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騒がしく おとなしく

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グッモーニンえびばでぃ。


朝特有の冷たい風と中途半端に明るい太陽の光に起こされたギフニールだよ。

幼い頃の夢見て心地よかったのに太陽てめー、早く屋敷につかないかと思ってます。


そして夜営もとい野宿は眠らない(拒否された)ぐすたふのもと安心安全、やや快適……んん。

無駄に鮮明な頭とそれ以外の億劫な体、そろそろ起きよう。



「……うわ」
微妙な快適さの寝心地の中目覚めた朝一番、ゆっくりと開けた視界を閉めるのは夜明けのぼんやりした青空ではなくぐすたふの顔面のドアップ、細かい傷とか目の下にうっすらと隈が浮かんでるのさえはっきりわかる。

これは酷い。

「うわってなんだひでえな」
「起きて早々ヤバイ顔見せられたら呻きたくもなるでしょ」
「……そんなやばいか?」
「主に距離、近いんだよ」
「あん?」
そう、眠ることを拒否するのだって膝で眠れと強要するのだってもっともな理由がある、できる魔族な僕はちょっと嫌だが我慢だってしようではないか。

だけどね、この距離はやだ。

「起きたらぐすたふの顔が目と鼻の先にあるとか純粋にいや」
「……そんないやか?」
見える、見えるぞ、獣人でもないのにぐすたふの頭に犬の耳がぺたんとしてる。
別に悪い事してないのになんで僕が悪いみたいになってるの……悪くないよね?  これで傷つくのが普通なら謝るよ? いや、いやそんな事ないたぶん。



「落ち込んでるとこ悪いけど、ぐすたふだから嫌じゃなくて目開けて最初に見るのが血走った目の顔ってのが嫌なの」
「……どういうことだ?」
「だーかーらー、近いの、離れてっ、僕は空が見たい」
言葉って難しい。

「……そうかっ」
「喜ばないのばか、起きたいからどいて、ほら」
ぴんとたった耳の幻覚をまとったぐすたふの顔を叩いてアピールすればぐすたふの顔が離れていく、よしよし。


「……ふう」
毛布だけ敷いた寝床のせいでカチカチになった体をストレッチでほぐし、ぼきぼきと首を鳴らして……鳴らして。

ふえー、目が重い、体痛い眠い。



「……にーる?」
「んー?」
「なにしてんだ?」
「ぼーっとしてる」
寝覚めの悪い時にはこれに限る。

上手く回らない頭はそのままにぼんやりと空を見る、以上!


「飯出来たら呼ぶからな?」
「あーい」
頭を撫でる大きい手にされるがままに僕はまったりと頭が起きるのを待ったのだった。



「副隊長あれ……」
「知らん! 見ないようにしてんだから話しかけるな阿呆!」
「う、うっす」

そこ、聞こえてるよ~、あと案外そういうの記憶に残るからやめて~。


朝食は炙った干し肉とお湯、味は不可もなく可もなく、まぁまぁね。


今日も馬に揺られてあるきますよっと。






てなわけで、ついたよ、屋敷の近くに。



歩いて、休んで、野宿してをくりかえ二回、そして夕方。

こそこそと話しているスキンヘッド達にも慣れた頃に見えました屋敷の近くにある町。

深夜とか人のいない時間帯にしか通った事ないからそこまで思い入れがあるわけじゃないけど知ってるものが見えるとほっとする。
こう、遠目で見ると豆粒サイズの人間が見えなくも無い……。

そういえば僕町に入って大丈夫なのかね。

「待て」
「?」
ぽくぽくと町に向かっていた馬を止めたぐすたふの顔を見ると、微かに眉が寄っている……気がする。

「どう、なさいました?」
僕の目から見ても謎なぐすたふを多分常識人な隊長さんが心配そうな顔でお伺いを立てると、ぐすたふの腕が僕の腰に回った、かと思うとそのまま抱き込まれて乗っていた馬から降りてしまった。

「デルベルト殿?」
「俺等はこのまま屋敷に行く」
「ま、町には」
「行かねえ」
「で、ですが」
「行かねえっつたろ、お前らはとっとと帰ってあいつに報告しろ”俺は問題ない”てな」
「……畏まりました」
言い募ろうとする隊長さんをばっさり切り捨てたぐすたふ、しゅんとしてる隊長さん無視して整備された道から逸れて歩き始めて、僕はされるがまま抱かれてるでござる。

あーあーあースキンヘッドに慰められてるよあの人、ちょっとは労いの言葉でもかけてあげればいいのに感じ悪いねぐすたふ。


「……くそねみい」
「……あら」
眠いなら仕方ない、よし。

「っち、帰ったら寝る……いいよな?」
「勿論、でも先にお風呂入りたい」
「……あいよ」
「今の間なに」
「今すぐにでも寝てえな、て」
「体あっためてから寝た方が良いよ」
「んー、んん、わかった、おら走るぞ掴まれ」
「あーい、あじゃっ! 」
いったい舌噛んだ!

「ばーか」
「うるさーい」
すんごい速さで走りながらげらげら笑うぐすたふにチョップをお見舞いしつつ、ゆっくりと僕は目を閉じた。

急激な景色の変化とか酔うからね、対策は怠らないよ。





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