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第二章 第二回人間軍大規模侵攻
第三十話 フウビアルドってこんな高いの?
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「それにしてもすごかったですねウィディナ様。まさか〈王賜剣術〉が使えたなんて……すごすぎますよ」
「いやぁそんな。なんかいつの間にか使えるようになってたってだけで。――アルハバナさんの力がとても強かったですねぇ! 私小柄だし力はないので、あんな風にドカーッとやってみたいです」
アルハバナとの闘いが終わった後、まだフウビアルドの精算が終わっていないようなので、受付近くのテーブルにてウィディナはエレオノールと話をしていた。
四天王になるまでの経緯や、フウビアルドとの戦いの話をしていたのだが、向こうがとても興味深そうに聞くので話すこちらも少し楽しくなってしまった。
エレオノールは出会った時にも言っていたように、アルハバナの娘で共に冒険者をやっているらしい。しかも三級とかなんですかそれ。親子揃って上級冒険者というのはすごいものだ。いつか一緒に戦いたいなぁと思う。話を聞いている限り腕は確かで、魔王軍に入れば上に行ける気がする。まぁ軍に入るかは彼女の気持ち次第だが。
「いや、うちの親はただの馬鹿力ですよ」
とエレオノールが苦笑混じりで言う。
今は先程の闘いの話をしており、何かと盛り上がっているものだ。
「あ、ウィディナ様。〈王賜剣術〉見せてください! どうなってるのか見てみたいんですよ」
「あぁ、いいですよー」
と机の上にウィンディアを出す。
「うわ、これ、さっき使ってた剣ですよね。すごい綺麗……。しかも魔力量がすごい多い……」
「スゴいよね、これ。実際この剣達のお陰で強くなれたみたいな感じ。――で、〈王賜剣術〉だったっけ」
ウィンディアを動かす。ふわふわと浮かせてみたり、上の方でちょっと振るってみたりすると、エレオノール以外に周りの人達もおぉ、と感嘆の声を漏らした。
「実際これどうやって操っているんですか? 魔力を使ってる訳じゃないですよね」
「うーん、なんか動けーって念じるって言うか、実際手で持って振るってるのをイメージするっていうか。まぁ私もいつの間にか使えてたんで、詳しい事はわからないんだよねー」
こういう何気なく気軽な会話が、何気に楽しい。四天王とはよく話すものの、敬語で堅く話しているため、エレオノールみたいな人と話すのは学園にいた時以来だ。
ふと、
……カルラ達は元気かなぁ。
そんなことを考えていると、表情に出ていたのか、
「……? どうかしましたか?」
「ん、いやぁ、なんでもないですぅ」
「そうですか。ウィディナ様、何か寂しそうな感じだったので……。あっ、いやなんでもないならいいですけど!」
エレオノールに心配されてしまった。
私って心配されやすいんだろうかと、そう思いながらウィンディアを呼び戻して収納すると、ちょうど精算が終わったのか受付嬢が寄ってきた。その手には書類と羽根が握られていた。
「ウィディナ様ー、精算が終了しましたのでご確認くださーい。それとこれ、頼まれていた硬化した部分の羽根のサンプルですー。これ、能力による硬化なので結構質がいいですよー。……それはそうと一体これ、何に使うんですかー?」
受付嬢から羽根を渡されると、ウィディナはフウビアルドと戦った時のことを思い出した。フウビアルドの翼を断つ時、攻撃の隙を得るために羽根をフウビアルドの目に刺したのだ。
羽根を魔法で飛ばすのが個人的に扱いやすかった覚えがあり、これからの戦闘に使おうと思った。
流石に軽く柔らかい羽根では眼球のような弱いところくらいにしか刺せないため、フウビアルドの硬化した羽根なら鎧を貫くくらいの威力はあるかと思い、用意してもらった次第である。
つまり、
「今後の戦闘に使えるかなぁって、そんな感じです」
「……あー魔法で飛ばす感じですかー」
「そんな感じそんな感じ。……って、よく分かりましたね受付嬢さん」
「ん? あーいえ、受付嬢歴も長いものですからー。今まで沢山の冒険者さん達を見てきましたからねー」
「そうなんですよ、アセルさんは冒険者のサポーターみたいな感じでして。よく見ていてくれて的確なアドバイスとかをくれるんですよ」
「あはー、ありがとうございますー! ……と元の用事を忘れるところでしたー。ウィディナ様これ、受け取り用の書類ですー。ご確認くださーい」
渡された書類を確認する。
そこに書かれていたのは取引内容、買取素材、そして――
「……んぐっ!? がっ、げっほげほっ、何この値段はぁ!?」
今までに見たことがない金額が書かれていた。
「ウィディナ様!? 大丈夫ですか!?」
「んっ、うん大丈夫、咽せただけ。それにしてもこれ高すぎじゃないですかねぇ? えーーっと? 桁がいくつぅ? ひい、ふう、みい、よう………………。え? 四天王だからって盛ってます?」
「いえいえ、そんなことないですよー」
「そんな高いんですか? ちょっと見せ――!? うわ、これ軽く小型の竜一匹超えてますよ!? フウビアルドですよね!?」
「まぁフウビアルドなんですけどー、通常個体よりも大きいことに加え、進化形態、そして傷も少ないことから希少性があると言うことでこの値段となりました」
そう、私が戦ったフウビアルドは風の森の主クラス。あそこ一帯を収めていたと考えられるやつだ。まぁ確かに私が死にかけるくらいだからそれくらいじゃなきゃね。
とりあえず受け取った書類にサインをして受付嬢に渡す。金と羽根を渡すので受け取り口まで来いとのことなので、エレオノールと一緒についていった。
「ではこちらが金貨ですねー。お受け取りくださーい」
そう言うと受付嬢はカウンターの上にドスンと金貨の入った袋を置く。金貨の袋は合計十袋。大きいわ重いわで持ち運ぶのが大変なため、魔法陣の中に突っ込んでおく。
「それでこちらが硬化した羽根ですー。大きさが十分で形も整っているものだけ選びました。えーと、五千枚くらいですね」
と向こうが魔法陣を展開してきたので、こちらも魔法陣を重ねて受け取る。
一枚だけ取り出して、少し眺めることにした。
深く暗い緑色の羽根。
見た目はただの羽根。細くで薄くて柔らかそうだ。だが実際は能力の影響で大樹の樹皮のような触り心地、そしてウィンディアとカルルアの攻撃を防ぐ硬さを持つ。硬化しているせいか、羽根の毛は独立しておらず、全てまとまっている。流石に毛が独立していたら砕けるからだろうか。
ともあれ五千枚も手に入ったのは嬉しい。この後どう使うか考えておかなければ。
「――でウィディナ様。これ、魔石があったのでお渡ししますがー、一応ご確認を」
羽根をポケットにグイッと突っ込んで、受付嬢から受け取る。
小石くらいの大きさの、赤く丸いその魔石は、
「――あー、血玉石ですか。効果は?」
「単純に筋力増強ですー。ウィディナ様、〈王賜剣術〉なのでいらないだろうと思ったんですけどー、一応確認というわけで」
「あっはい、お返しします」
「えーっと、それでは取引完了ということでー、っと」
受付嬢は書類に、冒険者協会の印を押した。呪文網でもある書類と、印には契約の呪文が組み込まれており、呪文が完成した書類は紐で結ばれ、カウンターの奥へと引っ張られるように飛んでいった。
「ありがとうございましたー。じゃあ私、この後用事があるんで帰りますね」
冒険者協会での要件は済んだ。時刻もお昼になりそうなくらいになっているためそう言うと、
「それでは出口にてお見送りをー」
「あっ私も行きますよ!」
と二人が言ってくれた。
なんて優しい人達なんだろうかと、そう思いながら出口の扉を開く。
「ウィディナ様ー! またいつかお話をさせてくださいよー!」
「またのご利用をお待ちしておりますー」
そう言うエレオノールと受付嬢に対し手を振って、私は冒険者協会を後にした。
「いやぁそんな。なんかいつの間にか使えるようになってたってだけで。――アルハバナさんの力がとても強かったですねぇ! 私小柄だし力はないので、あんな風にドカーッとやってみたいです」
アルハバナとの闘いが終わった後、まだフウビアルドの精算が終わっていないようなので、受付近くのテーブルにてウィディナはエレオノールと話をしていた。
四天王になるまでの経緯や、フウビアルドとの戦いの話をしていたのだが、向こうがとても興味深そうに聞くので話すこちらも少し楽しくなってしまった。
エレオノールは出会った時にも言っていたように、アルハバナの娘で共に冒険者をやっているらしい。しかも三級とかなんですかそれ。親子揃って上級冒険者というのはすごいものだ。いつか一緒に戦いたいなぁと思う。話を聞いている限り腕は確かで、魔王軍に入れば上に行ける気がする。まぁ軍に入るかは彼女の気持ち次第だが。
「いや、うちの親はただの馬鹿力ですよ」
とエレオノールが苦笑混じりで言う。
今は先程の闘いの話をしており、何かと盛り上がっているものだ。
「あ、ウィディナ様。〈王賜剣術〉見せてください! どうなってるのか見てみたいんですよ」
「あぁ、いいですよー」
と机の上にウィンディアを出す。
「うわ、これ、さっき使ってた剣ですよね。すごい綺麗……。しかも魔力量がすごい多い……」
「スゴいよね、これ。実際この剣達のお陰で強くなれたみたいな感じ。――で、〈王賜剣術〉だったっけ」
ウィンディアを動かす。ふわふわと浮かせてみたり、上の方でちょっと振るってみたりすると、エレオノール以外に周りの人達もおぉ、と感嘆の声を漏らした。
「実際これどうやって操っているんですか? 魔力を使ってる訳じゃないですよね」
「うーん、なんか動けーって念じるって言うか、実際手で持って振るってるのをイメージするっていうか。まぁ私もいつの間にか使えてたんで、詳しい事はわからないんだよねー」
こういう何気なく気軽な会話が、何気に楽しい。四天王とはよく話すものの、敬語で堅く話しているため、エレオノールみたいな人と話すのは学園にいた時以来だ。
ふと、
……カルラ達は元気かなぁ。
そんなことを考えていると、表情に出ていたのか、
「……? どうかしましたか?」
「ん、いやぁ、なんでもないですぅ」
「そうですか。ウィディナ様、何か寂しそうな感じだったので……。あっ、いやなんでもないならいいですけど!」
エレオノールに心配されてしまった。
私って心配されやすいんだろうかと、そう思いながらウィンディアを呼び戻して収納すると、ちょうど精算が終わったのか受付嬢が寄ってきた。その手には書類と羽根が握られていた。
「ウィディナ様ー、精算が終了しましたのでご確認くださーい。それとこれ、頼まれていた硬化した部分の羽根のサンプルですー。これ、能力による硬化なので結構質がいいですよー。……それはそうと一体これ、何に使うんですかー?」
受付嬢から羽根を渡されると、ウィディナはフウビアルドと戦った時のことを思い出した。フウビアルドの翼を断つ時、攻撃の隙を得るために羽根をフウビアルドの目に刺したのだ。
羽根を魔法で飛ばすのが個人的に扱いやすかった覚えがあり、これからの戦闘に使おうと思った。
流石に軽く柔らかい羽根では眼球のような弱いところくらいにしか刺せないため、フウビアルドの硬化した羽根なら鎧を貫くくらいの威力はあるかと思い、用意してもらった次第である。
つまり、
「今後の戦闘に使えるかなぁって、そんな感じです」
「……あー魔法で飛ばす感じですかー」
「そんな感じそんな感じ。……って、よく分かりましたね受付嬢さん」
「ん? あーいえ、受付嬢歴も長いものですからー。今まで沢山の冒険者さん達を見てきましたからねー」
「そうなんですよ、アセルさんは冒険者のサポーターみたいな感じでして。よく見ていてくれて的確なアドバイスとかをくれるんですよ」
「あはー、ありがとうございますー! ……と元の用事を忘れるところでしたー。ウィディナ様これ、受け取り用の書類ですー。ご確認くださーい」
渡された書類を確認する。
そこに書かれていたのは取引内容、買取素材、そして――
「……んぐっ!? がっ、げっほげほっ、何この値段はぁ!?」
今までに見たことがない金額が書かれていた。
「ウィディナ様!? 大丈夫ですか!?」
「んっ、うん大丈夫、咽せただけ。それにしてもこれ高すぎじゃないですかねぇ? えーーっと? 桁がいくつぅ? ひい、ふう、みい、よう………………。え? 四天王だからって盛ってます?」
「いえいえ、そんなことないですよー」
「そんな高いんですか? ちょっと見せ――!? うわ、これ軽く小型の竜一匹超えてますよ!? フウビアルドですよね!?」
「まぁフウビアルドなんですけどー、通常個体よりも大きいことに加え、進化形態、そして傷も少ないことから希少性があると言うことでこの値段となりました」
そう、私が戦ったフウビアルドは風の森の主クラス。あそこ一帯を収めていたと考えられるやつだ。まぁ確かに私が死にかけるくらいだからそれくらいじゃなきゃね。
とりあえず受け取った書類にサインをして受付嬢に渡す。金と羽根を渡すので受け取り口まで来いとのことなので、エレオノールと一緒についていった。
「ではこちらが金貨ですねー。お受け取りくださーい」
そう言うと受付嬢はカウンターの上にドスンと金貨の入った袋を置く。金貨の袋は合計十袋。大きいわ重いわで持ち運ぶのが大変なため、魔法陣の中に突っ込んでおく。
「それでこちらが硬化した羽根ですー。大きさが十分で形も整っているものだけ選びました。えーと、五千枚くらいですね」
と向こうが魔法陣を展開してきたので、こちらも魔法陣を重ねて受け取る。
一枚だけ取り出して、少し眺めることにした。
深く暗い緑色の羽根。
見た目はただの羽根。細くで薄くて柔らかそうだ。だが実際は能力の影響で大樹の樹皮のような触り心地、そしてウィンディアとカルルアの攻撃を防ぐ硬さを持つ。硬化しているせいか、羽根の毛は独立しておらず、全てまとまっている。流石に毛が独立していたら砕けるからだろうか。
ともあれ五千枚も手に入ったのは嬉しい。この後どう使うか考えておかなければ。
「――でウィディナ様。これ、魔石があったのでお渡ししますがー、一応ご確認を」
羽根をポケットにグイッと突っ込んで、受付嬢から受け取る。
小石くらいの大きさの、赤く丸いその魔石は、
「――あー、血玉石ですか。効果は?」
「単純に筋力増強ですー。ウィディナ様、〈王賜剣術〉なのでいらないだろうと思ったんですけどー、一応確認というわけで」
「あっはい、お返しします」
「えーっと、それでは取引完了ということでー、っと」
受付嬢は書類に、冒険者協会の印を押した。呪文網でもある書類と、印には契約の呪文が組み込まれており、呪文が完成した書類は紐で結ばれ、カウンターの奥へと引っ張られるように飛んでいった。
「ありがとうございましたー。じゃあ私、この後用事があるんで帰りますね」
冒険者協会での要件は済んだ。時刻もお昼になりそうなくらいになっているためそう言うと、
「それでは出口にてお見送りをー」
「あっ私も行きますよ!」
と二人が言ってくれた。
なんて優しい人達なんだろうかと、そう思いながら出口の扉を開く。
「ウィディナ様ー! またいつかお話をさせてくださいよー!」
「またのご利用をお待ちしておりますー」
そう言うエレオノールと受付嬢に対し手を振って、私は冒険者協会を後にした。
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