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異世界はクリエイティブを尊敬する
しおりを挟むそう言えば、買取専門店の社員さんから金の精度が凄く良いと褒められました。
フォーナインって言うんですか、僕は24Kと言っていたんだけど、
専門的にはフォーナインとか社員達が口々に言っていました。
そんな訳で、ホント空いた時間に豊洲ビル2階の片岡さん事務所にダンジョン何処(どこ)でもドアを出して何時(いつ)も違った、
だけど取引し易い全国チェーン店近くに出口を出して、
取引ですからセキュリティー的にも万全な態勢で、東京だったり横浜だったり、大阪だったりと、
基本的には日本の五大都市の買取専門店で金を現金に換え、
今では片岡さんの金庫の中は金塊が札束に変わり、金よりも札束の方が場所を取るので、
金塊は僕の借りている3階の空き部屋に置いた。
因みに、僕が王立芸術劇場に打ち合わせ参加しているのも、
異世界の方達にとってはりっぱな関係者として、
王立芸術劇場の音響システム企画運営でも金塊で100枚、
日本円にして1億円がシャーロンを通してキサナ国芸能ギルドから報奨金が出され、
これも断ることが出来なかったので、
取敢(とりあ)えず僕の隣の空き部屋にはどんどんと金塊が増えて行き、
遂には片岡さん事務所の金庫に札束も入りきらなくなり、
僕のメインバンクと片岡さんの会社㈱スクール・オブ・シネマのメインバンクにも預けることを、
片岡さんに相談することになった。
片岡さんも、金庫内を見る度に、金塊が現金に替えられ、
しかも日に日に多くなっている現象に驚愕していたので、
最初はその相談に乗って頂いたが、法人税のことか何かで色々とあるみたいで、
結局、僕が他の銀行にも口座を作ることでなんとか解決した。
今ではダンジョンがあるから、地方の銀行や信用金庫にも口座を作った。
僕の通帳には既に複数の口座に1億2,000万円の現金を振り込んでいて、
片岡さんの個人口座にも3,000万円は振り込んでいた。
また、西田佳代や前田カメラマンから今まで渡していて、
まだ買取店で現金に替えていないのを僕が変わって現金で引き換えると、
やっぱり現世ニッポン人です、日本の1万円札で渡すと、
実感がこもった嬉しい顔になった。
西田佳代からは30枚の金塊を預かり、現金300万円を渡し、
「直ぐに銀行に預けないと何だか怖い」
と言われたので、ダンジョンで一緒に銀行まで着いて行った。
そして、前田カメラマンには撮影費の前金半分の一応50万円を渡すと、
やはり前田カメラマンも現金には目が無いって感じで、かなり嬉しそうだった。
なんでも、前田カメラマンの話しだと、最近は仕事が減って来て、
家族との関係もギクシャクしていて、借金もしていたので、
2年前から前田さんは事務所で生活していて、
家族のマンションには暫(しばら)く帰っていないらしかった。
そんな話しを聞くと、
シャーロンが以前に言っていた撮影料200万円を有難く頂戴するかとも考えたが、
それよりもこれからも異世界からの前田カメラマンに仕事を頂けるように僕が企画しないとな、
と、前向きに捉(とら)えて日々のやるべきことを行っていた。
そんなある日、先日クレア国で開催した異世界両国芸術芸能セレブ達の撮影をした前田カメラマンが次の日には、
各テーブル席の王族、貴族、
芸能ギルドの重鎮たちも撮った画像をA4サイズの写真プリントにした人数分100枚位を受け取った僕がシャーロンに渡したら、
まずは100枚以上の写真プリントを見て、驚き驚愕し、
シャーロンのイメージとしては、前田カメラマンが一人でこの精巧な絵を描いたのだと、
僕が違うと説明しようが、僕の話しなんか聞く耳も持たずに、
シャーロンはシャーロンで興奮して、
マイダンジョンの何処(どこ)でもドアを使って配り始め、
遂には僕の手を取って一緒に異世界の芸能セレブ達にA4サイズ写真プリントを届けがてら挨拶周りを彼女と行った。
そして、もしかしたこうなるだろうな~、な感じで、会うセレブ、会うセレブから
「こんな精巧な絵を頂き感謝に堪えません」
とか、大感動され、お次は決まって、その写真プリント、が異世界では超精巧絵画と認識され、
この写真型絵画の代金を払おうと異世界の金貨を差しだされ、僕がサービスですので、
とか、貰うとしても1枚500円位の金額を提示しようとしたら、
シャーロンが僕に凄い形相で睨んで
「そんな金額をクレア国の芸術芸能関係者に伝えるのは止めてください。
今後とも金額に関しては私、シャーロンを通してからにしてください」
僕は挨拶中のカスナ国のセレブ達から手を引っ張られ、小声で彼女にそう耳打ちされた。
僕がそれでも、
「元々はサービスなのだから」
と、小さな声で反論すると
「この絵は、もはや立派な芸術です。
クリエイティブです。
創造性があります。
そう皆様が判断し感動しているのですから、
それに対しての対価も彼ら彼女らが決めることですので、
こちら側の考えや価値で対価を決めることや、決めにかかる態度は傲慢です。
それに、やはり彼らの沽券(こけん)に関わるのです」
と、シャーロンは何時に無く真面目な顔で真剣に僕に語った。
要は、郷に入れば郷に従えなのでしょう。
確かに、僕ら現世ニッポンの常識だって、異世界にしたら非常識に違いない、
なので、ここはシャーロンに全て任せることにした。
そこからは、シャーロンと僕は両国の芸術セレブ達と社交を続け、
1枚の写真が平均して日本円にして100万円前後で買い取られた。
中には300万円~1,000万円も支払うと言うセレブまで現れた。
そして、その挨拶周りで、異世界芸能セレブたちが口々にするのは、
シャルルや西田佳代の絵も欲しいとの事だった。
たまに一緒に映っている写真もあったが、セレブ達は歌姫達の単体写真を欲しがっているのだった。
なので、まだ、撮影は始まってもいないが、
前田カメラマンと話していたシャルルをメインの写真集の企画構想も話しのネタに話すと、
多くの異世界芸術セレブ達がスポンサーになりたいと申し出てきた。
ので、またまた、僕はシャーロンとの社交挨拶によって異世界でのチャンスと、
実際にセレブ達の記念撮影写真配りだけなのに、
結局100枚の写真が日本円にして1億円以上の値が付いてしまった。
僕はシャーロンに、もはやシャーロンとの打ち合わせでは定番となったオルネラ店2階櫓(やぐら)で感謝の言葉を喋ると
「判って頂ければなにも問題はないんですよ。
ムート先生としては、大したことが無いことをしたと思っていて、
なにかと無償でクリエイティブなことを済ませようとしますけど、
この世界ではクリエイティブは世界で一番凄いことであり、
しかも実際にクリエイティブで人々の心を魂までも揺さぶる芸術家たちには最大級の賛美と報奨を与えるのが、
この世界の王家、貴族、豪商達の務めなのです。
ですから、ムート先生は、その辺の処は目を瞑(つぶ)り、私に全てお任せ下さい。」
「いや、しかし、僕は自分で歌の作詞作曲もしていないし、
いわば、他の作曲家や作詞家の作品を紹介しているだけだから・・・」
「いえいえ、その作品をムート先生はまずは評価し、それを私達の世界に紹介し、
それが今の私達に感動を与えたのですから、やはりムート先生がいなければ、
この世界でムート先生の世界でも厳選された名曲を聴かされなかったんですから、
やはり先にムート先生有りき、です」
久し振りにシャーロンによる熱弁に、熱い称賛に僕は思わず照れてしまった。
やはりというか、金髪でエメラルドグリーンのハリウッド女優並の美女に、
そんな事を言われましたら、そこでジ・エンドになります。
ので、僕は前回の報奨金だった金塊20gインゴット800枚にプラス200枚以上の金塊を渡されることとなり、
僕はまたまた豊洲ビルから台車を借りて、
金塊を積んで「よっこらしょ」と押して一応、豊洲ビルの片岡さん事務所に持ち帰った。
金塊は実に1500枚あり、日本円にして15億円以上頂いた計算になる。
こうなると、僕も完全に感覚が麻痺して来ます。
それに、この大金の大部分は僕と言うよりも前田カメラマンのモノですから、
まずは、前田カメラマンに事の経緯を報告することと、今は豊洲ビルに片岡さんが居なく、
だけど事務所の金庫内は残りの金塊と札束が詰まっていて、
とてもとても仕舞うことが出来ず、やはりというか、
3階の隣部屋、金塊の山がある部屋へと台車ごと置いておいた。
そうじゃないと、もしも片岡さんが取引先の社員やエキストラや登録している役者等に見られると、
色々とオカシナことになるので、そのようにした。
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