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ハローワーク池袋から帰宅したその夜、自宅まであのストーカが訪問して来た。
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もう何時間待っているのだろう?
私はそんな、つい2ヶ月前の出来事を思い出し、今置かれている現実で我に返り、ここがハローワーク池袋であることと、もう2時間以上ここで待っていて会社紹介の手続きを、毒づきながら待っているリアルな世界に戻ってしまった。
やっと空いた席を見付けて座ったのが13時、先ほど見た腕時計は15時20分を過ぎていた。
右手に握っている整理番号を見た。
3桁の数字が記載してある、銀行の待合と同じ仕組みの整理番号。
なんの変哲もなく、本当にただ順番を教えるだけの整理番号、私の番号は652番、そして今、機械のアナウンスが伝えたのは
「612番の番号をお持ちのお客様は、窓口までお越しください」だった。
私の前にあと40人が控えているのだ、40人の私のようなウンザリした気持ちを持った人たちがこの世界を、力なく呪っているのだ。
「大変お待たせさせていまして申し訳ございません」
とハローワークの30代中間ぐらいの小太りの女性が真剣な顔で、待っているみんなに聞こえるような大声で喋っていた。
「紹介ではなく、認定印を頂きたいだけの方は、臨時でブースを設置しましたので、どうぞお並びください」
そんなアナウンスだった。
劇的に混雑しているハローワークの中は静かな殺気で渦巻いていて、そんな係員の対応に対しても、冷たい質問や、罵声が飛び始めた。
私もウンザリしながら、その険悪なムードの中で、あと1時間は待つことを考え、溜め息が出た。
そんなハローワークで待ちくたびれて、殺気立っている空間の中で、私は場違いなものを目撃した。
場違いであり、それでいて有り得ない人物たちを目撃したのである。
それこそが彼らとの第一遭遇だった。
私はストレスで幻覚を見るようになったのか?そのときは、そう思っていた。
「工藤さん、いらっしゃいますか?」
玄関のチャイムが後ろの音だけ鳴って、玄関のドアをノックする音も一階から聞こえてきた。
電池が明らかに無くなっているな、そんなことを考えながら二階でさっきまで着ていたスーツを素早く着替えてジーンズと半袖シャツ姿で玄関に出た。
玄関には自治会の班長さんが立っていて、団地内でTVの共同アンテナを運営している運営費を集金に来ていた。
「昼間は工藤さん、出ていらっしゃるからこんな夜分にすいませんね」
と60近くのおばちゃんが玄関のドアを開けるとご挨拶するので、私も急いで一階の茶の間にある鞄から財布を取り出し、自治会費改め共同アンテナ費三か月分を払った。
私が住んでいるところは埼玉県で30年ぐらい前に区画整理した団地型の住宅街だった。そこで、無謀にも私は中古の一軒家をローンで購入し、一人で住んでいた。
だから、たまにこうして自治会費改め共同アンテナ費三か月分の徴収に近所の自治会班長さんが来たり、回覧板もよく回ってきた。
ゴミだしの連絡や、自治会館の使用方法とかの連絡等が主だった。
失業中なのに出費はイヤだな~、そんなことを考えてドアを閉めた。
しばらくして、また玄関のチャイムがなり、多分、判子を押し忘れたことでさっきのおばちゃんが戻ってきたのかと思い、無造作に開けてしまった。
そして、そこには無造作に開けてはいけない人物たちが立っていたのだ。
私はそんな、つい2ヶ月前の出来事を思い出し、今置かれている現実で我に返り、ここがハローワーク池袋であることと、もう2時間以上ここで待っていて会社紹介の手続きを、毒づきながら待っているリアルな世界に戻ってしまった。
やっと空いた席を見付けて座ったのが13時、先ほど見た腕時計は15時20分を過ぎていた。
右手に握っている整理番号を見た。
3桁の数字が記載してある、銀行の待合と同じ仕組みの整理番号。
なんの変哲もなく、本当にただ順番を教えるだけの整理番号、私の番号は652番、そして今、機械のアナウンスが伝えたのは
「612番の番号をお持ちのお客様は、窓口までお越しください」だった。
私の前にあと40人が控えているのだ、40人の私のようなウンザリした気持ちを持った人たちがこの世界を、力なく呪っているのだ。
「大変お待たせさせていまして申し訳ございません」
とハローワークの30代中間ぐらいの小太りの女性が真剣な顔で、待っているみんなに聞こえるような大声で喋っていた。
「紹介ではなく、認定印を頂きたいだけの方は、臨時でブースを設置しましたので、どうぞお並びください」
そんなアナウンスだった。
劇的に混雑しているハローワークの中は静かな殺気で渦巻いていて、そんな係員の対応に対しても、冷たい質問や、罵声が飛び始めた。
私もウンザリしながら、その険悪なムードの中で、あと1時間は待つことを考え、溜め息が出た。
そんなハローワークで待ちくたびれて、殺気立っている空間の中で、私は場違いなものを目撃した。
場違いであり、それでいて有り得ない人物たちを目撃したのである。
それこそが彼らとの第一遭遇だった。
私はストレスで幻覚を見るようになったのか?そのときは、そう思っていた。
「工藤さん、いらっしゃいますか?」
玄関のチャイムが後ろの音だけ鳴って、玄関のドアをノックする音も一階から聞こえてきた。
電池が明らかに無くなっているな、そんなことを考えながら二階でさっきまで着ていたスーツを素早く着替えてジーンズと半袖シャツ姿で玄関に出た。
玄関には自治会の班長さんが立っていて、団地内でTVの共同アンテナを運営している運営費を集金に来ていた。
「昼間は工藤さん、出ていらっしゃるからこんな夜分にすいませんね」
と60近くのおばちゃんが玄関のドアを開けるとご挨拶するので、私も急いで一階の茶の間にある鞄から財布を取り出し、自治会費改め共同アンテナ費三か月分を払った。
私が住んでいるところは埼玉県で30年ぐらい前に区画整理した団地型の住宅街だった。そこで、無謀にも私は中古の一軒家をローンで購入し、一人で住んでいた。
だから、たまにこうして自治会費改め共同アンテナ費三か月分の徴収に近所の自治会班長さんが来たり、回覧板もよく回ってきた。
ゴミだしの連絡や、自治会館の使用方法とかの連絡等が主だった。
失業中なのに出費はイヤだな~、そんなことを考えてドアを閉めた。
しばらくして、また玄関のチャイムがなり、多分、判子を押し忘れたことでさっきのおばちゃんが戻ってきたのかと思い、無造作に開けてしまった。
そして、そこには無造作に開けてはいけない人物たちが立っていたのだ。
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