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第二章 第二回人間軍大規模侵攻
第四十三話 対峙
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一般兵が敵味方同じ程の強さ、または戦力に大きな差がない場合、互いの状況は均衡した状態になる。
つまりは消耗戦だ。
どちらも戦況の主導権を握ることなくただひたすらと攻撃しあって死んでいく。
これでは結局何の成果も得ることもなく、損害を受けるだけだ。
それではこの均衡した状況に、一つ大きな差のあるものを投入したらどうなるか。
勿論その均衡は崩れ始める。
たった一つのものが、少しずつ、だが確かに大きな差を生み出していく。
公国騎士団と魔王軍の戦い。
騎士団は敵に対し衝撃を与える様な攻撃をしたが、魔王軍はそれを凌ぎ、状況が変わることを防いだ。
何故なら、魔王軍のほうが個戦力が上のため、耐えればいずれ勝利は手に入るからだ。
そこで騎士団は単発ではなく継続的な「力の差」を一つ投入した。
〈雷槍〉ヴィー・レイヴン。セチリア公国騎士団の副団長。
彼は幼い頃から騎士団に所属しており、成長していくに連れ、その頭角を徐々に表していった。
今ではその実力で多くの階級を飛び越し、副団長の座にいる。
彼には戦いの才能があった。
「さーて、仕事しますか、っと」
気だるそうな顔で、しかし歩みは軽く、槍を片手に前へと歩いていくヴィー。
飛んでいる虫を叩き落とすかのように、襲ってくる敵達を槍で斬り倒す。
その速い斬撃は、まるで空気を撫でているように思えるほど軽く、亜人達の首を抵抗なく落としていく。
斬っていくうちに、衝突面より少し魔王軍側へと食い込んだところに出た。
ほぼ全方位に敵がいる状況だ。
もう目の前には豚鬼が得物を振り上げ斬り掛かってくる。
だが、ふと、ヴィーが呟く。
「この戦場は、楽しめますかね、っと」
瞬間、気だるそうにしていた目を開き、
「――――」
槍を振り回し敵を薙いだ。
パァン、と快く音速を超えた証拠が穂先から溢れ、衝撃波は血を連れ、ヴィーを中心に円状に亜人種を斬り飛ばす。
空いた空間の中心。
ヴィーはすかさず槍の石突を地に突き刺し、魔法陣を展開する。
その上を少し電流が走ったかと思うと、
「――轟け」
視界が輝く白に一瞬で包まれ、硝子が砕けるような途轍もない破砕音が耳を劈いた。
雷鳴だ。
魔法陣から雷電が伸び、そして辺りを貫いたのだ。
その雷はまるで実体を持つかのように鋭く、そして乱雑に手足を切り取り、身体を穿った。
少しでもその超電流に触れた者は身体に魔力を纏った光が身体を這い、例外なく死んでいく。
辺りを見渡せば、多くの亜人が死に、大きな穴が戦場に空いていた。
敵味方が唖然と見る中、そこに立つのはヴィー一人。
だが彼はどこを見るもなく俯き、
「……楽しくは、ない」
力を恐れることのない敵を迎え撃つ。
◇
下に展開される戦場を見下ろす形で、二つの影が丘にあった。
「お、強えェ奴がようやく出てきたかァ?」
「向こうの主力ですか……」
アーガードとウィディナだ。
目の前に広がる黒と白の塊は、互いに衝突しあっては途切れることなく紅の色を飛び散らせている。
そんな中、一つ白が突出している箇所をアーガードは見ていた。
閃光と共に現れたそれは、亜人を殺す速度と、ここから感じる魔力圧からして騎士団長か副団長級の敵であると、長年の勘から察していた。
ただ、気になるところがあった。
それは、
……アイツ、戦い方がどっか作業的だなァ。目的が無いっつーか……。
戦いが嫌なわけではなさそうであるが、得物の扱い方がどこか無機質に感じる。
……いっちょ戦って探ってみるかァ……?
血肉喰らいを肩に背負い、
「じゃ、行ってくらァ。嬢ちゃんはよく機会を見てな」
脚に力を入れ、跳び上がった。
空中に高く上がり、真上から戦場を見下ろす。
「降りるとしたらアイツの少し手前かねェ。取り敢えず周りをぶっ飛ばすかァ」
そう呟くと勢いよく落ちていき、着地と同時に体術で衝撃を吸収。そしてそれを魔力とともに放出して、衝撃波として辺り一面を吹き飛ばした。
「「「ぐあああああっっっ!?!?」」」
見れば敵味方ともに吹き飛んでいるが、流石は同種。人間は死んでいても亜人たちは耐えている。
「ガハハハハァ!! 俺が来たぜェェ!」
口を広げ高らかに叫ぶ。
すると前にいた騎士がこちらを指差して、
「て、敵の大将が来――」
うるさいから頭を削ってやった。
ぞくっという音とともに血肉喰らいの乱れ刃に肉が付く。
能力の効果で一つ、刀身の錆が消えた。
「さァ、ゴタゴタ言ってねぇでかかってこいやァ!!」
そう言いつつ得物を振り回して自分から突っ込んでいく。
結局のところ戦争は楽しいのだ。
……嬢ちゃんにあんなこと言っておきながらこれだからなァ。
まァいいかと自分に言い聞かせ、向かってくる騎士たちを刃で喰らう。
この剣と腕力にかかれば、騎士団ごときの鎧など紙も同然。いや言い過ぎか。多分木くらい。
つまりそれほど軽く斬り飛ばせる
血肉喰らいは普通の剣と違い、分厚く刃も鋭い方ではない。だから振り回すと敵の当たったところがなくなる。
斬るというより削いだり削ったりのほうが近いのだろうか。
だがそちらのほうが喰っている感覚に近くて好きだ。
喰っていくうちに剣の輝きが増していくのもまた良い。
早く。もっと喰い応えのある奴はいないのか。
もっと楽しめる奴が。
「さァ来いよ……!」
そして、目がそれを捉えた。
電流を帯びた黄金の髪。
その鋭い眼光がそれを捉えた。
「――――」
刹那、金属が弾ける音がした。
雷鳴の速さで突き出された穂先を大剣の腹で受けたのだ。
受けて判る。
コイツは若いが、強い。
そしてまだ、伸び代がある。
単純な言葉だが、感じたことを表すには十分であった。
弾かれるように二人は離れ、向かい合う。
大剣を肩に置き、
「おい小僧。名前はァ」
そう投げかけると、ソイツは気怠そうに名乗る。
「セチリア公国騎士団副団長、〈雷槍〉ヴィー・レイヴン」
聞き覚えのあるような名前だと思いつつ、口角を上げて言い放った。
「魔王軍八大将軍、〈喰暴将軍〉アーガード」
そういった瞬間、目の前の青年は目を見開き、こちらの全身を見た。
身体、脚、武器、そして顔。
みるみるうちに眉間にしわが寄り、先程まで気怠そうにしていた目は灯りがつきこちらを睨みつける。
そして先程よりも低く重い声で、何かを確かめるように言った。
「……お前が、アーガード……!!」
つまりは消耗戦だ。
どちらも戦況の主導権を握ることなくただひたすらと攻撃しあって死んでいく。
これでは結局何の成果も得ることもなく、損害を受けるだけだ。
それではこの均衡した状況に、一つ大きな差のあるものを投入したらどうなるか。
勿論その均衡は崩れ始める。
たった一つのものが、少しずつ、だが確かに大きな差を生み出していく。
公国騎士団と魔王軍の戦い。
騎士団は敵に対し衝撃を与える様な攻撃をしたが、魔王軍はそれを凌ぎ、状況が変わることを防いだ。
何故なら、魔王軍のほうが個戦力が上のため、耐えればいずれ勝利は手に入るからだ。
そこで騎士団は単発ではなく継続的な「力の差」を一つ投入した。
〈雷槍〉ヴィー・レイヴン。セチリア公国騎士団の副団長。
彼は幼い頃から騎士団に所属しており、成長していくに連れ、その頭角を徐々に表していった。
今ではその実力で多くの階級を飛び越し、副団長の座にいる。
彼には戦いの才能があった。
「さーて、仕事しますか、っと」
気だるそうな顔で、しかし歩みは軽く、槍を片手に前へと歩いていくヴィー。
飛んでいる虫を叩き落とすかのように、襲ってくる敵達を槍で斬り倒す。
その速い斬撃は、まるで空気を撫でているように思えるほど軽く、亜人達の首を抵抗なく落としていく。
斬っていくうちに、衝突面より少し魔王軍側へと食い込んだところに出た。
ほぼ全方位に敵がいる状況だ。
もう目の前には豚鬼が得物を振り上げ斬り掛かってくる。
だが、ふと、ヴィーが呟く。
「この戦場は、楽しめますかね、っと」
瞬間、気だるそうにしていた目を開き、
「――――」
槍を振り回し敵を薙いだ。
パァン、と快く音速を超えた証拠が穂先から溢れ、衝撃波は血を連れ、ヴィーを中心に円状に亜人種を斬り飛ばす。
空いた空間の中心。
ヴィーはすかさず槍の石突を地に突き刺し、魔法陣を展開する。
その上を少し電流が走ったかと思うと、
「――轟け」
視界が輝く白に一瞬で包まれ、硝子が砕けるような途轍もない破砕音が耳を劈いた。
雷鳴だ。
魔法陣から雷電が伸び、そして辺りを貫いたのだ。
その雷はまるで実体を持つかのように鋭く、そして乱雑に手足を切り取り、身体を穿った。
少しでもその超電流に触れた者は身体に魔力を纏った光が身体を這い、例外なく死んでいく。
辺りを見渡せば、多くの亜人が死に、大きな穴が戦場に空いていた。
敵味方が唖然と見る中、そこに立つのはヴィー一人。
だが彼はどこを見るもなく俯き、
「……楽しくは、ない」
力を恐れることのない敵を迎え撃つ。
◇
下に展開される戦場を見下ろす形で、二つの影が丘にあった。
「お、強えェ奴がようやく出てきたかァ?」
「向こうの主力ですか……」
アーガードとウィディナだ。
目の前に広がる黒と白の塊は、互いに衝突しあっては途切れることなく紅の色を飛び散らせている。
そんな中、一つ白が突出している箇所をアーガードは見ていた。
閃光と共に現れたそれは、亜人を殺す速度と、ここから感じる魔力圧からして騎士団長か副団長級の敵であると、長年の勘から察していた。
ただ、気になるところがあった。
それは、
……アイツ、戦い方がどっか作業的だなァ。目的が無いっつーか……。
戦いが嫌なわけではなさそうであるが、得物の扱い方がどこか無機質に感じる。
……いっちょ戦って探ってみるかァ……?
血肉喰らいを肩に背負い、
「じゃ、行ってくらァ。嬢ちゃんはよく機会を見てな」
脚に力を入れ、跳び上がった。
空中に高く上がり、真上から戦場を見下ろす。
「降りるとしたらアイツの少し手前かねェ。取り敢えず周りをぶっ飛ばすかァ」
そう呟くと勢いよく落ちていき、着地と同時に体術で衝撃を吸収。そしてそれを魔力とともに放出して、衝撃波として辺り一面を吹き飛ばした。
「「「ぐあああああっっっ!?!?」」」
見れば敵味方ともに吹き飛んでいるが、流石は同種。人間は死んでいても亜人たちは耐えている。
「ガハハハハァ!! 俺が来たぜェェ!」
口を広げ高らかに叫ぶ。
すると前にいた騎士がこちらを指差して、
「て、敵の大将が来――」
うるさいから頭を削ってやった。
ぞくっという音とともに血肉喰らいの乱れ刃に肉が付く。
能力の効果で一つ、刀身の錆が消えた。
「さァ、ゴタゴタ言ってねぇでかかってこいやァ!!」
そう言いつつ得物を振り回して自分から突っ込んでいく。
結局のところ戦争は楽しいのだ。
……嬢ちゃんにあんなこと言っておきながらこれだからなァ。
まァいいかと自分に言い聞かせ、向かってくる騎士たちを刃で喰らう。
この剣と腕力にかかれば、騎士団ごときの鎧など紙も同然。いや言い過ぎか。多分木くらい。
つまりそれほど軽く斬り飛ばせる
血肉喰らいは普通の剣と違い、分厚く刃も鋭い方ではない。だから振り回すと敵の当たったところがなくなる。
斬るというより削いだり削ったりのほうが近いのだろうか。
だがそちらのほうが喰っている感覚に近くて好きだ。
喰っていくうちに剣の輝きが増していくのもまた良い。
早く。もっと喰い応えのある奴はいないのか。
もっと楽しめる奴が。
「さァ来いよ……!」
そして、目がそれを捉えた。
電流を帯びた黄金の髪。
その鋭い眼光がそれを捉えた。
「――――」
刹那、金属が弾ける音がした。
雷鳴の速さで突き出された穂先を大剣の腹で受けたのだ。
受けて判る。
コイツは若いが、強い。
そしてまだ、伸び代がある。
単純な言葉だが、感じたことを表すには十分であった。
弾かれるように二人は離れ、向かい合う。
大剣を肩に置き、
「おい小僧。名前はァ」
そう投げかけると、ソイツは気怠そうに名乗る。
「セチリア公国騎士団副団長、〈雷槍〉ヴィー・レイヴン」
聞き覚えのあるような名前だと思いつつ、口角を上げて言い放った。
「魔王軍八大将軍、〈喰暴将軍〉アーガード」
そういった瞬間、目の前の青年は目を見開き、こちらの全身を見た。
身体、脚、武器、そして顔。
みるみるうちに眉間にしわが寄り、先程まで気怠そうにしていた目は灯りがつきこちらを睨みつける。
そして先程よりも低く重い声で、何かを確かめるように言った。
「……お前が、アーガード……!!」
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