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四章 僕の迷宮へ
迷宮探索その1 疲れた
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一歩歩けば古くさい埃の臭いが鼻につき、
赤く金の刺繍の施された絨毯を踏みしめ、階段を降りていけば、その先は闇の広がる空間だった。
視界を埋め尽くす闇、先に進んでいったアルさんや王様の姿すら見えず、目を閉じた状態と何ら変わらない部屋、ゲームのプレイヤー達からこう言われていた。
【マスターの性格の悪さが垣間見れる初見殺し】と。
誰が性格悪いだこら。
地下二階 【機械兵達の警備路】
「なぁラグ~」
大理石の床や柱、地上の神殿から生活感を無くしたような無機質な廊下をコツコツと音を立て歩いていると、僕の後ろでつまらなさそうに歩いていたアルさんが我慢できなくなったのか声をかけてきた。
「なに~? 」
そう言い振り返ると辺りを見回したアルさんは僕を見てムッと眉を寄せた。
「でねぇじゃねえかよ敵、ダンジョンと言えばそこにいる魔物だろ」
「出なくてもいいでしょうが」
さっきから機嫌良くなかったのそれが原因?
僕が呆れてジト目で見るとアルさんの横で歩いていた王様がアルさんに頷いた。
「そうだぞラグーン、何のためにこの格好で来たと思っている、久しぶりの迷宮探索を楽しみにしてたんだぞ俺は」
「知らんがな」
傭兵みたいな格好したのは王様でしょ。
「俺ら以外だれもいない訳ではないよな? 」
「それはないよ、ほら、そこ」
「ん?」
訝しげな顔で僕の指を向けたほうを見て王様は首をかしげる。
アルさんも吊られてその方向を見るが壁際にあるのは規則正しく一定の距離を置かれて立っている蒼い甲冑達。
「……………この甲冑がどうしたんだ?」
王様が甲冑の一つに近づき、観察しながらイウァンは言った。
「動いていいよ」
カシャァッ…………。
「うぉっ!?」
僕がその甲冑に向けて命令を言った瞬間、今までピクリとも動く気配の無かった甲冑の手がカタリと動いた。
それを見た瞬間王様は後ろに飛び退き、見てゲラゲラと笑っているアルさんを横目に僕は更にその他の甲冑達を見渡すと。
「皆も動いていいよ」
先程と同様、甲冑達の動く音が重なり、甲冑達がその場で膝をつき僕に向けて敬礼をする。
「こ、これ全部ラグーンの魔物達なのか…………?」
「そうだよ~、ちなみにここから下の階全部にもこんな感じに機械兵達が配置されてるからね」
顔を青くした王様が深呼吸をしながら僕に尋ねて来るのを頷いて答える。
「そ、そうか………、あぁ心臓に悪い」
「?」
ほっと胸を撫で下ろしている王様に首を傾げているとアルさんがにやにやと僕の耳に口を寄せた。
「ククっおもしれぇ………、イウァンはな、ああいった甲冑なり骸骨とかいきなり動き出したり怖いもんが大の苦手なんだよ」
ああ、だから青ざめてたのね。
「ほうほう、良いことを聞いた」
「良くないわ!! 何ラグーンに変なことを吹き込んでんだお前!」
血相を変えた王様がアルさんを責めるとアルさんはニタリと笑い。
「事実だろぉ? 」
「ああそうだ! だからどうした!」
無理矢理胸を張り出した王様に僕は思わず苦笑しながら言った。
「開き直ってるとこ悪いけど地下六階以降は死霊系のモンスター出てくるよ 」
「嘘だろ!?」
「ほんとだよ」
顔が青から白に変わりだした王様に僕はアルさんみたいにニヤリと笑う。
地下6階 【巨兵の洗礼】
「なぁなぁラグ~」
動く甲冑以外はない無機質な廊下を降りては進み、降りて進みを繰り返しいい加減歩き疲れていると、だるそうにアルさんが声をかけきた。
「な~に? 」
どっかで休憩したいなと思いながら振り返るとアルさんはそのフロア、石造りの広い広いフロア中央、証明に照らされ糸が抜けた人形のように鎮座している黒く巨大な機械を見て言った。
「このでっけえ奴はなんだ? 」
アルさんにつられて中央を見ながら僕はいった。
「アリムさんやクロユリさんと同じこのダンジョンの中ボス担当の機械兵さんだよ」
単純なパワー、力ではダンジョンで一番、一応AIは搭載しているけどそういったのは不得意だから初期設定のまま手をつけてない、つまり単純な思考、パターンで動くでかいだけの甲冑。
「にしてもでかすぎるんじゃないか?城の半分位はするだろこいつ」
大きさはおよそ十五メートル強、うん、でかいね。
「対多人数&インパクトを重視して作ったからね、凄いでしょ」
えっへん。
「凄いっつーか…………こいつ強いの?」
再度アルさんはしげしげと機械兵を眺め、近くに歩いていく。
「僕よりは強いよ」
「そうじゃねぇ、他の真っ黒い甲冑と着物ばばあと比べたら、てことだ」
真っ黒い甲冑と着物ばばあ………!?
「……………多分アリムさん達のことだね………、あの二人と比べるとこの子は弱いと思うよ」
なんて言い方だよ…………。
それを聞いたアルさんはふーんと答え一つ決めたように頷くと僕を笑顔で見る。
「よし、こいつ動かせ」
「やだ」
なんでそうなんの。
「だって戦闘する気まんまんで来たのにこれじゃ拍子抜けもいいとこじゃねえかよ~、暴れてけよー」
口尖らせて言う内容じゃないでしょうが! ぶっそうだね!
「その上壁際の甲冑達に敬礼される始末だしな…………はは」
王様までなに言ってるの……………。
「平和でいいんじゃん………」
追いかけられたりするよりよっぽど良いでしょう……。
「「よくない「ねえ」」
ハモるな………………。
そしてこらアルさん巨兵げしげし蹴るのやめなさい、やめなさいったら!
赤く金の刺繍の施された絨毯を踏みしめ、階段を降りていけば、その先は闇の広がる空間だった。
視界を埋め尽くす闇、先に進んでいったアルさんや王様の姿すら見えず、目を閉じた状態と何ら変わらない部屋、ゲームのプレイヤー達からこう言われていた。
【マスターの性格の悪さが垣間見れる初見殺し】と。
誰が性格悪いだこら。
地下二階 【機械兵達の警備路】
「なぁラグ~」
大理石の床や柱、地上の神殿から生活感を無くしたような無機質な廊下をコツコツと音を立て歩いていると、僕の後ろでつまらなさそうに歩いていたアルさんが我慢できなくなったのか声をかけてきた。
「なに~? 」
そう言い振り返ると辺りを見回したアルさんは僕を見てムッと眉を寄せた。
「でねぇじゃねえかよ敵、ダンジョンと言えばそこにいる魔物だろ」
「出なくてもいいでしょうが」
さっきから機嫌良くなかったのそれが原因?
僕が呆れてジト目で見るとアルさんの横で歩いていた王様がアルさんに頷いた。
「そうだぞラグーン、何のためにこの格好で来たと思っている、久しぶりの迷宮探索を楽しみにしてたんだぞ俺は」
「知らんがな」
傭兵みたいな格好したのは王様でしょ。
「俺ら以外だれもいない訳ではないよな? 」
「それはないよ、ほら、そこ」
「ん?」
訝しげな顔で僕の指を向けたほうを見て王様は首をかしげる。
アルさんも吊られてその方向を見るが壁際にあるのは規則正しく一定の距離を置かれて立っている蒼い甲冑達。
「……………この甲冑がどうしたんだ?」
王様が甲冑の一つに近づき、観察しながらイウァンは言った。
「動いていいよ」
カシャァッ…………。
「うぉっ!?」
僕がその甲冑に向けて命令を言った瞬間、今までピクリとも動く気配の無かった甲冑の手がカタリと動いた。
それを見た瞬間王様は後ろに飛び退き、見てゲラゲラと笑っているアルさんを横目に僕は更にその他の甲冑達を見渡すと。
「皆も動いていいよ」
先程と同様、甲冑達の動く音が重なり、甲冑達がその場で膝をつき僕に向けて敬礼をする。
「こ、これ全部ラグーンの魔物達なのか…………?」
「そうだよ~、ちなみにここから下の階全部にもこんな感じに機械兵達が配置されてるからね」
顔を青くした王様が深呼吸をしながら僕に尋ねて来るのを頷いて答える。
「そ、そうか………、あぁ心臓に悪い」
「?」
ほっと胸を撫で下ろしている王様に首を傾げているとアルさんがにやにやと僕の耳に口を寄せた。
「ククっおもしれぇ………、イウァンはな、ああいった甲冑なり骸骨とかいきなり動き出したり怖いもんが大の苦手なんだよ」
ああ、だから青ざめてたのね。
「ほうほう、良いことを聞いた」
「良くないわ!! 何ラグーンに変なことを吹き込んでんだお前!」
血相を変えた王様がアルさんを責めるとアルさんはニタリと笑い。
「事実だろぉ? 」
「ああそうだ! だからどうした!」
無理矢理胸を張り出した王様に僕は思わず苦笑しながら言った。
「開き直ってるとこ悪いけど地下六階以降は死霊系のモンスター出てくるよ 」
「嘘だろ!?」
「ほんとだよ」
顔が青から白に変わりだした王様に僕はアルさんみたいにニヤリと笑う。
地下6階 【巨兵の洗礼】
「なぁなぁラグ~」
動く甲冑以外はない無機質な廊下を降りては進み、降りて進みを繰り返しいい加減歩き疲れていると、だるそうにアルさんが声をかけきた。
「な~に? 」
どっかで休憩したいなと思いながら振り返るとアルさんはそのフロア、石造りの広い広いフロア中央、証明に照らされ糸が抜けた人形のように鎮座している黒く巨大な機械を見て言った。
「このでっけえ奴はなんだ? 」
アルさんにつられて中央を見ながら僕はいった。
「アリムさんやクロユリさんと同じこのダンジョンの中ボス担当の機械兵さんだよ」
単純なパワー、力ではダンジョンで一番、一応AIは搭載しているけどそういったのは不得意だから初期設定のまま手をつけてない、つまり単純な思考、パターンで動くでかいだけの甲冑。
「にしてもでかすぎるんじゃないか?城の半分位はするだろこいつ」
大きさはおよそ十五メートル強、うん、でかいね。
「対多人数&インパクトを重視して作ったからね、凄いでしょ」
えっへん。
「凄いっつーか…………こいつ強いの?」
再度アルさんはしげしげと機械兵を眺め、近くに歩いていく。
「僕よりは強いよ」
「そうじゃねぇ、他の真っ黒い甲冑と着物ばばあと比べたら、てことだ」
真っ黒い甲冑と着物ばばあ………!?
「……………多分アリムさん達のことだね………、あの二人と比べるとこの子は弱いと思うよ」
なんて言い方だよ…………。
それを聞いたアルさんはふーんと答え一つ決めたように頷くと僕を笑顔で見る。
「よし、こいつ動かせ」
「やだ」
なんでそうなんの。
「だって戦闘する気まんまんで来たのにこれじゃ拍子抜けもいいとこじゃねえかよ~、暴れてけよー」
口尖らせて言う内容じゃないでしょうが! ぶっそうだね!
「その上壁際の甲冑達に敬礼される始末だしな…………はは」
王様までなに言ってるの……………。
「平和でいいんじゃん………」
追いかけられたりするよりよっぽど良いでしょう……。
「「よくない「ねえ」」
ハモるな………………。
そしてこらアルさん巨兵げしげし蹴るのやめなさい、やめなさいったら!
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