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夢の中では、当然のように母は生きていて、当然のように1ミリも夢だと気付かないということ
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人間の夢と言うのは、実に不思議に出来ている。
出来ていると言うのか、それとも、それ相当の騙し的テクニックなのか分からないが、私たちは、夢の中での出来事をほぼ百パーセント信じているのである。
余りのも荒唐無稽なことだったり、夢が浅い時には、アレ?ってな感じで、その夢の辻褄の合わなさやら、不条理な物語の件を検証するのだが、その夢ってやつも必要以上に伏線を張り、私たちが気付く間もなく、新しい場面展開にセットを早変わりさせ、また新たに新しい夢が、自分の脳の中で展開されるのだ。
まるで、自分で自分を騙すと言う、パラドックス的な世界が、夢の世界なのかもしれない。自分で自分の脳を休んでいる内に点検しながら、その記憶のバグなのか、歪なのかが表れて、脳の処理中に起きる記憶の映像を見続ける世界。
なにはともあれ、私は起きた時は、すぐに気付くのだが、いや、起きた段階でも、この夢は結構な時間まで尾を引いたのだが。
まず、最初におかしいはずの、死んだ人間、つまり私の母親がすぐさま表れたのだが、早くも不思議な事に、私は学生だったのだ。
学生ってことは、宮城県の実家の二階の自分の部屋にいたり、一階の台所に行ったりしていた。
母親は夕飯の支度をしているようだったが、そうでもないみたいな感じで、私はなんかしらないが、試験なのか?課題の提出なのか?そのための準備もしているところだった。
多分、高校生ではないような気がしたが、その辺はあやふやだった。
私は、自分の部屋で、なにかの課題とやらを明日、提出しなくてはいけないので、かなり焦っているのだが、課題の為の勉強なのか、調べものなのか分からないが、絶望的なほど作業が進まなく苛立っている時に、母親が二階で勉強している私の部屋に入って来て、徐に、死の世界の話をし出した。
それまでは、私は実家に住んでいる大学生の感覚だったのに、母親の突然のカミングアウトに、普通なら驚くであろう事柄が、さも当たり前の様に、勉強机の椅子に座っている身体をくるっと回転して、母親の方を向いて、さも当たり前の様に、そして、幾分面倒臭いな~と言った感じで、多分、まだ、大学の課題の事をやらないと、と言うこんな時にだけ表れる潰しの効かない真面目な性格が表れていた。そして、母親はすんごく楽しそうに、あちらの事を、つまり実際、自分がいる死の世界ことを話し始めた。
母の話では、凄く今、自由とのことで、母親が生きている間に死んだ、祖母や祖父、そして、親戚の伯父さんの事まで話し始めた。
彼ら、つまり先ほど言った死んだ人たちとも、まるで、隣の部屋にいるような形で、ドアを開くと、彼ら、例えば死んだお爺さんだった、り、だいぶ前に亡くなった人でさえも、簡単に合うことが出来、色々と話し合っている、と言われた。
私は、その話を特に驚くほどの事ではないと考えていて、反対に、母親がそんなに嬉しいんだったら、それに越したことは無い、みたいな感じで、私は単純に安心し、一緒になって喜んでいた。
その話の内容が弾んでくると、もう、私の今いた状況は、つまり実家の二階の私の部屋にいたはずの世界が、知らない間に変っていて、なんか分からないが、かなり整備された植物園のような公園の中で、野外の中で、私は母親の話を聞き続けていたのである。
話の内容は、母親よりも年下の親戚の伯父さんも、早くに癌で亡くなったのだが、確か名前が達彦伯父さんとか言ったかな?と、最近は、良く会って話をしていると言っていた。
なんでも、母親の話だと、死の世界、と言うよりも、精神世界と言うのは、その精神レベルによって、住む世界が決まっていて、精神レベルが高いほど、自由に行動することは出来るけれども、精神レベルがそれほど高くないと、精神レベルの高い所や、精神レベルの高い人に会うことは出来ないみたいだし、やっぱり、彼らも、その事について分を弁(わきま)えているからか、精神レベルの低い人達は自分のいる世界で充分なようで、態々、他の世界に移動することを望んでもいないし、その場所で、自分の精神レベルの向上を努力しているみたいだ、と、母親は本当に面白そうな感じで話してくれた。
そして、今考えたら、笑っちゃうんだけど、そんな話を聞いていても、明日の大学の課題の事を、薄っすらと考えながら、母親の話を聞いていたのだから、まさに夢の世界としか言いようがない。
私はその母親の話を聞きながら、どうも母親は自由に色々な世界や人々に会える、結構な高いレベルの人なのだろうと、感じていて、だから、いつも日常は忙しくて最近はめったに会わなくなったのかな~、とまで、とことん夢の魔法にかかったように、自分で納得していた。
色々な世界に行くのに、ようやく最近、そのコツを掴んだので、楽しくなったとか?色々な素晴らしい人達に会えて、本当に毎日が楽しいとまで、言っていた。
その頃には、私はなんとなく、このことは妹の沙耶からも聞いたな~、とおぼろげながら思い出していた。
夢から覚めた時に、納得するのだが、私が観ている夢は、以前、妹の沙耶が母親が死んで四十九日に見せられた、と言って、私に話した内容が、そんな内容だった。
だから、私はその夢が表れ、母親が話す内容を、なんとなく分かっていたから、なんの違和感も無く、いや、反対に早くまた一階の台所に行ってくれないかな、とまで考えていたのだ。
完全に夢の中の私は、母親が生きていて、今まで夕飯の支度なのか、洗濯物の取り込みの為に二階のベランダに上がってきたのか、そんなことを考えながら、母親の今いる精神世界の話を聞いていても、何の違和感も無く、母親が楽しそうで良いじゃん、ってことと、早く一階に行ってくれないかな~と言うことと、しかるに、今実際、自分がいるのは植物公園のようなどうみても屋外の場所なんだけど、そんな状況の中で、この状況が夢であることが全く理解しなかったし、この世界は世界としてりっぱに私の頭に中では成立していた。
それは例えて言うなら、母親が精神レベルの教室なのかカルチャーセンターに通っていて、たまたま、親戚の伯父さんだったり、とっくに亡くなってしまった、お爺さんやお婆さんも一緒に通っているんだね、的なぐらいにしか認識せず、私は本当なら社会人生活を20年近くも続けているのに、夢の中の私はバリバリの大学生だった。
私は完全に夢の中の世界を妄信していて、これっぽっちも疑っていなかった。
そして、だが、私はなんとなくだが、母親が元気でいる姿に、まあ夢の中なんだけど、本当に良かったと感じていた。
そこには、もしかしたら、生前、母親が花や植物が好きで、良く庭いじりをしていたことが、薄っすらとした私の記憶の中に思い出されていて、この植物公園みたいな、色とりどりの花が咲いていて、このことも嬉しいんだろうな、と思っていた。
そして、母親は一通り私に、今母親がいる死の世界の事を、と言うよりも精神世界の事やシステムを説明し終えたようで、いつのまにか、また、辺りは実家の二階の私の部屋に戻っていて、あの頃の母親は、よく私の部屋からもベランダに行けるアルミサッシのドアを開けて、二階のベランダに出て行ったので、そんな感じで出て行った。
私も、やっぱり母親は最初っから私の部屋を通って隣のベランダに干している洗濯物を取り込む為に寄った序(つい)でに、最近の近況報告をしたのだと、納得しながらも、また、明日提出するはずの課題とやらの準備に取り掛かるように、また、くるっと椅子を回転させて、自分の机に向かった。
それと同時に日が眩しく部屋に入ってくるのか、それとも私の目が全体的に白くなってくるのか分からないが、ハイライトの世界が続き、私はゆっくりとだが、目が覚めてきた。
出来ていると言うのか、それとも、それ相当の騙し的テクニックなのか分からないが、私たちは、夢の中での出来事をほぼ百パーセント信じているのである。
余りのも荒唐無稽なことだったり、夢が浅い時には、アレ?ってな感じで、その夢の辻褄の合わなさやら、不条理な物語の件を検証するのだが、その夢ってやつも必要以上に伏線を張り、私たちが気付く間もなく、新しい場面展開にセットを早変わりさせ、また新たに新しい夢が、自分の脳の中で展開されるのだ。
まるで、自分で自分を騙すと言う、パラドックス的な世界が、夢の世界なのかもしれない。自分で自分の脳を休んでいる内に点検しながら、その記憶のバグなのか、歪なのかが表れて、脳の処理中に起きる記憶の映像を見続ける世界。
なにはともあれ、私は起きた時は、すぐに気付くのだが、いや、起きた段階でも、この夢は結構な時間まで尾を引いたのだが。
まず、最初におかしいはずの、死んだ人間、つまり私の母親がすぐさま表れたのだが、早くも不思議な事に、私は学生だったのだ。
学生ってことは、宮城県の実家の二階の自分の部屋にいたり、一階の台所に行ったりしていた。
母親は夕飯の支度をしているようだったが、そうでもないみたいな感じで、私はなんかしらないが、試験なのか?課題の提出なのか?そのための準備もしているところだった。
多分、高校生ではないような気がしたが、その辺はあやふやだった。
私は、自分の部屋で、なにかの課題とやらを明日、提出しなくてはいけないので、かなり焦っているのだが、課題の為の勉強なのか、調べものなのか分からないが、絶望的なほど作業が進まなく苛立っている時に、母親が二階で勉強している私の部屋に入って来て、徐に、死の世界の話をし出した。
それまでは、私は実家に住んでいる大学生の感覚だったのに、母親の突然のカミングアウトに、普通なら驚くであろう事柄が、さも当たり前の様に、勉強机の椅子に座っている身体をくるっと回転して、母親の方を向いて、さも当たり前の様に、そして、幾分面倒臭いな~と言った感じで、多分、まだ、大学の課題の事をやらないと、と言うこんな時にだけ表れる潰しの効かない真面目な性格が表れていた。そして、母親はすんごく楽しそうに、あちらの事を、つまり実際、自分がいる死の世界ことを話し始めた。
母の話では、凄く今、自由とのことで、母親が生きている間に死んだ、祖母や祖父、そして、親戚の伯父さんの事まで話し始めた。
彼ら、つまり先ほど言った死んだ人たちとも、まるで、隣の部屋にいるような形で、ドアを開くと、彼ら、例えば死んだお爺さんだった、り、だいぶ前に亡くなった人でさえも、簡単に合うことが出来、色々と話し合っている、と言われた。
私は、その話を特に驚くほどの事ではないと考えていて、反対に、母親がそんなに嬉しいんだったら、それに越したことは無い、みたいな感じで、私は単純に安心し、一緒になって喜んでいた。
その話の内容が弾んでくると、もう、私の今いた状況は、つまり実家の二階の私の部屋にいたはずの世界が、知らない間に変っていて、なんか分からないが、かなり整備された植物園のような公園の中で、野外の中で、私は母親の話を聞き続けていたのである。
話の内容は、母親よりも年下の親戚の伯父さんも、早くに癌で亡くなったのだが、確か名前が達彦伯父さんとか言ったかな?と、最近は、良く会って話をしていると言っていた。
なんでも、母親の話だと、死の世界、と言うよりも、精神世界と言うのは、その精神レベルによって、住む世界が決まっていて、精神レベルが高いほど、自由に行動することは出来るけれども、精神レベルがそれほど高くないと、精神レベルの高い所や、精神レベルの高い人に会うことは出来ないみたいだし、やっぱり、彼らも、その事について分を弁(わきま)えているからか、精神レベルの低い人達は自分のいる世界で充分なようで、態々、他の世界に移動することを望んでもいないし、その場所で、自分の精神レベルの向上を努力しているみたいだ、と、母親は本当に面白そうな感じで話してくれた。
そして、今考えたら、笑っちゃうんだけど、そんな話を聞いていても、明日の大学の課題の事を、薄っすらと考えながら、母親の話を聞いていたのだから、まさに夢の世界としか言いようがない。
私はその母親の話を聞きながら、どうも母親は自由に色々な世界や人々に会える、結構な高いレベルの人なのだろうと、感じていて、だから、いつも日常は忙しくて最近はめったに会わなくなったのかな~、とまで、とことん夢の魔法にかかったように、自分で納得していた。
色々な世界に行くのに、ようやく最近、そのコツを掴んだので、楽しくなったとか?色々な素晴らしい人達に会えて、本当に毎日が楽しいとまで、言っていた。
その頃には、私はなんとなく、このことは妹の沙耶からも聞いたな~、とおぼろげながら思い出していた。
夢から覚めた時に、納得するのだが、私が観ている夢は、以前、妹の沙耶が母親が死んで四十九日に見せられた、と言って、私に話した内容が、そんな内容だった。
だから、私はその夢が表れ、母親が話す内容を、なんとなく分かっていたから、なんの違和感も無く、いや、反対に早くまた一階の台所に行ってくれないかな、とまで考えていたのだ。
完全に夢の中の私は、母親が生きていて、今まで夕飯の支度なのか、洗濯物の取り込みの為に二階のベランダに上がってきたのか、そんなことを考えながら、母親の今いる精神世界の話を聞いていても、何の違和感も無く、母親が楽しそうで良いじゃん、ってことと、早く一階に行ってくれないかな~と言うことと、しかるに、今実際、自分がいるのは植物公園のようなどうみても屋外の場所なんだけど、そんな状況の中で、この状況が夢であることが全く理解しなかったし、この世界は世界としてりっぱに私の頭に中では成立していた。
それは例えて言うなら、母親が精神レベルの教室なのかカルチャーセンターに通っていて、たまたま、親戚の伯父さんだったり、とっくに亡くなってしまった、お爺さんやお婆さんも一緒に通っているんだね、的なぐらいにしか認識せず、私は本当なら社会人生活を20年近くも続けているのに、夢の中の私はバリバリの大学生だった。
私は完全に夢の中の世界を妄信していて、これっぽっちも疑っていなかった。
そして、だが、私はなんとなくだが、母親が元気でいる姿に、まあ夢の中なんだけど、本当に良かったと感じていた。
そこには、もしかしたら、生前、母親が花や植物が好きで、良く庭いじりをしていたことが、薄っすらとした私の記憶の中に思い出されていて、この植物公園みたいな、色とりどりの花が咲いていて、このことも嬉しいんだろうな、と思っていた。
そして、母親は一通り私に、今母親がいる死の世界の事を、と言うよりも精神世界の事やシステムを説明し終えたようで、いつのまにか、また、辺りは実家の二階の私の部屋に戻っていて、あの頃の母親は、よく私の部屋からもベランダに行けるアルミサッシのドアを開けて、二階のベランダに出て行ったので、そんな感じで出て行った。
私も、やっぱり母親は最初っから私の部屋を通って隣のベランダに干している洗濯物を取り込む為に寄った序(つい)でに、最近の近況報告をしたのだと、納得しながらも、また、明日提出するはずの課題とやらの準備に取り掛かるように、また、くるっと椅子を回転させて、自分の机に向かった。
それと同時に日が眩しく部屋に入ってくるのか、それとも私の目が全体的に白くなってくるのか分からないが、ハイライトの世界が続き、私はゆっくりとだが、目が覚めてきた。
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