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一章 森

自己紹介しよう

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名前を教えてくれ。


至極全う、若干無理矢理で脅迫じみた流れとはいえ一つ屋根の





男前さんは渡したタオルで体を拭いている、僕は平静を装いながらソファーに座る。



それにしても……そういえば僕……まだ自分の名前一度も出して無いね、自分の事名前呼びとかぶりっ子天然じゃ無いし。


でも名前か……。


「むう……」

さてどうしようか。



リアル、親に名付けられた名前を名乗るか……それともこのゲームの、自分で名付けた名前。


、どちらにしよ?



……………どっちも微妙。


「ところで坊主悪いが腹がすい……ん? 」



うんん……………。

親の名前を使うのが一番だろうけれど、それを使えば恐らく、この今いる場所的に変な顔をされるだろう。


「おーい」


ならばゲームで利用していた名前、ラグーン。


名字は、そうだね……………パイライト?、確か毒かなんかにそんな感じのがあったはず。


ラグーン・パイライト、うん、これでいいかな。


さて男前さんに伝えようか。


ん?、あれ? 男前さんがいない。

?、そういえばやけに僕視界高くなってない?。


「おい坊主」


え……………………?


斜め上から聞こえるバリトンのいい声、あれそういえば僕これ抱かれ。


「ん゛゛!? 」


目 の ま え に イ ケ メ ンが!!


なぜっ!?


「なんだよその声、おもしれえな」

にやにやと笑っている男前さんは軽い足取りでソファーに向かうと僕を抱いたまま腰をおろした。


「だだ……んん、貴方が僕のことを抱き上げてるから、その」

究極がつくほど恥ずかしいいんだよこのやろう!!


「おいおい顔赤くなってるぜ? 」

いーやー!!!言わないで!!


手で顔を隠そうとするが男前さんに手を掴まれ阻害される。


「し、指摘しないでくだひゃい!」

あ、噛んじゃった、てへ? てへじゃねえよ!!


「噛んだな……クク」

てめえこのやろうニヤリとするんじゃないよ!!、


「また……! 」

「だってお前面白いもの……ねこみてえだなお前」

こ、この人絶対性格悪い!!


「酷い人だ……」

「ほらほら怒らない怒らない」

子どもをあやすようによしよしと頭をなでてくれるが。


「誰のせいで怒ってると思ってるんですかっ 」

原因作ったのは己だろう!!


「半分わざとだが? 」 

やっぱりわざとか!


「…………ゆるさん! 」

別にどうこうするつもりはないが許さん!! これは、あれだ、ぬっころす!


「で?名前は?」

「へ?」

「名前だよ、名前、こんな俺に言いたくねえか? 」

な、なにさいきなり。



固まる僕、笑みを深める男前さん。


「なんだかんだ言って聞いてないからな、で?名前何だ?」

なんか素直に告げるのは嫌だけど……………!。


「えっと、僕の名前はラグーンです、ラグーン・パイライトです」

「へぇ、ラグーン………入江、か、中々いい名前じゃねえか」

「ありがとうございます……それじゃあ、そろそろ降ろして貰えます? 」

せめてもの悪あがきじゃ。


モゾモゾと動いて降りようとすれば男前さんは黒い笑みを浮かべ、え?



うん?。


「断る」

「何でですか」

なぜ即答……。


そして男前さんは僕の耳元に口を寄せ言った。


「俺お前のこと気に入ったから、……覚悟しろよ? 」


覚悟しろよ……。


腹に響くその声に僕の鳥肌を起こす。

いーやー!低い声でなんか鳥肌が立つ!

しかも【こんな】の部分を強調してるから余計ヤバ……!


「クク、なぁ良かったら俺の国にき【お風呂が沸きました】「」

更に男前さんが何かを言おうとすれば、突如無機質な声が部屋に響いた。


「……あ? 」

男前さん不機嫌になった……。


「お風呂、沸きましたよ、よければ入ります……? 」

「……風呂があるのか? 」

驚いた顔をする男前さんに降ろしてと手で抗議をしながら頷く。


「そうか、風呂、風呂か……! 」

僕を名残惜しそうに降ろした男前さんの顔がどんどん綻んで行く。


「ところで、貴方の名前をお伺いしてもいいですか? 」

「ん? そんな固くならなくてもいいぜ 俺の名はアルギス 、アルギス・センブレル、よろしく頼むぜ、ラグーン」

ニカッと笑った男前さん改め、アルギスさん。


「よろしくお願いします、アルギスさん」

「だーかーらーそんな固くなるなって、呼び捨てにしてくれていいぜ? 」

ポリポリと頭をかいたアルギスさんはポンポンと僕の背中を叩く。


「それじゃあアルさんとよばせてもらいますね。」

言いやすい名前でいこう。


「んん……まあ、いいか」

やった!


「では早速アルさん」

「おう、なんだ」

ん?、と首を傾げるアルさんに僕は顔を引き締める。


「まずらお風呂に入ってきてください」

綺麗さっぱりして貰ってから、ご飯食べましょう。







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