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五章 そしてまったりと

一日は案外早い

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アルさんに包容力(物理)を受けてから早くも一週間。

僕は今、この世界に来て重大な問題に当たっているのだ。




「暇だ………」

そう。


暇なのだ、恐ろしいほどに………。


アルさんが早く仕事片付けてくれないからあの人の休み無くて相手してくれないし、僕この国での存在が不安定で一部の大貴族からブーイング食らってるらしいから迂闊に動き回れない……。


まぁ当然っちゃ当然だよね。


突然現れた国王の友人(仮)という名の怪しいやつ+魔族+ダンジョンマスター=反対。


普通だ……、愚図とか使えないとか以前に、普通なら止めるわな……。

とりあえず詰め込める要素詰め込んで見ましたみたいなビックリ箱、普通開けない、開けさせない。


多分一部どころじゃないと思うけど……王様やミネルスさんが頑張って収めてくれているみたい。


皆が頑張ってくれている中……僕ができる事なんて……。


特に無い。


500年もたったこの国の事について全く知らないし。

知らないことな上に興味ない事に首突っ込む程行動家でもない。

進んで問題起こすほど恥知らずでもなければ自白しちゃうとあまりこの国について興味が……怒られるわ。


基本気分で動いてるからな~……。



それで、今何をしてるかと言うと、今日は王様は視察に行くらしく城にいない。


そしてどうやら今日はアイデンさんが1日書類仕事をするらしく、今日のぐでぐで場所はアイデンさんの執務室に決定。


現在、だらけてます。


「そんな悲痛な顔をしてどうしたラグーン」 

この世の終わりみたいな顔でソファーに沈む僕に仕事する手を止めたアイデンさんは自然な動きでポケットに手を入れごそごそと何かを探し始める。


待ってアイデンさんその流れは…………。


「ほら、飴だラグーン、食べなさい」

だと思った…………。


「飴は美味しく頂くけどさ、そう言う意味じゃないよ」

アイデンさんのから飴玉を受けとり、僕はため息をつく。

そんな屈託の無い笑顔で頭撫でないで頂戴。


「ん? ならどうした、えらく不機嫌な顔をしているぞ」

「別に不機嫌じゃあないよ、なんていうか……退屈」

「ほう」

「かといって外でて、遊び回るのも本読むのもなんか違う」

「………ふむ? 」

「ただなんかやりたい、退屈しのぎしたい」

「難題だな………」

僕の矛盾した問題にアイデンさんは困ったように首を傾げる。


「そうだねぇ………」

僕も自覚しております。

単なるわがままだと。



「どうしましょう……… 」

「ふぅむ………」

さぁさぁ、考えておくれアイデンさんよ、考える事もめんどくさい、だがなんかして退屈を晴らしたい。

さあ悩んでおりますぞ~。


アイデンさんが悩んでいる間に僕はのびをしながらあくびを漏らす。


運動してないせいで体が凝り固まっている……運動しないとな、いつか。

そしてそのままふっかふかのソファーに沈みこむのだ。


「あぁ、待て待て寝ては駄目だ、問題が解決できないじゃあないか」 

おっと注意された。


「んん~? 」

「仕事の手伝いでもするか? 」

「仕事、嫌い」

「では今から城の案内でも」

「疲れるではないか」

「マッサージをしようか」

「アイデンさんが大変でしょう」

「ラグーンの体を触れるのだぞ? 大変もなにも、興奮s」

「さーて軽く調合でもするかな~!? 」

真面目キャラはちゃんと貫こうねアイデンさーん?!

勢いよく起き上がった僕はソファーから降りて伸びをする。



なんだかんだ生産職アピールしてるけど特に尖ったことしてないな、よし、ここはいい加減なイメージを払拭しよう!


「ほう……それは、ここでもできるものか? 」

アイデンさんも調合という単語に興味を示している様子、よしよし。


「片手鍋と火の魔石コンロあれば大抵の物はできるよ~」

「片手鍋………? 」

よっしゃやる気出てきた。


料理か……? と首を傾げたアイデンさんを尻目に僕はにんまりと笑う。



※※※



さぁ、皆の衆、刮目せよ。


「~アイデンさんが興味深々&怪訝な顔の中突然行われる簡単五分調合実践暇つぶし……」


「題名が長すぎる」

ごめん僕も自覚してる………。


「僕、一つにまとめる事が苦手、おっと、そんな後ろ向きな考えは駄目だね、僕ならできる、そう、略して~アイデンさんの暇潰し調合クッキング~」

これで完璧だ。


「俺が調合をしてどうするんだ」

………確かにそうだね、ふむ、ならアイデンさんに今着ている灰色の軍服の上からピンク色のエプロンをつけて。


よし。


「助手的なたち位置にいれば問題はないよ(多分)」


「おいおい……なんだこれは」

苦笑しながらもノリに乗ってくれるアイデンさんは良い人!


影からコンロと鍋を出して、さて後は材料出すだけで準備オッケー!


「さぁやりましょう~おー! 」

「ふふ……」

気分を盛り上げるために意味もなく取り出したお玉片手に僕は掛け声をあげる。


あ、やめてアイデンさん、そんな慈愛に満ちた目してると今の僕のメンタルにはきつい!






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