生産チートの流され魔王ののんびり流されライフ

おげんや豆腐

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五章 そしてまったりと

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命の錬成。


ホムンクルスや試験管ベイビー、そして現代ではクローン。


錬金術の目指す終着点の一つが、命を0から作ること。


そのために血液や動物の骨を使ったり、惨いことをしたという記録を何処かで見た。


フリーダムライフでは当然錬金術はあり、それが発達して回復薬や爆薬を作れたりする。


ただ、この命の錬成に関してはどういうわけか禁忌とされている。

それは天界や冥界、果ては世界の果てに輪廻の輪が実在しているから、らしい。

だから生きている者が繁殖以外で命を作ることは許されない罰、正しい理由があろうと一発で地獄の釜でグツグツ煮られてしまう、生者が行ってはいけない大罪だ。






まぁでも僕既に死んでるしそう言うの知らない、ちょっと冥王様に怒られる位だ。、


さて、改めて賢者の石は出来上がった、それでオークちゃんを生き返らせる訳だけど。



「お次の素材はオークちゃんと賢者の石だね」

「素材呼びやめろ」

ん?


「別によいでしょ」

「よくない」

口を尖らせた僕はオークちゃんの傍に膝をつき、青く輝く賢者の石をオークちゃんの腹の上に置いた。


賢者の石は奇跡の石、0から1を作ることができ、1から1000まで増やすことかできる。

賢者の石の所有者はその生産力で富を生み、国を造れ、贅沢という贅沢をその身に受ける事が可能だ。


無から命を、0から1を、それは生命に関しても例外ではない。


こちらの世界では様々な動物の要素、背中には翼、足は馬の蹄、顔はライオン、尻尾は蛇とキメラ、その第一号目はどうやらこの賢者の石で造られたらしい。


ただ、その時の石は国同士の戦争に使われた時、無理に使いすぎて壊れたと、僕の家にあった分厚い昔話集の2320ページ辺りに書かれてた。



で、その石の使用法は簡単。


石を置き、ただ願うだけ。




ゆっくりと僕は目を閉じ、手を組んだ。


「死して動く事のなくなったオークの子に、仮初めなる命を与えたまえ…………」

僕がその言葉を紡ぐと日に当たって輝いていた石がほんのりと赤く熱を帯びていく。


なんでこんな中二病臭い言い回しをするかって? それはね。


「…………なんで仮初めなんだ?」

ん?


隣から疑問の声が上がったのを、僕は目を瞑ったまま答える。


「幾ら賢者の石でも、【完成】された命は造れないんだよ」

「なんでだ? 」

なんでって、えーっとそれは多分。


「命は複雑すぎるんだよ」

虫や植物ならともかくこの子のような人の形をした命は複雑に編まれたドレスのみたいに繊細、ほんの砂粒レベルでも間違えてしまえば全く別の生き物が出来上がっちゃう。


だから、仮初めとしてこのオークちゃんに新たな命を持って生き返らせる。



ちゃんとした命は【創生の申し子】で造れないことはないけど、アリムさんみたいに自分で考え、動けるような完成度の高い命を作るには時間も材料も全然足りない。


さぁ、うだうだ考えを巡らせてないでやろう。

特に意味もないけど精神を統一して………。


「さぁ、生き返らせ「にゃァ~」「お? どうしたにゃんこ」」

……………おいこら。




人の台詞に入って来るな。


「あ? 葉っぱ追ってるのか?」

「にゃあ」

いやあんたらなに仲良くなってんの、てか。


視線をオークちゃんから隣のうるさい二匹に移すとなんか空に向かってちょいちょいとしているねこちゃんとそれを悠長に眺めているアルさん…………って。


おいこら。

「もうちょっと静かにして ?」

「おう」

「にゃあ」


「…………じゃあ改めて、生き返らせてって、あぁ、もう始まっちゃってる」

静かにさせた二人からオークちゃんに視線を戻せば僕が決め台詞を終えてないにも関わらず賢者の石から放出された淡い光がオークちゃんを覆い包んでいる所だった。


「ありゃ………」

なんてこと…………。


「………なんかまずいのか?」

なんか光ってるなと呑気に言ってるけどアルさん、地味にショック受けとるのだよ僕は。


「特に不味くはないけど気持ち的に不味いかな………」

なんか中二病的な台詞言いたかったよ


「後で慰めてやろう」

「遠慮しときます」

「何なら今抱き締めてやるぜ?」


ちょいちょいと肩を叩かれて反射的に隣をを見れば腕を広げてスタンバイしているうるさい人。

それを意識して据わらせた目を向け僕は一言。


「やだ」

「そんな事言わずにこいよ、ほれ」

くいくいって手をこっちに向けるんじゃない。


「断る」

「即答すんなって」

「やーよ」

「照れてんのか?」

ニヤリじゃないよお馬鹿。


「照れてたら耳赤くなってるでしょ?、僕の耳赤くなってるかね? 」

ほれ?、と耳をアルさんに見せるようにする動かすと、じーと、食い入るようにして見たアルさん、再度ニヤッと口をあげる。


「…………耳たぶかわいいな」

おいこら。


「見るとこちゃうでしょ」

福耳なのは確かだけど。


「口に入れてもいいか?」

「人の話聞けこら」

「見ればみるほどかわいいなぁ、ラグは」

こらこらこらこら。


「一回生まれ直したらどうかな、僕を見る目変わると思うよ?」

少なくともそんな耳噛ませろとか変態発言はしなくなると思う。


「断る」

「即答しないでよ」

そしてにこってしないで、腕広げないでおいこらカモンじゃねえ聞いてんのか。


「ほれ、俺の胸に飛び込んで来い」


「なに? 飛び蹴りしてほしいの?」

ラグーンスペシャル~!、て感じで………ネーミングセンス皆無だね僕。


「ほお?、できるのか?」

腕を広げるのをやめてニヤリと笑うアルさんは僕を面白そうにみる。。


「飛び蹴りは余裕で出来ると思うよ?、アルさんに向けて助走つければ簡単だしね、でも飛び蹴りしたあとはそのまま地面に落ちると思うけど」


テレビとか漫画だと飛び蹴りしたあと体勢上手く整えて着地するけど、僕の場合あそこまで運動神経ないから尻からおちるね。


おっとアルさん不適な笑み浮かべてら。


「それじゃ俺の腕の中に飛び込むようなものじゃないかよ」

「ならトリプル回転かましながら飛びこんであげようか」

「やれるもんならやって「ニャアー!!!」なんだよにゃんこ、うるせえな」

ぐだぐだと僕達が話していると突然葉っぱで遊んでた筈のねこちゃんから悲鳴があがり、アルさんが不機嫌になる。


アルさんが眉にシワを作りながら悲鳴が聞こえた方を見れば空を見ながら何か慌てているねこちゃん。


「ん? どしたの?」

と僕も空をよく見ると空高く舞い上がったらしい緑色の葉っぱがひらひらとじくざぐに落ちてくる所だった。


「なんだよ、高く上がり過ぎただけかよ、全く………騒ぎやがって」

「にゃあ…………」

遊びたい気持ちはわかるけど葉っぱ落ちてくるの待ってればいいんじゃない?


てかねこちゃんさっきまでこの世の終わりみたいなオーラ出してオークちゃんの所寄り添ってたでしょ、変わり身早くない?


んで、葉っぱだけど、ひらひらおちて来てる。


風に乗って、ひらひら、ひらひら。


おお、僕の所落ちてきて




その葉っぱを取ろうと手を伸ばす。


けどすんでの所でそよ風が吹いて葉っぱが飛ばされてしまう。


「あらら」

「惜しかったな」

「にゃ~」

ねこちゃんから抗議来てるね。


で、葉っぱは何処へ……。


僕とアルさん、そしてねこちゃんの視線が飛ばされた葉っぱに集中する。


風がピタリと止んだために葉っぱはゆっくりと落ちて、舞い落ちていき。



新たな命を作るため光続けている、オークちゃんの体に吸い込まれていった。




「「あ……… 」」




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