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三章 新たな生活

もう一人会うの?

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ミネルスさんのおかげでアイデンさんから解放された僕は今現在、アイデンさんと別れ、もう一人会う人のいる部屋の前にいる。


あっさりしてるって?


いやだってさ、アイデンさん用事あるって言ったら割りとあっさり離してくれて、また会おうとか笑顔で見送ってくれたんだよ? アルさん見習って







でも正直アイデンさんの事でもう体力が切れかけているから、ミネルスさんに次の人午後からでもよくないかと提案したけど笑顔で却下され。




未だに体力の回復していない僕がげっそりとしていると、それを苦笑してミネルスさん。


「お疲れの所悪いのですがラグーン君、この先にナパスがいますが、一つ頭に入れておいて欲しいのですが」


「?、なに?」

もしかしてアイデンさん並みにヤバイ人なの?と考えるが、それとは裏腹にミネルスさんは笑みを消し神妙な面持ちになる。


「今から会うナパス、彼はとても良い人なのですが……ラグーン君の気分を害す言葉を言うかもしれません」

え、気分を害す? 悪口?


「害す、て僕なんか悪いことしてないよね………? 」

少なくともこの二日でなにかできるわけもないし………。


ミネルスさんはそうですねと頷き扉を見て。


「それはそうですが彼は、……そういった事関係なくラグーン君を敵視するでしょうね」

「えぇ~……………」


理不尽だねそれ…………、まぁ今更だけど、100%僕は歓迎されている訳じゃないってことだ……。


「ですのでラグーン君は何を言われようが特別気にしなくても大丈夫ですよ、さあ、彼も待ちくたびれているでしょうから」

念を押すように言ったミネルスは扉をノックした。


「…………うん」

心配だ……………。









と思った僕の予想は大きく外れた。



正面に座っている彼、ナパスさんという男性は部屋に入ったときから終始ニコニコと笑って出迎えてくれた。


スラッとした出で立ちのこの人、爽やかなイケメン顔をニコニコと輝かせているこの人は空のように青い肩までありそうな髪の毛を後ろに結び、結ぶことによって細長い耳が強調されてイケメンさが増している。


仕草一つ一つに品みたいなのがあって、高貴さみたいのが溢れてる……気がする。



この人あれだ、森とかで暮らすエルフだ、多分。


そしてナパスさん僕をソファーに座らせてお茶をすすめてくれた。



「へぇ~、君がアルギスのお嫁さん? 思ったよりも小さいんだねぇ! 」


うっ、まさか最初から言われたくないことを言われるとは………。


「そりゃあ子供の身長と大人の身長比べたらそうなるでしょうね………」

ナパスさんのストレートな言葉にもう慣れたとばかりに苦々しく呟く。


チビって何回言われるんだろうね…………、でもこういうとき下手に出ても逆効果だから………、開き直ろうか。


お茶を飲みながら遠い目をしていると、ナパスは侍女が持ってきたタルトの入った皿をラグーンの前に出すと。


「そうだよねぇ、ところでお嫁さんが来るって聞いたからお菓子買ったんだけどよかったら食べる~? 」

ん? お菓子?

差し出されたお皿を見れば、赤い実がいくつものっている小さなタルトがたくさん……甘酸っぱくて美味しそうだね。


そういえばアイデンさんにもらったお菓子の入った紙袋置いてきちゃったけどあれ後で取りに行こうかな。


「これなに入ってるの? 」

赤いものってなんだろ、リンゴとかかな?


「それはさくらんぼだよ、あとちょっとスパイスが入っててすんごい美味しいらしいから食べて食べて! 」

「それじゃお言葉に甘えて」

勧められるまま僕はタルトを一つとりかぶり付く。

それを見ていたミネルスはニコリと笑う。


「では私も頂きましょうかね」

そう言ったミネルスさんかタルトに手を出そうとするがナパスさんに止められる。


「ダメダメ、これはお嫁さんのなんだから」

「おや、それは残念ですね」

そんな二人を横目に僕は二つ目のタルトにかぶり付いた。


「ふむ、ちょっとピリッてしてるけどこれはこれで美味しいね」

舌先がピリッとくるけど僕好きだよこれ。


「そう?なら良かった~!、所でさあお嫁さんに聞きたい事あるんだけどさぁ、いい? 」

テーブルに手をつき前屈みになって聞いてくるナパスさんに僕は口元についたかすを取りながら。


「なに? 」


すると、ナパスさんは目元を絵本の狐のように細めた。

「君みたいのがどうやってアルギスをたらし込んだの? 」


「………え 」

たらし込む?




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