59 / 59
日本アニメスレート2019に御招待
しおりを挟むこれからは、もっと思慮深く行動しなくては。
「それは構わないけど、尤(もっと)、今まで以上に僕の国の世界のことも、
シャーロンやグレアム王子や、
こちらの世界の芸能芸術セレブの皆さん達と僕がコミュニケーションを取らないといけないと思うんだ」
「と言うことは、
つまりムート先生は具体的にどうするおつもりなんですか?」
僕は躊躇(ためら)いがちに、だけど確信を持って
「僕がこれからこの世界で行いたいと言うことは、
僕がこの世界に僕の世界の音楽や芸術芸能の歴史を伝える、
一緒に研究する勉強会を定期的に行おうかと思っているんだよ。
と言うのも、多分、こちらの世界、シャーロンやシャルル、
その他の人々もなんだけど、何で突然、
あんなメロディや歌謡曲やJ‐POP音楽が出来たのだろう?
と、いきなり時代を超えた進化した音楽を聴かされたのだから、
感動はするけど、こちら側の芸術家や音楽家達にとっては、同じような音楽や曲が果たして自分たちにも、創作することが出来るのだろうか?
と大変不安になっていると思うんだ。
だからこそ、まずはこの音楽が出来た背景や、もっと言えば、
音楽の歴史自体を学んだ方が、無暗やたらに恐れることもないし、
最終的には、この世界でも僕らの世界を超えた名曲が生まれるかもしれない、
その為の勉強会、または学校みたいな」
「学校ですか、音楽学校を作るとか」
「そう言う意味とも違うかな、そうだ、
所謂、王族や貴族、豪商芸術芸能ギルド達が集うサロンみたいな、
そんな学校と言ったお固く無く、
もっと気取(きど)らずに集って情報交換する、
出来る場かな」
「ふ~ん、それではムート先生によるムート先生の世界の芸能芸術学びのサロンって感じでしょうか?」
「う~ん、まあ、そんな感じかな、
それを定期的に行うことにより、クレア国の芸術家、芸能界の方達、
それに両国の舞台俳優、女優、音楽家、演出家、戯曲家、画家、
歌手などと色々なアーティスト達も参加して、
情報共有と学びの場にしたいと、
そんなイメージかな」
「やっぱりムート先生は、学校の先生みたいなんですね。
ムート先生の授業なら、わたくし全部出席しますわ」
シャーロンは久々にドレス越しから見事な巨乳を僕の腕に押し付けた。
そう言えば、最近は色々とやることが多くなって、
この様に異世界に来たばかりのシャーロンとのイチャイチャ秘め事から、
遠のいてしまったな~、
と回顧録な気分と同時に、
久々のシャーロンの体臭付き香水の匂いを嗅いで勃起状態になった。
僕は、頭の中で、
そろそろ本格的な舌を入れたベロチューが出来るのでは、
と期待を膨らましていると
「いや~、こちらにいましたか、探しましたよ!武藤さん。
あ、これはこれはシャーロン姫、お久し振りです」
と、何時ものタイミング悪く、シャーロンとイチャラヴからの念願の、
悲願のベロデューを成し遂げようとする時に、まさかの、
いや、それが当然のように邪魔者達が現れて来るんだな。
「あ、片岡さん、どうしたんですか?
血相を変えて」
「あ、え、その、お邪魔では無かったですか?
武藤さん」
もはやお邪魔です、と言うのも野暮な話しだから、何時もの感じで
「大丈夫ですよ、それよりどうしましたか?」
「はい、武藤さん、あのですね、この前、わたしと武藤さんとで訪問した表参道の映像ストリーミング配信事業会社のネットムービーズ日本支社から連絡がありまして、来週で急なんですけどネットムービーズの社長であるキース・ハルスティングCEOが日本に来日するんです。
有楽町にある東京国際フォーラムで毎年開催されるネットムービーズ主催の【日本アニメスレート2019】に参加する為の来日なんですが、この機会に是非、武藤さんにお会いしたいとのオファーを頂いたのです」
「【日本アニメスレート2019】ですか?」
「わたしも実際には【日本アニメスレート】には行ったことが無いのですが、なんでも2017年からネットムービーズ主催で不定期で開催されていて、
ネットムービーズの毎年ごとのビジネス状況と、今後日本国内で、ネットムービーズ完全資本で制作するアニメ作品の説明(せつめい)云々(うんぬん)がメインらしいです。
やはり、日本と言ったらクールジャパン、
ジャパニメーションが人気ですから日本が世界に誇るアニメを今後はネットムービーズによる潤沢な資本金、製作費を投入されて、日本の零細企業だったアニメ制作会社と多数契約したので、
いきなり給料が上がった下請け会社達が一気に世界規模のアニメ作品を制作して行く、と言うのが流石アメリカ本社だけに実に抜け目が無いですね」
そう言えば、前に観たドキュメントTV番組で中国資本も日本の零細アニメ会社に投資提携してアニメ作品を製作し出しているシーンを思い出した。
今まで、日本のTV局を頂点として、
その下に電博のTV電波を大量に扱える広告代理店があり、
出版社がありの末端にあった下請け零細アニメ会社の不満を、
海外資本が
「あらよっと」
と言ってお金で引き抜く現象に、ある意味、
今までの既得権で殿様商売だった大手メディア企業達が環境変化に伴って大量死する恐竜なごとくに見え、
不謹慎だが「ざまあ」な感じで今の状況をみていた。
「ま、今の今まで、
日本の大手メディア企業は自分達の利益優先で走って来て、
末端で搾取されていたアニメ制作会社に、
還元してこなかったツケが回ってきたのだから、
同情の余地もないですがね」
と、まるで片岡さんは僕の考えを代弁するかのように、そう話した。
「ま、アメリカの各映像ストリーミング配信事業会社にとっては、日本の強みはマンガ、アニメ、アイドル、サブカルだけですから、そのコンテンツさへ頂ければ、日本の今までのヒエラルキーが変わって下剋上になろうが、【そんなの関係ね~】なんでしょうね。
と言うことで、今度の金、土、日に有楽町の東京国際フォーラムで開催される【日本アニメスレート2019】のチケットも贈られて来たんですけど、どうします?
行きますか?」
僕は、異世界でやることが多くなって来て忙しいことは忙しいんだけど、
とは言え、移動に便利な何処でもダンジョンがあるから、
実質移動時間は無いに等しいので、片岡さんに
「行きましょう。
そして、面倒な手続きやらあっち側の上目線的な殿様商売態度で無駄な時間ぽかったら、
速攻で、ダンジョンで帰りましょう」
「ま、本当ならダンジョンに入って追いかけて来る事が出来るのはネットムービーズのキース・ハルスティングCEOだけですけどね」
片岡さんはそう言うと、後は
「お邪魔しました~、あとは御ゆっくり~」
とちょっと茶化すようなニュアンスでダンジョンを当然のように使って、
豊洲ビル事務所へと戻って行った。
「ムート先生は御自身の世界でも忙しそうですね」
シャーロンは感心した表情で僕の顔を観ながらそう言った。
「いや~、そうでもないけど、で、
そうだ、話しの途中でした、勉強会みたいな、
僕の世界の芸術芸能の歴史や、最近の流行り、流れ等を一緒に楽しく学び合う両国の芸術芸能サロンを開催したいんだけど、
どうかな」
「えっ、わたくしとしては全然、構いませんわ、
それよりも、わたくし個人的には、その、ムート先生の世界の名曲達をもっともっと知りたいと思っていましたから、ホント願ったり叶ったりです。
早速、グレアム王子にも知らせないとね。
確かにわたくしも、この状況を、キサナ国だけがムート先生の名曲により、神曲によって、ぶっちぎりの芸術芸能大国になると、今度は妬(ねた)み嫉(そね)みから国同士の関係が悪化し、最終的には戦争状態にでもなれば、それこそ収拾がつかなくなりますわ」
「そうだね、本当にシャーロンの言う通りだ。
あと、キサナ国の近隣諸国だと何と言う国があるの?」
シャーロンは「あっ」と言葉には出さなかったが、そんな口の形をして
「ああ、そうでした、忘れる処でした。
キサナ国の南側にあるカスナ国のことを忘れていました。
そちらにも使者を送って行かないとイケません。
カスナ国は、ここキサナ国よりも、
更に芸術芸能の分野では遅れていて、その分、
軍備に力を入れていると言う武闘派な国ですから、
ことさら慎重にしないといけませんね」
シャーロンの説明に、
僕は勝手なイメージでカスナ国を現世の中国共産党のイメージ映像とダブらせていた。
0
お気に入りに追加
10
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

生活魔法は万能です
浜柔
ファンタジー
生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。
それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。
――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる