もアルギスのようにラグーンと遊びたいんだ」


む、………よし決めた。


「いいよ」

いつも暇だし、遊びたいからね! うん。


「おいラグ、俺はどうすんだよ」

上からなんか焦ったような声してるけど。


「どうするもこうするも仕事しなよ」

「ラグを膝にのっけてやらねえと仕事が手に」

「手についてないのはいつもの事だろう馬鹿たれ」

「普通に気持ち悪いよアルさん」

「きもち………!? 」

僕とアイデンさんのダブルコンポにピシリと固まったアルさんに首を傾げる僕だけど、すぐにまあいいやと腕からするりと抜け出し口を押さえてぷるぷる震えているアイデンさんの前に立ち、右手をだす。


「さっ、いこ」

「ふふ……、アルギスは放っておいてもいいのか? 」

クスクスと笑いながらアイデンさんは甲冑みたいなものがついてる左手をかしゃりと動かしながら僕の手をとる。


「ほうっておけばいいでしょ」

「ぷはっ、そうかそうかっ! それじゃあ善は急げで、行こ」

あっけらかんと僕が言えば突然アイデンさんは声をあげて笑い、目尻に浮いた涙をぬぐうとにこりと笑う。




「あーい」

にこにことしているアイデンさんに促されるまま、僕は廊下を歩くのだった。








あ、でもアルさんどうしよう……………何とかなるしいいか。









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