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夕食に+晩酌がついたでござる
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どっぷり落ちた太陽の後に見えるのは蒼く大きい三日月。
暗くで月の周りだけ明るい空を焚き火の木が跳ねる音を耳に意味も無く眺め続ける。
今日は頭使いすぎてちょっと頭がいたい……しばらく何も考えずぼけっと空眺めていたい気分。
視線の先の空は湿った風が吹き、薄い雲越しに月の光が見えたり見えなかったり、ゆっくりと風に乗って雲が流れていく。
暗闇でこそ夜は明るく綺麗に写るというもの、赤だったり青だったり黄色だったり、色彩の変化は案外飽きないものだ。
「ニール~」
「んー?」
空を眺めてのんびり考えていると、ふいに頬をつつかれ名前を呼ばれ振り向けば、湯気立つ兎の串焼き肉を僕の手に持たせる。
「飯できたぜ」
「うい?」
「おら、渡すぞ」
栄養になるかはともかく味は絶品、口を大きく開けれれば隣から笑い混じりに声が入った。
「熱いから気を付けろよ?」
「ういー」
昼間の要望通りぐすたふは香りと香ばしさが最高のハーブ焼きを焼いて、いそいそと小麦粉に水を混ぜている……パンケーキか。
まあそれはそれ、焼き肉は焼き立てが一番旨い、頂こう。
あーん。
「っ…あちい」
「くくっ、気を付けろって言っただろ」
「……うるしゃい」
元気よくかぶりついた僕だったが、溢れ出る肉汁に声にならない悲鳴をあげる。
顔をしかめる僕に面白そうに笑うぐすたふはにやにやと僕にコップを差し出す。
「ほれ、水飲むか?」
「のむ~」
「ほれよ」
「ありがと」
マグカップを受け取りそのまま口をつけた。
「あ、やべ」
「んむ……?」
ぐすたふの変な声を耳に中の飲み物を飲み干し、喉越しの違和感に首をかしげる。
「これ……みず? ん?」
舌先にのる辛さと喉を通った瞬間香る果物が鼻を突き抜ける。
これ……透明だけど僕の想像していた水とちがう。
「みず、じゃねえな……酒だ、わりい」
「………さけ?」
「焼いてる途中だったもんで渡す方間違えちまった」
苦笑して言ったぐすたふは僕の持っているものと同じデザインのカップを持ち上げる。
……ふむ。
「お酒もってきてたのね」
屋敷じゃご飯食べる時に飲んでたけどここには持ってきてたのね、初めて知った。
「おう、たまに飲みたくなるんだよな……すまん」
「別にそれは構わないけど……びっくりした」
酒なんて滅多に飲まないから思ってない味に純粋にびっくりしちゃった。
「もしかしてニール、飲める口か?」
「飲めなくはない」
「おぉいいじゃねえか、飲もうぜ!」
しゅんとしてたぐすたふはすぐに復活してぐいぐい近づいてくる。
「なんで喜んでるの、強くないからあんま飲まないよ」
緩く拒否して嬉々としたぐすたふの顔がピタリと止まり途端に顔を赤く染めてそっぽを向く。
「いや……な? 心置きなく飲み交わす事なんて中々ねえからよぉ……たまに飲もうぜ」
「酔うと眠くなって黙るよ」
「構ねえ、お前の寝顔を肴に飲める」
「後半の言葉を聞き流せば……オーケー」
耳疑う台詞とか聞きなれたからこの際無視無視。
「本当だな? 嘘はなしだぞ?」
「うん」
集団で馬鹿騒ぎするのが嫌なだけだからぐすたふと飲む分には全然平気。
「で、パンケーキはもう焼けてるんだがな……」
「肉まだ食べれてないからちょっと待って」
程よく冷めて問題なく食べられるようになった肉に適当にかぶりつく。
「うん……美味しい」
口の端についた汁を舐めとりもう一度かぶりつこうとすればやけにぐすたふから視線を感じる。
ちらりとぐすたふを見ればびっくりする位大きく目を開け僕を凝視している。
「……何見てるの」
手には大きなマグカップ、ぐすたふの隣におかれてるのは酒が入ってるであろう大きな瓶。
焚き火に照らされたぐすたふの顔心なしか、真っ赤………?
「……色っぺぇな」
「んん……?」
「ぶっちゃけできることなら今すぐ抱きたい」
……………えぇ。
「変態」
なにに反応してるの。
「おう」
「おうじゃないよ」
笑うんじゃない誇らしげに。
「嫌がる顔も可愛い」
「は?」
「その顔もいい……… 」
「…………はあ」
「いいなこれ、楽しい」
僕のため息に構わずカップの中身を勢いよく飲んだぐすたふのなんと豪快だこと。
まあ、こんなのもいいか。
暗くで月の周りだけ明るい空を焚き火の木が跳ねる音を耳に意味も無く眺め続ける。
今日は頭使いすぎてちょっと頭がいたい……しばらく何も考えずぼけっと空眺めていたい気分。
視線の先の空は湿った風が吹き、薄い雲越しに月の光が見えたり見えなかったり、ゆっくりと風に乗って雲が流れていく。
暗闇でこそ夜は明るく綺麗に写るというもの、赤だったり青だったり黄色だったり、色彩の変化は案外飽きないものだ。
「ニール~」
「んー?」
空を眺めてのんびり考えていると、ふいに頬をつつかれ名前を呼ばれ振り向けば、湯気立つ兎の串焼き肉を僕の手に持たせる。
「飯できたぜ」
「うい?」
「おら、渡すぞ」
栄養になるかはともかく味は絶品、口を大きく開けれれば隣から笑い混じりに声が入った。
「熱いから気を付けろよ?」
「ういー」
昼間の要望通りぐすたふは香りと香ばしさが最高のハーブ焼きを焼いて、いそいそと小麦粉に水を混ぜている……パンケーキか。
まあそれはそれ、焼き肉は焼き立てが一番旨い、頂こう。
あーん。
「っ…あちい」
「くくっ、気を付けろって言っただろ」
「……うるしゃい」
元気よくかぶりついた僕だったが、溢れ出る肉汁に声にならない悲鳴をあげる。
顔をしかめる僕に面白そうに笑うぐすたふはにやにやと僕にコップを差し出す。
「ほれ、水飲むか?」
「のむ~」
「ほれよ」
「ありがと」
マグカップを受け取りそのまま口をつけた。
「あ、やべ」
「んむ……?」
ぐすたふの変な声を耳に中の飲み物を飲み干し、喉越しの違和感に首をかしげる。
「これ……みず? ん?」
舌先にのる辛さと喉を通った瞬間香る果物が鼻を突き抜ける。
これ……透明だけど僕の想像していた水とちがう。
「みず、じゃねえな……酒だ、わりい」
「………さけ?」
「焼いてる途中だったもんで渡す方間違えちまった」
苦笑して言ったぐすたふは僕の持っているものと同じデザインのカップを持ち上げる。
……ふむ。
「お酒もってきてたのね」
屋敷じゃご飯食べる時に飲んでたけどここには持ってきてたのね、初めて知った。
「おう、たまに飲みたくなるんだよな……すまん」
「別にそれは構わないけど……びっくりした」
酒なんて滅多に飲まないから思ってない味に純粋にびっくりしちゃった。
「もしかしてニール、飲める口か?」
「飲めなくはない」
「おぉいいじゃねえか、飲もうぜ!」
しゅんとしてたぐすたふはすぐに復活してぐいぐい近づいてくる。
「なんで喜んでるの、強くないからあんま飲まないよ」
緩く拒否して嬉々としたぐすたふの顔がピタリと止まり途端に顔を赤く染めてそっぽを向く。
「いや……な? 心置きなく飲み交わす事なんて中々ねえからよぉ……たまに飲もうぜ」
「酔うと眠くなって黙るよ」
「構ねえ、お前の寝顔を肴に飲める」
「後半の言葉を聞き流せば……オーケー」
耳疑う台詞とか聞きなれたからこの際無視無視。
「本当だな? 嘘はなしだぞ?」
「うん」
集団で馬鹿騒ぎするのが嫌なだけだからぐすたふと飲む分には全然平気。
「で、パンケーキはもう焼けてるんだがな……」
「肉まだ食べれてないからちょっと待って」
程よく冷めて問題なく食べられるようになった肉に適当にかぶりつく。
「うん……美味しい」
口の端についた汁を舐めとりもう一度かぶりつこうとすればやけにぐすたふから視線を感じる。
ちらりとぐすたふを見ればびっくりする位大きく目を開け僕を凝視している。
「……何見てるの」
手には大きなマグカップ、ぐすたふの隣におかれてるのは酒が入ってるであろう大きな瓶。
焚き火に照らされたぐすたふの顔心なしか、真っ赤………?
「……色っぺぇな」
「んん……?」
「ぶっちゃけできることなら今すぐ抱きたい」
……………えぇ。
「変態」
なにに反応してるの。
「おう」
「おうじゃないよ」
笑うんじゃない誇らしげに。
「嫌がる顔も可愛い」
「は?」
「その顔もいい……… 」
「…………はあ」
「いいなこれ、楽しい」
僕のため息に構わずカップの中身を勢いよく飲んだぐすたふのなんと豪快だこと。
まあ、こんなのもいいか。
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