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サクリファイス!啓示としての十字架
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そんな私の考えとは裏腹に、彼らは淡々とした表情で私を見つめていた。
こんな状態を、以前、と言うか、そうだ、母親がまだ生きていた時に、これと似たような雰囲気を味あわせてくれたような気がした。
それは母親が死ぬ3週間前の出来事だったような気がする。母親からの電話が、私の仕事の休みの日の、多分、日曜日の午後だったと思うが、電話が鳴って、珍しく、母親の容体が良くて、声がかなり元気だったような気がした。
その元気な声を聞いていると、癌が嘘のように思えた。
後で聞いたが、末期の癌患者には丁度一か月前位に急に容体が軽くなることがあるらしく、それを合図に、こんどは一気に癌が宿主の身体を攻撃するらしかった。
宿主が死ねば、結局癌細胞も一緒に死ぬことになるのだが、最後まで、宿主を攻撃することを止めないのが特徴だった。
そして、その電話で明るく普通に話す母親の内容は、癌の痛みが長く続いて、癌治療の為の化学療法も吐き気やなんやで酷くなる一方で、こんなに激しい激痛が続くと、本当に神さまを呪いたくなるような、そんな言葉をはきたくなるし、何で私だけがこんな酷い目に遭わないといけないの?
と痛み悶えて目を瞑って唸っていたら、突然目の奥の方が光り輝いて来て、その光が徐々に目の前まで近付いて来て、その中に十字架を背負った男の人が見えて来て、その男の人を見ていたら、すーっと今までの痛みが和らいできて、あ~、あの人が、きっとキリストなのかもしれない、と思って目を開けたら、病院の窓から真っ青な空に白い飛行機雲みたいな感じで、十字架の形をはっきりと見た、と一気に話したのだ。
それを見た時に、今までの全ての出来事や人々に感謝しないといけないと、感じたから、それを伝えたくて、電話した、と話された時私は止めどなく涙が溢れて来た。
母親は、私から、なんでもいいから感想を聞かせてもらいたいらしく、本当に普通な感じで、話していて、私は受話器越しとは言え、泣いている事を悟られまいとして、必死に、ああ、とか、本当かよ、とか、見間違いじゃないの?とか言って、適当に話を茶化していたが、本当は目から止めどなく涙が溢れだし、鼻水も垂れだしていた。
その時、思ったのは、こんなに精神的に優れた人を天は死なす訳がないのではないか、と言う思いと、こんなに酷い状態なのに、母親は凄いな、と単純に思ったことだった。
キリストが表れたのならば、頼むから、奇跡を起こしてもらえないか、そうも考えた。
私は、そして母親との会話を終えて、どんな感じで会話を終えたのかも覚えてないが、その後も、泣いていたような気がする。
その記憶が、キャメロン系の話を聞いている内に、ふっと思い出したのだ。
「他の生命体が生まれるように、自分らは自らの意思で消滅させたと言うんですか?」
「消滅というと語弊がありますが、意識体はあるのですから、完全に消滅ではありませんし、肉体、物質を維持しようとする観念が、自分だけを正当させようとするメカニズムが発生するのですから、この物質=肉体はある段階に来た時には自ら服を脱ぐ感じで、脱ぎ捨てなくてはいけません。
それを、我々は長い間出来ず、と言うよりも、全然違う方向に進んで行き、その行為がどれだけの、宇宙のバランスを崩したか見当がつかないくらい迷惑をかけてきたのです。
その罪を償う事は、どれだけの時間がかかっても、決して償いきれないとは思います。
しかし、その間違いを、これから進化して行くであろうと言う、知的生命体に知って頂くことは、もしかしたら、良い結果に導くことが出来るのでは、と、考え、我々は、大きなお世話かもしれませんが、様々な生命体を観察し、補助できる事はして行くことを選んだのです」
「今までの、あなた方の話を聞けば聞くほど、今の人類は、物質社会に凝り固まって邁進していて、あなた方が嘗て突き進んだ悪い方向に行こうとしていて、それを築いてもらうべく、こうして人類の前に表れた、結局はそう言う事に思えるけど、そうじゃないんですか」
「その、可能性は十分にあるとは思います。
確かに、人類も今までの延長線上で繁栄して行くのであれば、物質社会の行き詰まり会い、その時に、大きな転換期を迎えるか、さもなければ、自らの手で、自らを激変させなくてはならなくなるかもしれません。
あくまでも、それは可能性であり、我々は、未来を完全に把握することは出来ないのです。
未来はあなた達の自由意思で決定され続けるのであり、一人の意思で、完全なる未来のビジョンを言い当てるのは不可能かもしれないのです。
先ほど、お話ししましたが、我々、もしくは宇宙的に言って知的生命体は、自分が肉体としての自分が誕生する遥か昔から、決められた人生を送る様にシナリオを自ら書くと言うパラドックスを抱えて生まれるのですが、その遥か昔に自分が作った計画や青写真の記憶は一切無くなるからこそ、そこに決められているのに完全に自由と言う表現が表れるのです。
ですから、大多数の知的生命体は余りにも自由になり過ぎて、本来の、意識体の状態にいた時に託した自分の、本来やるべきことを、見失って、そのまま、また、精神世界に戻ってくることが本当に多いのです。
では、なんで、そんな非効率的な行為を精神世界は求めているのでしょう。
それは、精神世界だけでは、精神の向上や、意識体のレベル向上は不可能だからです。
以前にも、お話ししましたが、我々が、なぜ、あの途方も無く長い間、人類時間で言うと7万年も生きて、何億年もその星で文明を築いてこれたのか、には、ある意味、精神世界と根底は近い世界観、みんな殆ど変わらない種族であったこと、肉体も能力も言語も思想も全て均一であったこと、だから、差別はなく、あったとしても区別という肉体の世界では、物質社会の世界では、これほど成功した世界は無かったと言うことです。
もし、仮に、人類が、今後のテクノロジーの発展により、我々が嘗て選択して文明を築いたがごとく、物質社会の中で完全なる平等を主とした世界観を構築することが出来るのならば、我々とはまた違った世界観や、精神世界の扉を開くのかもしれません。
ただ、一つ言えるのは、我々の話しに戻りますが、肉体的や外見的に全てが平等だとしても、精神レベルだけは、違っていて、また、目指す世界観も違うのです。これが、生まれる時も死ぬ時も、基本的には全て一人、と言うことです。
知的生命体になればなるほど、我々は個体で生まれるらしいのです。
それは生物学的にも納得するでしょう。
そして、その真理こそが、知的生命体の宿命であり、運命であり、天命でもあるのです」
こんな状態を、以前、と言うか、そうだ、母親がまだ生きていた時に、これと似たような雰囲気を味あわせてくれたような気がした。
それは母親が死ぬ3週間前の出来事だったような気がする。母親からの電話が、私の仕事の休みの日の、多分、日曜日の午後だったと思うが、電話が鳴って、珍しく、母親の容体が良くて、声がかなり元気だったような気がした。
その元気な声を聞いていると、癌が嘘のように思えた。
後で聞いたが、末期の癌患者には丁度一か月前位に急に容体が軽くなることがあるらしく、それを合図に、こんどは一気に癌が宿主の身体を攻撃するらしかった。
宿主が死ねば、結局癌細胞も一緒に死ぬことになるのだが、最後まで、宿主を攻撃することを止めないのが特徴だった。
そして、その電話で明るく普通に話す母親の内容は、癌の痛みが長く続いて、癌治療の為の化学療法も吐き気やなんやで酷くなる一方で、こんなに激しい激痛が続くと、本当に神さまを呪いたくなるような、そんな言葉をはきたくなるし、何で私だけがこんな酷い目に遭わないといけないの?
と痛み悶えて目を瞑って唸っていたら、突然目の奥の方が光り輝いて来て、その光が徐々に目の前まで近付いて来て、その中に十字架を背負った男の人が見えて来て、その男の人を見ていたら、すーっと今までの痛みが和らいできて、あ~、あの人が、きっとキリストなのかもしれない、と思って目を開けたら、病院の窓から真っ青な空に白い飛行機雲みたいな感じで、十字架の形をはっきりと見た、と一気に話したのだ。
それを見た時に、今までの全ての出来事や人々に感謝しないといけないと、感じたから、それを伝えたくて、電話した、と話された時私は止めどなく涙が溢れて来た。
母親は、私から、なんでもいいから感想を聞かせてもらいたいらしく、本当に普通な感じで、話していて、私は受話器越しとは言え、泣いている事を悟られまいとして、必死に、ああ、とか、本当かよ、とか、見間違いじゃないの?とか言って、適当に話を茶化していたが、本当は目から止めどなく涙が溢れだし、鼻水も垂れだしていた。
その時、思ったのは、こんなに精神的に優れた人を天は死なす訳がないのではないか、と言う思いと、こんなに酷い状態なのに、母親は凄いな、と単純に思ったことだった。
キリストが表れたのならば、頼むから、奇跡を起こしてもらえないか、そうも考えた。
私は、そして母親との会話を終えて、どんな感じで会話を終えたのかも覚えてないが、その後も、泣いていたような気がする。
その記憶が、キャメロン系の話を聞いている内に、ふっと思い出したのだ。
「他の生命体が生まれるように、自分らは自らの意思で消滅させたと言うんですか?」
「消滅というと語弊がありますが、意識体はあるのですから、完全に消滅ではありませんし、肉体、物質を維持しようとする観念が、自分だけを正当させようとするメカニズムが発生するのですから、この物質=肉体はある段階に来た時には自ら服を脱ぐ感じで、脱ぎ捨てなくてはいけません。
それを、我々は長い間出来ず、と言うよりも、全然違う方向に進んで行き、その行為がどれだけの、宇宙のバランスを崩したか見当がつかないくらい迷惑をかけてきたのです。
その罪を償う事は、どれだけの時間がかかっても、決して償いきれないとは思います。
しかし、その間違いを、これから進化して行くであろうと言う、知的生命体に知って頂くことは、もしかしたら、良い結果に導くことが出来るのでは、と、考え、我々は、大きなお世話かもしれませんが、様々な生命体を観察し、補助できる事はして行くことを選んだのです」
「今までの、あなた方の話を聞けば聞くほど、今の人類は、物質社会に凝り固まって邁進していて、あなた方が嘗て突き進んだ悪い方向に行こうとしていて、それを築いてもらうべく、こうして人類の前に表れた、結局はそう言う事に思えるけど、そうじゃないんですか」
「その、可能性は十分にあるとは思います。
確かに、人類も今までの延長線上で繁栄して行くのであれば、物質社会の行き詰まり会い、その時に、大きな転換期を迎えるか、さもなければ、自らの手で、自らを激変させなくてはならなくなるかもしれません。
あくまでも、それは可能性であり、我々は、未来を完全に把握することは出来ないのです。
未来はあなた達の自由意思で決定され続けるのであり、一人の意思で、完全なる未来のビジョンを言い当てるのは不可能かもしれないのです。
先ほど、お話ししましたが、我々、もしくは宇宙的に言って知的生命体は、自分が肉体としての自分が誕生する遥か昔から、決められた人生を送る様にシナリオを自ら書くと言うパラドックスを抱えて生まれるのですが、その遥か昔に自分が作った計画や青写真の記憶は一切無くなるからこそ、そこに決められているのに完全に自由と言う表現が表れるのです。
ですから、大多数の知的生命体は余りにも自由になり過ぎて、本来の、意識体の状態にいた時に託した自分の、本来やるべきことを、見失って、そのまま、また、精神世界に戻ってくることが本当に多いのです。
では、なんで、そんな非効率的な行為を精神世界は求めているのでしょう。
それは、精神世界だけでは、精神の向上や、意識体のレベル向上は不可能だからです。
以前にも、お話ししましたが、我々が、なぜ、あの途方も無く長い間、人類時間で言うと7万年も生きて、何億年もその星で文明を築いてこれたのか、には、ある意味、精神世界と根底は近い世界観、みんな殆ど変わらない種族であったこと、肉体も能力も言語も思想も全て均一であったこと、だから、差別はなく、あったとしても区別という肉体の世界では、物質社会の世界では、これほど成功した世界は無かったと言うことです。
もし、仮に、人類が、今後のテクノロジーの発展により、我々が嘗て選択して文明を築いたがごとく、物質社会の中で完全なる平等を主とした世界観を構築することが出来るのならば、我々とはまた違った世界観や、精神世界の扉を開くのかもしれません。
ただ、一つ言えるのは、我々の話しに戻りますが、肉体的や外見的に全てが平等だとしても、精神レベルだけは、違っていて、また、目指す世界観も違うのです。これが、生まれる時も死ぬ時も、基本的には全て一人、と言うことです。
知的生命体になればなるほど、我々は個体で生まれるらしいのです。
それは生物学的にも納得するでしょう。
そして、その真理こそが、知的生命体の宿命であり、運命であり、天命でもあるのです」
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