生産チートの流され魔王ののんびり流されライフ

おげんや豆腐

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六章 変化

ペット登場

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「で、どう言うことだ? 」

テーブルを指で叩きながら不機嫌そうに王様は言った。


所変わって、帰ってきましたクロンバート城、そして僕の寛ぐ場所となっていた国王執務室に。



王様の不機嫌な視線の向く先には我が物顔でソファーに座るアルさんの膝の上……に座る僕の膝にちょこんと乗っているオーク。


無事生き返りましたよオークちゃん。



僕らがあの場所で見守っている中、あの子を包んでいた光が段々と弱くなっていき、光が完全に止みむくりと起き上がったオークちゃんの姿をみて僕らは思わずその場で固まった。


まるで二足歩行の猪が服着て歩いてるようなものがオーク。

その子供、つまりウリボウが二足歩行でいる、それは当然の事。

だけど今僕の膝の上にいるウリボウはひと味違った。



森林や土に擬態できるよう体毛はまだら模様に。


口元には申し訳程度にちょこんとついた牙。


くりくりとした可愛い目に頭には王様のこつこつと机を叩く音に反応してピクピクと動く耳。



そして、その王様の視線の正体、それは頭の真ん中、つやつやとした体毛にちょこんと生えているのは、木の苗のように出た茎と2枚の葉っぱ………。


「………新種か? 」

王様が眉に皺をよせ言うとそれを聞き取ったのかオークちゃんは耳をピコピコと動かしてこてんと首を傾げた。


「新種っていうより……変種かな? 」

「は? 」

まさかはっば一枚でこんな事になるとはびっくりだよ………、そもそもはっぱとオークちゃんが合体するとかだれが想像するか…………。


「まぁ別にそう気にする事ねーじゃねえの? 」

アルさんが僕の頬をつつきながらめんどくさげに言う。

すると王様の額に青筋が浮かんだ。


「おまえら……のほほんとしてるがその子どうするつもりなんだ」

びしっ、とオークちゃんを指差した王様がアルさんに向けていうと、めんどくさそうにため息をついたアルさんはオークちゃんの頭を撫でる。

「んなもん飼うにきまってんだろ?」

「ぶ?」

「ペットだペット」

「ぶー」

「にゃー」

アルさんがオークちゃんに向けて言うとオークちゃんだけでなくその足元で丸まっていたあの二股の尻尾のねこちゃんまで反応した。


ついでにこの子も連れて帰ってきたよ。

「オークの変種だけじゃなくファイアーキャットの亜種のセットだなんて全く……どこの小説だよ全く」

首を振ってため息をついた王様にアルさんは不満げに口を尖らせた。


「ちゃんと面倒は見る」

「演習なり遠征なりするお前に見れるわけないだろうばかたれ、それにこいつらがナパスに見つかったらまたうるさいぞぉ? 」

「なんで?」

僕が疑問気な顔で聞くと足を組んだ王様は言った。


「あいつは極度の魔族嫌いなんだ、そこに雑魚とはいえオークがいたらまたぶちぶちとうるさいぞ?」


「えー、でも毒盛られて以降は一度もあってないけど? 」

「わざと会わないようにしてるんじゃないのか? 」

「まぁ、どっちにしろアルさんが見ないようなら僕が見るから大丈夫よ」


「なら…………大丈夫か? 」

「おいまてなんで俺だとダメ出ししたくせにラグならいいんだよ」

「ところで、この子ご飯何食べさせればいいのかな、肥料? 」

ねこちゃんは魚なりお肉なり与えればいいけどオークちゃんはどうしようか?

オークちゃんの頬を掴めばぶー、と抗議の声をあげる、可愛い。


「オークなら俺らとそう変わらないが頭に植物生えたオークだし………わからんなぁ」

「人の話聞けやおまえら」

「じゃあ植物だしお水? 」

それで日向ぼっこさせて光合成とか? えー?


「それだと味気ないな~」

「だね~」

「おいこら」

頭の上からかかる冷気に上を向こうとすればごつい手が僕の頬をつねふ。



「むひゅ」

なにすんの!、と非難の目をアルさんにむければこれまて不機嫌そうな顔で僕を見るアルさん。


「…………まあいい、とりあえずその子一旦こっちに預けてくれ」

「なんで?」

「おう、いいぞ、」


「「ん?」」 

アルさんの方を見れば不思議そうな顔と目があった。


「なんでオークちゃん渡さなきゃいけないの?」 

「安全確認のためだろ」

「それを王様がやるの? 」


「さあな、ミネルス辺りがするんじゃねえ? 」

「ほら、おまえらいちゃついてないで早くその子こっちに渡さんか」

「えー」

「ほれイウァンもこう言ってるんだし一旦膝から降りてくれ」

「はーい……」

促されるままアルさんの膝から降りると、アルさんはオークちゃんを脇から腕を差し込んで持ち上げ、座っている王様の所まで文字通り運んで行った。

それを持ち方………と苦笑した王様が受けとるとそのまま膝に乗せて頭を撫で始める…………。



ん?


「………王様」

「どうした? 」

目尻を下げている王様をじとりと睨む。


「さてはただオークちゃんを抱きたかっただけでしょう」

僕が疑いの目で王様を見ると王様真顔で。

「…………そうだぞ」


おうふ。


「そんなことよりアルギス、おまえら遠乗りに出掛けて疲れているだろう? この子は責任を持って預かってるからさっさと部屋にいったらどうだ?」

いや、あの、早々に厄介払いされそうなんだけも……。


「おう、じゃあ行こうぜラグ!」

アルさん乗り気…………。


あぁ、アルさん笑顔でこっち来ちゃった………。



そのまま僕を抱きあげたアルさんは鼻歌を歌いながら王様の部屋から退出していった。


でも、アルさんにされるがままに運ばれていた僕はみていた。

お菓子食べるかとオークちゃんにクッキーを持っているにまにまとしている王様を。


おいこらじじい……難しいこと言っていた癖に結局可愛がってるじゃねえか。






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