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このUFOには私しか乗れないと言うことと、物質化現象
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私は目が覚めたのだけれども、そこは、まだ先ほどの夢の続きのような世界が待っていた。
私は、本来であればUFO型マンション内の白いソファーの所でうとうとと眠りに就いたのだし、本来であれば、徹子の部屋のようなソファーに横になっていて、そんな状況で起きるべき筈なのに、実際は、宮城県の実家の二階の私の部屋、つまり、あの頃に、大学生の頃の二階の和室の部屋のしかも布団の中で目覚め、目覚めた私の目が初めに観たのは和風の見覚えのある天井だった。
この状況ってことは、私は長い長い悪い夢でも観てしまっていたのではないかと言う、まるで中国の胡蝶の夢ように、頭がこんがらがっていたが、なんだ、夢か?と、考えたら、壁が、そう、徐に壁達が、天井が無くなり、と言うか突然消えて、もとのUFO型マンション・イン徹子の部屋に戻っていた。
悪夢は恐ろしいほどの早さで、現実と言う世界を突きつけていて、内心、私は夢の続きを渇望していたが、そんなことが、本当に役に立つ訳ではないことも十分知っていたので、ゆっくりと布団から上半身を起こし始めた。
「なにも、こんなことをしなくてもいいのに!」
私は、まだ眠い目を擦りながら、そう独り言のように言った。
そして、私はゆっくりとUFO型マンション内を見渡した。
私の周り、ちょうど六畳分の畳が敷いてあり、その奥からは白い部屋と、モニターとカメラと、所謂、徹子の部屋スタジオがあり、考えたらこっちはこっちで充分夢の続き状態と言っても差(さ)し支(つか)えなかった。
「工藤さんが、深い眠りに就いていましたので、横にしました。
後は、勝手に工藤様の思念(しねん)が物質化しただけですので」
と、オーランド系は、特に私が怒ったような声質には何の影響も受けず、ただ、淡々と状況を説明しただけだった。
「どのくらい寝たのかな?」
私は自分の腕時計を探して左腕を観たが、無くて、と言うか、そもそも、このUFOに入った状態の時から、腕時計を観る暇なんてなかったような気がするし、もしかしたら、腕時計でさえも、埼玉の自分の家に置いてきたのではないかと思い始め布団から立ち上がって、しばし、なんとなくうろうろしていた。
「腕時計なら、工藤さんが座っていたソファーの前のテーブルに置いてあります」
今度は、キャメロン系が若干、笑顔で私に教えてくれた。
私は有難う、となんとなく小さな声でお礼を言って、今まで私が座っていたソファーに歩いて行った。
歩きながら、今自分の格好が、昔の実家時代の母親が生協かなんかの通販かで買って強制的に使っていたパジャマ用のスウェット姿であることと、裸足である事を認識した。
しかし、次第に意識が目覚め始めると、いつしか、私の姿はいつもの自宅にいた服装に戻り、靴までも履いていた。
ついでに靴下も履いていた。
その時思ったのは、初めて彼ら、オーランド系とキャメロン系が我が家に表れて、ずかずかと私の家の茶の間に土足で入って行った姿が思い出された。
当然、彼らは土足でありながら、茶の間のソファーに、さも当然な状態で座っていた時には、今、私が経験したように、靴など存在はしなく、多分、オーランド系は黒の靴下で、キャメロン系はストッキングを履いていたような気がしたが、これも考えたら、怪しい外人の男女二人組がエホバの証人宜しくの、宗教の勧誘かと殆ど絶対的に考えていたから、いちいち彼らの服装チェックなど細かくしてはいなかったし、まさかそのあと、このような展開になるなんて、古い言い方だとお釈迦様でも分からないってことだろう。
「これって、想念?思念だっけ、の物質化現象ってやつ?」
私は、そう、二人に話しかけながら、元座っていた白いソファーにドスンって感じに勢い良く座りながら聞いてみた。
「工藤さんが眠ってから地球時間で5時間ぐらいは熟睡していました。はい、物質化現象です」
「これって、私じゃなくても、つまり、全人類の誰かがここの空間、UFO内に入れば想念の物質化現象って起きるの?」
私は横を向いて左隣の全く同じ状態、つまり、私と全く同じ白いソファーに、そのソファーの前にはこれまた白いローテーブル、と言っても雲のような形のローテーブルとがセットになった状態で、あとは正面には何百台と言うモニターが並んでいて、様々な国の多分、テレビニュースだったり、お忍び映像、オカルト隠しカメラ映像だったりが、日本語バージョンで流れていた。
しかも、その音量って言うのも絶妙な感じで、多分、彼ら二人と会話する時や、私が何か考え事をしていたり思い出したり、思い出している時には、自然と、と言うか知らない内に音量は下げられ、と言うか聞こえなくなり、反対に私が何かを思いついたかのように調べ始めるようにモニターを見続けると、勝手に音量が私に聞こえてきて、多数あるモニターの音がノイズの様に感じない事に、改めて感じて、その仕組みに驚いてもいるところだった。
「残念ながら、ここに、そもそも工藤さん以外を乗せることは出来ません。
この乗り物は元々、工藤さん用でありますので、他の人達は乗ることも出来ないのです」
オーランド系は、そう言いながら、大変申し訳ないという表情で答えてくれた。
「マジで?そうなんだ。本当はさ、このUFOを使って世界中の要人たちを乗せて、どこか、日本だったら国会議事堂とか、アメリカだったらホワイトハウスの大きな会議室とかでみんなを集めて、今後の地球の事に就いて定期的に話し合おう、とかって考えていたんだけど、ほんとに、このUFOに誰も乗せられないの?ほんとに?」
「申し訳ございません、これは工藤さん用ですので、それに、本来であれば、この乗り物も工藤さんにとっては元々必要のない乗り物なのですが、何と言いますか、そう前から決まっていましたので」
と、いつもなら、淡々と話し始めるオーランド系が、咄嗟に口ごもるから、、私はなんだよそれって感じで、オーランド系を見た。
「そうなんです。これは元々、工藤さん用ですから、誰もと言いますか、どんな生物もここには入れないのです」
どんな生物?と言う言葉に、私はなんだか予きせぬことを考えてしまった。
生物が入れない?
ってことは、このUFO内にいる私は、既に死んでいて、だから、勝手に物質化現象を体験できたり、全世界の人々のお喋りと言うか言葉が全部日本語で聞けて、日本語で私は喋っていて通じていたと言うことは、もしかして、私は何かの都合で、例えば寝ている時に、映画「ドニー・ダーコ」の様に自宅にジェット旅客機のエンジン部分が落ちて来て、寝ながら即死していたとか?
まあ、なんにしても死を意識する暇も無く即死してしまう事故にとっくの昔に遇っていて、彼ら二人は天使でしょうか?と、またまた目まぐるしく、次から次へと最悪なのか?それとも良く気付きましたね工藤さんって言われるのか、と考えると、何となくトイレに行きたくなってきた。
私は、本来であればUFO型マンション内の白いソファーの所でうとうとと眠りに就いたのだし、本来であれば、徹子の部屋のようなソファーに横になっていて、そんな状況で起きるべき筈なのに、実際は、宮城県の実家の二階の私の部屋、つまり、あの頃に、大学生の頃の二階の和室の部屋のしかも布団の中で目覚め、目覚めた私の目が初めに観たのは和風の見覚えのある天井だった。
この状況ってことは、私は長い長い悪い夢でも観てしまっていたのではないかと言う、まるで中国の胡蝶の夢ように、頭がこんがらがっていたが、なんだ、夢か?と、考えたら、壁が、そう、徐に壁達が、天井が無くなり、と言うか突然消えて、もとのUFO型マンション・イン徹子の部屋に戻っていた。
悪夢は恐ろしいほどの早さで、現実と言う世界を突きつけていて、内心、私は夢の続きを渇望していたが、そんなことが、本当に役に立つ訳ではないことも十分知っていたので、ゆっくりと布団から上半身を起こし始めた。
「なにも、こんなことをしなくてもいいのに!」
私は、まだ眠い目を擦りながら、そう独り言のように言った。
そして、私はゆっくりとUFO型マンション内を見渡した。
私の周り、ちょうど六畳分の畳が敷いてあり、その奥からは白い部屋と、モニターとカメラと、所謂、徹子の部屋スタジオがあり、考えたらこっちはこっちで充分夢の続き状態と言っても差(さ)し支(つか)えなかった。
「工藤さんが、深い眠りに就いていましたので、横にしました。
後は、勝手に工藤様の思念(しねん)が物質化しただけですので」
と、オーランド系は、特に私が怒ったような声質には何の影響も受けず、ただ、淡々と状況を説明しただけだった。
「どのくらい寝たのかな?」
私は自分の腕時計を探して左腕を観たが、無くて、と言うか、そもそも、このUFOに入った状態の時から、腕時計を観る暇なんてなかったような気がするし、もしかしたら、腕時計でさえも、埼玉の自分の家に置いてきたのではないかと思い始め布団から立ち上がって、しばし、なんとなくうろうろしていた。
「腕時計なら、工藤さんが座っていたソファーの前のテーブルに置いてあります」
今度は、キャメロン系が若干、笑顔で私に教えてくれた。
私は有難う、となんとなく小さな声でお礼を言って、今まで私が座っていたソファーに歩いて行った。
歩きながら、今自分の格好が、昔の実家時代の母親が生協かなんかの通販かで買って強制的に使っていたパジャマ用のスウェット姿であることと、裸足である事を認識した。
しかし、次第に意識が目覚め始めると、いつしか、私の姿はいつもの自宅にいた服装に戻り、靴までも履いていた。
ついでに靴下も履いていた。
その時思ったのは、初めて彼ら、オーランド系とキャメロン系が我が家に表れて、ずかずかと私の家の茶の間に土足で入って行った姿が思い出された。
当然、彼らは土足でありながら、茶の間のソファーに、さも当然な状態で座っていた時には、今、私が経験したように、靴など存在はしなく、多分、オーランド系は黒の靴下で、キャメロン系はストッキングを履いていたような気がしたが、これも考えたら、怪しい外人の男女二人組がエホバの証人宜しくの、宗教の勧誘かと殆ど絶対的に考えていたから、いちいち彼らの服装チェックなど細かくしてはいなかったし、まさかそのあと、このような展開になるなんて、古い言い方だとお釈迦様でも分からないってことだろう。
「これって、想念?思念だっけ、の物質化現象ってやつ?」
私は、そう、二人に話しかけながら、元座っていた白いソファーにドスンって感じに勢い良く座りながら聞いてみた。
「工藤さんが眠ってから地球時間で5時間ぐらいは熟睡していました。はい、物質化現象です」
「これって、私じゃなくても、つまり、全人類の誰かがここの空間、UFO内に入れば想念の物質化現象って起きるの?」
私は横を向いて左隣の全く同じ状態、つまり、私と全く同じ白いソファーに、そのソファーの前にはこれまた白いローテーブル、と言っても雲のような形のローテーブルとがセットになった状態で、あとは正面には何百台と言うモニターが並んでいて、様々な国の多分、テレビニュースだったり、お忍び映像、オカルト隠しカメラ映像だったりが、日本語バージョンで流れていた。
しかも、その音量って言うのも絶妙な感じで、多分、彼ら二人と会話する時や、私が何か考え事をしていたり思い出したり、思い出している時には、自然と、と言うか知らない内に音量は下げられ、と言うか聞こえなくなり、反対に私が何かを思いついたかのように調べ始めるようにモニターを見続けると、勝手に音量が私に聞こえてきて、多数あるモニターの音がノイズの様に感じない事に、改めて感じて、その仕組みに驚いてもいるところだった。
「残念ながら、ここに、そもそも工藤さん以外を乗せることは出来ません。
この乗り物は元々、工藤さん用でありますので、他の人達は乗ることも出来ないのです」
オーランド系は、そう言いながら、大変申し訳ないという表情で答えてくれた。
「マジで?そうなんだ。本当はさ、このUFOを使って世界中の要人たちを乗せて、どこか、日本だったら国会議事堂とか、アメリカだったらホワイトハウスの大きな会議室とかでみんなを集めて、今後の地球の事に就いて定期的に話し合おう、とかって考えていたんだけど、ほんとに、このUFOに誰も乗せられないの?ほんとに?」
「申し訳ございません、これは工藤さん用ですので、それに、本来であれば、この乗り物も工藤さんにとっては元々必要のない乗り物なのですが、何と言いますか、そう前から決まっていましたので」
と、いつもなら、淡々と話し始めるオーランド系が、咄嗟に口ごもるから、、私はなんだよそれって感じで、オーランド系を見た。
「そうなんです。これは元々、工藤さん用ですから、誰もと言いますか、どんな生物もここには入れないのです」
どんな生物?と言う言葉に、私はなんだか予きせぬことを考えてしまった。
生物が入れない?
ってことは、このUFO内にいる私は、既に死んでいて、だから、勝手に物質化現象を体験できたり、全世界の人々のお喋りと言うか言葉が全部日本語で聞けて、日本語で私は喋っていて通じていたと言うことは、もしかして、私は何かの都合で、例えば寝ている時に、映画「ドニー・ダーコ」の様に自宅にジェット旅客機のエンジン部分が落ちて来て、寝ながら即死していたとか?
まあ、なんにしても死を意識する暇も無く即死してしまう事故にとっくの昔に遇っていて、彼ら二人は天使でしょうか?と、またまた目まぐるしく、次から次へと最悪なのか?それとも良く気付きましたね工藤さんって言われるのか、と考えると、何となくトイレに行きたくなってきた。
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