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人が増え主人は怒る
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でっかい体にちょっと厳ついスキンヘッドが転がり込んできて二時間、まだ二時間?
雨が強くなってひんやりと屋敷全体が寒くなったのでぐすたふが暖炉に火をいれてくれた。
ほかほかと暖かい部屋のなかゆるりと過ごしたいんですけど……。
「……もう少し吐いてもらおうか、おい、アイツは何を言って何を考えているか、言え、大人しく吐けば爪で済ませる、でなければ腕だ」
「勘弁してください……ひぃ!」
暖かいミルクを渡されたニール、気まずいですとっても。
ふかふかな椅子に座ってブランケットにホットミルクに簡単なお菓子と最強の布陣な点は高く評価するんだけど、視界の真ん中のこれが大変に気持ちを害す。
尋問と拷問を反復横跳びにしたような、ふかふかじゃない椅子に縛り上げられて涙目になってるスキンヘッドを鬼みたいな顔で絞り上げてるぐすたふを眺めてゆっくりできる肝っ玉はないよ。
・スキンヘッドは隊長の命令で屋敷にやってきた。
・スキンヘッドはぐすたふの護衛と身の回りのお世話をするんだそうな。
・頃合いを見て召使いを隊長という人が寄こすとかなんとか。
・スキンヘッドがガチ泣きしてる。
耳ざとく拾った情報を纏めるとこうだ……そろそろ悲鳴が嫌になってきたし止めるか。
「ぐすたふ、ぐすたふ」
「ああ?」
スキンヘッドの腕を掴んだ所で声をかければ鬼の顔がこっちを見る。
「その辺にしといてあげて」
「こいつを庇うってのか?」
「んー……そうね」
庇うか庇わないかで聞かれたらそうなるね。
「こいつ……殺すか」
「えええぇ、なにその方向転換……」
鬼の顔が凄いことになったぐすたふの矛先がスキンヘッドに向いてスキンヘッドの顔が白くなる。
「……タスケテクダサイ」
暖炉の音がパチパチ聞こえる部屋で繰り広げられる惨状、スキンヘッドのつぶらな瞳が僕に刺さる。
「あのね、ぐすたふ」
「あ?」
「目の前で拷問見せられちゃおちおちリラックスもできない」
「んじゃこいつ捨ててくる」
「そういう問題ちゃうねん」
思わず口調が変わったけどこれは仕方ない。
雨の音を感じながら指が折れるか折れないか、関節外してくっつけて腕からミシミシなんて音出るの知りたくなかったよ何やってるのやめなさい。
スムーズ慣れた感じにするぐすたふの手腕に最初は思考停止して見ていたけどそれにも限度がある。
哀れなスキンヘッドに救いの手を出してやろう………なんとなくスキンヘッドと森の熊が重なって見えるんだよね。
「……血は出してねえぞ」
「流石に生づめ剥ぐのはどうかと思う」
何処から出したと聞きたくなるでっかいピンセット片手に猛烈に首を振ってるスキンヘッドの手を持つぐすたふが首をかしげた。
「ダメか」
「可哀想だから他のにしたげて」
「勘弁してください……! 」
「ああ!?」
「ひぃ!」
「こら」
ちょっと悪い方に変わったぐすたふが怖いけど心を鬼にしないと暫く落ち込む事案になりそうで怖い、少なくともこんな凶暴な目してなかったものこの人。
「ほらもうスキンヘッド泣いちゃった、どうすんのこれ」
「……俺とニールの生活をこいつが邪魔するから、仕方ねえよな?」
「同意求めてこないでよ、別に嫌な事されてないのにちょっとやりすぎだよ」
「…………」
「ピンセット隠そうとすな」
「……ちっ」
怖い目が若干なくなって気まずそうにするぐすたふにため息つきそうになるのを我慢して言葉を続けた。
「そこのスキンヘッドぐすたふ守るために来たんでしょ? なら放置していいじゃない」
「こんなでけえのいたら邪魔だろ」
「我慢しなさいよ」
「嫌だ、ここには俺とニールさえいれば良い」
眉間の皺寄せてずんずん僕の前に歩いてきたぐすたふはしゃがんで目線を合わせて不満げな顔で僕の頬を挟む。
「とりあえずスキンヘッドの待遇改善を求む」
「俺には素っ気ねえのにこいつには優しくすんのか、お?」
「うぇ? うん」
「そうかそうか……やっぱ邪魔だなこいつ」
「今考えてる事やったら嫌いになるからね、やめようね」
捨てるとか拷問とかだめだめ。
「……俺が可哀想だろうがよ」
「んえ?」
「嫉妬するじゃねえか」
憤怒の顔でスキンヘッドを見ていて急に眉を寄せぶっきらぼうにぐすたふは言った。
「なんであいつに優しくすんだ、あいつにすんなら俺に優しくしろ」
「……ぐすたふ?」
「なんだ!」
「そ、その心は」
正直今のぐすたふの気持ちが全くわからない、ちょっと茶化せないくらいにスキンヘッドいじめてたしかと思えばこの変わりよう……わかんない。
ジッとぐすたふの顔を見て聞いてみると……寄っていた眉の皺が無くなっていく。
「あー……なんだ、そのだな」
「うん」
今度は眉がへにょりと下がって、ぐすたふの頬が赤く染まってきた
「嫉妬……だ」
「はい?」
「へ?」
耳まで真っ赤になったぐすたふがぞっぽを向く。
「昨日からあのハゲとお前がちょいちょい話してんの見て俺としては嫌でな、今日は折角二人でゆっくりできると思って楽しみにしてたらこいつが来ただろ? ……ちょっと八つ当たりした」
はい?
「えっ……しょうもなっ」
「うるせえっ」
「スキンヘッドただ八つ当たりされただけじゃん」
「大体全部八つ当たりだな、ニールがこいつを気にかけるの見てたらどうしようもなくイライラして……つい」
「さいてー」
「……勘弁してください」
一番の被害者スキンヘッドじゃん。
え、これ……ぐすたふこれ最悪じゃん……仕方ない。
「はーいぐすたふ~」
「ん? お?! 待てご……ら、」
ぐすたふが反応するよりも早くぐすたふの頭に手を置いて。
【秘儀、ぐすたふの頭撫でておやすみ! おやすみぐすたふ! 】
さて、スキンヘッド救うか、おいでスキンヘッド悪いようにはしないよー。
まぁそのあと起きたぐすたふに信じられないくらい怒られて次の日1日中膝の上から出れなかったけども。
「一生ついていきます……!!」
あとスキンヘッドに懐かれました、何故やら。
雨が強くなってひんやりと屋敷全体が寒くなったのでぐすたふが暖炉に火をいれてくれた。
ほかほかと暖かい部屋のなかゆるりと過ごしたいんですけど……。
「……もう少し吐いてもらおうか、おい、アイツは何を言って何を考えているか、言え、大人しく吐けば爪で済ませる、でなければ腕だ」
「勘弁してください……ひぃ!」
暖かいミルクを渡されたニール、気まずいですとっても。
ふかふかな椅子に座ってブランケットにホットミルクに簡単なお菓子と最強の布陣な点は高く評価するんだけど、視界の真ん中のこれが大変に気持ちを害す。
尋問と拷問を反復横跳びにしたような、ふかふかじゃない椅子に縛り上げられて涙目になってるスキンヘッドを鬼みたいな顔で絞り上げてるぐすたふを眺めてゆっくりできる肝っ玉はないよ。
・スキンヘッドは隊長の命令で屋敷にやってきた。
・スキンヘッドはぐすたふの護衛と身の回りのお世話をするんだそうな。
・頃合いを見て召使いを隊長という人が寄こすとかなんとか。
・スキンヘッドがガチ泣きしてる。
耳ざとく拾った情報を纏めるとこうだ……そろそろ悲鳴が嫌になってきたし止めるか。
「ぐすたふ、ぐすたふ」
「ああ?」
スキンヘッドの腕を掴んだ所で声をかければ鬼の顔がこっちを見る。
「その辺にしといてあげて」
「こいつを庇うってのか?」
「んー……そうね」
庇うか庇わないかで聞かれたらそうなるね。
「こいつ……殺すか」
「えええぇ、なにその方向転換……」
鬼の顔が凄いことになったぐすたふの矛先がスキンヘッドに向いてスキンヘッドの顔が白くなる。
「……タスケテクダサイ」
暖炉の音がパチパチ聞こえる部屋で繰り広げられる惨状、スキンヘッドのつぶらな瞳が僕に刺さる。
「あのね、ぐすたふ」
「あ?」
「目の前で拷問見せられちゃおちおちリラックスもできない」
「んじゃこいつ捨ててくる」
「そういう問題ちゃうねん」
思わず口調が変わったけどこれは仕方ない。
雨の音を感じながら指が折れるか折れないか、関節外してくっつけて腕からミシミシなんて音出るの知りたくなかったよ何やってるのやめなさい。
スムーズ慣れた感じにするぐすたふの手腕に最初は思考停止して見ていたけどそれにも限度がある。
哀れなスキンヘッドに救いの手を出してやろう………なんとなくスキンヘッドと森の熊が重なって見えるんだよね。
「……血は出してねえぞ」
「流石に生づめ剥ぐのはどうかと思う」
何処から出したと聞きたくなるでっかいピンセット片手に猛烈に首を振ってるスキンヘッドの手を持つぐすたふが首をかしげた。
「ダメか」
「可哀想だから他のにしたげて」
「勘弁してください……! 」
「ああ!?」
「ひぃ!」
「こら」
ちょっと悪い方に変わったぐすたふが怖いけど心を鬼にしないと暫く落ち込む事案になりそうで怖い、少なくともこんな凶暴な目してなかったものこの人。
「ほらもうスキンヘッド泣いちゃった、どうすんのこれ」
「……俺とニールの生活をこいつが邪魔するから、仕方ねえよな?」
「同意求めてこないでよ、別に嫌な事されてないのにちょっとやりすぎだよ」
「…………」
「ピンセット隠そうとすな」
「……ちっ」
怖い目が若干なくなって気まずそうにするぐすたふにため息つきそうになるのを我慢して言葉を続けた。
「そこのスキンヘッドぐすたふ守るために来たんでしょ? なら放置していいじゃない」
「こんなでけえのいたら邪魔だろ」
「我慢しなさいよ」
「嫌だ、ここには俺とニールさえいれば良い」
眉間の皺寄せてずんずん僕の前に歩いてきたぐすたふはしゃがんで目線を合わせて不満げな顔で僕の頬を挟む。
「とりあえずスキンヘッドの待遇改善を求む」
「俺には素っ気ねえのにこいつには優しくすんのか、お?」
「うぇ? うん」
「そうかそうか……やっぱ邪魔だなこいつ」
「今考えてる事やったら嫌いになるからね、やめようね」
捨てるとか拷問とかだめだめ。
「……俺が可哀想だろうがよ」
「んえ?」
「嫉妬するじゃねえか」
憤怒の顔でスキンヘッドを見ていて急に眉を寄せぶっきらぼうにぐすたふは言った。
「なんであいつに優しくすんだ、あいつにすんなら俺に優しくしろ」
「……ぐすたふ?」
「なんだ!」
「そ、その心は」
正直今のぐすたふの気持ちが全くわからない、ちょっと茶化せないくらいにスキンヘッドいじめてたしかと思えばこの変わりよう……わかんない。
ジッとぐすたふの顔を見て聞いてみると……寄っていた眉の皺が無くなっていく。
「あー……なんだ、そのだな」
「うん」
今度は眉がへにょりと下がって、ぐすたふの頬が赤く染まってきた
「嫉妬……だ」
「はい?」
「へ?」
耳まで真っ赤になったぐすたふがぞっぽを向く。
「昨日からあのハゲとお前がちょいちょい話してんの見て俺としては嫌でな、今日は折角二人でゆっくりできると思って楽しみにしてたらこいつが来ただろ? ……ちょっと八つ当たりした」
はい?
「えっ……しょうもなっ」
「うるせえっ」
「スキンヘッドただ八つ当たりされただけじゃん」
「大体全部八つ当たりだな、ニールがこいつを気にかけるの見てたらどうしようもなくイライラして……つい」
「さいてー」
「……勘弁してください」
一番の被害者スキンヘッドじゃん。
え、これ……ぐすたふこれ最悪じゃん……仕方ない。
「はーいぐすたふ~」
「ん? お?! 待てご……ら、」
ぐすたふが反応するよりも早くぐすたふの頭に手を置いて。
【秘儀、ぐすたふの頭撫でておやすみ! おやすみぐすたふ! 】
さて、スキンヘッド救うか、おいでスキンヘッド悪いようにはしないよー。
まぁそのあと起きたぐすたふに信じられないくらい怒られて次の日1日中膝の上から出れなかったけども。
「一生ついていきます……!!」
あとスキンヘッドに懐かれました、何故やら。
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